デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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最近思うんだ・・・なぜタグに「ジョジョ」ではなく「ジョジョネタ」と付く作品が多いのか。
要素がちゃんとあるというのならまだわかる。
登場キャラでもいい、スタンド、波紋、回転・・・アイテムだけも・・・まあ許せる。
しかし、しかしだ。
・・・別にネタだけなら「ジョジョ」と入れなくてもいいんじゃないか?
いちいちそれを入れていたら、他の作品のネタを入れる時はエルシャダイネタなら「エルシャダイネタ」、ブロントさんネタなら「ブロントさんネタ」とか、いちいちそれ系のタグをきっちり増やしていくべきなんじゃないだろうか?
冷静な口調ではあるんですけど、内心ではギアッチョが慣用句にいちいちブチ切れするくらいおこな作者の素朴な疑問です・・・


第二話:Don't allow black deeds・・・

「おーいヤス!この後サッカーするんだけど一緒にやらねえか!」

「おおやるやる。あとその呼び方はやめろ。なんか不吉なんだよその呼び方。」

「ヤス君、この間のアップルパイまた作ってよ。皆すごくおいしそうに食べてたんだ♪」

「OKOK、とりあえずその呼び方を変えれば材料がそろい次第好きなだけ作ってやる。」

「ヤス!後生だ!お前の宿題を見せてくれ!マジで締切がやばいんだ!」

「だからヤスっていうのやめろ!何が悲しくて探偵もののRPGの犯人の名前で呼ばれないといけないんだよ!・・・ほらよ。ちゃんと綺麗に返してくれ。」

「おお!!助かったぜ!ありがとうなヤス!」

「だからそれをやめろって!あと他人の写してばっかだとホントに成績落ちてくぞ!?ハァ~ア・・・」

 

 

 

 

どうもこんにちわ、転生者として新たな人生を歩むことになった・・・梶原 泰寛。現在小学一年生です。

 

現在は海鳴第ニ小学校という公立の小学校に通っている。

私立?・・・私立に通うような金は家にはねえ。

大体父さん母さんともに一般のサラリーマンですよ?

収入はそこそこいいけれど・・・そんなとこ通ってたら素寒貧になっちまうわ。(多分)

 

ちなみに高町の方だが・・・一度奴さんが病院に行って親父さんの看病をしたのを(こっそりと)見てからはたま~~に会っていた。

たま~~にというのは家族が俺を連れて翠屋に行く時で、それで会った時に色々と年相応の話をしている。

話が過去形な理由は・・・かなり頻繁に、会うたびに高町のお兄さんや退院した親父さんから放たれる殺気やしょっちゅうチラリズムする木刀の影がうっとおしいため、肉体年齢と生来の性分も合わさってほどなくして翠屋に行くこともなくなったからだ。

おまけに高町には俺の家の場所を言うのを忘れていたため向こうからこっちにくることもない。

そんなこんなで、ただでさえ会う機会が少なかったのが今ではすっかり顔を合わせなくなった。

・・・まあとはいえまったく合っていないというわけではないんだが・・・

すまんな高町、お前には悪いが・・・正直あれの対応はただひたすらに面倒くさそうだったんだ。

やる気の起きないかったるいことは性に合わないんだよ、俺。

 

 

 

 

 

「「ヤス!また明日な~」」

「約束宜しくね~」

「ああ、また明日!・・・あとヤスっていうな!」

学校が終わり、俺は友達と別れて自宅に歩き出す。

フ~~~~、しっかしあれだ。これから二、三か月の間に恐ろしく暑くなっていくんだよな。

勘弁してほしいよ。冬場とかの寒い気候は体を動かせばどうにかなるけど暑いのはクーラーかけないとやってらんないし・・・体がだるすぎてしゃーねーんだよ・・・

『御主人(マスター)、ソロソロイツモノ『収穫』ガ自宅ニ集マッテキマスヨ。』

そんなことを考えていると、俺の隣に、常人では決してとらえられない異形の像(ビジョン)が出現してそう言う。

「おっと、そういやそうだったな。引き続き『倉庫』を維持しといてくれ。」

俺はそれに対してそう返し、また道を歩きはじめる。

全体的に色彩は白黒のモノトーン。

筋骨隆々な全身を、事件現場とかでよくみられる『KEEP OUT』の文字が書かれたテープのようなもの(ただしこいつの巻いているそれは、真っ黒いテープに白い字で書いてある)で覆い尽くし、

その上に、これまた白い字で縦や横書きに『KEEP OUT』と、テープが規則正しく巻き付いているかのように、びっしり書き込まれたどす黒い丈長のコートを身に纏っている。

肩当て、膝当て、手の甲、コートのボタン等には、外側に白い外向きの矢印、内側に黒い内向きの矢印が円形に並び、中心に銀色の球体が付いたエンブレムが施されている。

テープが巻かれていない手や足の一部分からは、何本かの銀色のラインが見え隠れし、その末端には矢印のようなマークがついている。

そして最後に顔の部分。こちらも他の部分と同様テープが巻かれていて、隙間から骸骨のような口が覗く。

またテープの上から更に顔を覆う、何本もの白と黒の矢印が横に交互に並んでできた仮面を被っている。

仮面の上端部分は矢印の間隔が広がって冠のような扇状になっている。左右の縦に二つずつ開いた覗き穴からは力強い銀光が放たれている。

 

その名は『アライブ』・・・俺が手にした、俺だけのスタンド。

最初にこいつを見たときは・・・そりゃあ冗談抜きで驚いたよ?

道路から信号無視の車が突っ込んできて死を覚悟した時以上に驚いたよ?

轢かれると思って体が動かず、思わず目をつぶっちまって・・・気が付いたら逆に車の方が十メートルほど後方にぶっ飛んでて、気が付いたらこいつが目の前にいたし。

まあ一通り事情が分かったらそのあとは精神的にフィーバータイムに入ったけどねwww

 

 

 

 

 

「ヒヒヒヒヒ、あくまで盗んだんじゃなくて落とし物だからな。百円未満の硬貨なら自分のものにしてもいいし、使い道のなくなった金券も中には集めまくればそこそこ使えるのもある。まったくいい『収穫』だよなぁ~~」

そんなことを考えながらポケットに手を入れ、そこから紅い宝石のついた金色の鍵を取り出す。

紅い宝石はかなり見辛いが、よく見ると何か部屋のようなものが映っており、その中にはタイヤ、紙、カバンなどの様々なものが落ちていた。

俺が前の人生から持ち越してきた物その2だ。

この鍵は、あの冒険時代に俺が使っていたココ・ジャンボの倉庫への入り口のようなもので、俺のスタンドの能力で倉庫に繋げる・・・いや、正確には俺のいる世界に引き寄せることができる。

ここから道具を出せば、無論それを使うことも可能だ。・・・もっとも修正値まで全部消えて射撃と通常装備の区別がなくなっていたのが謎だったが・・・

『昔カラコウイウ時ハ本当ニ楽シソウデスヨネ。マ、アンダケ苦労シテ手ニ入レタモノガイツダッテ手元ニアルンダカラ当然デスカ。』

(そういうことだ。クックックッ、やっぱりこれを見る時は心が躍るよ。俺がこうして生きていることとお前がいること、これらと同じように俺が掴んだ確かな結果の一つだからな。)

置き方はかなり整理されているが、普通の奴が見ればガラクタが置かれているようにしか見えないだろう。

まあ俺からしてみれば・・・この世のどんな財宝よりも価値のあるものばかりだがな。

「さて、今日の飯のメニューは何にしようかな。」

ケケケ、それにしてもまったく素晴らしい毎日だ。

特に頭を悩ませるようなトラブルも、不安に思う要素も今のところは存在しない。

家族や友達と適度に楽しく過ごし、将来の可能性も考慮して合間合間で自分の能力の訓練もきっちり行う。

激しい喜びもないが、かといって深い絶望もない。吉良吉影ではないが、あの戦いを思い出してからはこういう適度に充実した毎日こそが本当に素晴らしいものだと気づいた。

敢えて言おう!素晴らしい毎日だと!

「さ~て今日はいくら集まったかな?三千円?いやひょっとしたらもっとあるかも・・・」

何にしても楽しみだ。

今日の収穫に思いをはせながら、俺は通り道を右に曲がった。

-----ドタドタドタッ ガチャッ バタンバタンッ ブゥ―――ン・・・・・・

その先に待っていたのは、4、5人の男が一人の少女を無理やりワゴン車に詰め込んでそのまま逃走するシーンだった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・御主人(マスター)?』

 

「・・・・・なあ、今の何に見えた?」

『ヘ?・・・ア、エエソウデスネ。普通ニ見レバドウ考エテモ少女ノ誘拐事件デスケレド・・・』

「だよなぁ~、俺もそんな感じに見えたよ。いまどきこんなことする奴いるんだな~~HAHAHAHAHAHA☆・・・あれはあと何分で戻ってきそうだ?」

『今カラ約一分ホドデスネ。』

一分か。連中の移動時間も考えると多分時間はあるな。

人目は・・・とにかくそこの裏路地に隠れて・・・

「ハーミットパープルと・・・そうだな、ザ・フールのディスクを出してくれ。念写で連中の行先を特定する。」

『アイアイサー。』

アライブの黒と白の配色の腕が、鍵の宝石部分に腕を突っ込む。

『・・・ケケケ、コチラニナリマス。』

数秒後に、その腕が白金色のディスクとともに出てきた。

そして俺は・・・

---{ズブズブッ}

それをためらいなく頭に突き刺す。

ディスクは特に抵抗もなく、俺の頭に吸い込まれるように入って行った。

「ザ・フール。」

その一言とともに、俺の足元に細かい砂がひとりでに集まっていく。

「そして{シュルルル}・・・ハーミット・パープル。」

見える人には見えたであろう・・・俺の左腕に紫色の茨が巻き付いたのが。

俺はその茨が巻き付いた左腕を、足元の砂に押し当てる。

---{サラサラサラサラ…}

足元の砂はひとりでに動き出し、やがて地図のような形をとる。

『コノ位置ハ・・・確カ何年カ前潰レタ企業ノ廃ビルデシタッケ?』

「ああ、確かそうだったな。ネットで情報を漁ってるときに掲示板のニュースで見た気がする。」

これで場所は特定できた。あとは・・・

『シシシッ!見ツケタゾッ!!』

「帰ってきたか。」

俺は頭から三枚のディスクを取り出し、それをカギについた紅い宝石に入れる。

『ソレジャアコレハ預カッテオキマスネ。』

アライブは俺から鍵を受け取って・・・

---グググ・・・ゴクンッ

口に入れ、それを飲み込んだ。

そして俺は・・・ランドセルの中から買い物用のビニール袋を取り出し、そこに穴を二つ開けて頭に被る。

これで万が一姿を見られてもある程度ごまかしが効くな。少なくとも俺の正体については。

「コオォォォオオオオオオオッ!・・・よし、行くぞアライブッ!!」

『ギ――ッギッギッギッギッギッギッ!!了解!!』

俺の背後に現れた人影とともに、俺はある方向へと駆け出した。それも常人では到底出せないようなスピードで・・・

 

 

 

 

「{ザンッ}よっし!ここまでは順調な筈だ!」

ここに来るまで約二分!確か連中は黒いワゴン車に乗っていたはずだ!

「どこだ・・・確かにこのあたりにいるはず・・・」

これで場所間違えたとかは本当にシャレにならないんだぞ?

ここまで人通りが無ければどこか適当な場所にでも車を止めてる筈・・・

「いや、その前にまずは中を調べよう。そっちの方が手っ取り早く{ブロロロロロロッ}・・・!?{バッ}これは・・・」

ビルの中を調べようとすると、後ろの荒れた道路からエンジン音がする。

俺は廃ビルの柱に隠れ、音のした方向を見た。

「・・・さっき見た黒いワゴン車?俺が早く来過ぎたのか・・・(何にしても好都合だ。さすがに真正面から攻めればあの子を人質に取られるかもしれない。連中の隙を見て・・・確実に始末する。)」

自分の中に・・・漆黒の殺意が燃え上がる。

俺は・・・平穏に生きることを信条にしている。基本的に面倒事には首をつっこみたいとは思わないし、自分を追い込みかねないことならなおさらだ。

けどな・・・こんな俺でも・・・心の平穏を乱される以上に許せないことがある。

「・・・いつの時代も、こういう輩は幾度となく見てきた。真っ当に自分の幸せを求めて、普通に生きているだけの人達を、自分の欲望や快楽のためだけに利用して踏みにじる奴らが・・・」

・・・ワゴン車から連中が降りてきた。子供の方は・・・

「いや!放して!やめてぇぇ――!」

「おいおい暴れるなって。心配しなくてもたっぷり可愛がってやるからよ!」

「ソレニさぁ~、あんまり暴れると・・・{チャキッ}うっかり撃っちゃうかもな~?」

「ひっ!?・・・・・・・・・」

・・・・・・泣いている・・・あんな奴らのせいでこいつは泣いている・・・ッ!

「吐き気を催す邪悪とは・・・自分の為だけに、他者を利用し、踏みにじる奴のことだ。無知なる者を・・・弱者を!何の信念も持たず、ただただ自分欲望や利益の為に貪ろうとする・・・こんな屑どもが!」

『・・・許セネエナ。』

「ああ・・・・・・自分の平穏を脅かされるくらい、下手したらそれ以上に・・・こいつらは許せねえッ!!」

 

 

 

ワゴン車から出てきた連中は、俺の隠れている柱の近くまで歩いてきていた。

連中はおそらく・・・全員拳銃を持っている。迂闊に攻撃を行うことはできない。

(連中との距離・・・約20メートル。有効射程距離まで残り・・・9メートル。)

だが・・・プランは既にできている。あとやるだけだ。

(残り5メートル・・・4、3、2、1・・・0ッ!)

『{ドンッ}ギルァッ!!』

俺の側から飛び出したアライブが向かい側の柱まで一気に飛び出し・・・

---バゴォオオンッ

拳の一撃でその柱を破壊した。そのまま間髪入れず、誘拐された少女の近くにアライブを移動させる。

「「「「「な、なんだいまのは?!」」」」」

今だ!全員が少女から目を離した!

「{ガシィッ ドヒュンッ}え?!キャアアアアアアアアアッ?!」

「なっ?!おい!あのガキが逃げるぞ!」

「待て!あれ逃げるってか浮いてないか!?」

誘拐犯どもの注意がそれた隙に少女を脇から掴ませ、俺の隠れている柱の陰まで一気に引っ張り込ませた。

「イタタタ、何今の・・・え?誰アナタ?」

少女は柱の陰に引っ張り込まれると、俺を見て目をぱちくりさせる。(*のぞき穴として二つ穴があいてるだけのビニール袋を被った状態)

「俺が誰かはどうでもいい。それより・・・俺がいいというまでここから出るなよ。怪我をしたいというのなら話は別だけどな。」

『御主人(マスター)、奴ラワゴン車デ逃ゲヨウトシテルミタイデスガ・・・』

「(報告ご苦労。確実にここで止める。)それじゃあしばらくここで待っていてくれ。」

少女が呼びとめようとするのを視界から外し、ワゴン車に乗ろうとしている誘拐犯たちをスタンドの脚力込みで追いかける。

「早く乗れ!ここなんかやば『ギルァァッ!!』{ドゴォッ}ギャアアアアアアアアアアアアアア??!」

10メートル以内に入った時点でスタンドを飛ばし、ワゴン車に乗り込もうとした男の両足をへし折る。

その直後に鉄球を一つ投げつける。

これでコイツは封じた。

すぐさまスタンドを自分の傍に呼び戻して鉄球を回収する。

「さ、さっきから何が起こってるんだ!?」

「ヒ、ヒィィィィィィィィィ―――――ッ!!だ、誰か助けてくれェェ――――!!」

今更なセリフだな。まあ・・・・・・

「誰だろうと逃しはしない。ここで倒させてもらう。」

「!?な、どこから現れやがったこのガキ!まさか今までのはてm『ギルァラアアッ!!』ぎぃええああああああッ!!?」

「こ、この化け物!{チャキッ}これでもくらいやがれ!!」

残りの犯人がこちらに拳銃を向けて撃ってくる。

「こんなもんが効くかよ。{バギンッバギンッバギンッバギンッバギンッバギンッ}」

俺はアライブの拳で弾丸を弾き飛ばしながら残りの誘拐犯どもに歩み寄っていく。

「{ドンドンドンッ}クソ、クソ、クソ!{ガキッガキッガキッ}た、弾が・・・」

「チ、チクショウ・・・何だよ、俺達が何したっていうんだよおおおおおおおおおお!!」

・・・今さら何言ってんだよこの屑共。

「少女誘拐・・・それとさっきの会話からするに婦女暴行未遂だったか?誰がどう考えても間違いなくやってるだろうが。」

俺はビニール袋の覗き穴から、これでもかというくらいに殺気を込めて逃げようと地べたを這いずる残りカスどもを見据える。

「や、やめてくれ・・・た、助けてくれえええええ・・・・」

「・・・・・・てめえら、自分にそう言ってきた連中を今までどうして来たんだ?今更・・・ムシの良いこと言ってんじゃあねえよ・・・」

殺しはしない。ゴミ屑とは言え人間の端くれだしこいつらはまだ人の法の許容範囲だ。法に裁かれる義務と権利がこいつらにはある。

だから・・・そのために移動だけは封じさせてもらう。

「暫く寝てろ、この屑共。」

『ギルァラララララララララララララララァッ!!!』

---ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ

地面を這いずっていた残りカスどもボコボコにし、全員を吹っ飛ばしていく。

そして全員がその勢いのままワゴン車にダイレクトでぶつかり、何度か痙攣を繰り返した後折り重なったまま気絶した。

「・・・これにて終了だ。さて・・・あの子はどうするか。」

一応はっきりとではないが、終わったらあの子に報告すると言ってしまったからな。

一応は済ませておくか。

そう考え、俺はさっきの柱の所まで歩いていく。

「おい、まだそこにいるか?」

多少声音を変えて少女に呼びかける。

「う、うん・・・あの、助けてくれてありがとう。」

「ああ、見ていたかどうかは知らんが一応言っておくぞ。あいつらは全員片つけておいた。間違いなく全員動けなくなっているから問題はもうないはずだ。」

「・・・あなたは、いったい何をしたの?そこの柱が粉々になったと思ったら私はここに引き込まれて・・・音だけでしかわからなかったけど、あいつら銃を使ったのよね?それさえも物ともせずあなたはあいつらを倒した。・・・教えてもらえない?」

「俺が何のためにこんなふざけた恰好をしていると思っている?今回こんな真似をしたのは、あくまでもあのカスどもをぶちのめして君を助けるためだ。それ以外の余計なことをするつもりはない。」

俺はただ淡々と述べる。

スタンド能力は世間の人間からすれば受け入れがたい『非現実』であり『非常識』だ。

迂闊に誰かに知らせる訳にはいかない。

それに・・・たとえ相手が同じ非常識だったとして、それがこちらにとって友好的な奴だったとしても俺は俺の『秘密』を誰かに教えるつもりは微塵もない。

それこそ・・・よっぽどの気紛れか、俺の信条に反しない限りはな。

「・・・私ね、友達がいないの。」

「?」

「私の見た目、外国人でしょ?だから皆敬遠する……それに、私に親が居なくて孤児院の人間だっていうのも理由の一つだと思うの……」

「・・・・・・」

目の前の少女は、まるで自嘲するかのように、悲しげに話し始めた。

「今日、あいつらに攫われた時、どうして私はこうなっちゃうの?お母さんもお父さんも私をおいて死んじゃって、孤児院でも、学校でもずっと一人ぼっちで・・・あなたに助けられるまで・・・もうだめだって諦めてた。」

話を聞いてるうちに、その眼にはうっすらと涙が浮かび上がる。

「あなたが助けてくれたってわかった時・・・すごく嬉しかった。とても寂しくて・・・色んな事を諦めてたけど、あなたに助けられて私は『救われた』のよ。」

「・・・そいつは思わぬ収穫ってことになるかもな。」

もうじき俺には関係なくなるが、とはあえて言わないで置く。

「ねえ、何であなたは私を助けてくれたの?」

「・・・ただ真っ当に生きてる奴を、あんな屑野郎どもがいい様にしようとしてるのが許せなかった。それと・・・泣きっ面を放置するのは正直趣味じゃないんだよ。」

女の一番の化粧は笑顔って話もあるしな。と、その後に続ける。

原作?直に被害をこうむるのならともかくほっときゃ勝手に問題なく収まるものにまで手を出すつもりは今のところない。今回のはあくまでも俺が動かなきゃどうなるか分からなかったから阻止しに来ただけだ。

 

少女は顔を赤らめながら、はにかむ様に笑っていた。

「フフフ、ありがとう。・・・ねえ、私と友達になってくれない?あなたのことはなにがあっても誰にも言わない。だから・・・」

「悪いが俺から話すことは何もない。・・・もうしばらくすればここに助けが来る。おとなしく待っているんだな。」

俺はそう言いつつ少女に背を向ける。

今はまだかすかだがパトカーのあの音がしている。おそらくだがもうじきここに警察が来るはずだ。

こんなところで警察に捕まったら顔を隠している意味がなくなっちまうからな。

「さようならだ。次はこんな形で会わないことを願っているよ。」

「待って!」

「・・・なんだ?」

「私は・・・アリサ・ローウェル。何時か・・・必ずあなたに辿り着いて見せるから。その時は・・・私と友達になって下さい!」

 

少女・・・いや、アリサ・ローウェルは、俺に向かってそう言い放つ。

「・・・・・・・・・・・・・」

 

彼女の言った言葉は、俺の危惧していることに非常に大きく関わることだ。

もし仮に、彼女がその言葉通り俺のもとにたどり着いたとしたら、俺は自分の平穏のために彼女の記憶を封じなくてはならなくなる。

だが・・・俺は次の瞬間、その判断をためらった。

彼女の瞳には、絶対に俺のもとにたどり着くという、普通に過ごしている分には間違いなく見られない強い意志が込められていた。

かつて俺も・・・自分の求める答えを探すため、あのダンジョンを夢中になって駆けずり回った。

意志の強さについて比べることはないが、あの向かおうとする意志が、『確かな心』が、アリサ・ローウェルから感じ取れた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから、

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺は自分の秘密を話すつもりはない。」

「ッ!?お願い「だがッ!!」・・・え?」

俺は・・・『チャンス』だけは与える。こんな物がチャンスと言えるかどうかはわからんがな。

「あくまでも・・・『俺から』話すつもりはないってだけだ。別に君が見聞きした分についてまで干渉したりはしない。無論害をなす奴や口の軽い奴には絶対にわからないようにするし知られてもそれ相応の対処をする。が、君が軽々しく俺のことを話さないというのならば・・・その行動と強い意志に敬意を表して、俺にたどり着いても記憶を消したりはしないし、君のその頼みも受けよう。」

「・・・・・・本当に?」

「ああ、本当だ。俺にたどり着けたらな・・・それじゃあ今度こそ失礼させてもらうぞ。」

ワゴン車の周りで倒れている奴らを確認してから、今度こそ俺はその場を立ち去る。

立ち去った10秒ほど後、パトカーの音がはっきりと聞こえてきた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう、これでようやくくつろげるってもんだ。ん?なんだこのメモ・・・」

なるべく目立たぬよう、路地裏を活用しまくってようやく家に帰ってきた。

その俺を、自室で待っていたのは一枚の紙きれだった。

【あ、言い忘れてたけど君のいる世界にほかに2人ほど転生者がいるから。そのうち1人はかなり癖があるから注意しててね♪ 神様より】

・・・・・・・・うん、言ってくれただけありがたいのか?

 

 

 

 

なお、後日に載ったあの少女の誘拐事件に関しては、誘拐犯たちには足の骨折以上に大きな怪我はなく、今は刑務所で療養していると書かれていた。

ちゃんと手加減は出来ていたようで何よりだ。

 

 

 

 

 


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