デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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第四話:Transmigratior's fight・・・

???side

「はあ、やっぱこういう時に飲むお茶は最高だな。」

 

やれやれ、折角アニメの世界に転生で来たってのにあの踏み台のテンプレみたいなやつがいるせいで原作組に近寄ろうにも近寄れない。

 

いや、そりゃ俺も下心がないとは言い切れないよ?確かあの子たち、将来的にはかなり綺麗になるし今のうちに何かしら関係を作りたいとは思ってたよ?

 

でも・・・それにしたってこれはねえよ。いざとなったら原作に関わらずに過ごすって手もあるから出された選択肢の中からここを選んだけど結局なんだかんだで厄介ごとには巻き込まれてるし。

 

物は試しということで昔、幻影魔法で自分の姿を踏み台っぽくしてそれらしいこともやってみたけれど・・・だめだ、あれはやっぱ性に合わない。途中でなのはを助けようとしていた奴の身のこなしを見て思わずその場を引いちまったし・・・これからマジでどうするかな。

 

 

ふと、公園を歩いている男女のグループが目に入る。見た感じ高校生って感じだ。

 

・・・・・・『高校』、か・・・

 

あいつらはどうなったんだろうか。俺が死んだんだからあいつらも近いうちに死んでておかしくはないけれど・・・

 

高校を出てからも、何かあっちゃあ集まって、冬コミやらのイベントに参加して・・・家族と一緒にいるときくらいにみんなでばかやってるときは楽しかった。

 

・・・俺みたいにどこかの世界に転生したやつもいるんだろうか。

 

まあこんな事考えててもわかりようがないってものだが。

 

「・・・・・・・・・・・ああ~~~~やめだやめ。こんなこと考えたって気が重くならぁ。」

気が付けば飲んでいたお茶もなくなって、手に持っているそれはただの空き缶となっている。

 

「えっとゴミ箱は・・・あそこか。あーらよっと!」

 

---カランガチャンッ

 

20メートルほど離れたところにあるゴミ箱に空き缶を投げる。

空き缶はゴミ箱に綺麗に入る。・・・うん、転生の特典をこんなふうにしか使わんとかありえねえ。

 

「・・・久々に翠屋にでも行くか。気分直しにシュークリームでも食おう。」

 

そう考え、公園を出ようとした時だった・・・

 

---キュィ――――ンッ

 

「!!{バッ ドォ―――――ンッ}ぐあああああああっ!?」

 

突如として聞こえた音に強烈な危機感を感じ、とっさに横に飛んで躱すも、爆風により体をふっとばされてしまう。

 

自分の能力をちゃんと活かせるよう、鍛える意味で武術を習っていたがそれでも突然の事には反応できず地面をゴロゴロと転がり、動きが止まってから体を起こす。

 

「イッテェ~~~~~~・・・いきなりなんだァ~~~?!」

 

クレーターに突き刺さる一本の剣・・・まさか?!

 

「ふん、今のを交わすとは、モブの分際で小生意気な・・・身の程を知れ!」

 

(ゲエッ!?界統 (DQN)!?)

まずい、寄りにもよってこいつに目をつけられたのかよ?!

 

「お前、なんで俺を襲う?」

「ハッ とぼけたころで無駄だ。貴様も転生者なのだろう?俺の女に余計な真似ができないよう俺自ら引導を渡してやる。」

(クソ、最悪だ!こうなったら・・・)

「GUNDAM!セットアップ!」

『GUNDAM,set up!』

 

俺は自分のデバイスを起動し、身に纏う。武装は練習用のドラグーンユニットと武装が二種類か。少し分が悪いかも・・・

 

(『ラプラスの瞳』発動。シミュレーション対象を『威嚇射撃を除く敵の攻撃の回避』、および『D.R.A.G.O.O.N systemの補助』に絞る。)

 

だが負けるわけにはいかない。おそらく敗北は死を意味する。

 

「抵抗するか、無駄なあがきだ。ギルガメッシュ!セットアップ!」

 

相手もデバイスを展開する。それと同時に背後に金色の波紋が波打ち始める。

 

(軌道は右膝と左の脇腹狙い!1,5秒後にくる!)

 

「死ねモブキャラ!王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)!」

 

金色の波紋の中から二本の剣が放たれる。

 

俺はそれを体を真横にしながら右上へ回避しながら

 

「行け!」

 

『Wireless beam barrel expand.』

 

小型のドラグーン4基を射出してDQNにオールレンジ攻撃を仕掛ける。

 

「雑種ごときの攻撃が効くか!」

 

が、全方位シールドを展開され、防がれてしまう。

 

(やはり牽制用の半端な威力じゃだめか。こんな事なら質量兵器の一つくらいは積み込んでおくんだった。)

 

 

次の攻撃は・・・ナニィィィィィ――――!!?

 

 

「全ドラグーン射出!そしておまけの投影、開始!」

ドラグーンを全てだし、ついでに目に見える範囲に落ちている武器の投影を開始する。

「チョロチョロと目障りだ。」

 

それが終わるとともに奴の背後の波紋が増え、そこから数えるのが億劫なほどの量の武具が顕われる。

 

衛宮・・・お前これ向けられてよく絶望しなかったよな。本当に尊敬に値するよアンタ・・・

 

「――――憑依経験、共感終了、工程完了。全投影、待機・・・」

「落ちろモブが!」

「停止解凍、全投影連続層写………!!!」

奴が武器を撃ちだすと同時に、こちらも展開している武器全てを使って迎撃していく。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

それでも撃ち落せない分は、シミュレーション能力をフルに使って確実によけていく。

 

「ほらほらほら!やはりこの程度のようだなモブ風情が!」

相手方が言っているのを聞き流しながら、自分の持ち合わせをフル稼働させて何とか拮抗させる。

 

 

 

「ふん、小賢しい真似を・・・ならば」

 

(この上さらに増えるのか!?・・・いったん戻して補充を待つしかない。)

 

シミュレーションを見て、飛んで来る武具を落としながらドラグーンを戻し、ビームサーベルを抜き、避けきれない攻撃を叩き落としながら策を練る。

 

(ビームライフル一丁、ビームサーベルは予備を含めて四本、ドラグーンは大型が1基と小型が6基。手数とスピードはまだこっちに分があるがあいつの魔力は間違いなく俺よりも上だ。おそらく生半可な攻撃ではシールドに阻まれて逆に致命的な反撃を受けることになる。)

 

「ふははははは!どうしたモブキャラ!所詮その程度か!」

 

界統の挑発が聞こえるが今は聞いてる場合じゃない。

飛んで来る武具をビームサーベル二刀流ではじきながら避け続ける。

 

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・よし、これしかないな。)

 

ビームサーベルの出力を落とす代わりに、先ほどよりも収束率を上げる。

 

先ほどよりも多少短くなってしまったビームサーベルを振るいながら、予備のビームサーベルと大型ドラグーン一つずつにそれぞれ少しずつ自分の魔力を圧縮して貯めていく。

 

(最大圧縮、および充填完了まで7秒、充填完了2秒後に攻撃を行う!)

 

 

---ヒュンヒュンッ ギュインギュインッ ヒュンッ

 

「チッ、チョロチョロと蠅みたいに動き回りやがって!うっとうしいんだよこのモブキャラがァアアアア!!」

 

まだまだ・・・

 

 

---ギィンギィンッ ザシュッ

 

「ぐううぅぅぅッ!!」

 

クソ、右膝を・・・

 

「あたりやがれ!」

 

「ま、まだだ・・・」

 

あ、あと1秒・・・・・・・・よし、充填完了!・・・ドラグーン射出!

 

「ふん、まだ抵抗するのか。いい加減くたばりやがれ!」

 

「ふざけるな!こんなところで何もできず、碌な幸せすらもつかめずに・・・」

 

ドラグーンを奴の背後に回り込ませながら全力で接近する。

 

「なに!?」

 

「テメェの勝手な理由なんかでむざむざと死ねるか!」

 

極限まで圧縮充填したビームサーベルをバックパックから取り出し

 

『Beam saber and wireless beam barrel ,limit break!!』

 

臨界点を超えて巨大化したビームサーベルを

 

「テメェがくたばれ!このDQN野郎おおおおおおおおおおおおッ!!!」

 

界統のシールドに突き立てる!

 

---ギャギギギギギギギギギギギギギギギギギギッ

 

「ぐ、こんなもので俺が負け{ドギュゥ―――――ンッ}グアアアアアアア?!」

 

奴の気が反れている間に後ろに回り込んだドラグーンが、奴を背後から狙い撃つ。

 

「(いまだ!)うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

行けぇ――――――――――――――――――――――ッ!!!!

 

「ぐうううううううう、天の鎖(エルキドゥ)!!」

 

---ジャラララララララララッ ガシャァ――ンッ

 

「な!?」

 

しまった!この鎖は!

 

「ぐが、ぎぃいいいい・・・・・・・・ふ、ふははははははははははははははは!少し焦らされたが所詮はモブキャラだな。この俺の前ではただのゴミ屑だ!」

 

---ガキンガキンッ

 

(駄目だ、どうやっても切れそうにない!)

 

背中のドラグーンもいつの間にか封じられている。これじゃあ反撃もできねえ・・・

 

「ククククク、この俺の手を煩わせたその罪、万死に値するぞ。」

 

界統が背後の波紋から剣を取り出し、俺の腕に向ける。

 

「まずは右腕を切り飛ばす。次は右脚、その次は左足・・・俺の気が済むまでとことんいたぶって殺してやる。」

 

(・・・クソ、こんなところで死ぬのかよ。こんな屑野郎のせいで・・・俺は・・・俺は・・・!!)

「さあ、まずはその右腕からだ。」

 

界統が剣を振り上げられ、俺の腕に向けて振り下ろされる。

 

俺はその姿を、ただ歯を食いしばって見ていることしかできなかった・・・

 

 

 

 

 

 

---ガキィ――ンッ ドシュドシュドシュドシュッ

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ?今界統の剣が跳ね返って・・・いやそれだけじゃない。

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!?!な、何だッ?!なんでお、お、俺の・・・俺の腕が?!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

界統の腕が・・・・・・突如穴だらけになったのだ。

 

「う、ごおおおおおおおおおおおっ!!も、モブ野郎・・・一体何を{グググッ}な、何だ?体も動かない・・・」

 

何を?それはむしろ俺が聞きたいくらいだ。いったい何が起こったのか・・・いや、それよりもさっきの出来事でエンキドゥの拘束が緩くなっている!

 

「{ガシャンガシャンッ}よし!これで動ける!」

 

しかし界統奴どうなって・・・待てよ?そういえばさっきから何か暗いような・・・・・・何時の間に雨が降ってたのか。道理で空が暗いはずだ。

 

「・・・なんだこれ?」

 

界統の体をよく見ると、何か透明の粒のようなものが大量に纏わりついており、それが界統の体を固定しているようであった。

 

「このモブ風情がああああああッ!!王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)!」

 

---ギャギギギギギギギギギギギギギギギギギギンッ

 

「ッ!?なんだと?!」

界統の放った武具も、いつの間にか空中に固定された大量の粒に阻まれて、あらぬ方向に飛んでいく。

 

「く、このモブ野郎が!この俺をコケにしてタダで済むと思ってん{ドガッ ブシュブシュブシュブシュ}ぎゃあああああああああああああああ!?」

 

俺に毒舌を放った界統はどういう訳か体をさらに後ろにのけぞらせ、固定された粒に背中を貫かれていく。

「・・・どうすりゃいいんだこれ。」

思わずそんなことを呟いてしまう。

 

 

---其処の君、聞こえるか。

 

「!!?」

何だ!?今小さいけど声が!

 

---落ち着け、俺は君の敵ではない。それと俺に話しかける時は小さな声で言ってくれ。こいつに俺の存在を知られたくはない。

 

「・・・いきなりそんなこと言われても信じられるわけないだろ。・・・誰だお前は。これはお前のせいか?」

 

---そうだ。ところで君はそいつをどうする?

 

「・・・・・・ここで始末しなければこいつは今度こそおれを殺しに来る。生かして帰すわけにはいかない。」

 

---だろうな。俺だって君の立場ならば同じことをする。その判断は正しいだろう。

 

「ああ、だから・・・」

 

・・・だが俺ならコイツに二度とこんな真似ができない様にもできる。こんな屑とは言え、わざわざ人殺しの業を背負って生きることもないと思うが・・・

 

「・・・・・・あんたは何者だ。あんたは自分を『敵ではない』と言った。だが正直あんたを『味方』とは言えない。姿すら見せない奴を信じて俺を殺そうとした奴を生かせと言われても無理があるだろ。」

 

---その発言はごもっともだ。同じことを言う様ですまないが俺も多分同じ反応をする。

 

「だったらせめて姿を見せてくれないか。こいつの記憶がいじれるのなら関係はないだろう。」

 

---・・・・・・それもそうだな。だがその前に・・・

 

「ぐ・・・なにもn{ドンッ}う?!」

 

謎の声がそういった後、界統がうめき声をあげて気絶した。同時にデバイスも解除される。

 

そして・・・・・・

 

「ふう、これでまずは一段落ってところか?まあまだ用件は残っているけどな。」

 

界統の隣辺りに人型の輪郭が浮かび上がり、それはやがて俺と同じくらいの年齢と思われる少年になった。

 

・・・・・・・・・・・・・なんだ?こいつどこかで見たことあるような・・・

 

 

 

 


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