デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録 作:enigma
時間を少々巻戻し、場所は変わって神社方面の異界・・・
Side:梶原 泰寛
---ビシビシビシビシ・・・ギパッ ガパアァアッ
『チュミミィ~~~~ン。』
「{スタスタスタスタ}よ~しよしよし。さすがは最恐スタンドの一角、これくらいはお手の物ってことだな。」
タスクact4がこじ開けた空間の裂け目を通って、現在俺は異界への侵入に成功していた。
何?最恐じゃなくて最強じゃないのかって?気のせいですよ気のせい。
・・・・・・・・四方八方からこいつに集団で追いかけられた時の恐怖と絶望は今でも絶対に忘れん。偶に夢に出るから絶対に忘れられん。
---ナンダァ?ナンカ人間臭イゾオォオ・・・
---何・・・本当だ、こっちからするぞ・・・
「!いかんいかん、今はそれどころじゃない・・・」
遠くの方から聞こえてきた不穏な声を聞いて咄嗟にその辺の木陰に身を隠し、余計に思い出してしまったトラウマを強制的に心の奥底に押し込みながらディスクの交換を行う。
「{ズブズブ サッサッ}よし、準備完了だ。」
内訳はクリーム、セックス・ピストルズ、アクトゥン・ベイビーとあと一枚ってところである。
「そんじゃまあ、さっそく探索開始だ。さぁ~ていきますかねぇ・・・!!」
俺は木陰でそう言いながらPCを取り出してイヤホンを装着しつつ、何時ものように心の中で強く願う。
---ドシュゥゥウ―z__
すると、俺の影に地図の様な模様が入った人型のシルエットが出てくる。
そしてそれと同時に、手に持っているPCが勝手に起動して地図が表示され・・・
『マズハ・・・左ヘ方向転換シ・・・ソノマママッスグ行ッテクダサイ・・・』
スピーカーからそんな音声が流れた。
「{ボソボソ}はいはい真っ直ぐね。了解了解、きっちりアシストよろしくねぇ~・・・」
音声の指示に従い、周辺の悪魔にばれないように木の幹に張り付き隠れながら、目的の神社に向けて道なりに真っ直ぐ進んで行く。
・・・・・・・・・あ、やべ。姿も透明にしとかないと。PCは透明には出来ないけどやらないよりはましだろ。
「・・・何今の?いきなり人間の子供が変な奴と一緒に異界に入ってきちゃった。」
泰寛が異界の神社を目指して歩き出す少し前、彼が気が付かない所から彼の姿を捉えているものがいた。
「あ、変な奴が消えちゃった・・・なんなんだろ、あいつ?」
彼を見ていた悪魔は、泰寛の隣にいたタスクact4のビジョンが消えたことに驚き、興味深そうに泰寛を観察する。
「・・・ホントに何やってんのかしら?異界の真っただ中に不躾に入ったと思ったら突然百面相を始めて・・・・・」
---ナンダァ?ナンカ人間臭イゾオォオ・・・
---何・・・本当だ、こっちからするぞ・・・
「げ!?いっけない、のんびりし過ぎちゃった・・・」
泰寛を見ていた悪魔は百面相を続ける彼を見ているうちに響いてきた何者か・・・おそらくこの異界にすむ他の悪魔の声であろうそれを聞いて草むらに身を隠し、周囲を見渡す。
「やばいやばい、早くみんなのいるところに戻らないと・・・ん?」
その場からひっそり離れようとした途端、泰寛がいつも通りの気迫とともに透明になり、悪魔から身を隠しながら着実に歩いていく。
「何あれ、姿が消えたと思ったらあの子の持ってた機械だけが浮いて動いてる・・・?それにあの機械の行く方向・・・」
泰寛を見ていた悪魔はどんどん離れていく彼を見ながら暫く考え・・・
「随分と間抜けな奴が入ってきたみたいね・・・・・・よし!丁度良いからあいつに着いて行っちゃお!」
何か良いことを思いついたような振る舞いをした後、泰寛の少し後方から低空飛行で彼を追いかけて行った。
---スッスッスッスッスッ・・・
「{サッ サササッ}う~~~~~む、今度は今度は分かれ道が四つか・・・」
抜き足、差し足、忍び足と、木の影や草むらにPCを隠しながら参道をひたすら歩き続けること早数十分・・・ここにいる悪魔が間抜けなおかげか、今だしているスタンドが優秀なおかげか、なんとか見つかることなく俺は異界の中を進んでいくことが出来ていた。
---ピピピッ
「ぬ?次の指示か。」
すると今度はPCに【03:00】というタイマーの様な数字が表れて、カウントダウンしていく。
『ココデ三分待ッテクダサイ。三分経過シタラ、今度ハ一番左ノ道ヲ進ンデクダサイ。』
「はいはい、三分待つのね。」
今度もイヤホンから流れてくる音声に従い、その辺の木陰に座ってタイマーがゼロになるのを待つ。
これがさっき装備したスタンドの一つ、『ペイズリーパーク』の自分や他人を行くべき方向や場所に導く能力である。
こいつは俺が向かうべき『最善』の道を、こういった感じに示してくれる。だからこういったよくわからない場所では非常に便利だ。
・・・あくまでも『最短』ではなく『最善』の道を示す能力だから、時々珍妙な指示を出されることもあるがな。
だがそれも決して意味のないことではない。仮にそう思う指示を出されたとしても、それもまた『最善』の指示なのだから。
(ふぅ・・・にしても、ここまでは大分スムーズに進んでこれたよな、俺。)
途中、蜃気楼の様な幻や地面から吹き出すエネルギーの壁があったりして行く手を阻まれることが多々あったが、こいつの指示を信じてたおかげで今のところスイスイ進めている。
このペースを維持し続けられれば、昼飯前位にはここから出て次の異界に行けるかもしれないな。
『・・・ソノ場カラ、スグサマ真上ニ進ンデクダサイ。今スグ、上ニ進ンデクダサイ。』
「なに?」
PCからの突拍子のない指示に首をかしげながらも、とりあえず指示に従って傍にある木に登る。
すると・・・
「グギギ・・・ニンゲン・・・ニンゲンノニオイ・・・」
「ト、トダエタァ~・・・ニンゲンノニォイ、ドコダァアァア・・・」
茂みの向こうから参道を横切って、どす黒い色をした人型の悪魔が三体ほど姿を現した。
やばいやばい、あの位置にいたら多分ばれてたな。
「ニオウ・・・ニオウナァ~。ニンゲンノニオイガスルゾォ~~・・・」
「ルルルルォォオルォオオオオオ!ウマソウナニオイ・・・ドコダァアァア?ドコニイルルゥウウウウウウ・・・」
(んな簡単に見つけられるわけねえだろ・・・と言いたいところだがPCがばれたらまずいだろうな。)
かと言ってこれまで透明にしてしまうと、肝心の地図が読めなくなってしまうし・・・ままならないな、やっぱり。
・・・・・・存在感そのものを消してしまうスタンドが倉庫のどこかに眠ってた気もするが、探している時間が惜しいから後で探すことにしたのはここだけの話である。
「ウウゥ・・・ドコダァ~ドクォニイルルゥ~・・・」
「ハラ・・・ヘッタ・・・クイタイ、クイタァイィイィ・・・」
「クワセルォオオオ・・・オォオォオォオォ・・・」
(しっかしどうすっかな~この状況。タイマーはあと三十秒くらいしかないんだけど・・・)
下手に音を立てる訳にもいかず、気が付けば自分がいる気の周りを悪魔たちが嗅ぎまわっているこの始末。
とりあえずこれの指示に従っとかないとスムーズにいくのは多分難しいだろうし・・・隙を見て素早くかたずけていくのがベストか?
---ガサガサ ゴソゴソ
「ウオォオォオォオ・・・・・・」
「クイタィイ・・・ニンゲン・・・まぐねたいと・・・」
・・・う~~~~む、離れる気配なしか。
・・・・・・・・・・残り十秒。仕方がない、多少目立つがやるしかないな。
「クリーム・・・」ボソッ
イヤホンとPCをかたずけ、隣に透明状態にしたクリームを出す。
「ンンン?」
「ナニカァ・・・イマ、コエガシタゾオォ・・・」
(やべ!さっさとやらんと・・・クリーム!)
「ウシャァアー!」
透明になったクリームの口の中に入り込み、クリームの口の中から悪魔を確認しつつその場を移動する。
「{ササッ キョロキョロ}・・・オカシイナァアァ・・・イマァコエガシタトォオォオモッタノォニィイ・・・」
「キノセイィ・・・カァ?」
(よ~し隙だらけだこいつら・・・くらえ!)バキバキバキ
クリームの体を暗黒空間に飲み込み、空間の入り口をむき出しにして悪魔たちのいるであろう位置へと突っ込む。
「ン?ナンダコノオト・・・」
---ガオォオォオ――z_ンッ
「ナ!?イッタイドウシタンダ・・・」
---ガオン!ガォン!
「・・・・・・しとめられたか?」
暗黒空間からクリームの体を出し、口の中から外を覗く。
(・・・敵影なし。我ながらいい腕前だ。)
マグネタイトに変わっていってる悪魔の肉片を確認し、クリームの口から抜け出る。
さてと{ゴソゴソ}・・・3・・・2・・・1・・・0!
『三分経過シマシタ・・・左ノ道ヘト進ンデクダサイ・・・』
「あいよ・・・」
---ガサガサッ
「!」バッ
・・・・・・気のせい?いや・・・
『左ノ道ヘト進ンデクダサイ・・・左ノ道ヘト進ンデクダサイ・・・』
「・・・・・・進路クリアー、先を急ぐか。」
周囲の確認をし、俺はペイズリー・パークの指示通りに左の道を選んで、ひたすら進んでゆく。
---サッ サササッ ササササッ
『ソノママ100めーとるホド進ンダラ・・・突キ当リヲ左ニ曲ガッテカラUたーんシテ下サイ・・・』
「はいはい。相変わらずどんな指示だよ・・・」
道中の悪魔の気配を察知し回避し続け、さらに歩き続けること半時間・・・途中から鳥居や石の灯篭が目立つようになってきて、徐々にだが確実に前へと進んでいけてることが実感できるようになってきていた。
まあその分幻や妙なエネルギーの壁の数も増えてきたのはご愛嬌だろうが。
「・・・・・・」
---クルッ
---ガサガサッ
・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・気のせいか・・・・・えっと、この鳥居の先を進むのか・・・な!?」
ペイズリー・パークの指示通りに鳥居をくぐって道を進んでいくと、突然目の前の景色が歪む。
何事かと思って立ち止まっていると・・・
「・・・うわ!なんだこれ・・・」
すぐに景色の歪みがなくなった代わりに、四方八方に幾多の鳥居の立った分かれ道が現れて、俺の周りを包囲していた。
後ろを振り返ると退路も既に絶たれているようで、本格的に前に進むほかなくなっている。
(うわぁ~い、スッゴイ面倒臭そうな光景。マジで案内があってよかった・・・)
『スグサマUたーんシテ下サイ・・・スグサマUたーんシテ下サイ・・・』
そんなことを考えている間にも、耳に装着しているイヤホンからはペイズリー・パークの指示が流れている。
おとなしく指示に従い、後ろにある道を進んでいく。
「・・・また鳥居か。神社が近い異界とはいえさすがに多いな。」
暫くすると、また鳥居が見えてきた。その鳥居をくぐると・・・
「{スタスタスタスタ・・・}?なんだ、また似たようなところに出てきたな・・・」
またしても空間が歪み、先ほどのような幾多の分かれ道が現れる。
(・・・マジでこれはめんどくせえ展開だ・・・俺自身は使えるスタンドの能力には全幅の信頼を寄せてるけどさすがに大丈夫なのか?)
『今度ハ、左側ノるーとヲ進ンデクダサイ・・・』
すると今度はPCに表示されている地図に矢印が表示され、往くべき道を指示してくれる。
・・・しゃあねえ、行くか。
「・・・な、なんなのよあいつ・・・ここは迷路みたいに入り組んでるはずなのにまるで最初から知ってるみたいにスイスイ行っちゃって・・・」
泰寛が別れ道を進み始めて少し経った頃・・・草むらから彼の後を付けていた悪魔は、彼がこの道を迷うことなく進んでいることに驚愕を隠せないでいた。
(嘘でしょ?他の強い悪魔や異界のボスたちにばれないように必死に作った迷路やトラップがこんなにあっさり・・・唯者じゃないことは分かってたとは言えこんな人間の子供に見破られるなんて・・・・・・というかまずいでしょこれ。このまま放置しておいたら間違いなく住処の入り口まで来ちゃうじゃない。あんな間抜けな隠れ方でそれを許してたら他の悪魔だって来ちゃうし・・・)
悪魔は泰寛の行く先を見て、驚きから徐々に焦りを感じていく。
(折角人間の世界で遊べそうな拠点が出来そうなのに、今外から他の悪魔たちにあそこに来られるのは困るのよ。あたしはともかくほかの連中は弱いしそれにあの子たちが・・・)
そして少しだけ考える素振りを見せると・・・
「・・・しょうがないわね、ちょっと面倒だけどタイミングを見て眠らせてからあいつを外に放り出しましょう。」
(何の目的があって来たかは知らないけどここまでくればもう問題ないわ。今日の所はおとなしく帰ってもらうわよ・・・)
「・・・・・・・む?」
ペイズリー・パークの指示に従ってある程度進み続けていると、あるところから徐々に異界の持つ特有の圧迫感や息苦しさが薄れていくのを感じた。
何故だ?異界に入った回数自体は今回で三回程度だがここが中心に近づくほど圧迫感や息苦しさの増す場所だということはよく知っている。なのにこの感覚は一体・・・
「なんだ?まさか道を間違えたなんてことは・・・ん~?なんだありゃ・・・・・・」
怪訝に思いながらもさらに先へと進んでいくと、小さな祠のようなものがある袋小路に行き着いた。
『ソノママ、マッスグ進ンデクダサイ・・・ソノママ、マッスグ進ンデクダサイ・・・』
「いや進むも何も、さすがにこれ以上進めるところが無いだろ・・・いったいなんだここは・・・」キョロキョロ
ここに秘密の通路とかが無い限り、ここが間違いなく行き止まりだということは俺にも分かる。
ペイズリー・パークの指示にツッコミを入れつつ、少しばかりその行き着いた場所を見渡してみると・・・・・・
「・・・・・・おや?」
ふと、祠に付随している鳥居の中心に奇妙な違和感を覚える。
長年の経験に基づいた直観とでもいうべきか・・・とにかくそんな感覚が、これには何かあるような気がしてならない。
「妙だな・・・少し調べて・・・」
---ガサッ!
「クリーム!」
『ウシャアア―z_ッ!』ドシュドシュ
祠を調べようと歩みを進めた瞬間、不意を突いたつもりで背後の草むらから出てきた者にクリームを掴みかからせる。
「『トラポーt{ガシィッ!}きゃ!?」
よし!捕えたぞ!こいつは・・・サイズと容姿からしてピクシーか?
「イタタ、失敗しちゃった・・・ちょっと!いい加減離しなさいよアンタ・・・ひ!?」
「おいおい、わざわざ奇襲を仕掛けて来るような奴をそう簡単に放り出すわけないだろうが。」
拘束から逃れようとするピクシー?に、俺はアクトゥン・ベイビーを解除しながらクリームがこいつを飲み込める一歩手前の状態にしながらそう反論する。
「で?言いたいことはそれだけか?敵意が薄いから気が付いても一応放置してたんだが・・・事と次第によってはさすがに生かして帰すわけにはいかないなぁ?ん?」
(さ~て、こいつをどうするか。)
とは言いつつも割とこいつの処分は決めかねている。
一応気づいてからこの時まで奇襲の時にすら敵意や害意、危機感といったものをほとんど感じなかったことから単純に俺を害することが目的ってわけではないみたいだし、個人的にはこの程度の悪魔なら別に放置してても異界から出られなさそうだし、見た感じ好戦的な奴ってわけでもないからこのまま放り出してもいい気はする。
ただし奇襲を仕掛けた理由とその他諸々を洗いざらい吐かせてから次はないと名一杯念を押した後だが。
「(こ、この人間の目・・・少しでも下手な真似をしたら躊躇なく殺しにかかるって目をしてるッ!迂闊なことはできない!)・・・・・・ね、ねえ?」
「なんだ?」
「素直に話したら見逃してくれる?」
・・・・・・・・・・・そう言えば本格的な悪魔会話は初めてだったな。ジャックブラザーズに関しては向こうからの申し出だったし他の悪魔に関しては襲ってきたやつを片っ端から返り討ちにしてただけだし・・・・・・一応ちゃんとしたのを経験しておいて損はないかもしれん。
「さあ?それは理由次第だな。まあ一つ言えることは・・・」
『ウシャアア―ッ!』ガパァッ!
「少しでも嘘を言ってると判断した時点で・・・粉微塵になってもらうだけだ。なぁに、ただありのままの理由を告白していくだけだ。簡単な事だろう?」
「ひゃい!ありのままを話させて頂きます!」
よしよし、いい感じで余裕を奪えているな。
これで誤魔化しを入れることはそうそうないだろう。
「よろしい、では話してもらおうか。」
「うぐぐ・・・わ、わかったわよ。あんたに不意打ちを仕掛けた理由はね、そんな半端な隠れ方でここに近づいてほしくなかったからよ。」
「?」
半端?・・・ああ、PCだけ透明化させてなかったことか。まあ確かに事情を知らなければバカ丸出しな隠れ方だものな。
けどここに来てほしくなかったってのは・・・この近くにこいつの隠れ家かなにかがあったってことなのか?
「今の言い方から察するに、ここの近くにお前の隠れ家か何かがあるのか?」
「・・・{キョロキョロ}ここからは声を小さくして頂戴・・・」
「かまわないよ。」
「ありがとう・・・・・・そうよ。だから、そんな中途半端な隠れ方でここに来られたら何時他の悪魔にばれるかわかったもんじゃないし、そんなことになるくらいならいっそ異界の外に放り出した方があんたも私達もお互い何事もなく済むから・・・」
「で、俺に奇襲をかけて外にはじき出そうとしたと・・・そう言えばさっき魔法を唱えようとしていたな。あれがその手段だったわけか。」
「ええ、そうよ。『トラポ「言わなくていい。」(チッ)・・・そうよ、あれは対象を違う場所に飛ばす魔法なのよ。」
「なるほどな、理由は大体理解できた。」
なぜ俺が油断も隙も見せていない、明らかに奇襲に向かない状態で無理矢理襲い掛かってきたのか・・・これで疑問は解けた。
途中で言っていた『あんたも私達も』というセリフは悪魔から言われるとかなり違和感を感じたが・・・まあ嘘ではなさそうだしいいだろう。
「も、もういいかしら?話せることは全部話したわよ?」
ふむ、そうだな・・・・・・となるとわからないことがある。なぜそんな一見目的地と関係なさそうな所にペイズリー・パークが俺を誘導していたかだが・・・
「・・・お前の言う隠れ家っていうのは、ひょっとするとあの祠と関係があったりするのか?」
「・・・よくわかるわね。ええ、そうよ。正しくはあの祠が隠れ家への入り口に繋がっているの。」
「なるほど・・・・・・じゃあ次の質問だが・・・お前らの隠れ家かもしくはその近辺にはなにかマグネタイトが集まるような仕掛けが施されているところだったりするのか?例えばこう、何か魔方陣みたいなのがあったりとか・・・」
「え?ないけど。」
え~~~~~~~~~~~~・・・まさか本気でペイズリー・パークに従った意味がなかったのか?ナンテコッタイ・・・・・・
「あ、でも確かそんな感じの場所をここを支配してる悪魔が持ってたような・・・」
「その場所についてkwsk!」
前言撤回!ちょっとだけ希望が見えてきた!
「・・・・・・・・・う~~ん、それに答えたら私のこと見逃してくれる?」
「ああいいとも。ついでに案内してくれるのならばこれも追加でつけよう。」
俺はそう言いながら、鍵の倉庫から宝玉4つと道返玉を3つ取り出す。
「ぶっ?!こんなに!?アンタ本気!?」
「本気本気、そこに行けるならこれくらいお前さんじゃなくてドブに捨ててもいいくらい本気。」
ぶっちゃけ俺ソロで行動することが多いから宝玉はまだしも道返玉はそんなにいらないし。他の誰かと組んだときも負傷した奴にクレD叩き込めば問題ないしな。
「いやドブに捨てちゃダメでしょもったいない・・・けど本当にいいの?そこを陣取ってる悪魔、結構強いのよ?アンタ一人で勝てるの?」
「そんなことは実際ついてから考えれば良いさ。何が出てきても勝つ自信はあるし。で?案内してくれる?」
「・・・私は本当に案内するだけよ?アンタを助けたりしないわよ?」
「オフコース。」
「・・・分かったわ、その程度でそんなにもらえるのなら儲けものよ。」
「契約成立、てことでおk?」
「そうね、契約成立よ。」
よしよし、ゴールが見えてきたじゃないか。
「私は妖精 ハイピクシー。少しの間だけどヨロシク。」
「梶原 泰寛だ。よろしくハイピクシー。」
「うん。じゃあこっちについてきて。」
ハイピクシーはそう言うと、俺を件の祠の前まで連れてくる。
「ちょっと近道するから、アンタは悪魔がいないか見張っといて。」
「了解だ。」
俺はハイピクシーの言葉に従い、周囲をくまなく警戒する。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
後ろからはいピクシーと知らない誰かの声が聞こえてくる。
おそらく隠れ家にいる他の誰かと話をしているのだろう。
(・・・せっかく協力してくれるんだ。俺も少し本気で索敵するか。)
俺は祠の前で真剣に話しているハイピクシーの姿を見てそう考え、倉庫から一枚のディスクを取り出してペイズリー・パークのディスクと入れ替える。
(ここまで遮蔽物が多い場所だと、研ぎ澄まされた触覚や聴覚のほうがより頼りになりそうだ。というわけでマンハッタン・トランスファー発動・・・・・・)
若干勿体無い気はするが、後の戦いのことを考えて目を閉じながらそう呟く。
すると・・・
---・・・ヒュゥウウウウ・・・
「・・・よし。」
大気の流れが空を飛ぶホコリ一つに至るまで把握できるようになり、肉眼で見るよりもより詳しく周囲の状況が頭に入ってくる。
(今のところ近辺には誰もいないか・・・)
けど離れたところに不自然な気流を感じる。もう少し集中して・・・
(・・・・・・・いた、ざっと500メートルは離れているが何匹か動くものがいる。)
そのうち数匹は意図しているのかはわからないが確実にこちらに向かっている。
大丈夫か?
「・・・・・・・・・よし、そっちはどう?」
「かなり離れたところからだが近づいてくる奴がいる。今すぐ入れば間に合うぞ。」
「わかった、じゃあここに入って。」
ハイピクシーはそう言うと、祠の鳥居を指さしながら俺の背中をそっちに向けて押す。
・・・・・・・・・これに入るのか?なんていうか無理があ・・・
「ほら!ぼさっとしてないで早く・・・!」
「ちょ!押すなっておま、心の準備が・・・」
反論をするも聞き入れてもらえず、そのままどんどん押されていき・・・
「うおわ!?」
思わず鳥居に手を付いたその直後・・・俺の視界は突如真っ白になった。