デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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それではどうぞ・・・


第一話:A first contact・・・

---とある日の昼下がり・・・

「このモブ野郎どもが!俺のなのはに手を出すんじゃねえ!」

「誰がてめえのだ!ふざけやがって、まとめてぶっ潰してやる!」

「なんだなんだ?」

「何やってるのー?」

---ザワザワ・・・ガヤガヤ・・・

「え?えええ~~~?」

「・・・・・・・・・・・・・・・どうしてこうなった\(^o^)/」

 

 

 

 

 

---神は言っている。アナザーワン・バイツァダストと・・・

バグォォ――――――ンッ・・・

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・ハッ!?何か面倒事に巻き込まれる予感が・・・

 

・・・オホン!どうもこんにちわ、転生者として新たな人生を歩むことになった・・・梶原 泰寛。現在5歳です。

ええ、ぶっちゃけ名前とかは全然変わってないんですわこれが。

生まれ年と血液型もそのまま・・・。

赤ん坊の頃?いったい何の話をしてるんですか?

・・・・・・・・・・ゲフンゲフン。話を戻しましょう。(ここからは通常の口調で)

 

今から俺は、両親と一緒に海鳴公園に遊びに行くことになっている。

まあさすがに家の周りだけで遊ぶのでは人付き合いを覚えられないと思ったのだろう。

俺自身も周辺地域での行動範囲を広げたいと思っていたので好都合だと思ったし、今回のことは丁度良い機会だ。

ぜひとも行かせてもらうとする。

 

「泰寛~、準備は出来たぁ~?」

「うん!出来たよ!」

「お、今日はそれを着たのか。かっこいいぞ~泰寛!」

「えへへ~~~♪」

「それじゃあ行きましょうか。ほらおいで、泰寛。」

「は~い。」

こうして俺は、海鳴公園を目指して親と一緒に向かうこととなった。

 

 

 

 

「それじゃあ泰寛、お母さんたちはこのあたりにいるから遊んでいらっしゃい。」

「は~い。いってきま~す。」

さて、ここに来るまでの道は何となくわかったけどここからは・・・どこに混ざるか。

あたりを見渡すと、砂遊びをしてる子や、鬼ごっこをしている子、缶蹴りをしている子など、いろいろといるようだ。

(どこに入ろうかな・・・・・・・・・・・・・うん?)

どこに入ろうかと考えながら周りをキョロキョロと見渡していると、子供たちが遊んでいるところから少し離れたベンチに、茶髪のツインテールの子がじっと座っているのが見えた。

よ~~く見てみると、その子は他の子が遊んでいるところを羨ましそうに見ているのが分かる。

(あれか?仲間に入れてほしいけど恥ずかしくて声かけられないとかそんな感じか?・・・ちょうどいい、まずはあの子に声をかけてみるか。)

そう考え、ツインテールの子が座っているベンチに歩いていく。

 

「ねえねえ君、みんなで一緒に「よう!何やってるんだ?」・・・・・・・・・・・」

か、勘違いしないでよね!別に泣いてなんかないんだからね!(震え声)・・・まあ冗談はさて置いて・・・

 

俺がベンチの左側から近づいて声を掛けようとした時、俺の声にかぶさるように他の奴が少女に声を掛けながらいち早く少女のもとに駆け寄って言ってた。

後ろから見ているため詳しくはわからないが、背丈は俺と同じくらいで銀髪の少年だった。これでオッドアイだった日には痛々しくて見ていられない気がする。

 

・・・とりあえず様子見でもしておくか。

 

「何だ?照れちゃったのか?なのは」

 

いきなり自分の名前を呼ばれた彼女はその少年を警戒していた。反応からして本当にあの子の名前なんだろうか?いや問題はそこじゃなかった。

(知り合いってわけじゃなさそうだな。ストーカーか何かか?・・・自分で言っておいてなんだがあの歳で早くも犯罪者予備軍はヤバすぎるぞ(=_=;;) 親の方は何やってんの!)

 

念のため、すぐにでも駆けつけられるよう用意だけはしておくか。

 

「ははは、どうしたなのは?ひょっとして一目惚れか?」

 

(いったい何を言っているんだあいつ(=A=;;))

少女の方を見てみると、彼女も同じようなことを考えたのかかなり嫌そうな顔になっている。

だろうな、誰だってそうする、俺だってそうするってレベルの話だ。

少女は話す方が逆にやばいと思ったのか、ベンチに座ったまま無視を決め込むことにしたようだ。

 

・・・大丈夫なのだろうか。あの手の輩はいったんターゲットを決めたら何やっても粘着質にかかわろうとしてくるからな。

・・・もう少し様子を見ることにしようか・・・ん?あれは・・・

 

 

「おい!そこのお前!俺のなのはに何してんだ!!」

 

(また変なのが増えたぁああッ!?Σ(゚ロ゚;ノ)ノ))

今度は金髪赤眼のこれまた痛々しい感じのイケメン少年だった。

しかも今度は『俺の』と付けた。ありえん(確信)

どうやら現れたのはかなり重度の変質者だったようだ。

・・・・・・・・・・・なんだろうか。落ち着いてみてみると、スタンドを通してあの銀髪の方に若干だが違和感を覚える・・・見た目の問題だけじゃないような・・・

 

「わたしは・・・・・・」

「あぁ!?うるせぇぞモブが!!」

件の少女が何か言おうとするも銀髪の方にシャットアウトされる。哀れな・・・

 

 

そこからは、肝心の少女を完全に度外視した残念なイケメン同士による口喧嘩が始まった。

 

しかも、お互いが少女を自分の嫁だとか言い出す始末・・・これはひどい。

 

「モブはとっとと帰って寝てろ!!」

「テメェこそ寝てろ!!」

 

・・・・・・・・・はあ、しょうがない。気は進まないけれど一応救済措置くらいはしてみるか。

いまだに言い合いを続けている変質者たちに気づかれないように移動し、少女に近づく。

 

「ねえ君、向こうで缶蹴りしているんだけど一緒に遊ばない?」

「え、えっと・・・・・・・・・・・・・いいの?」

「うん、君はどう?」

少女は少し考える素振りを見せると、

「うん、わかった。」

「それじゃあ行こうか。」

少女の同意を得て、静かにその場を離れようとする。

 

「このゴミくz・・・あ、おい何やってんだテメェ!」

ヤベばれた!

 

「このモブ野郎どもが!俺のなのはに手を出すんじゃねえ!」

「誰がてめえのだ!ふざけやがって、まとめてぶっ潰してやる!」

案の定面倒なことになってきたな。ま、どうにかしてみますかねぇ。

 

「なんだなんだ?」

 

「何やってるのー?」

 

・・・なぜ野次馬も来るし。

 

---ザワザワ・・・ガヤガヤ・・・

「え?えええ~~~?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・どうしてこうなった\(^o^)/」

まずいな、これだけ人目があるとスタンドでの不意打ちができん・・・しゃあねえ、直接対処するしかないか。

 

「このモブ風情が!俺のなのはに何してやがる!とっとと消え失せろ!」

金髪赤眼の方が俺に向かって拳を振るってくる。

「おっと{ヒョイッ} ハッ!{バチッ}」

「がっ!?」ドサッ

その攻撃を紙一重でよけると同時に波紋のエネルギーを込めた当身を打ちこんで気絶させる。

威力も流し込んだエネルギー量も低めだからしばらくしたら起きるだろう。いつ起きるかはまあ伏せておくが・・・

 

「これで残りひと・・・あれ?銀髪の奴がいなくなってる・・・・・・・・・まあいいや。」

周りの野次馬から声援が上がり、そいつらも少しすると自分の遊んでいたところに戻って行ってた。

 

一先ず深呼吸してから、さっきの少女を探す。・・・いた。

 

「お~い、そっちは大丈夫?」

「う、うん。私は大丈夫だよ。」

「そうか、ならよかった。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

ち、沈黙が痛い(-_-;)

何か、何か切り出せる話題は・・・あるじゃねえか。

「ちょ、ちょっと微妙な空気になっちゃったけれど・・・良かったら一緒に遊ばないかな?」

「・・・私はいいの・・・・・それよりも・・・向こうにいる子たちと遊んできたほうがずっと楽しいの。」

・・・いや、そんなぎこちない笑みで言われてもねえ。

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そいや。」

---ムニュゥ~~~~~~~

「ふぇ?」

長い沈黙の後、いまだにしょぼくれた顔をしている少女のほっぺを両側からつまみ、軽く横に引っ張る。

「おお、意外と伸びるな。」

ほっぺたは思っていたよりも柔らかく、痛くならない程度に色んな角度に引っ張ってみた。

「・・・・・にゃ、ひぃひぃにゃになにひゅひゅにょ!?ひゃにゃひぃひぇひょ~~~!」

少女はようやく状況が頭に入ってきたのか、じたばたしながら言葉にならない声を上げる。

が、俺はあえてそれを無視し、なのはのほっぺを引っ張り続ける。

「いや~~しかしホントさわり心地がいいな、まるでつきたての餅でも触ってるみたいに「ひぇい!」タコス!?」

少女はさすがに限界だったのか、俺は頭にチョップを叩き込まれて思わずほっぺを離す。

さすがにふざけすぎたか。まあいい、まずは第一段階だ。

「もう!いきなりなにするの!」

少女は、明らかに不機嫌ですと言わんばかりに俺に怒鳴りつけてくる。

「いててて・・・うん、やっぱりそっちの方がさっきよりいいんじゃない?」

「こんなことしてなにがいいの!」

「いや、そういう意味じゃなくて・・・さっきまでの君さ、今にも泣きそうなのに無理やり笑顔作って誤魔化してたように見えたんだよね。そこんとこどうよ?」

 

「え・・・そ、それは・・・」

少女は怒りの表情から一転、今度は戸惑いを見せる。

「だからさ、そんなやってる方も見てる方も気まずくなる笑顔よりは、そうやって自分の本音をしっかり出せてる方がよっぽどいいかなって思ったわけよ。」

お子様の気遣いなんか誰も得しない。こんなふうに本音で語り合える方がよっぽどいいってもんでしょ。

「・・・・・・だからって、いきなりほっぺをひっぱるのはどうかと思うの。」

「いやぁwwwごもっともですwwwww」

「・・・・・・・・・・・・」

---バシッ バシッ バシッ バシッ

「ちょっ!イタ!悪かった!謝るからグーは勘弁し・・・待って、さすがに蹴るのは無し・・・アッ―――――――――――!!」

 

 

「・・・というわけで、女の子の顔にいたずらするのはいけないことなんだからね!」

怒ってるところにおふざけかましたのが悪かったのか、一通りボコられた後俺はお説教されていた。

・・・フッ、だが甘いな少女よ。

「本当に・・・本当に・・・大変申し訳ないと思っているwww(爆笑)」

俺は反省も後悔もしないィ――――――――ッ!!・・・てあら?なんか空気が冷たく・・・ッ!?

「・・・・ソウ、マダOHANASHIガ足リナインd」誠に申し訳ございませんでした―――!!」

な、何だあの迫力は!?さすがの俺もシリアスモードじゃないとあれは逆らえないぞ!あれが音に聞くO☆HA☆NA☆SHIというやつなのか!?

この少女・・・恐るべし!

「まったくもう・・・・・・・・フフフ・・・」

「お?」

「?どうしたの?」

「いやいや、やっとちゃんと笑ったなって思ってよ。」

「・・・あ。」

「うんうん、やっぱり引き攣った作り笑いよりそっちの方がずっと似合ってるな。さっきよりも断然可愛いじゃねーの。」

「{ボフンッ}か!かわ!?そ、そんなこと言ってごまかそうとしても・・・だ、だめなんだからね!」

少女の顔があっという間に赤くなり、少女はうろたえながらそう言ってくる。

「フンッ!本当の事を言っただけだから問題ないもんね!」

「あ、あうあう・・・」

まるでリンゴのようにさらに真っ赤になった少女は、うまく言葉に出来ずうろたえまくっている。

「ケケケケケケケケケ・・・さて、さっきのことは謝るよ。悪かった。もしそちらがよろしければ俺と一緒に遊んでほしいんだけど・・・どうかな?」

「・・・何で?私じゃなくても他の子がいるのに・・・」

「でも君という人間は一人しかいないじゃないか。俺は君と遊びたいんだよ。・・・だめかい?」

今更いうのもなんだけど・・・今の俺かなりキザじゃない?やば!思い返したら鳥肌が・・・

「・・・・・・{ポロポロ}ひっく、えぐ・・・」

なんて考えていたら、少女が声を押し殺して泣き始めてしまう。

え、ちょ、泣くほど嫌なの?!

「・・・えっと・・・」

「・・・ありがとう・・・」

・・・あ、嫌がってたわけじゃないのね。よかったよかった( ̄w ̄;)

・・・落ち着くまでは待っていようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・どう?落ち着いた?」

「うん、もう大丈夫。ありがとうなの!」

「よし・・・あ、そういや自己紹介がまだだったね、僕の名前は梶原泰寛。隣町に住んでいるんだ。」

「私はなのは、たかまちなのはだよ。なのはって呼んで!」

「OK、なのはね。それじゃあまずは・・・お~い、僕たちも一緒に遊ばせて~。」

近くの子供たちに声を掛けながら、俺は少女と一緒に遊び場まで歩いて行った・・・

 

 

 

 

その後俺達は、帰る時間前まで少女や子供たちと一緒に遊び倒した。

計画通り(ニヤリ)

 

 

 

 

 

 

「どう、なのはちゃん?楽しかった?」

「うん!とても楽しかったよ!」

暗い顔をしていた少女は、今はとても晴れやかなものとなっており、もはや俺が心配するまでもないものになっていた。

「{ニヤリ}そいつは上々♪僕も誘った甲斐があったってもので「泰寛~、そろそろ帰るわよ~。」・・・そう言えばもうそんな時間か。」

公園の真ん中にある時計を見ると、そろそろ帰らなくてはならない時間となっていた。

「そういやさっきから親御さんの姿が見えないけど・・・君は一人で来たの?」

 

俺の言葉に高町は頷いた。

 

「親はどうしてるの?」

「・・・・・・忙しいから」

「でも、一人で来るのは危ないんじゃない?せめて家族の誰かが一緒にいないと・・・」

 

なのはは少し黙った後、話し始めた。

 

「お母さんとお兄ちゃんとお姉ちゃんはお店を頑張ってるから」

 

・・・さようか。と俺は頷くと、続いて聞いた。

 

「お父さんは?どっか遠い所に出稼ぎでも?」

 

「入院・・・・・・してるの」

 

重々しくなのはは口を開いた

 

「入院?」

「少し前にお父さん、事故で大怪我しちゃって・・・・・・まだ眠ったままなの」

 

やっべ、もしかしなくても地雷ふんじゃった俺?

こ、こんな時どうすれば・・・そうだ!

「(アライブ!あのディスクを倉庫から取り出せ!)よし、唐突だけどちょっとしたマジックをお見せしよう!」

「ほえ?」

ぽかんとしたなのはを一先ず置いておき、俺はそこらへんに落ちている小石を拾い上げる。

「さ~て、この小石をよ~く見ていてご覧。」

『ハイコレデスネ。ドウゾ。{ズブズブ}』

なのはが小石に意識を向けている間に、アライブがカギから取り出したディスクを、なのはに見えない角度から俺の頭に差し込む。

これで準備は万端、後は小石を見えないように握りこみ、なのはの目の前に出す。

「ぬぬぬぬぬぬぬ・・・は!」

「え!?」

俺の掛け声とともに、握りこんだ拳から一輪の花が現れる。

それを見たなのははとても驚いた顔をする。

「はい、これはプレゼント。一応本物の花だけどいるかい?」

「あ、ありがとなの。」

よしよし、これでさっきの雰囲気は払拭されたかな?

「それじゃあ俺はこの辺で。」

「あ・・・もう、帰っちゃうんだね。」

「まあ時間が時間だし早く帰らないとね。君も早く帰らないと家族の方が心配するよ。」

 

少女・・・高町なのはは、それを聞いた途端また暗い顔になる。

「・・・・・・・・・帰りたくないの。」

「・・・家族の誰かとケンカしたとか?」

「ううん、違うの。ただ・・・家に居たら・・・・・・邪魔になっちゃうと思うし・・・・・・私はいい子にしてないとだめだから・・・」

「・・・だったら余計帰らないとだめじゃない?君みたいな小さな子が遅くまで外をうろついてる方がよっぽどまずいでしょう。」

「で、でも・・・」

「それとも君の家族は君のことを大事と思ってな「そんなことない!」そ、そうか。ならちゃんと帰らないと。きっと君のことを心配するよ。」

「うん・・・」

「あともう二つほど・・・君は君なりに今いい子でいるのかもしれないけど、あんまり気を効かせ過ぎるのは反って家族を不安にさせるだけだよ?むしろ甘えられるときにきっちり甘えるべきだよ。」

大抵の子供は我儘がデフォルトだ。

それが家族に気を使うってことはそれだけ自分たちが子供を不安がらせているかもしれないという認識につながる。

前世の友達も、子育ての苦労についてよく話していたことだ。

「でも、それじゃ迷惑に・・・・・・」

「君のことを大事に思っているんだろ?本当にダメな事ならちゃんと止めてくれるし、多少の我儘くらい聞き入れてくれるさ。」

「・・・わかったの。」

「最後は・・・そうだな、さっき渡した花にちょっとしたおまじないがしてある。君が明日からしっかり笑っていけるよう祈っているよ。」

やれやれ、俺と同い年くらいなのにいろいろ考えてんのね。まあそれが裏目に出てちゃしゃあねえけどよ。

「泰寛、こんなところにいたのか。その子はお友達?」

おっと、もう見つかったのか。・・・丁度良いかもしれん。

「うん、まあそんなところ。父さん、母さん、この子一人でここまで来ちゃったみたいだから何とか送ってあげられないかな?」

「そうなのか?・・・わかったよ、お嬢さん、君の名前は?」

「えっと、高町 なのはです・・・」

「なのはちゃん、息子がこう言ってるけどよかったら一緒にどうかな?」

「いいんですか?」

「もちろんさ。息子の友達なんだ。これくらいはしたいよ。」

「・・・ありがとうございます。」

「よし、そうと決まったらまずは母さんを呼ばないと・・・」

その後は母さんを呼び、俺達は高町なのはを自宅に送ることとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

今現在、なのはの家の前に来ていた。

なのはは家の前で緊張していて、なかなか玄関から入れないでいる。

・・・しょうがねえなぁ。

 

---ポンッ

 

「・・・泰寛君。」

「今の俺にできるのは、あくまでも君の背中を押すことだ。一歩踏み出すのは・・・なのは、君でなくちゃあならない。」

俺は高町の頭を軽く撫でながら言う。

 

「・・・うん。」

「大丈夫。重要なのは気持ちを言葉にすること、言葉を相手に伝えることだ。」

「・・・うん、わかった。」

「よし、それじゃあ行って来い!」

俺はそう言い、なのはの頭から手をはなs・・・

 

---

 

離そうとした時、なぜかなのはに手を掴まれる。

「?どうした?」

「・・・・・・・・ねえ、私達また会えるよね?」

「うん?まあこうして出会えたんだし、またどこかで会えるさ。だから今は・・・胸張って行って来い!」

「・・・うん!またね!」

「ああ!またな!」

なのははようやく決心がついたのか、俺の手を離してそのまま玄関に入って行った。あれならもう問題はないだろう。

「あの子は行ったか。それじゃあ泰寛、そろそろ帰ろう。」

「今日は泰寛の好きなハンバーグを作るよ!」

「やった!ハンバーグだ!」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・さてと・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあやってきました病院!今回来たのはこのわたくし、仙道とスタンドをたしなむ謎の子供で御座います!」

時間はただいま夜中の一時!俺は高町の親父さんが入院している病院に来ている。・・・ふわ・・・さすがにこの時間に起きてるのは堪える・・・

「おっといかんいかん、まだやることが終わってないでしょうに・・・」

顔をパンパンッとはたき、俺は高町の親父さんのいる病室まで移動する。

ちなみにどうやって知ったかというと、外にいる段階でハーミット・パープル(念写、念聴等の能力を持ったスタンド)を使って病院の場所と病室の番号をあらかじめ調べたのだ。

犯罪じゃあないよ?ちゃんとしたボランティアだよ?無許可だけど・・・

 

 

「{スゥ~~}お邪魔しま~~す・・・・・・あそこが高町の親父さんのベッドか?」

病室に入って右奥にあるベッドに進み、そのうえで寝ている人影を見る。

そこに寝ていたのは、一言でいうなら全身を包帯で巻かれたミイラ男のような何かだった・・・

 

「さて、早速状態確認と行きますか。コォォオオオオ―――・・・・・・・・なるほどな、これは相当重症だ。」

 

波紋で治療しながら怪我の具合を確かめてみると、これがまたひどい具合だった。

 

体のいたる所に重度の火傷を負っており、更にそれ以上に目立ったのが、何かを叩きつけたような打撲傷と骨折が体のあちらこちらで見られることだ。

爆破テロか何かに巻き込まれたのだろうか・・・正直これでまだ息があることが信じられない。

なのはに少しだけ聞いたが、あの子の一家(母親となのはを除く)は何かしら常人離れした鍛え方をしていると言っていた。おそらくその成果がこの人の命をかろうじで繋ぎとめたのだろう。

(さすがに今の俺の波紋だけじゃこの人を治しきるのは無理だな。しょうがない、あれを使うとしますか・・・)

そう俺が考えた次の瞬間、

 

『御呼ビデショウカ?ケケケケケ・・・・・・』

 

俺の背後に全長2メートル近くの異形の巨人が現れる。

「アライブ、倉庫からディスクを出すんだ。使うのは・・・そうだな、ゴールド・エクスペリエンスとクレイジーダイヤモンドでいいだろう。」

クレイジー・ダイヤモンドだけでもいいがあれだと治りが早すぎ、また良過ぎて逆に不自然だし、この人はそこまでではないが欠損している部分までは治せない。

クレイジー・ダイヤモンドはなくなったものまでは治せないからな。

となると、俺のやるべき治療法は大体絞られるというものだ。

 

『ソレデハドウゾ。{ズブズブ}』

「よし、これで準備はできたか。まずは新品のゴム手袋をはめてから・・・それでは・・・失礼します。」

 

傷の目立つ部分の包帯を切り離し、創部を処置できるようにさらす。

うめき声が大きくなるがそこは我慢してもらうほかないだろう。

「さて、治療開始と行きますか。」

まずは一番問題となる体幹の骨折部や内臓系をクレイジーダイヤモンドで触れて一通り治しておく。

次に火傷の箇所にゴールドエクスペリエンスで生命を与えた水を少しずつ流し、火傷の治療を行いながら失われた皮膚や神経、血管、筋組織を作りつつ波紋で操作し、途中から取り出したスティッキー・フィンガーズのジッパーで切開してから繋ぎ合わせていく。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よし、これでいいはずだ。」

ひと段落したのを確認し、巻かれていた包帯を再び巻き直す。

作業時間は約十分ちょっと、これでひとまず重要な部分の治療は終了だ。

肉体のパーツをはめ込むだけなら正直一分もいらないが今回の治療は中身にまで及ぶ全身規模だ。

今の俺ではこれが(時間と条件的に)限界である。

「バイタルサインは・・・異状なし。これなら明日の午前中には目を覚ますだろうよ。」

あー疲れた。やれやれ、今日はゆっくり休むとしますか・・・

 

 

 

 

 

 

『・・・ここは?』

『え?・・・・・・お父さん!?お兄ちゃん!お父さんが!』

『何?・・・!父さん!俺たちが分かるか!?』

『きょう・・・や?それ・・・に、なの・・・は?』

『お父さん・・・お父さん・・・!』

『良かった・・・良かったよ!』

次の日、海鳴市のとある病院で泣きながら喜ぶ二人の男女の姿があったんだとか・・・

 

 


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