デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第五十二話

宝くじ・・・古くは【富くじ】と呼ばれる文化は、日本では江戸時代初期の寛永元年(1624年)頃から寺社の催しの一つとして行われていた・・・

元々は限られた当選者にお守りを配布するものだったが、時が経つにつれて金銭が絡んで町に拡散し・・・やがて天保13年(1842年)の【天保の改革】によって禁止されてしまい、明治になってからも明治元年(1868年)の【太政官布告】によって、厳しく禁じられてきた。天保の禁令以来、103年もの長い間日本では“富くじ”は発売されなかった。

・・・・・・しかし昭和の7月、政府が浮動購買力を吸収して軍事費の調達をはかるために1枚10円で1等10万円が当たる富くじ【勝札】を発売し、その後同年の10月に政府が戦後のインフレ防止のために初めて【宝くじ】を発売。更に戦災の復興資金調達に発売された【地方宝くじ】、経済復興のための【全国自治宝くじ】、日本万国博覧会、札幌冬季オリンピック、沖縄海洋博覧会などの国家的行事に協賛する宝くじも次々に発売され・・・・・・遂に【宝くじ】は、現代において誰もが知る多様な一大文化と化していた。

そして現在も、その手にしたくじに願いを込め、億万長者の夢を追い求める大人たちは少なくはなく、当選発表にて夢破れる者たちの中、当たりを引いて夢を掴む選ばれし者達の出現も後を絶たない・・・・・・

 

・・・・・・・さてさて、何故俺が態々こんな説明をしているかというと・・・

 

 

 

 

「さてと、今回はここにするか・・・」

 

今日も来てしまったからだ。この大人たちが夢を追い求めてくる、人食い沼の如き魔窟の入り口にな・・・

あ、ちなみにアリサの方は特に何事もなかったようで、帰還してきたリゾットはそれだけ報告して、元通りホルマジオのビンに戻った。杞憂に終わって本当に良かったと思う。

さあさっさと行こうか。資金は十分!顔もOK!今日も元気に行ってみよ―!!

 

「すみませーん。」

「あ、はい、何でしょうか・・・・・!!」

 

俺の顔を見た瞬間、カウンターの向こうに座っているお姉さんの笑みが引きつったようなものに変わったのを尻目に、俺は今日買うくじの種類を考える。と言っても買う物はほとんど決まっているのだが。

 

「スク○ッチを十枚ください。」

「はい、合計で1000円となります。」

「はい、どうぞ。あ、領収書をお願いします。」

「確かに、では少々お待ちくださいね。」

 

受付のお姉さんは1000円札を受け取ると少しの間下を向き・・・くじのシート十枚と、領収書を出してカウンターの向こうからさしだす。

俺はそれを受け取り、端の方によってくじのシートを一枚ずつ、財布から取り出した十円玉で削って処理していく。

 

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 

---ゴシゴシゴシゴシ

 

「・・・よぅっし、今回もいい感じじゃないの。」

 

全てのくじの処理が終わったところで、当たりのマークと自分のくじに出たマークを確認する。

え~~~~っと・・・今回は削った十枚のくじの内、二枚ははずれ、五枚は最高額の五万円、残り三枚は千円分のようだ。

フフフフフフフ、相変わらずのこの引きの良さよ。自分で自分が怖くなる・・・・・・自分で言っててなんだが馬鹿か、本来の俺の運じゃ全部外れがデフォルトじゃねえかっての。

 

「すみませーん、これでお願いしまーす。」

「は、はい、少しお待ちくださいね。」

 

カウンターのお姉さんの前に再度立ち、くじを差し出す。

お姉さんは引き攣った笑みを浮かべながらくじを受け取り、それの確認をしていく。

 

「・・・・・・・・・か、確認が終わりました。合計で25万3000円となります・・・」

「よっしゃあ!やったやった!」

 

確認を終えたお姉さんの発表に、俺はガッツポーズをとりながら喜ぶ。

お姉さんはますます笑顔を引き攣らせながらも仕事は忘れず、カウンターで少しの間作業をした後俺にお金を渡してくる。

 

「こちらが当選金となります。金額をお確かめ下さい。」

「どうも。{パララララ……}よし、ちょうど戴きました。」

 

俺は金額の確認を行い、ちょうどあることを確認してから鞄(と見せかけてアライブの口に)放り込む。

『倉庫ノ方二シマッテクダサイヨ』というアライブの愚痴と、カウンターのお姉さんの挨拶を背に、俺は自宅を目指して歩き出す。

 

---グググッ グィィーッ

 

「ん?そろそろ三十分か・・・」

 

道をブラブラと歩いていると、顔のパーツが元に戻っていくのを何となく感じ、顔を擦る。試しにその辺のガラスで自分の顔を確認すると、思った通り何時もの顔に戻っているのが間違いなく分かる。

ン~~~~~~♪しかしいつ使っても素晴らしいな、シンデレラの人相で運勢を変える能力は。

たった三十分間しか効果が続かないが目に見えるレベルで確実にその恩恵をもたらしてくれるし、コイツのおかげでスクラッチくじはほぼ負けなし。怪しまれたくないから定期的に行くところを変える必要はあるが、お金は着実に溜まる溜まる。フハハハ!

・・・・・・最近ハーヴェストで拾えるお金が急激に減ってきたからな・・・これからは定期的にこの方法で稼いでいくべきなのかもしれないなぁ。

 

『ソレハ本当ニ良カッタデスネェ、後イイ加減倉庫ノ方ニ移シテモイイデスカ?別ニドウッテワケジャナイケドアンマリイイ感ジトイウカナントイウカ。』

(だめです(^o^) 帰るまででいいから我慢しといてくれ。)

『チィッ!!』

(せめて隠せよおい(^^;))

 

まったくこいつは・・・まあいい、コイツは放っておこう。

とりあえず帰ったら・・・ドットを描く作業は一度やりだすと多分夢中になって、昨日みたいに一気に真夜中まで突入してしまう恐れがあるしな、先に今朝の修行の続きをしておこう。

そろそろ戦闘中でもワープを自在に、かつ隙を生むことなく活用できるようになりたい。

そうすればさらに戦いを有利に進めることが出来るはずだ。

ちなみに今のところ目指している理想は、スパロボのグランゾン並である。前の人生じゃ時間が足りなかったのもあってかなりマジで取り組んでも結局できなかったけど・・・折角だからこの人生の間に出来るようになってみたい。

 

 

 

「さてと、とっとと家に帰って修行だ修行・・・あ、もう家の前だ。」

 

深く考え事をしていると、いつの間にか家の近くまで来ていたみたいだ。

時間が経つのは早いものだなぁ。まあそれはさておいて一先ず家に入って靴を脱ぎ、すぐさま自分の部屋へと入って金と荷物を置く。

そして準備運動をいくらか行った後、再度靴を履いてアライブから鍵を取り出す。

 

「夕飯・・・いや、親が返ってくるまで二時間ってところか。それじゃあボチボチ始めますかねぇ・・・」

 

身体が程よく温まったところで俺は鍵の中へと入り・・・食料と保険にいくつかのディスクを持ってレクイエムの迷宮へと潜った。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―――所は変わって矢島宅・・・

 

 

Side:矢島 敬一郎

 

(・・・・・・・・・・・・・)

 

---カタカタカタカタカタカタカタカタッカタタッカタカタカタカタッ

 

「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ―――、つっかれるわ――――。そろそろ休憩を挟むか・・・」

適度に疲れを感じてそろそろ集中力が切れてきた。空間に浮かぶディスプレイを操作して、ログアウトしますか?というメッセージと『YES』『NO』のボタンを確認してから『YES』の方をクリックする。

 

---キュウゥ――――ン・・・・・・

 

クリックした直後、甲高い音と共に急速に五感が薄れて遠くなっていく。

そして感覚が薄れて数秒ほど経った後、一気に意識と感覚が戻って体に重量と、頭部に何かがかぶっている感じと、首から下に心地よい感覚があらわれてきた。

 

「よっこら・・・・・・せっと・・・!」

 

ゆっくり体を起こし、自分の頭に被さっているもの・・・何本かコードのようなものが付いたシンプルなヘルメットを留金を外して頭から取り外し、自分がさっきから寝ていたベッドの傍にある机に置く。

 

「フゥ・・・」

 

現状、月光蝶システムやナノスキンの製作は順調に進んでいる。色々と積み込みたい機能が山ほどあるから今年中に実物にする所まではいかないかもしれないが、現状の開発ペースを維持し続けられれば来年の夏休みの終わりごろには実戦投入出来るだろう。

虹色の輝きが文明を砂に変え、イオン嵐を作り出す様・・・ワクワクするな!まあ現実では結界を張った状態でしか使えないけどね。

 

「しばらくしたらまた再開するか。それまでは・・・{ピピピピッ}ん?」

 

腕にはまっているGUNDAMから呼び出し音が鳴り響く。GUNDAMを操作してみると、どうやら悪魔召喚プログラムから仲魔が呼び出しをしてきているようだ。

俺はさらに操作して、仲魔達の呼び出しに応じる。

 

「おう、どうしたフロストにランタン。」

『ケイイチ―、一緒に遊ぼうだホ―!』

『ついでにおいしいお菓子があると尚良しだホ!』

「ん―――――、そうだな・・・・・・オッケー、俺もちょうど休憩に入ったところだし遊ぶか。」

『『ヤッホ――!』』

 

ランタンとフロストが画面の向こうで舞い上がっている様子を見て、俺は微笑みながら二体の召喚を行う。

すると周囲に次々とホログラム映像のウィンドウが現れて、様々なプログラムがそのウィンドウを駆け抜け、最後に【SUMMON OK.】の文字とともに魔方陣が現れてから・・・

 

「ヒーホー!ケイイチ―!」

「今日はスマブラがしたいホ―!泰寛のメタナイトへのリベンジに猛特訓だホ―!」

 

ジャックランタンとジャックフロストが陽気なテンションで姿を現した。

 

「はいはい、ちょっと待ってな。これを後片付けしたらすぐ行くから。」

 

現実(こちら)に出て大はしゃぎの二人を落ち着かせ、俺はさっきまで使っていたヘルメットとヘルメットから出ているコードが伸びる先にあるもの・・・ソフトボールサイズの水晶体を手にとり、押し入れへと戻しに行く。

 

「ヒホ―、綺麗な球だったホー。」

「ケイイチ、あれってなんだホ―?」

 

ブツを仕舞い終わると、二人があれについて質問をしてくる。あれ?こいつらには言ってなかったっけ?

 

「言ってなかったけ?これは俺の研究室だよ。」

「ヒホ?ケンキュウシツ?あの球が?」

 

コイツ何言ってるんだ?って顔をしているジャックブラザーズに説明をしていく。

 

「おう。コイツは俺自作のスーパーコンピューターとその入出力装置でな、中に電脳空間が構築してあって、ヘルメットを通して意識だけこの水晶体の中のヴァーチャルスペースに入れるんだよ。そして普段其処で、俺が使ってるデバイスの改造とか自分が作りたいメカや武器、パーツなどの設計図作りや作った時どう動くかのシュミレーションに使っているのさ。」

「「ヒホ――。」」

 

あとこれとは別に、実際にメカを作るための専用の工房がある。さっきスパコンを入れた押入れの奥にトランク型の超空間ゲートがあって、それを開けて中に入れたりするのだ。これはかなり作るのが大変だった・・・・・・当時は設備が今ほど充実してなかったからな・・・

まあそれについては今は置いておくとして・・・

 

「さっ、早いところ下に行こうぜ。お袋と親父が帰ってくるまではいっぱい出来るぞ。」

「了解だホ!でもまずはお菓子とジュースの準備をしてくるホ―!」

「フロスト―、狭いとこで走るとあぶな「{ベシャッ}ブッ!?痛いホ―!」言わんこっちゃないホ・・・」

「ははは、大丈夫かフロスト―。」

 

廊下で転び、諸に顔をぶつけたせいで顔を抑えながら転げまわっているフロストの元へと、俺はランタンと一緒にため息をつきながら駆け寄っていった。

 

 

 

 

「隙ありだホ―!バンカーで飛んじゃえ・・・」

「振り被り動作確認からの投げ返し余裕です。」

「ヒホ―!?バンカーでアイスクライマーが――!!」

「その間に切り札戴きだホ!いっけ―!」

『波動の力を見よ!ハァアアアアアアアア!!』

「甘いなランタン!ユクゾユクゾユクゾユクゾユクゾユクゾユクゾユクゾ・・・」

「それゲームが違うホ!」

「というかただの緊急回避だホ。」

「勝てばいい、それが全てだ・・・!!」

「グヌヌ、ランタン!こうなったら二人掛りだホ!」

「こうなったらの下りが不明だけどOKだホ!」

「そんなタッグで大丈夫か?」

「「うおおおおおおおやったるホオオオオオオオオ!!」」

「来いよブラザーズ!必殺技なんて捨ててかかってこい!!」

 

 

良い感じにネタに乗ってくれる二人にニヤニヤしつつ、その後は楽しくスマブラを遊び倒していった。

ちなみになんだかんだで思いがけず追い込まれたが、何とか勝ち越せたのでした、まる

 

 

 

 

 

 

 

 

フロストたちとスマブラを遊び倒した後、両親がそろって帰ってきたことで今日はゲームはお開きになった。

そして飯、風呂、歯磨きを終えて自室に戻ると、俺のデバイスにいきなり通信が入って来た。何事かと思い通信元を探ると・・・通信元はアースラの司令室だった。

(もしかしてこれは・・・あれかな?)

 

考え事をしながら通信に応じる。すると目の前にホログラムの画面が出て、予想通りそこに神妙な表情をしているクロノの姿が映っていた。

 

『こんばんわケイイチ。夜遅くにかけてしまってすまない。』

「おう、別にいいけどさ、こんな時間にどうしたんだ?」

『闇の書の主の居場所が分かったんだ。』

「マジで!?」

 

やっぱりか、と内心で呟きながらクロノからの報告にワザとらしく驚いて見せる。

ぶっちゃけ俺が管理局にリークしておいたから当然の結果でしかないんだけどな。いやぁ、こっちの発信源を隠蔽しながらはさすがに難しかったな。

 

『明日、なのはたちと一緒にアースラへと来て欲しいんだが時間はあるか?』

「明日ね・・・まあ学校が終わってからでいいなら速攻で行けるけど。」

『そうか・・・分かった。それじゃあ学校が終わったらできる限り迅速にアースラへと来てくれ。』

「ああ、分かった。」

『要件は以上だ。夜分遅くに済まないね。』

「まあこればっかりは内容が内容だからな、気にするこたぁねえよ。じゃあお休み。」

『ああ、お休み。』

 

そう言って俺は通信を切った。いよいよか・・・準備はしっかりやっておかないとな・・・

 

「さてと、それじゃあ寝る前に少しだけやっておくか。あ、その前に梶原にメール打っとくか。」

 

その後は梶原のPCへと今の話の内容をメールにして送りつけ、ヴァーチャルスペースで多少の作業を行ってからしっかり睡眠に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

時間を少々戻して、・・・・・・

 

 

Side:梶原泰寛

 

「ハァ~~~~、そろそろ潮時だなこりゃ・・・」

 

現在の階層は12階、腹の具合は約三割。

出来うる限り同じ階層に留まりながら敵を探し続け、極力ワープを駆使することで敵を撃破し、ようやくここまで押し進んできた。

とりあえず今日の所は、次の階への階段を見つけてからディアボロのディスクで帰還することにしよう。

 

「・・・・・・おっと、ここはモンスターハウスか。」

 

階段を求めて最後に立ち寄ろうとした部屋の前で、俺は複数の何者かの気配を自分の行く先に感じ取る。

・・・・・・明らかにやばそうって程ではないな、これは。多分だが、気配からして普通のモンスターハウスだと思われる。

 

「今日の仕上げにはぴったりだな。じゃあいっちょ行ってみるか!」

 

ここが正念場だと自分に言い聞かせながら腹の底から声を出し、気合を入れつつゲートを形成してその中に顔を入れる。

ゲートの先には、血管針四人組、エコーズACT3、三部のジョセフ、徐倫などのこの階層の敵が予想通り密集しており、全員が部屋の中でぐっすりと眠っていた。

合計で・・・20体前後ってところか。

 

「んんん・・・」

「誰だ・・・」

「ウマソウナ血ノ匂イ・・・」

(起き始めたか・・・!行くぞっ!)

 

半端とは言え俺が中に入ったことによるものか、徐々に目を覚まし始めていたのを見て急いで全身を中に入れながら、俺は別のゲートを形成しそこを通過して・・・

 

「ゼェアッ!!」

「ゴペェッ!?」

 

ゲートを抜けた先で一番近くにいたドゥービーに、渾身の波紋を掌底とともに打ち込む。

あっという間に溶けていくドゥービーを尻目にアライブの手刀で動き始める前のエコーズの首を跳ね飛ばしながら次の敵へと駆け抜けていく。

 

「ぬぁにぃ!?い、何時の間にこんな近くに・・・!」

「死ねぇやぁあ!!」

 

後ろに飛んでその場から逃げようとするジョセフを追い縋り、奴の年の癖に逞しい胸板を貫き撃つ為にアライブの剛腕を振るう・・・

 

「・・・ぬおあ!?」

 

が、アライブのパンチが当たると思った直後に足元に違和感を感じて思いっきり飛び上がり、ジョセフを倒せずに飛び越えていく。飛び越えながら自分が立っていた所を見ると、俺の両足があった辺りにハーミットパープルの茨のビジョンが配置されていて、俺の足を絡み取った後他の連中が襲い掛かれるような状態になっていた。多分波紋もきっちり籠められていることだろう。

ジョセフは自分の策にハマらなかった俺を驚愕の表情で見ている。

俺は額に汗をかきながらそれを確認した後、着地して自分の周囲を見渡すと視界の端で駆け寄ってくる徐輪とストーン・フリーがそれぞれ左右の斜め後ろから蹴りと拳撃を繰り出そうとしている姿が見えて、地面にゲートを形成する。

 

『『オラァッ!!』』

「つぉっ!?」

 

二体のストーン・フリーが挟み込むようにラッシュを繰り出すのに対し、ギリギリでゲートを形成して潜り込み、回避する。

危ない危ないと思いながらゲートを潜っていき・・・俺を見失って隙が出来た二体の徐倫の後ろ斜め上方に出てアライブで二体の頭へと攻撃を繰り出す。

 

『『ッ!!オラオラオラオラオラァッ!!』』

 

二体はこちらのスゴ味を感知したのか、影が視界に入ったわけでもないのにギリギリで反応してストーン・フリーで防御をしながら回避行動をとる。

相手の右腕と脇腹をそれぞれ抉り取るだけで終わって俺は舌打ちをしながら追撃に入る。

 

「まだまだぁ!!」

『アアアアアアアアアアア!!』

 

自分の後ろに腕一本が余裕で入る程度のゲートを二つ作ってアライブの両腕を手刀のようにその二つに突き出す。

腕はゲートの中に消え・・・体勢を立て直そうとしている徐倫二体の背後から現れて襲撃する。

 

「!ガハッ!?」

「グフッ!」

 

徐倫は何をするもともなく、胸に突き刺さった・・・・・・かのように思えたが、とっさに攻撃に合わせて体を糸の塊に変え、攻撃をすり抜けたようだ。

徐輪は自分の体を貫通した俺の腕を掴んで、その場に固定しようとする・・・・・・甘いな。

 

『アアァアァァアアァアアァッ!』

 

引力を無にするスタンドパワーを両腕に込めて、徐倫二体に打ち込みながら強引に腕を引き抜き・・・

 

『ジェアァアッ!!』

---ドゴドゴドゴドゴッ

「「「「ブベッ!?」」」」

 

チャンスと思ったのか四方から血管針攻撃を行ってきていた四匹のゾンビを殴り飛ばし、体勢を立て直す。

ゾンビは頭が消し飛んで消滅していき、スタンドパワーを撃ちこまれた徐倫二体は呻き声を漏らしながら・・・見るからにR-18的光景を晒しつつ塵となった。

 

「ハァ――――・・・っ!?」

 

殺気を感じて自分の左右に視線を向けると視界の端で三体のシュトロハイムがそれぞれ重機関砲を構えている姿を認識し、ワープゲートを頭上に出して急いで通過する。

下から重機関砲の物と思われる轟音が聞こえて冷や汗を流しながら、俺はゲートの出口を出てさっきまでいた部屋の上空30メートルほどの位置に出る。

 

「よし、見失ったみたいだな・・・」

 

上から状況を見ていると、狙いをつけていたシュトロハイムを含め、敵は全員俺を見失ってあたりをキョロキョロと見回していた。

それを確認し、俺は次の行動に打って出る。

 

「(まずは遠距離戦の出来る奴から始末する・・・限界まで集中しろ・・・!!)フゥゥゥ―――――――――――・・・・・・」

 

重力操作で上空からスローで落ちながら、俺は意識を集中させてゲートを形成させていく。

そして・・・自分を囲う様に、かつ干渉し合わない様に7つのワープゲートを作り出す。

ゲートの一つ一つは全身が入るほどの大きさは無いが、腕一本程度なら余裕で入る大きさだ。

 

 

『ギルァララララララララァッ!!』

 

さらにアライブの両腕に、引力を無効化するようスタンドパワーを帯びさせて、うまく調節しつつ7つの穴へと素早く、かつ的確に手刀を打ち込んでいく。

 

---ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュッ

 

手刀はゲートである黒い渦へと何度も消えていき・・・消えるたびに確かな手応えを覚えてから戻り、全て突き終わると同時にゲートを消した。

 

『アァ――――・・・ギルァララララララララァッ!!』

 

そしてまた七つのゲートを作り出し、同じように手刀を突き出していく。

全てを突き終えた辺りで・・・俺は能力を解除し、再び地面へと降り立った。

 

「ハァ――――・・・・・・・・・うし、こんなもんか。」

下を確認して生き残っている敵がいなくなったことを確認し、ゆっくりと地面に降り立って能力を解除する。

着地した周囲の地面は、敵だったものと思われる夥しい血だまりがほとんど覆い尽くしていて、咽返るほどの鉄臭さが部屋中に充満していた。

普段ならあっという間に一切の痕跡を残さず消えていくはずなんだが、数が多いせいか消えるまでに時間がかかっている様だ。

 

「安全確認は、一先ずOKか・・・やれや・・・・・・」

 

---フラァ・・・

 

「っととと・・・!」

 

敵がいないとわかった途端力が抜け、地面に膝をついてしまう。

一気にいろいろとやり過ぎたせいか、かなりフラフラだ。脂汗が全身をこれでもかというくらいに濡らし、足元は力が入り辛くなってかなり覚束無い。はっきり言って今にも倒れそうだ。

どう考えてもここからさらに戦闘に入るのはかなりのリスクを伴うだろう。

 

「・・・・・・・・は、はははは、良し!」

 

・・・・・・・よし、よしよし、確かにかなり疲れるが・・・出来る!間違いなく目標の達成は出来る!

戦い自体は好きじゃあねえけど、やはり上達をしっかりと噛み締められるってのは気分が良いな。やる気がどんどん溢れてくるからな。

スタンドは出来るという認識とやると言ったらやるという覚悟が根幹を担う。現状これらがきちんと揃っているのなら・・・目標の達成は夢ではない。

 

「・・・・・・・さてと・・・・・さすがにそろそろ戻るか。頃合いだ。」

 

今いる部屋に次の階層への階段があることを確認し、部屋の中にあるアイテムをあらかた回収してからディスクケースからいつものようにディアボロのディスクを取り出す。

そしていつものように頭にディスクを差し込み、いつもの記憶の断片を感じ取りながら俺はいつものように拠点のホテルへと帰還した。

 

 

 

 

倉庫から現実へと出た俺は、母さんたちが帰宅してくる前に急いで今朝のご飯の残りで夕飯の準備をし、お風呂を入れて入ってきた。

玄関が開閉をする音を聞いて少しした後さっぱりとした気分で風呂から上がり、リビングに戻ると、母さんと父さんがちょうど食事を始めようとしていた。二人は俺に気が付き、微笑みながら話しかけてくる。

 

「泰寛、ご飯の準備をしてくれてありがとう。」

「助かったよ、今日は少し長引いちゃったから疲れちゃってね。」

二人の心からのお礼に、俺は若干照れくさく感じながら笑って返事を返す。

「うん、どういたしまして。後二人ともお疲れ様。」

「ええ、ありがとう。」

「ホラ、ご飯が冷めてしまうぞ。」

「あいよー。」

 

父さんに急かされ、俺は自分の分がある席に着き・・・

 

「いただきます。」

 

食事の挨拶とともに箸を握り、二人とともにご飯を食べ始めた。

うん、美味いな・・・

 

 

 

 

「さてと、そろそろ寝るか。」

食事を終えて一枚だけドット絵の修正をした後、じかんて時間的に頃合いになった辺りで俺は歯磨きをしてから自分のベッドに寝転がった。

明日の放課後は何をするか・・・

 

---ピピピッ ピピピッ

 

ん?メールか。どれどれ・・・

 

【クロノ達が八神はやての居場所を特定したらしい。明日闇の書の確保に向かうお(^ω^) きっちりやってやるぜ、まあ見てな。】

 

(・・・いきなり明日の予定が決まったな。)

 

矢島達ならよほどのことが無い限りは上手くやり遂げる事だろう。大分前のことだけど、奇襲対策のアプリも作ったって言ってたし。

俺もできるだけ駆けつけてやりたいところだけど・・・・・・生憎俺は明日学校がある。まあ矢島なら、まかせっきりでも問題はないだろ。万が一の時はトイレを理由に抜け出す必要もありそうだけど。

 

「了解っと。」

 

返信のメールを書き込み、送信して俺は再度ベッドに横になり、今日の活動を終えた。

 

 

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