デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第四十四話

 

 

 

---タッタッタッタッタッタッタッタッ

(クソ!クソ!クソ!クソ!何なんだ・・・何でこんな・・・)

「マァテェ~~~~!!」

「ヒィ!?」

(なんだよ!なんなんだあの牛だか人だか分からねえ奴!!)

何で・・・何でこうなっちまったんだ!さっきまで普通の景色だった!どいつもこいつも馬鹿面引っ提げて、何時もと変わらない退屈な日常だったのに・・・何でこうなった!?なんでこうなっちまったんだ・・・!!

死にたくない!死にたくない!死にたくない!!

(隠れなくちゃ・・・どこかに隠れな・・・!こ、ここだ!)

---ダッ! ササッ

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・ッ、ハァ、ハァ・・・」

(何で・・・何でこうなったんだ!?やる気が起きなくて・・・ただほんのちょっと学校さぼっただけなのに!)

・・・・・・野郎は・・・あの牛野郎は・・・頼む、こっちに・・・

---ザッザッザッザッザッザッ・・・

「ア~~~?ドコイッタ~~~~~?」

「!!!」

(来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなくるな来るな来るな来るなクルナ来るな来るな来るな来るなクるナ来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなくるナ来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなクるな来るな来るな来るなクルナ来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなくルナ来るな来るなくるな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなクルナ来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなクルナ来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなくるな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るな来るなくるな来るな来るな来るなクルナ来るな来るな来るな来るなクるナ)

---ガタガタガタガタガタ・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チッ、逃げられちまったか・・・」

---ザッザッザッザッ・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」

・・・足音が遠のいていく?

(い・・・行った・・・?助かった・・・のか・・・?)

---ススッ サッサッ

「・・・・・・・・いない・・・や、やった!助かっ・・・」

---ズシャッ

「ぐ・・・ってぇ~~!なんなんだよいった・・・」

『{ウジュルウジュルッ}アァ~~~~・・・』

「ヒィ!?(な、なんだこのゼリーみたいなの!?排水溝あ、足が・・・!)」

ヤバイ!よくわからねえけどこのままはまずい!

「や、やめ・・・」

『・・・ッ!!』

---ドパァッ!!

「うわああああああああああああああああああああ!!」

(あ・・・・・・・・・死・・・・・・・)

 

---ヒュヒュンッ パキィンッ

 

 

「・・・・・・・・・・・・・え?{ガッ}うぐ!?」

---なのはちゃぁ~ん?勝手に特攻するのはやめてって・・・

---にゃぁ!ごめん・・・・・・・ぁぁぁい!

---・・・島、さ・・・と止め・・・

なんだ、これ・・・いや・・・死にたく・・・・な・・・・・・・・

 

 

 

 

Side:梶原 泰寛

「梶原、封印終わったぞ。」

「おう、御苦労さん。ハァ、急いでるのに何でこういうのに出会うんだろうねぇ?」

人を襲っていた赤黒いスライムを封印し、手を振る矢島をねぎらいながら俺は襲われていた人を背負う。

ハァ…角を曲がった途端、人が悪魔に襲われてる状況との遭遇・・・これで6回目なんですけど。

なに?このあたり人いないんじゃないの?なんで(直線距離とは言え)たった150メートル進んだだけでもしないうちにこんなピンポイントで遭遇するの?

まだ30秒もたってないのよこれ?

「でも襲われてる人を助けられてよかったよ。」

「まあそりゃそうなんだけどねぇ、でも時間かけすぎるとホントにまずいんだって俺ら・・・」

さすがに目の前で襲われている人たちを放っておくことは出来ず、なのは達とともに突撃をかまして助けにはいったがさすがにこれ以上は時間をかける訳にはいかない。

そう考えながら、なのはに返事をしつつさっきまでと同じように助けた人をその辺の家に放り込み、悪魔の落とし物の中にあった聖水的なものを適当に撒いておく。

ジャックブラザーズ曰く、これで大抵の悪魔は寄り付かないらしい。

「さ!早く行こう!こんなこと早く止めさせなくちゃ!」

「お、おう・・・」

かなり意気込んでどんどん進んでいくなのはの背を見てから、俺は酷い有様となった周囲を再度見渡す。

---ウワァアアアア・・・

---だ、だれか・・・誰かあああああああ・・・

---ヒィィィィィィィィ・・・

・・・距離はそこそこあるが、耳を澄ませば町中で悪魔の唸り声と人の悲鳴が聞こえてくる。

「・・・・・・フゥ・・・」

・・・・・・・・・・・・これは・・・やっぱりいろいろダメかもな・・・もう・・・・・・

「・・・・・・・・・・・矢島、ちょっと・・・」

なのはの跡を追おうとしていた矢島を引き留め、少しばかり考えていたことを話す。

「なんだ?」

「・・・・・・正直なところ聞くけど、今回の一件でもうかなり収拾付けられないくらいの被害が出てるよな?」

「・・・ああ。さっき俺、お前の言うとおり自宅に顔を出しに行ったんだけどな・・・キッチンから悪魔が湧いて出てきやがったんだ。」

「!マジか・・・」

「まあな。幸いその時はタイミングよく帰宅できたから親はどうにか助けられたし、湧き潰しのために結界を張ることもできたけど・・・・・・こんな事が俺の家以外でも起きていたとしたら正直どうしようもねえ。多分このまま奴を確保したところで被害は広がる一方・・・正直なところ、もうお手上げさ。」

「・・・そうか・・・」

これはここに来る途中空を飛びながら分かった事だが・・・俺の見た範囲では、もう市内のいたる所で悪魔が大々的に人を襲っていた。

悔しいが・・・・・・今回は圧倒的に時間が足りなさすぎた。その上に、気づくのが遅すぎた。

被害を抑える方法も異界を封じる方法も用意できないまま、遂に俺達はこの事態を迎えることとなってしまった。

苦し紛れで瓶の中に詰めていた敵を火消要員としてばらまいたはいいものの、とてもじゃないが到底間に合っているとは言えない。既に、甚大すぎるほど被害が出ているだろうから・・・・・・

「・・・・・・だが、まだ挽回の余地もないことはない。」

「はぁ!?どういうことだ!?」

「幸い状況が始まって経った時間はせいぜい30分くらいだ。だからいっそのこと・・・アレを使って、少しだけ巻戻ってからここで出待ちしようと思う。憶えてるか?お前がミスして異世界行きの船が見つかった時のこと。」

これを使ってしまえば、このまま事件を解決するよりもはるかにベストと言っていいレベルで事件を終わりに出来るはずだ。

というよりもう、現状これ以上の方法はないと言っていい。

「あれ?あれっていうと・・・・・・あれか!おま、なんでそれを早く言わねえんだ!」

「すまん、襲われてるときのなのはの勢いに押されて言いだすタイミングが見つからなくてな・・・」

本当は悪魔に襲われてる人達を助けてる間に『もうこれ十分最悪じゃねえか。ゲームみたいにセーブ&ロードしたい』なんてことをポッと考えた末に思い出したんだけどな。

まったく、突然のことでこんな手段も忘れてたなんて、俺もまだまだみたいだな・・・

「ったぁく・・・だけどそれ以上の手が無いってのは確かだ。それじゃあとっととするか?生贄はその辺の悪魔でいいか?」

「いや、その前に犯人から出来るだけ情報を搾り取ってから使う。主にステータスとか仲魔のステータスとか、ひょっとしたら手っ取り早く完全に異界を排除する方法も見つかるかもしれないしな。」

「ああ・・・結局間に合わなかったからな、スカさんに依頼してたやつ。」

まったく・・・なかなかうまくいかないもんだな、世の中ってのは・・・

「何の話をしてるの?」

「「うお!?」」

二人で話していると、いつの間にかなのはが背後に立っていた。

「あぁ~悪い悪い。作戦会議だ作戦会議。単純に言うと今からあのビルの最上階に全員で壁をぶち抜いて侵入、そのまま全力疾走で異界の中にいる犯人を捕まえるってものさ。」

「(よくもまあベラベラと・・・けど最善でもある!)そうそう、ここからは人目なんてお構いなしだ。全速力で対象を確保しに行くぞ。」

「・・・・・・・・・・・・」

「どうしたなのは、不安そうな顔して・・・」

「・・・・・・なんか最近やたらはぐらかされてる気がするの。ねえ、私ってそんなに信用ない?」

「気のせいだ気のせい。なのはのことは信頼しているさ。さあ行こう。時間はねえ。」

さて、5分以内に片を付けよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んにゅ?」

「どうかしたのアリスちゃん、急に明後日の方に向いちゃったりして。」

「ん~~~~~、なんか今誰かに見られたような気がして・・・気のせいかな?」

「気のせいなんじゃない?他の人がここに入ったら分かるんでしょ?」

「う~~~~~ん・・・・・・そうだね、気のせいかも。」

「まあ仮に運よく悪魔たちを避けて入ってこれたとしたら、よっぽど運が悪いだろうけどねぇそいつ。」

「そんな運が悪いはずのお姉ちゃんにまんまと口説き落されて、晴れて私は仲魔になっちゃったわけだけどね♪」

「フッフッフ♪そうです、私は君を口説き落としちゃったのです!」

「フフフ♪」

「アハハ♪」

「これであとはみんなの知らせを待つだけ・・・はぁ、みんな早く準備してくれないかなぁ?待ち遠しくて仕方がないよ。」

「そうだね、私もまたおじさんたちと一緒に遊びたいし、お姉ちゃんや新しいお友達も紹介したいなぁ。」

「きっとすぐに出来るよ。あ、お茶とお菓子なくなっちゃった。」

「ホントだ、新しいの持ってくるね。」

「うん、ありがとアリスちゃん♪(ハァ、アリスちゃん可愛いなぁ♡レベルが桁違いすぎて最初はどうしようかと思ったけど、さすがは神様の特典!あの扱いのせいで大分腹立ってたけど、この分ならあの件はチャラにしてあげてもいいなぁ~~~・・・)」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

「ドウシタノありさチャン?ナンダカ機嫌ガ悪ソウダケド・・・」

「・・・なんでもないわ。ちょっと気分が悪いだけ。ちょっと外に出てくるね。」

「エ?ウン、気ヲツケテネ・・・!ありさチャン!」

「・・・何?」

「ソノ、手カラ血ガ・・・」

「・・・どこかで怪我しちゃったかしら・・・後で自分で手当てしとくわ・・・・・」

「ウ、ウン・・・」

---カツ カツ カツ カツ カツ カツ カツ カツ・・・

(・・・・・・・・・やっと思いだした・・・思い出してしまった・・・!あの女・・・私の敵!!)

---カツカツカツカツカツカツカツカツ・・・

(私や・・・ほかの人たちを散々いたぶって、辱めて、貶めた挙句に殺した私の敵が・・・何で・・・何でまた現れたの?!また・・・また私達を、あんな目に遭わせようっていうの!?いや!もうあんなのは二度と、二度と会いたくない!)

---カツカツカツカツカツカツカツカツ・・・タッタッタッタッタッ!

(・・・・・・このままあの女の思惑通りにいけば・・・この街、ううん、やがて世界中に悪魔の脅威が広がっていく!悪魔に人間の武器なんてほとんど効かない・・・例え核弾頭を使ったってそれによる人の死が呼び水となって新たに悪魔がこの世界に出てくる!結局のところ、人間に立ち向かう手段なんてない・・・!)

 

(・・・関係ないってずっと自分に言い聞かせてた。絶望してた私を拾ってくれたアリスは、友達になった私たちを守ってくれる。今の生活は十分楽しいし、もういっそこれでいいって思ってた・・・・・・・このまま・・・せめてこの生活が続いてほしかったのに・・・!)

---タッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッタッ・・・ダンッ!!

(・・・・・・・・・・・・人が悪魔に襲われてる。あの皆に疎まれて、自分から馴染みに行くこともできなかった、あの灰色にしか見えなかった生活の全てが、今まさに崩れていってる・・・)

(・・・・・・・・あれが終わったら・・・今度は私の番になるのかな?また・・・あんな風に私も・・・)

(・・・私も・・・・・・!)

「・・・・・・・・もういや・・・なんで・・・何でこんな目に合わなくちゃいけないの・・・?誰か・・・助けてよ・・・・・・!」

---ドガァァアアアアンッ

「・・・・・・何今の?外の方から・・・」

---ドバァァアンッ ビュゥンッ

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?なに、今の・・・どこかで見たような・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

「矢島、次はどっちだ?」

「ここを左だ!その先の左側、二つ目のドアにいる!」

「よし!いくぞ!」

「うん!こんなこと早く終わらせなくちゃ!」

異界への入り口を蹴破って侵入し、矢島のレーダーと指示に沿って全力疾走で敵の居場所を目指す。

(ようやく・・・ようやくこの時が来た・・・野郎と対峙するこの時が・・・!ハハハハハハハ!腕が鳴るなぁ・・・!!)

今までずっと抑えてきた殺意と闘志が、ようやく標的と対峙できるという現実を前に爆発しそうになる。

落ち着け俺…今はまだ準備段階。『アレ』を発動して本格的に奴と戦うまでこれは落ち着かせておかなくては・・・!!

「あそこだ。」

曲がり角を左に曲がったところで、矢島が目的の場所を指し示す。

俺達はそこに飛んでいき・・・

 

 

「「{ドバァンッ!}おっじゃまっしまぁ―――――すッ!!」」

俺と矢島がドロップキックで部屋の中に入る。

中では事件の首謀者である女と、アリスがお茶の席に座った状態でこちらを呆気にとられた様に見ていた。

「{ジャキンッ}動かないで!あなたたちの企みは・・・」

「キング・クリムゾン!」

続けてなのはが部屋の中に入って呼びかけるのを中断する形でキング・クリムゾンを発動し、ポケットからピンク・ダークの少年のイラストと万年筆を取り出しながら接近して呆気にとられている二人の目の前にイラストを突きだす。

「時は再び刻み始め、心の扉は開かれる。」

「だれ{ズギュゥーz__ンッ}え!?」

「{バカッ}キャ!?」

「フンッ」シュバッシュババッ

 

ヘブンズ・ドアーの能力で記事になった二人の余白部分に、素早く【現在より自分は永遠に眠り続ける。】と書き込む。

文字を書き込まれた二人は即行で睡魔に負け、座っている椅子から床へと滑り落ちた。

「ここまで・・・あ、あれ?どうなってるの、これ・・・」

「さすがの手際だな。一部の隙もねえ。」

「そうでもないさ。{バキャッ ガリバキゴキャッ}さてと・・・」

自動で起動しようとしていたガントレット型のCOMPらしきものをキング・クリムゾンで踏み壊し、元凶の女の記事になった部分を捲って必要な情報を探す。

「ね、ねえ。その人が犯人さんなんだよね?それ、どうなってるの?」

「後で説明するからちょっと黙っといてくれ{パララララララララ・・・}・・・・・・あった!これだ!」

反吐が出るようなこの女の犯罪歴の中から、コイツとコイツの悪魔のステータス情報、海鳴市を魔界化する上での必要な手順が乗っているページを見つけ出す。

「何を見つけたの?」

「今回の事件を起こす過程で必要だった手順だ!これを辿っていけば魔界化を何とか止められるかもしれん!」

「それ本当なの!?」

「多分な!矢島!後で検証するためにも見とけ!」

「はいはい了解!・・・・・・{サァーーッ}なのは、お前はちょっと向こうに行っとけ。」

「?うん。」

矢島はこいつの記事を見た途端顔色を悪くし、なのはに部屋の外へ出るように促した。

なのははそれを疑問に思いながらもとりあえず部屋から出て行った。

「・・・・・・なあ、これほんとに「お前のシミュレーション能力も頼りなんだから駄目に決まってんだろ馬鹿野郎。チラ見でもいいから必要な所だけ取り合えず見ろ」デスヨネー。」

とは言えなのはを部屋から出したその判断はグッジョブという他ないだろう。

コイツの記事の内容は・・・最近のはほぼ全てR21の後ろにGの一文字が付くような、控えめに言っても反吐どころかいろんなものをリバースしかねないものばかりだ。

これからの予定が予定とは言え、これは間違いなくなのはに見せていいものじゃない。

矢島?同情はするが容赦はしません。自分の記憶以外の記録媒体があてにならない以上こいつにはしっかり目に焼き付けて頂かないと。

俺だってこの吐き気を催すような記事を必死に読み解いて行ってるんだからな!!

 

 

 

「{パラララララララララ}・・・・・・・・・・・・・なあ、これさぁ、異界の解除方法載ってなくね?」

「もっとよく探せ。無くても魔界化の方法を知っておけばそこから解除方法も自ずと導き出されるだろ。」

「うわぁ―いスッゴイ信頼感。ま、ないならないで作り出して見せるさ。」

「むしろそう来なくちゃ困るねぇ。」

そんなこんなで軽口をたたきながら、二人懸かりで記事を流し読みしていく。

「駄目だ!儀式の手順だけは克明に書いてあるが解除法なんて全然書いちゃいねえ!!」

矢島は自分の分の割り当てを読み切ると同時に隣でそう怒鳴り散らす。

「クソが、こっちもだ!読める範囲の記事全部当たったが解除法なんて掠りもしねえ!」

俺も3分ほど読み続けたものの、使えそうな情報はこいつと仲魔のステータス、今回行われた儀式の手順ぐらいしかなかったことに苛立ちながら怒鳴ってしまう。

「ハァ~~~~~~~~~~・・・この辺りが引き際だ。準備するぞ。」

「・・・そうだな。」

さすがにこれ以上は時間の無駄だと判断し、倉庫からディスクを出して一枚入れ替える。

仕方がない、後は二十分前の俺達に任せるとしよう・・・もう出来る事はそれくらい・・・

---ドゴォォォォォオオンッ!!

「え?うおおおおおお!?」ドガドガドガッ ガシィッ

装備したスタンドの能力を発動しようとした途端、突然出入り口が爆発して破片に交じってなのはが飛んできた。

驚きながらも破片を装備しているスタンドで殴り壊しつつなのはを抱き止める。

「くぅ・・・!ありがと、泰寛君。」

「おう、いったい何が・・・ああなるほど、頗るヤヴァ~イ団体さんのご到着ってわけね。」

ぶっ壊れた壁の向こうから煙を振り払って現れた存在・・・・・・アリス並みとまではいかないがかなり強力な気迫を放つ悪魔の群れらしきものを視認した。

こいつら、確か記事にあったコイツの仲魔・・・まさかあらかじめ出してた分が解き放たれたっていうことか?冗談にしてはきついな。

「おいおいほんとにやべぇなこりゃ、平均レベル47とかシャレになってねえよ・・・」

「気をつけて、二人とも・・・さっき目があった瞬間あの悪魔たち、いきなり・・・」

「おい。」

なのはが俺達に注意を促していたのを遮るように、入ってきた悪魔の内金髪ロン毛で拘束具のようなものを着ている、最早ありふれたデザインともいえる蝙蝠のような翼の生えた悪魔が話しかけてきた。

(確かロキだったか?)

「なんだ?」

俺は念のために矢島の肩を触りながら返事を返す。

矢島は何をしたのか察したようで、太腿の横で親指を立てた。

「そこのお嬢ちゃん二人を倒したのはお前らか?」

「まあな。」

「へぇ・・・」

即答するとロキと思われる悪魔とその周りにいる悪魔は声を上げ、感心した様な視線や殺意のこもった視線を向けてきた。

「クックックックック、なるほどなるほど・・・・・・いや失礼、君らの力量を考えるとそっちのお嬢ちゃんに勝ったというのがどうしても今一つ信じられなくてね。まあこうしてやられているところを見るといつまでもそうはいっていられないが?ああ自己紹介がまだだったな。俺の名はロキ、横にいるこいつらとともにそこの間抜けの屑女と組んでた悪魔だ。」

金髪の悪魔・・・ロキは流れるように地面で寝込んでいる元主を扱下ろしながら、一応の礼儀らしい礼儀を払いつつ自己紹介を行った。

「マヌケって・・・」

「フン、少しは使えるかと思ったが・・・所詮は人間か。つまらん結果だな。」

「クッダラネエナァ、マサカコンナガキドモ相手ニ遅レヲトルナンテ・・・」

「グルルル・・・ますたー、弱カッタ。ソレダケノコト・・・」

「!いくらなんでもそんな言い方・・・」

「やめろなのは!こいつらにそんなこと語っても無意味だ。」

闘牛士(マタドール)姿の骸骨型悪魔を筆頭にこいつを罵倒していく悪魔たちに怒ろうとしたなのはを、矢島が諌める。

矢島の言うとおり、こういうのは言わせたいだけ言わせておけばいい。どうせすぐに言いたくても言えなくなるのだから。

「まあそう言ってやるな、見たところ相手も相手でなかなか粒ぞろいだったぞ?特にそこの小僧・・・なかなかに得体がしれん。」

すると罵倒していく悪魔たちの中から、赤い皮膚に黒っぽい剛毛、目玉が一つ入ってるだけの籠が頭になってるという斬新な姿の悪魔が俺達を見ながらそう言いだした。

確かこいつは・・・ケルト神話の魔神バロールだったか?

「ふむ、まあ確かに・・・」

「ホゥ・・・・・・ククク、なるほど妙な奴がいやがるな・・・」

「小僧よ、名はなんという?」

「(丁度良い、これを利用するか。)・・・梶原泰寛、スタンド使いと呼ばれる超能力者だ。」

俺は名前を聞いてきたバロールに一拍置いてから答える・・・・・・・・そして、内心でニヤリと細く笑んだ・・・

「ふむ、では泰寛よ。我・・・」

---ドンッ

「む?」

バロールが何か言おうとした直後、矢島の左後ろから小型のキラークイーンの像が現れ、ロキ達の方へと徐々に近寄っていく。

「これで条件はクリアーだ・・・この時間ではしくじってしまったが、次こそはうまくやるとしよう。」

 

「おい、なんだこれは?」

「貴様、何をしようと・・・」

「や、泰寛君!?これっていったい・・・」

「やっちまえ梶原、これでふざけた悪夢は終わりにしよう。」

 

 

 

 

 

「それではみなさんごきげんよう。またの機会をお楽しみに・・・・・・・・Bite The Dust(負けて死ね)!!」

その一言とともに、視界は爆炎と歪みで吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・!!ここは・・・」

---キョロキョロ

「確か、下水処理場に向かう途中だったか・・・・・・そうだ!{ピッ ピピピッ トゥルルルルルルルルルルルルルル・・・ガチャッ}よう矢島。ああ・・・ああ、今すぐ異界の手前で集合、アリスの異界内と外で出待ちして確実に仕留める。お迎え?余裕があればよろしく・・・・・・ああ、じゃあな。」

さてと、迎えに来てくれるらしいし少し待つか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから15分後、俺達はさっきとほとんど同じ方法を使って、ノコノコとマヌケ面をさらしながら現れた今回の事件の首謀者(伊藤 惟女というらしい)を奇襲し、そのまま確保に成功した。

 

助けきれなかった多くの犠牲者やまだまだ残っている異界の処理など、まだまだ多くの問題を残したままではあったが・・・・・・この時を持って、俺達はこの事件に一端の区切りをつけることとなったのだった・・・

 

 

 

 

 

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