デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録 作:enigma
実はこれから約半年間、卒業試験を控えておりますので、多分更新速度は今まで以上に下がります。
普段読んで頂いている読者の皆さんには申し訳ありませんが、その所をご了承いただけるとありがたいです。
それでは本編・・・どうぞ。
Side:梶原 泰寛
===15:20l海鳴第一小学校校門前===
「やっほー、一緒に帰りましょう。」
「ははは、もうつっこまないぞ俺は。」
いつものように授業とホームルームを終えて、校門から踏み出すと・・・またしても普通にアリサが校門の影から現れて、帰宅を提案してきた。
前とは違って今日は友達の同伴はないが・・・やっぱり違う中学校の少女がわざわざ小学校を訪ねてきているとなると多少なりとも周りからの注目を集めてしまうもんだな。
まあいい、どっちにしてもさっさとこの場を離れよう。
「やれやれ・・・ほら、行くなら早く行こう。」
俺はアリサに手を差し出す。アリサは少し驚いた顔をするも、次の瞬間には嬉しそうに俺の手を取った。
「今から泰寛の家に行ってもいい?」
「おう、問題ねえよ。」
「決まりね、それじゃあ行きましょう。」
アリサはそう言うと、俺の手を引きながら上機嫌に歩き出す。
俺は周りからの視線を受け流しながら、そんなアリサの様子に苦笑いをしつつ、同じペースで付いて行く。
「最近はどんな事をしてるの?」
ある程度歩いたあたりで、アリサはこちらに顔を向けながらそう質問してきた。
俺は少し間を置いた後、思いつく限りでそれに答えていく。
「んー、そうだな・・・いつもとあんまり変わらないかな。家にいる時とかは大抵、勉強の復習したり、自分の部屋でゴロゴロしながら、ネットでゲームの実況動画見たり小説サイトで小説読んだりして過ごしてる。たまに面白そうなフリーゲームをダウンロードして遊ぶこともあるし・・・まあこんなところかな。」
後ここでは言えないけど、定期的にダンジョンに潜ったり能力の使い方の研究したり、倉庫に入れて持ち越してきたもので遊んだりもしてるな・・・・・・あ、フリーゲームで一個思い出した。
前の人生で高校に行ってた頃に、部活で作ってたゲーム・・・あれ結局未完成のままで終わってたな。また気が向いたら矢島にプログラム面で相談しながら進めてみるのもいいかもしれない。
ヤベェ!思い出したら急にやる気が出てきた!アリサが帰ったら早速ドット絵の方を仕上げるか!
「ふーん、ちなみにどんなのを見てるの?」
そんなことを考えていると、アリサからの質問が耳に入ってくる。
いかんいかん、今はこっちだこっち・・・ちなみに聞かれてるのってなんだっけ?
「どんなのってどれのことだ?」
「うーんそうね、じゃあまずゲームから。」
「ゲームか、そっちはデビルバスターっていうRPGだな。」
「あ、それはどこかで聞いたことがあるわ。なにで見たかしら・・・」
「テレビで見たとかじゃないのか?あれかなりCMで流されてたし。」
「うーん、そうかも。けど、どういうものだったかしら・・・?」
「えっと、確か・・・」
俺はアリサに、知っている範囲でデビルバスターの説明をしていく。
確か世界観は・・・199X年に日本の東京に新型の大陸間弾道ミサイルが投下されて、そのせいで空間に亀裂が走り、そこから太古の悪魔の名を持つ異次元生命体が現れて、かろうじで生き残った人間たちを襲い始めたっていう悲惨な世紀末なものだったな。そんでプレイヤーはかろうじで生き残った人間の一人として、その世界において悪魔と契約し、使役するプログラムを使って時代を生き延びていくべく悪魔と戦うって話だった。
・・・途中から気付く奴は気づくかもしれないけど、要するに旧約メガテンⅡのあれです本当に有り難うございます。
「内容は以上だ。」
「・・・・・・気のせいかしら?なんだか最近似たような話をどこかで聞いたような気がするんだけれど・・・」
「ああ、うん、そうだな・・・最近どこかで聞いたな。」
話し終わると、アリサは凄く複雑な表情をしながらそう言い、俺も苦笑いを浮かべながらそれに頷く。
うん、そうだよね。さすがに世紀末とまではいかなかったけどリアルに悪魔と遭遇したもんね俺ら。アリサに至ってはまんま被害者だし。
・・・・・なんだかやっちまった感しかしない。話題を変えるか。
「所でアリサの方は最近どうなんだ?特に何か変わった事とかはなかったのか?」
「私?私は、そうね・・・・・・」
話題を逸らすつもりでアリサに聞くと、彼女は少しだけ悩む様な素振りを見せる。
どうしたのかと思って見ていると、「もう・・・そろそろ踏ん切り付いたかな?」とか、「大丈夫・・・大丈夫・・・もう大丈夫・・・」とか、ぶつぶつと聞こえてくる。
心なしか眼が虚ろになっていろんな方向に泳いでいたり、微妙に肩とかが震えているようにも見えるし・・・・・・大丈夫かこれ?ひょっとして完全に地雷を踏んじゃった?
「お、おい、大丈夫か?」
「え?!あ、うん・・・」
さすがにこのままだとまずいかと思って声をかけてみると、アリサは少し驚いてから顎に手を当てて思案し・・・
「ん―――、そうね・・・・・・ここで話すのもなんだから、家に着いたら教えてあげる。」
「そうか。」
「それよりさっきの続きでも話しましょう。小説はどんなの見てるの?」
アリサは調子を持ち直し、元の通りの態度で聞いてきた。
よかった、それにしてもいったい何の話だったのだろうか・・・
「そうだな、大体はSFとかファンタジー要素のある現代物で、次点で異世界トリップとか戦国立志伝とかだね。」
「特に面白いって思うのはある?」
「あるよ。お気に入り登録してるから後で見てみるか?」
「ええ、お願いするわ・・・・・・あ、見えてきたわよ。」
アリサが指をさしてそう言い、その方向を見ると、確かに俺の家が20メートル先に見えていた。
そうこうしているうちに、何時の間にか到着していたようだ。
「・・・・・・」ソワソワ
「どうしたアリサ。」
「うんうん、なんでも。ただ男の子の家で二人っきりって思ったらちょっと・・・」
・・・・このタイミングでなんてことを言ってくれてんだこいつは・・・いや、先に聞いた俺が言えた義理じゃねえけどさ。
「・・・聞いておいてなんだけど、このタイミングでそれを言われると俺もさすがに意識せざるを得なくなるんだけど・・・」
「む、今までは意識してなかったの?」
「ははは、ないない。少なくとも十五歳未満は恋愛対象外だからな。」
「ふむふむ、ということは15歳以上ならワンチャンあるのね。」
「(よし、聞かなかったことにしよう。)というか今までに何度も来てるじゃねえか。今更すぎるっての。」
「それもそうね。」
意味深な笑みを浮かべるアリサを敢えてスルーしながらそう言いつつ、俺は玄関の前に行ってカギを開けて扉を開ける。
そして俺は玄関に一歩入ってアリサに向き直り、彼女を迎える。
「そんじゃあまあどうぞ、適当に寛いで行ってくれ。」
「ええ、ありがとう。」
さてと、今日は何して遊ぶか・・・
「ホイ、これが俺の読んでる奴な。」
「ありがとう。」
家の中に入ってそれなりに寛げるようにした後、俺は自分のPCを起動してよく見ている小説用のマイリストを開け、アリサに見せた。ちなみにPCについて前に質問された時は、矢島に製作費と材料費を渡して作ってもらったものだと説明して納得してもらった。今の時代だとスマフォサイズでここまで高スペックの電子媒体はまだ存在しないからな・・・
後、他のアプリとかページへのアクセスとかは出来ない様にロックしているから、間違っても個人的に見られたくないデータとかパスワード等を見られる心配はない。タブン
「ふんふん、なるほど・・・・・・・・ありがとう、今度読んでみるわ。」
「おう、是非ともそうしてくれ。」
テーブルに出したクッキーやポテチを箸で口に運んで食べ、浄水で咽喉を潤しながら俺はアリサに返事を返す。
話題が増えればそれだけ話せることも多くなる。ここ一か月ちょっとでそこそこに話題も増えてきたけど、自分的にはまだまだ少ない方だ。
お互い楽しく過ごすためにも、これからもドンドン話題を増やしてそれについて語り合いたいね。
「はい、返すわ。」
「あいよ。」
粗方見終わったようで、アリサはPCを俺に返した。
俺は電源を切ってポケットにしまおうとする。
---ピピピピッ ピピピピッ
「ん?」
PCから手を放した直後、メールの着信音が鳴り響く。矢島からのメールかと思い、PCの画面を起ち上げて内容を少し確認する。えっと・・・・・・闇の書関連か。見たところ緊急の内容じゃないみたいだし、後で再度確認しておこう。
「どうしたの?嫌なものを見たような顔して・・・」
「悪巫山戯でグロ画像送られてきただけだよ、気にすんな。」
アリサにそう言いつつ、PCの電源を切って今度こそ仕舞う。
フゥ・・・・・・あ、そう言えば・・・
「ところでさ、家に着いたら話すとか言ってたことがあるけど、あれって結局なんのことなんだ?なんか結構切羽詰った様子だったけど・・・」
今思い出してみても、あれはなんというかいつものアリサらしからぬ感じだった。いったいなんだったんだろうか。
「あー、あれね・・・そうね・・・」
アリサは暫くの間考えるような素振りをした後・・・・・・意を決したような表情になって話し始めた。
「泰寛、前の事件で、私がアリスの・・・友達になってたのは覚えてるよね?」
「勿論だ。」
最近やけにあれのことを聞かれるなぁと思いながら、アリサの質問に答える。
するとアリサは神妙な表情で話を続けて行く。
「泰寛の持ってきてくれたあの・・・葉っぱ?を煎じたものを飲んだおかげで、この通りちゃんと人間に戻ることが出来たじゃない?」
「まあな。」
矢島がいなければこうはならなかったから、真の功労者は矢島だと思うがな。
「けどね・・・・・・実は私、当時使えてた魔法のいくつかが未だに使えるみたいなのよ。」
「・・・え?」
長いタメの後でアリサが言い放ったことに、俺は思わず口をあんぐりと開けて聞き返してしまった。
「・・・マジ?」
「ええ、マジよ。」
「い、いきなりなカミングアウトだなおい。」
嘘らしさを微塵も感じさせない神妙な顔で肯定するアリサに、口元を引き攣らせながら思わずそうツッコむ。
え?マジで?いやまあメガテンゆえ致し方無しとか、俺も元の世界に戻った後スタンド使いとして覚醒したからそう言うこともあるとは思うけど・・・え?マジ?
・・・・・・まあそれはこの際置いて置いてだ、さっきまでの様子とこの真剣な表情からして、アリサは多分、あの事件での恐怖やトラウマなどがあったせいで今まで魔法のことは話題には出せなかったのだろう。
今思えば始めて俺の家に遊びに来た時以来、こいつはあの件に関する話題は全く出さなかったし、矢島がCOMPの中から話しかけて来たジャックブラザーズの要望に応えて二体を出した時に、あいつらを見てアリサは表面上は何事もないように振舞っていたが、よく見ると何度か恐怖するように震えたこともあった。(ちなみにそれを矢島が気付いた後は、アリサの前でジャックたちを出すのは自重しようという話にもなった)
だが今回、理由は分からないが本人の中でようやく心の整理がついて、恐らくかなり勇気を出してこの話を俺に出した・・・・・・と、俺は思う。
「え~っと・・・まあ、なんだ、とりあえず教えてくれてありがとう。」
俺はハハハッと軽く微笑みながら、勇気を振り絞ったであろうアリサに礼を言う。
「とりあえずってなによ、もう・・・うん、どういたしまして・・・」
するとアリサは、若干文句を言いつつ気恥ずかしそうな表情をしながら返事をしてくれた。
予想はどうやら間違いという訳ではないようだ。うんうん、よかったよかった。
重い話は苦手だけどこういうのなら悪くはない。
・・・それはそうとちょっとまずくないかな、これ。闇の書の連中って魔力を持ってる奴を率先して襲ってくるから・・・本当にちょっとまずいかもしれんな。取り敢えずアリサは自衛が出来るのか?
「ところでアリサ、一応聞いておきたいんけどどんな魔法が使えるんだ?」
「えっと・・・今は四つね。ドルミナーとランダマイザとマハラギオンと、後はシャッフラーね。効果は知ってる?」
「・・・ブッ!?」
「ちょっと、どうしたの急に?」
「いや、なんでもない・・・うん、どれも知ってる魔法だ・・・怖いくらいにな・・・」
「??」
アリサにそう返しながら、俺は出てきた予想外の魔法のラインナップに内心驚いて冷や汗を流している。
ドルミナーとランダマイザは・・・まあこれらも結構きつい魔法だけどまだいい・・・けど、シャッフラーとマハラギオン。この二つが揃ってるのはマジで洒落にならないくらいやばい。確実にあの極悪コンボ『キョウジスペシャル』が出来てしまう。
ちなみに知らない人のために説明すると、キョウジスペシャルというのは女神転生シリーズの外伝、デビルサマナーシリーズのとあるキャラが使う魔法のコンボのことであり、シャッフラー・・・かかった敵を一枚の紙製のカードに変えてしまう全体攻撃型の魔法をまずかけて火炎弱点の付加と能力や行動の制限をして、のちに火炎属性の全体魔法マハラギオンで紙になった敵を根こそぎ焼き払うというものだ。
なお発案者である葛葉狂死は敵が人間であろうとどんなに自分より弱かろうと必ずこれで仕留めるほどの容赦と慈悲の無さを誇り、デビルサマナーの業界でひどく恐れられていたらしい。
さてと・・・キョウジスペシャルが出来るなら矢島達のことも含めて教えた上で注意するよう呼びかければ、自衛自体は比較的問題はない気もするが・・・いや、やっぱり今日は俺が家に送ろう。魔法があるからと言ってコイツが一般人なのには変わらん。それに対し、俺の様に即座に対応できるかどうかを期待するのはよくねえな。
「どうしたの泰寛、汗が垂れてるわよ。」
「ん?ああ、ありがとう。」
俺はシャツの袖で汗を拭き取り、改めてアリサに向き直る。
「アリサ、実は俺からも少し話がある。」
「?どうかしたの?」
「ああ、まあ一応な。本当なら話すことはなかったんだけど、お前が魔法を使えるという都合上、これは話しておかなくちゃあならない。」
「・・・何かあったの?」
アリサは俺の言い方や表情から察したのか、真剣な表情で俺の話に耳を傾ける。
「ああ、実はな・・・」
俺はそれを良しと思い・・・土曜日の夜に矢島達を襲った闇の書のプログラム達と、そいつらの正体、そいつらがアリサの様に魔法の使える者や魔力や素質を持つ者を標的としており、アリサもひょっとしたら連中に狙われる恐れがあること、ついでに管理局のことをジュエルシード事件のことを交えて話し、一応現在は管理局も解決に乗り出していて、近日中に片が付くかもしれないことを伝えていく。
「・・・とまあ話しておきたい内容はこれで以上だ・・・・・・大丈夫か?」
「え、ええ、大丈夫、内容はちゃんと理解しているわ・・・・・・正直もうお腹いっぱいな気分だけどね・・・」
話し終わった段階で話についていけているか確認をすると、アリサは何か悟りでも啓けそうな眼差しと引き攣った表情をしながらそんなふうに言った。
なんか偶に宙を眺めながら、「常識って本当になんなのかしら・・・」とか呟くこともある。
いやまあ、うん・・・自分の知らない所で、しかも自分の住んでいる街で世界の危機が二度もあった上に、実は並行世界は本当にあったんだ!なんてことを聞かされれば、俺だってこんな反応をするしかないだろうな。勿論それらが実話で、それをちゃんと理解する下地があった上での話だが。
「・・・それで、その闇の書?の人達っていうのはこれからどうするの?場所が分かってるなら泰寛ならすぐにでも解決できると思うんだけれど・・・」
「場所はな。けど今のところその本の情報自体が不足している気がしてならないからな・・・一応矢島が管理局の方でいろいろお話を聞いてくれるらしいから、不測の事態も考えてそこで入手した情報も交えて改めて考えて行こうと思ってる。幸い相手方の拠点は分かってるしページの完成速度も焦るほど早いもんじゃない。矢島にはとっくにリークしているから、いざとなったら総動員で主だけ抑えればどうとでもなるのよ。」
「・・・本当にすごいわね、あなた。」
「後できればこんなことであんまり働きたくない。俺、こんなふうにダラダラと日常を謳歌できればそれでいいし。幸い駒はいくらでもいるから適当に情報リークしときゃ後は勝手に何とかしてくれるでしょ。」
「最後が最低ね!?」
「ハハハハハッ!最低なもんかよ。たかだかが小学生がこんな重っ苦しいことをいちいち背負いに行く方がそもそもおかしいわ!」
「なお超人のという枕詞が付くけれどね・・・」
「んん~~~~~~?聞こえんなぁ~~~~~~~フフハハハハハハハッ!」
「シャッフラーかけるわよ。」
「調子に乗って御免なさい!」
にっこりと笑いながらそう言うアリサに頭を下げながら謝った。
さすがにシャッフラーは勘弁だ。見た感じ冗談だろうけどそれでも勘弁だ。
「・・・・ハァ・・・そんでだ、一応今は注意するべきってことは変わらないから、報告があるまでは遅くならないうちに帰るか、俺が送り迎えをしようと思うんだが・・・」
「いきなり落ち着かないでよ、怖いわね・・・まあ、そうね、一応お願いしていいかしら?」
「合点承知。あぁ~~やだやだ、なんでこの街に集中してこんなことばっかり起こるんだか・・・」
「本当にね。」
「・・・・・・あ、スマブラがあるけど一緒にしない?」
「ん、いいわよ。」
「オッケィ、それじゃあゲームキューブを取り出すか。」
そろそろこっちの話題が切れそうになった辺りで出した提案にアリサは乗ってくれて、俺はテレビ台の下からゲームキューブを取り出し、配線を入れ替えた後テレビの電源をつける。
そしてその後俺達はCPUを交えて、アリサを家に送る時間までみっちり大乱闘をやりまくった・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
時間もそろそろ頃合いになった辺りでゲームを終え、俺はアリサとともに家を出て彼女の住む孤児院の前へと来た。
「送ってくれてありがとう、また今度もよろしくね。」
「おう、またな。」
アリサは俺と挨拶を交わし、孤児院の扉を開けて孤児院の中へと入っていった。
「・・・・・・さて、一応護衛らしいものくらいは置いておくか。」
俺はそれを見届けた後、人目につかないところを探してそこに入り、倉庫を探ってホルマジオのビンを取り出す。
そしてビンの蓋を開け・・・中からリゾットを取り出して側に置く。
ちなみにこのリゾット、一巡後の世界仕様だ。当然ヘブンズ・ドアーで制御できるようにしてある。
「く・・・・」
「さてと・・・あそこにある建物が見えるな?あれに・・・そうだな{ピピッピッ}今日の十一時までにこの四人のうちだれかが来たら必ず追い返せ。殺すのは無しな。後こいつら以外には絶対に、何があっても危害を加えるな。」
「・・・・・分かった・・・」
リゾットは返事をしながら周囲の空間に姿を消した。
俺はその姿を見届け、孤児院に背を向けて自宅へと歩いていく。
「・・・・・・・・あ、そう言えばメールの確認がまだだったな。今の内に見ておくか。」
帰路の途中で矢島から送られてきたメールのことを思い出して、俺は道を歩きながらポケットからPCを取り出し、人通りに注意をしながらメールの確認を行う。
「ふんふん・・・ふんふん・・・・・・・ン!?」
(・・・・・・・ンン~~~~~~!?おいおい、何だこりゃ・・・マジで洒落になってねえじゃねえか・・・!)
矢島から送られてきた報告のメールの内容を読んで、俺は絶句していた。無論内容は、あの闇の書についてだ。
完成しようと完成しまいと悲劇しか生み出すことの無い魔導書だと?いったいどんだけ理不尽な代物なのかと。
この前のことといい、四月のジュエルシードの件といい、マジで今年は激動にもほどがあるぞ。どうしてこうなったし。
(・・・まあいいさ、まだ慌てるような時間じゃない。現状まだまだ闇の書は完成には程遠いようだし、幸い今は奴さん達にばれることなく居場所の特定までとっくに済んでいる。メールにある通りならば、矢島が少なくとも明日中には管理局に情報を流してくれるそうだから、それに喰い付いた管理局が気を窺って確実に闇の書と八神はやてを確保してくれればどうとでもなるはずだ。俺はその過程で出来うる限り邪魔が入らないように、尚且つことが上手く運ぶように裏で立ち回っていればいい。正直かなりショッキングな内容だったが、問題というほどのことじゃないだろう・・・・・・・・・・・万が一があれば、最悪D4Cで闇の書を完全に消せばいいしな。)
メールをあらかた読み終わった後で俺はそう判断し、PCを閉まって今まで通り歩いていく。
帰ったら・・・そうだな、まずはドットを描き直す作業から始めるか。