デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録 作:enigma
Side:梶原 泰寛
「・・・・・・」
---キュムッキュムッキュムッキュムッキュムッキュムッキュムッキュムッ・・・
「「ヒホ、ヒホ、ヒホ、ヒホ・・・」」
---コツッコツッコツッコツッコツッコツッコツッコツッ・・・
「「・・・・・・」」
どうもこんにちわ、いいかんじに帰宅途中だったはずの梶原泰寛でゴザイマス。
ええ、ほんと、異界でばったり出会ってしまったNANOHAさん(誤字に非ず)にレイジング・ハートをちらつかされながらOHANASHI(誤字に以下略)をすることになり・・・現状知りうる限りの(俺の能力がばれない程度に改編した)情報を全て吐かされ・・・もとい共有することとなりました。
いやぁ~ホント最近の子ってやること過激だわ~。お年寄りにはついていけませんよホント。
・・・・・・ええ、ホント・・・おかげでただいま・・・物凄く空気が重いです・・・ジャックブラザーズの声だけが頼りなくらい重いです・・・
アライブを全く使っていないのに地面にめり込んでいきそうなくらい重いですよ・・・まさかなのはが新手のスタンド使いだったとは、この百戦錬磨の私の目をもってしても読めなかったぜ。
「・・・・・・」
「「・・・・・・」」
・・・さ~て、いい加減この気まずい空気を打開しよう。臨戦態勢でならいくらでも流せるけどさすがに何時ものノリでこれは無理。
「え、え~とNANOHAさん?」
「・・・!ふええ!?な、なに!?」
「「・・・・・・」」
・・・なんだ、普通に考え込んでたのか。というか単に俺が気負い過ぎてただけか。
まあ隣から聞こえてくる「よくやった!」という声は気にしないで・・・
「いや、何も言わないからどうしたのかと・・・」
「え、あ、あはは。ご、ごめんね・・・ちょっといろいろ混乱してて・・・」
「いや、別に謝る必要はないけど・・・」
「う、うん。すぅー、はぁー、すぅー、はぁー・・・」
なのはは返事をした後幾度か深呼吸をして・・・意を決したように俺達に向き直る。
「・・・・・・泰寛君、ケイイチ君。」
「なんだ?」
「あのね、二人がやってることに私も協力させてほしいの。私みたいに・・・その悪魔のせいで苦しむ人たちがいるかもしれないから、その人たちを助けるために一緒に戦ってほしいの!」
・・・うん、やっぱりこうなるのか・・・いや、そろそろ分散して行動していくことも考えてはいたが・・・
「わかった、それじゃあよろしくしてもいいか?正直手が足りなくて・・・な、梶原。」
「・・・そうだな、こっちとしてもよろしく頼みたい。」
しかたがない。こいつの目は暗に、もう関わる気しかないと言ってる。仮に断ったところで勝手に動かれるのが関の山だし、いっそのことともに行動してもらうことにしよう。
「うん!それじゃあよろしくね!」
「「ああ(おう)、よろしく頼む。」」
そんなこっちの意図は知らず、やる気に満ちた表情で握手を求めてきたなのはに俺達は苦い笑みを浮かべながら応える。
「・・・泰寛君、ケイイチ君、今日は助けてくれてありがとう。私、役に立てるように頑張るからね。」
「おう!・・・それじゃあ俺、家こっちだから。ホラ、行くぞ。」
「「はいだホ―!」」
「うん、またね二人とも!」
「・・・おう・・・またな。」
矢島の発言を皮切りに、その後俺達はそれぞれの自宅へと足を運んだ。
(しっかし・・・本当にまいったな・・・)
たぶん明日、気持ちの整理がついたなのはは十中八九俺達について来ようとするだろう。
けど・・・俺は正直、あいつは来るべきじゃあないと思う。
なのはの戦闘能力自体は、ジュエルシード事件の時のフェイトとの決闘の動画を見たおかげでかなりのものだということが分かっている。いてくれれば正直心強いのは確かだ。
けどそれはあくまで、なのはが最高のポテンシャルを発揮できる上での話である。
なのは自身の精神はあくまでも小学三年生のそれだ。
そんな奴が本当の意味での命のやり取りをしたり、突然人の遺体を見たり、最悪元凶であるあの狂人と向き合った場合どうなるか想像に難くない。
それに・・・いやよそう。こっちについてはまだ憶測の範囲でしかない。
「ただいまー。」
(母さんたちは・・・よし、まだ戻ってきていないな。)
とりあえず家に入って飯と風呂をてっとり早く終え、その後は単独で異界に入る方法にある程度辺りをつけてから寝た。
---翌日・・・
「・・・なんか目が冴えちまった・・・」
疲れていたとはいえさすがに早く寝過ぎたおかげか、今日はわりかし早く起きられた。
まあさすがに朝食の時間が近いし、夕方からの仕事もあるからいつもの訓練はせんけどな。
「おはよ~。」
「おはよう、お互い今日は早いね。」
キッチンで料理をしている母さんにあいさつをして、机に座る。
「あれ?父さんはまだ寝てんの?」
「ええ、今日は仕事が休みだからゆっくり寝てるんでしょ。というか泰寛はどこかに行くつもりなの?」
「えっ?」
「えっ」
・・・あるぇ~~まさか・・・
「今日は祝日よ。ひょっとしてご飯食べたら学校に行くつもりだった?」
「・・・YES。」
ミスった。ついド忘れしとったよ・・・あれ?そう言えば明日土曜日だったような・・・
「フフフ、まあとりあえずご飯は食べちゃいなさい。ホラ、早く待って行って。」
「う、うん・・・」
(・・・まあいいか。やるべきことはいろいろあるし時間があるに越したことはない。)
母さんにそう言われ、キッチンから皿につがれたご飯、鶏の照り焼き、ミネストローネ、サラダを持って来ておいしくいただく。
うん、やっぱり母さんの料理はうまい。
「{モグモグモグモグ・・・カンッ}ごちそうさま。」
飯を食い終わったら皿をパッパと洗い、いつも通り事件の元凶が来ていないかをアンダー・ワールドとハーミット・パープルを使って調べる。
(・・・・・・・・・・・・・・・・だめだな、異界はまだ増えてないがこっちに来てた時間が全然ねえ・・・)
・・・しかし妙だな。さすがに数日に一回くらいはどこかしら点検をしに来てもおかしくないと思うのに・・・
一般人に悪魔は倒せないと油断してるのか、それとも使いの悪魔を仲介して知っているのか・・・
「・・・今はさっぱりわからんな。取り敢えず矢島と今日の相談をするか。」
矢島達に声をかけるために一端部屋に戻って、PCで通信を入れる。
『{トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャッ!}はい、こちら葛飾区亀有公園前派出所です。』
「こち亀って勉強漫画のことだよね・・・矢島、今予定空いてるよな?な?」
『そりゃあ今日は祝日だからな。』
その祝日を忘れて普通に登校しようとしてた俺ェ・・・
『で、今日はどこを攻略するよ?不本意だけどなのはが探索メンバーに入ったし、せっかくだから分かれて行動するのもありだと思うけどな。』
「そうだな・・・」
廃ビルの方は・・・まあ保留としてだ、昨日行った高速道路も除けば、矢島のマーカーを仕掛けられていない所はあと五か所はある。
あれがいつ事を起こすか分からない以上、分担作業は必要になるな。
「それじゃあ俺は神社と地下水道を一つあたる。それでも時間に余裕があればもう一つ行くかな。」
『一人で行くのか?』
「ああ、出来る限り自分の能力は始末する相手以外に見せたくないしな(疲労がでかいからあれはあんまり使いたくはないけど、この際文句は言ってられないしね。)」
『さ、さいですか(そこまで知られたくないのかよ)・・・じゃあちょっと待ってくれ。』
矢島がそう言うと・・・
---キィ―――ン!シュォオオオ――――・・・
部屋の中心に蒼色の魔法陣が展開され、強い発光とともに昨日矢島が使っていた円盤状のマーカーが現れる。
『一応説明して無かったから言っとくぞ。そのマーカーには生命エネルギーと強い悪魔の反応・・・レベルにすると15以上のものが半径100メートル以内に入った事を察知して俺のデバイスに伝える機能とステルス機能、それとまあ・・・当然ながら俺が転移するためのアンカーとしての役割がある。滅多な事では見つからんと思うが・・・まあ見つかりずらい所にばらまけよ。』
「OKだ。」
『よし、じゃあ俺はなのはを連れて海辺の方ともう二つの地下水道の内一つをやる。油断するなよ?』
「言われるまでもねえな。じゃ、がんばれよ。」
---ピッ
(さて、とっとといきますかね。)
俺は倉庫から四枚のディスクを取り出し準備を整え、玄関の方へと歩いていく。
「あら、どこかに出かけるの?」
「うん、ちょっと矢島君と外で遊ぶ約束をしたからそれで。多分夕飯ができる前には帰ってくると思う。」
「そっか。気を付けて行ってらっしゃい。」
「あいよ、行ってきます。」
母さんに挨拶をしてから外に出て、俺はいつも通りキックボードに乗って今日の目的地の一つであるとある神社を目指す。
まあ神社と言っても矢島達の街の方にある八束神社と違い、あそこは管理する人も尋ねる人もいない寂れきったところだがな。
俺も今回のことが無ければ行くことはなかったかも知れんね。
「・・・・・・!見えてきた。」
交差点を曲がって50メートルほど先に、木に囲まれて見えにくくなっている塗装のはげた鳥居を発見する。
「(行くぞ・・・!)ハァァアアアア・・・」
---ギャルギャルギャルギャル・・・
「行け・・・!」
---ドバッ
ハンドルから手を離し、装備していたタスクact4を使って回転する爪弾を撃ちだす。
『チュミミィ~~~~~~~~ン』
---ガシッ ガパァッ!
「よし。」
爪弾とともに飛んで行ったビジョンが鳥居の前で空間を掴み、入り口をこじ開けるのを確認した俺はそのままスピードを緩めず異界に入った・・・
Side out
Side:矢島 敬一郎
「さてと、俺もそろそろ行くか。」
梶原に必要な物を送りつけて、俺もなのはを呼ぶために念話を送る。
(ドーモ、ナノハ=サン ニンジャデス。)
(ふぇ!?に、忍者さん!?えっと、えっと・・・)
残念、なのははまだまだ成長し切れていないらしい。
(落ち着け、俺だなのは。ケイイチだ。)
(あの、その、こんにち・・・え?ケイイチ君?)
(そうだよ、落ち着いたか?)
(う、うん・・・ていうかいきなりからかわれてもこっちは反応できないの!少しは前置きとか・・・)
(やれやれ、この程度の振りにも対応できないとは・・・そんなんだからはなのははいつまで経ってもなのはなのだよ!!修行が足りんわ!!)
(あれ!?なんで私怒られてるの!?)
(ふう、おふざけはこの辺りでおいといて・・・)
(お、おふざけ・・・)
おそらく自室でげんなりしているであろうなのはをおいといて、俺は話を進めていく。
(なのは、昨日話した事は覚えてるよな。)
(!うん。)
(今日俺達は梶原と別れてこの街に出来ている異界・・・簡単に言うと悪魔が発生しやすい空間のことなんだが、これの発生原因を突き止めるため中心部分に行って調査、それと人に害をなす可能性のある悪魔を倒すことになる。)
(悪魔・・・)
(場所に関しては・・・説明するのも面倒だし俺が転移魔法で一緒に連れて行くけどいいか?)
(う、うん。わからないこともいっぱいあるけどよろしくね。)
(おう、じゃあ今から迎えに行くから準備しといてくれよ。)
(うん、じゃあまたね。)
なのはとの念話を切り、着替えて玄関で靴を履く。
「GUNDAM、認識阻害と転移魔法。」
『わかりました、マスター。』
次に、魔法を二つ使って、なのはの家の前に転移する。
認識阻害が効いているから、仮に人がいたとしてもそのことを知る奴はいないって算段だ。
「さてと・・・{ピーンポーン}なーのーはーさーん、一緒に遊びましょう!」
---タッタッタッタッタッ ガチャッ
「ケイイチ君、おまたせ!」
「おう、準備は良いか?」
「うん!」
「それじゃあ行くとしますか。」
なのはを連れ、認識阻害と転移魔法を使って地下水道に飛ぶ。
「{キュイーーン}とと・・・!何、ここ・・・」
「おうおう、こりゃまたひっどいことになってるな。」
転移した瞬間、あたりから強い圧迫感を感じる。
周囲を見ると、水を流すはずの下水道の空間が普通では考えられないほど広がっていた。
「{プゥ~ン}うう、臭い・・・」
「バリアジャケットをつけとけ、なのは。ここはもう・・・!」
---バッ
「ニ、ニニニ、ニンゲン、ゲン・・・ニィィンゲンガァァァァイィイルゥゥルルルゥゥゥ!」
「ふぇ!?な、なにあれ!?」
「チッ、さっそくきやがった・・・」
まずはアナライズをして・・・イッポンダタラ、衝撃と破魔に弱いのか。あれ?俺あんま関係なくない?
「下がってろなのは!{ジャキンッ}そこで止まれ!」
なのはの前に出て、実体化したビームライフルを手に構える。
「おい、俺達にいったい何の用だ?」
「オォオォルェエエ、まぐねたいとタリナァアイ!ウゥオマエルァノまぐヲヨコセェェエ!」
「そうかよ、いつも通りってわけね・・・とりあえずくらっとけ!」
ビームライフルをイッポンダタラに向けて、油断しているところを滅多撃ちにする。
「{ドンドンドン}グヌゥゥ!?」
「なのは!はやく!」
「う、うん!レイジングハート、セットアップ!」
『イエス、マスター!』
なのははバリアジャケットを身に纏う。
よし、これで体制は整った!
「離れてケイイチ君!ディバイン・・・」
「うわやっべ!!」バッ
「バスター!」
---ドォォオオオオンッ!!
「・・・うわぁ・・・」
ビームライフルによる牽制からディバインバスターを食らったイッポンダタラが、ピンク色の奔流に飲み込まれて悲鳴を上げることなく消し飛んでしまった。
相変わらずひでぇ・・・これが後の管理局の白い魔王か・・・
「ケイイチ君、今のが悪魔?なんかジャックフロスト君たちと違って怖いね。」
「ああ、そうだ。さてと・・・」
時間も惜しいから、COMPを起動してジャックブラザーズを呼び出す。
「「呼ばれて飛び出てヒホホホ――!」」
「・・・なんか、同じ悪魔でもこっちは可愛いよね。」
「いや、こいつらも伝承見れば怖い連中なんだけどな、一応。」
ジャックフロストとジャックランタンを見てほんわか和んでいるなのはに、一応気をつけなくちゃならないと注意しておく。
ジャックランタンはそこまででもないけど、ジャックフロストは機嫌を損ねるとと全身氷づけにされるからな。
それに伝承云々に関わらず、こいつらは並の人間が勝つのはむちゃくちゃ難しいし。
「さ、無駄話はこの辺にして行こう。のんびりしてる意味はねえ。」
「うん、わかった。」
「「はいだホ!」」
(・・・やっぱりなんかかわいいなぁ。悪魔って聞いて身構えてたけどこういうのなら大歓迎かも♪)
なのはの準備が整ったところで、俺達は水道内の探索を開始する。
---カツ カツ カツ カツ カツ カツ・・・
「・・・・・・妙だな。」
「?なにが?」
「いや、いつもならもっと出てくるはずなのに今日は少ねえんだよ。」
いつもなら普通に歩いてるだけで50体くらいは楽勝で目の前に現れるのに、ここまでの道のりでは精々20体くらい。エネミーサーチも反応が薄い・・・なんでだ?
「それっていいことじゃないの?」
「いやまあいいことかもしれないけど・・・うぅ~~ん。」
これくらいの圧迫感ならいつもは相当いるはずなんだけどエネミーサーチにもなかなか引っかからねえし、後下水道のはずなのに偶にあの焦げ茶色の閃光とともになんでかバッタが物凄い勢いで突っ込んでくるし・・・
(うぅ~んわからん。バッタは空間か悪魔の影響かもしれんけど他が分からん。)
まあ考えても分からない以上、俺らは先を急ぐほかないけどな。
---カツ カツ カツ カツ カツ カツ・・・
「・・・・・・?ねえ、何か聞こえない?」
「何?・・・・・・」
---・・・!・・・・・・!
---・・・・・・!・・・・・・・・・!
・・・本当だ、通路の先でなんか声・・・と変な音が聞こえてくる。
「何だろう・・・」
「(魔力反応は悪魔のそれと混じるからあてにならないしな~)分からん、もっと近づいてみないと・・・」
注意しながら、なのはたちとともに声のする方向へと歩いていく。
すると・・・
---ブブブブブブ・・・
――くそ!なんなんだここは!?管理局とはまだ・・・
――だめだ!地球支部とも連絡が取れないしどうなって・・・
通路の向こうからバリアジャケットのセンサーを通して、虫の羽音のような音に紛れて明らかに焦っている人の声と大きな音が聞こえてきた。
「!今管理局って・・・ケイイチ君!この先にいるのってひょっとして・・・」
「ヒホ―、迷い込んだ人間かホ―?」
「可能性はあるな。とにかく行ってみるぞ!」
宙に浮き、ジャックフロストを担いでなのはとともに声のする方に急行する。
---ブブブブブブブブブブブブブブブブブ・・・
「なに?この音・・・」
「分からんが気をつけろ!そろそろ着くぞ!」
「うん!」
だんだんと大きくなっていく音を不快に感じながらもなのはにそう呼びかけ、俺達は自分たちのいる通路からそこそこ広い水路に出た。
するとそこには・・・
---ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブ!!
「ブッ!?なんじゃこりゃ!?」
「う、うわぁ・・・なんかいっぱいいる・・・」
その広い空間の中央付近を、ものすごい数の・・・普通よりも大きいサイズのバッタが飛び回り、蠢いていた。
「な、なにこれ!?{バチッ}イタ!ば、バッタさんが当たってすごく痛いの!」
「か、齧りつくなホ―!オイラは食べてもおいしくないホ―!」
「ちょ!?これ絶対普通のバッタじゃないホ―!オイラタチに襲い掛かってくるホ!」
「おいおいなんだこれ!蝗害の予兆か何かか!?」
俺はとりあえず障壁を張ってバッタをふっとばしながら、飛び回っているバッタとバッタの集まっている中心付近をデバイスのセンサーで分析する。
「{ピピピピピピ・・・}なんだあれ、マグネタイトの塊?ホントに普通のバッタじゃねえぞあれ。それに・・・!!なのは!あのなかに人がいる!」
「!もしかしてさっきの人達!?」
「かもなぁ!なのははバッタのいる中心部分をなるべく広く強く砲撃してくれ!俺は撃ちきれない部分を迎撃する!」
「分かったの!」
障壁内で俺は魔力を溜めたカートリッジをマガジン一本まるまる消費し、なのはは砲撃の準備をし始める。
その直後、飛び回っていたバッタの一部がこっちに飛んで来るとともに頭の中に声が響いてきた。
(もしもし、聞こえますか!?)
(!もしかしてバッタに襲われてる人達ですか!?)
(ええ、そうよ!あなた、ひょっとして管理局の・・・)
(ところがどっこい違うんだなぁ!けどなんかやばそうなんで今から砲撃でまとめて吹っ飛ばすから覚悟はしといてください!)
(ちょっとケイイチ君!すみません、すぐに助けますのでもう少しだけ耐えてください!)
(分かったわ・・・けど気を付けて頂戴!このバッタ普通じゃないわ!さっきからこっちのシールドが見る見るうちに食われていってるの!正直もうもちそうにないかも・・・!)
(あ、うん。俺らも今現在体験中なんで嫌って程に分かります。)
「・・・・・え?」
うん、もうね、さっきからね、話してるうちにバッタが俺の張った障壁をガリガリしちゃってるのよこれ。日本ではめったに見られないけど海外の蝗害ってこんな勢いで作物を荒されるのかと思うと相当悲惨だよね・・・いや、俺達が今その悲惨な目に合いそうなんだけどさ。
・・・出し惜しみしなくて本当によかった。食われながら死ぬっていやよ、俺ちゃん。
「ジャックブラザーズ、とりあえずCOMPに戻っといて~。さすがにこれはやばいから。お前ら出てる間が無いから。」
「「分かったホ―!」」
ふう、これでよし。後は・・・・・・マガジン何本使ったら足りるかなぁこれ。
「ケ、ケイイチ君どうするの!このままじゃ私達も・・・」
「落ち着けなのは、とりあえず策はある。」
俺は自分たちがさっき通ってきた道を見て・・・
「なのは、お前はその溜めた魔力でさっき通ってきた道への突破口を開き、思いっきりこの場から離れろ。出し惜しみなしの全力でだ。」
「待って!それじゃあケイイチ君たちが・・・」
「まあ待て、落ち着けなのはくん。俺はともかくお前は全方向に隙間なく対応できる魔法を持ってる訳じゃあない。それでこんなに群がれてたら撃ってる間に他の方向からバッタにたかられていずれにしてもアウトだ。だからこれはそうならず、なおかつ目的を達成するための策だ。OK?」
「う、うん・・・でも・・・」
「さあ行けるか?というか早めにいってほしい。かなり時間が押してる気がするから。いや、割とマジで。」
「・・・わかった!レイジングハート!」
『お気をつけて。ディバイン・バスター!』
「ディバイン・バスター!シュート!!」
なのはは通路に向けて砲撃し、進行上のバッタを消し飛ばすとともにフラッシュムーブで通路に飛び込んだ。
「気をつけてね!!」
「おぉ、もちろんもちろん。さぁ~て・・・{ガシャコンガシャコンガシャコンガシャコン}大丈夫ですか、そこの皆さん。」
障壁を張り直し、魔力カートリッジを使いながら念話でさっきの人たちに呼びかける。
(も、もう本当に持ちそうにないから・・・!早く・・・!)
(お願いだ!早くしてくれ!)
「了解、こっちもそろそろ・・・よし!」
マガジンを三本使い、尋常じゃないレベルの魔力でジャケットの装甲を覆う。
「いくぜぇぇええGUNDAM!!切り札使っていくぞ!」
『かしこまりました。魔力アーマー攻勢変更・・・』
俺は障壁を解き、バッタの一番集まっているところ・・・その少し上へと飛んでいく。
そして・・・
『魔力アーマー攻勢変更完了。アサルトアーマー起動。』
「最近の流行は・・・アーマード・コアなんです・・・・・・ひゃっはァァアアアアアアアアアアアア自爆特攻だァアアアアアアアアアアアアアアア!!」
目標に達するとともに、俺はすべてを巻き込んで大爆発した・・・
コジマじゃないから汚染はない!安心だね!(キラッ
===泰寛が向かった神社の、とある場所にて・・・===
---ズズゥ―――――ン・・・・・・
「!?なんだ、地震か!?強力な悪魔か!?」
泰寛が悪魔を倒しながら山を歩いていると、突然地面が揺れる。
しかし何事かと警戒して辺りを見渡すも、数秒もしないうちにその地震はぱったりと終ってしまった。
「・・・何だったんだ今の?悪魔の影響か?それとも別の・・・」
泰寛は怪訝に思うが、その後は特に何もなかったために警戒を弱め・・・
「・・・まあいい、先を急ぐか・・・」
最終的には記憶の隅に追いやって先に進むことにしたようだ。
「また来たわね!またどっかに飛んでいきなさぁ―い!」
「このクソカスピクシーどもがァアアアアアアアアアアアアアア!!いちいち余計なことしてんじゃねえええええええええええええええ!!」ピシュュンッ
最も時間はまだかかりそうだが・・・
なおこの日、海鳴市内で突如原因不明の地震が起きたというニュースが流れ、世間をちょっとだけ賑わせることになったとかならなかったとか・・・