デッドマンズN・A:『取り戻した』者の転生録   作:enigma

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書いていてふと気が付いたけれど、主人公は別世界のものとはいえ一応イエスさんのミイラ(完品)を持ってるんだよなぁ・・・それを使ってるところが聖人系サーヴァントたちにばれたら…



これはまずいですね(ゲス顔)


人理焼却?なにそれ怖い その五

Side:梶原 泰寛

 

 

「・・・・ぁああああ・・・・!!」

 

---ギィンッ ガキンッ ドォンッ

 

(・・・・・ぬ?この声はさっきのピンク髪のお嬢ちゃんか?それにこの音・・・戦っているのか?)

 

7分ほど歩いた時だった・・・・・廃墟の向こう側で聞き覚えのある掛け声とともに、硬いもの同士が衝突する音や破砕音が断続的に鳴り響いてきた。

 

(急げアヌビス神。)

「ああ。」

 

急いで音のする方角に走っていく。

 

 

 

 

(見えた!あの二人だ!)

 

建物の並ぶ街並みから飛び出て、俺たちは大きな橋の近くで立ち止まると音のする方角を目を凝らして見る。

約80メートルほど離れた石畳の道にあの特徴的なピンク色と赤色の髪の毛がよく見えた。

 

---ギギンッ ガンッガキンッ ガィンッ!!

 

「・・・・・・・おい、明らかに何かと戦ってるぞありゃあ。」

(・・・みたいだな・・・)

 

暗くて見えにくいが、ピンクの髪の少女の方が身の丈ほどの大きさはありそうな盾をどういうわけか振り回し、周囲を動き回る何かから必死に赤毛の少女を守っているのが見えた。

・・・・・・あれ?あれさっき倒したアサシンに似てるんだけど・・・細部は遠くてわからないけど黒いところとか微妙にぼやけてるとことか人型してるとことか…

・・・まずくないか?見たところ性能的にはお互いそこまで差があるようには見えないが戦闘経験に差があるのかピンクの子が手玉に取られてるように思う。おまけに後ろに控えてる赤毛の子が足枷になってるし。

これはさっさと駆けつけないとまずい・・・!?

 

「危ないマシュ!そこから下がって!」

「え・・・っ!?」

 

赤毛の子がそう言ってマシュと呼ばれたピンクの髪の少女が下がった直後、彼女の頭上から突然空中に現れた黒い影が強襲し、石畳を自前の武器で叩き割っていた。

2対1か、一体相手でも手古摺ってたんだからありゃ一斉に来られたら確実に死ぬぞ。かといってこのまま倉庫出しっぱなしじゃ間に合いそうにないし…

 

(アヌビス神、いったん倉庫を閉じるぞ。ゲートを開けてあの場に一足飛びする。)

「チッ、後でちゃんと呼んでくれよ!」

(分かってるからはよ。)

 

・・・よし、主導権が戻った!急いで頭からディスクを抜き、鍵の宝石部分に放り込んで倉庫を解除する。そしてアライブが左手にリボルバーを持ち、右手を前に出して眼前に向こうと繋がる穴を開け始める。

 

「ソレデヨイ。藻掻クガヨイ。無様ナ者ホド面白イ!」

「・・・・・・それでも戦うしかありません。死中に活を見出します……!」

 

ゲートの準備が整った直後、敵のものと思わしき声が穴の向こうからこちらに届く。

そしてそれに対し、あの盾を持った少女の、震えつつも強い覚悟を感じる啖呵も聞こえてきた。

・・・・・いいねぇ、この感覚。自分の全てを駆けてでも明日を掴みに行くこの気迫。

正直足手纏いになるかと思ったが、この分なら時間さえかければ頼りになる面子になるかもしれん。

 

「ソレデハ…オ覚悟ヲ。」

 

サーヴァント二体が疾走し、彼女達との距離を一気に縮めにかかった。俺は目の前に明けた空間の穴に銃口を突っ込み、相手の動揺を誘うためにその穴の向こうへと声を出す。

 

「良い啖呵だ。恐怖を正しく知りながらそれでも立ち向かうその勇気。人間賛歌はやっぱりこうでなくっちゃな。」

「ナニ!?ダレデスカ!?」

(足が止まった、今だ!)

 

---ドゥンッ ドゥドゥドゥンッ ドゥンッ

 

その声が聞こえて足を止めたサーヴァントたちの目の前に穴を開け、リボルバーを連射する。

向こうではその銃撃を、寸での処で勘付いた黒いサーヴァントたちが後ろに飛んでなんとか躱していた。

今ので始末しておければ楽だったのだが、まあいい。後は直接ぶちのめすまでだ。

 

「ゲート拡張。」

 

穴の大きさを自分が通れるサイズにして入る。中を潜り抜けた先はさっきまで自分が見ていた修羅場の真っ只中で、俺はゲートを消して後ろで唖然としている二人へと話しかけた。

 

「あ、どうもどうも。お待たせお二人さん。何とかパーティーには出遅れずに済んだみたいじゃない?」

「あ、貴方は・・・・・・」

「・・・・・さて・・・」

 

---ドゥッ! ギギィンッ!!

 

頭の後ろで、火薬の炸裂音と金属が急な負荷で引き千切られた様な音が木霊する。

後ろを振り向けば、今アライブが撃ったリボルバーの銃口から煙が立ち上っていて、五メートル先の石畳に敵サーヴァントの投げた鎖付きの杭の残骸が転がっていた。

そこから更に25メートル先から、黒い靄で表情はわからないが女の方の敵サーヴァントから自分の獲物を破壊された怒りと、得体の知れないものに対する警戒心が混じった鋭い殺気が俺へと向けられている。

 

「・・・・・・・貴方、何者ナノデスカ?ドウヤラさーヴぁんとデハナイヨウデスガ・・・礼呪ガナイトコロカラ見ルニますたートイウワケデモナイ様子・・・」

「何者か・・・ね。それについてはお前らの首が落ちた後にでもゆっくり語らせてもらうよ。時間もあんまり無いしね。」

「愚カ者ガ・・・!妙ナ者ヲ従エテイルトハイエ所詮ハ人間風情ダ!我ラさーヴぁんとヲ前ニ・・・」

「本当にそう思ってるならさっさとかかってこいよ。雑魚の相手なんかしてられないんだよこっちは。まあやる気になったとしてもそこから一歩でも動けるかどうか怪しいけど。」

「貴様…!!」

『ちょ、ちょっと!どこの誰かは知らないけど下手に挑発してはいけない!相手はサーヴァントなんだよ!?生身の人間が敵う相手じゃないんだ!』

『そうよ!いったい何を考えてるの貴方、死にたいの!?というか誰よ!?』

「?なんだこの声、頭の中に直接響いてくるような…」

 

背中に大量の武器を背負った男のサーヴァントが俺の挑発に怒りを滲ませている最中、どこからともなく男と女の声が聞こえてくる。

敵・・・ではなさそうだな。これと言ってやばい感じもなさそうだし、何より後ろの二人が特に驚いていない。ひょっとしたら俺にだけ聞こえるようにしているのかもしれないが。

 

「今更モウ遅イ!我ラヘノソノ侮辱、死ノ淵ニテ後悔サセ・・・」

(アライブ・ザ・ワールド!)

 

男のサーヴァントのセリフの最中に時を止める。

動きの止まった彼らに俺は意識を集中させ、閻魔刀の鞘を右手に持ちながら腰の位置を低くし・・・

 

---シャッ パチンッ

 

柄を手に取った直後、抜刀と納刀を即座に終えて直立し直す。

 

「一秒経過…やっぱり一歩も動けなかったみたいだな、アンタ。時は動き出す。」

 

---ブシュゥウウッ!!

 

「ナァッ!?」

「グォオッ!?」

「「!?」」

 

時が再始動した直後、両手両足が綺麗に落ちて態勢が保てなくなった敵サーヴァントたちがその場に音を立てて倒れ込む。

 

「アライブ。」

『アイアイサー。』

 

俺はアライブに命じ、倉庫から出されたホワイトスネイクとキング・クリムゾンを装備しながら倒れたそいつらに駆け寄っていく。

 

(予知にこれといった異常はない。無事に終わらせられるな。)

 

エピタフが前髪に映す予知の映像に無事に連中のディスクを回収している俺の姿を確認して、俺はホワイトスネイクを前に出しながら奴らの手前三メートルの位置まで近づいた。

 

「オノレ・・・!オノレェエエエエエエエエエッ!!」

arrivederci(さよならだ)!・・・てね。」

 

未だに呆然としている女のサーヴァントと、断末魔を上げる男のサーヴァントにホワイトスネイクをけしかけ、それぞれの頭に手刀が刺さる。

二秒ほど差し込んだ後ホワイトスネイクが二人から二枚ずつディスクを引き抜いて戻ってきて、更に彼ら、彼女らの肉体が消えた後に残ったあの虹色の金平糖擬きを拾い上げたら、ようやく一息つく。

 

「ふぅ、とりあえず当面はこれで問題なし。後は・・・・・」

 

---チラッ

 

「あいつらになんて説明していくか・・・・・・憂鬱だ・・・」

 

予想通り唖然としながら俺のことを凝視している二人の見ながら、俺はこれから起こるであろう一悶着を予想しながらため息をついた。面倒くせぇな・・・・・・

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・あの、助けてくれてありがとう。」

「ああ、一応聞いておくけど怪我とかやばい状態異常になってたりしない?具合が悪かったりとか…」

「ううん、私の方は大丈夫だよ。マシュは?」

「私も特に問題はありません。いったい何をやったのか全く分かりませんでしたが、おかげで助かりました。ご助力感謝いたします。」

「フォウ、フォーウ。」

 

サーヴァント退治から少し時間を置き、ようやく落ち着いた彼女達は、服装を正して俺にお礼の言葉を述べた。(何言ってるのか分からん奴が一匹いるが)

見たところ大した怪我等もないようで、こちらとしては一安心である。

 

「どういたしまして。いやほんと、無事でよかったよ。特にそっちの子はせっかくカルデアで助かったのにこんなところで死なれたら後味悪いし。」

「「・・・・?」」

「あの、今のはどういうことで・・・」

 

---ピピピッ パァーーッ

 

『・・・んん!どこの誰かは知りませんがそこの貴方!いったい何者かしら!?さっきの戦闘の件からして、ただの人間というわけではないようだけど。』

「・・・あ、カルデアの所長。ということは管制室は復旧できたのか。」

 

ピンクの髪の子が何か言いかけたところで、地面にカルデアの紋章らしきものが浮かび上がったと思ったらその位置の上にカルデアの所長・・・オルガマリー・アニムスフィア?の姿がホログラム映像として空中に投影された。

そのことを把握して、さっき脳内に響いていた男女の声が復旧したカルデアの管制室からの通信によるものだったのかと俺は一人で納得する。

 

「ふむ、まあ取りあえずタイミングもいいので、まずは自己紹介からさせていただきましょうか。えーーー、では改めまして皆さん初めまして、こんにちわ。私は梶原泰寛と申します。なんか気が付いたらカルデアの施設内の廊下で倒れていまして、この特異点に来る前はそちらの施設内で起こった爆発で壊れた物の修復とか、後は怪我人の治療とか蘇生とかをしてました。年齢は現在十八歳。そちらからしてみれば私は実に怪しいことこの上ない存在だということは承知しておりますが、人類史の保障というそちらの業務には是非とも協力させて頂きたい。」

『爆発・・・・!?』

「それは・・・先輩、ドクター、確か我々が管制室の前で目覚める前に・・・」

『うん、僕と藤丸ちゃんがレフに呼ばれた後、火災警報が鳴り響いたから二人で管制室へと急いで駆け付けたんだけれど…そうか、所長や職員、他のマスター候補者たちが管制室の前で寝転がっていたのはそう言うことだったのか!あれは彼が皆を外に出して管制室の火災を収めた後だったんだ!』

『・・・・あ、貴方、こんな時にそんな見え透いた嘘をつくなんて言い度胸してるわね!』

 

キリエライト、藤丸、あとホログラムに移ったどこか緩そうな雰囲気の男が納得しかけていたところで、所長が猜疑心丸出しの態度で俺に怒鳴りつけてくる。

 

「と、言うと?」

『決まってるじゃない!ロマニや藤丸が警報を聞いてからここまで来るのに、最低でも五分はかかるのよ!?その間に管制室の内部を全て直し、私たちの介抱もしてたっていうの!?有り得ないわ、そんな話!』

「それに関してはまずはこれを見ていただけると多分わかりますよ。アライブ。」

『ヘイヘイ、アレデスネアレ。』

 

俺の傍にアライブが姿を現し、鍵の宝石部分に手を突っ込んでカルデアの時使ったディスクを取り出し始める。

 

「・・・あの。」

「ん?どうかしたか?・・・えッと・・・」

「?」

「・・・・今更だけど俺、お宅のことなんて呼べばいいんだ?」

「{ハッ}失礼いたしました。そういえばこちらからの自己紹介はまだしていませんでした。」

「・・・あ、ほんとだ。そういえばいろいろありすぎてすっかり忘れてたね…」

 

ピンクの髪の子は今気が付いたようにそう言って、赤毛の少女も右手で軽く右頬を撫でながらうっかりしてたと言わんばかりに後に続く。

そして二人は思い立ったようにコホンッ、と軽く咳払いした後、言葉を続ける。

 

「今更だけど挨拶させてもらうね、私は藤丸立香。実は今日カルデアに来たばかりのマスター候補・・・・・だったんだけれど、気が付いたらこの通り、ここにいるマシュのマスターになってたんだ。いろいろとお世話になるかもしれないけど宜しくね。」

「マシュ・キリエライトです。先輩のサーヴァントとして、この特異点を修復するべく全力を尽くしていく所存です。まだまだ未熟な身ではありますが、お互い頑張っていきましょう。」

「フォウ!フォウフォーウ!」

「あ、紹介が遅れていましたね。此方はフォウさん。カルデアを自由に散歩できる特権生物です。」

「ああ、三人?ともよろしく頼む。」

『出セマシタヨ。ハイドウゾ。』

 

---ズブズブズブッ

 

「ちょ!?なんかCDみたいなのが突然出てきて頭に突き刺さったよ!?大丈夫なのそれ!?」

「問題無し!何時もの事だ。」

「これがいつものことなの!?・・・あれ?どうしたのマシュ?」

「・・・先輩、私はどうしたらいいのでしょうか…先ほどから聞きたいことが次から次へと出てきて頭がどうにかなりそうです…」

「お、落ち着いてマシュ!いったん深呼吸して頭を整理しよう!この件に関しては正直私も心の片隅に置いておくべきだと思う!」

 

アライブが後ろから突き刺したディスクが入り、混沌とした雰囲気になってきている二人を置いておいて俺は取りあえずメイド・インヘブンとクレイジー・ダイヤモンドを側に出す。

 

「ええ~~、それではまず所長さんに指摘された時間に関する問題の解決方法をお見せします。【メイド・イン・ヘブン】」

 

---シュンッ

 

「「『『!?』』」」

「ファ―――――――!?」

 

 

自分の時間だけをまずは二十倍に加速し、その場を彼女達の感覚で6,7秒ほど動き回るつもりで走る。

 

『!?なによこれ!』

『これは・・・・・・時間操作の魔術か!?いや、それにしては魔力らしい反応がないし・・・何よりなんだこの時間の進み方は!?彼の動きだけがとんでもなく加速されている!こんなことがあり得るのか!!?』

 

皆が驚いている中、男が俺の行っている現象について考察を述べる。

・・・これくらいでいいか。

 

---ピタァッ

 

「とまあ、こんな具合で時間の方は短縮させていただきました。ちなみにやろうと思えばどこまでも速くなれますので悪しからず。」

「「『『・・・・・・・・・・』』」」

「さあ、それじゃあついでに皆さんの怪我とか施設内の修理の方法も見せちゃいましょうか。【クレイジー・ダイヤモンド】」

 

全員の表情がこんな感じ→(゚Д゚)で固まっている中、河川沿いに敷かれている落下防止用の柵へと近寄っていく。

 

『ドラララララララララララララララララララララララララララッ!ドラァアッ!!!』

 

射程範囲内に入ったところで、クレイジー・ダイヤモンドを前に出して柵を粉微塵になるまで只管殴らせる。

砕け散った柵の残骸は弾丸の様なスピードで目の前の河川の向こうへと飛んでいき・・・途中で能力を発動したことによりあっという間に戻ってきて何事も無かったかのように元通りの柵になった。

オーバーヘブンは・・・まあこれは今は置いておこう。強力過ぎて下手に当てにされても困るし。

 

「とまあ、こんなところですかね。納得していただけましたか?」

『・・・・・・・・・え、ええ、わかったわ・・・・・他にも幾つか聞かせてもらってもいいかしら?』

「質問の内容によりますが・・・」

『・・・・・・・・・貴方は、この男に見覚えがあるかしら…?』

 

目の前にあのプレゼンテーションの時に所長の隣にいた、緑色のスーツと帽子を被った男が映し出される。

 

「ええ、ありますよ…と貴方の参謀の様な立ち位置にいた方ですよね?その方については大変申し訳ないのですが、僕の力では死体の欠片すら残っていないような相手の治療や蘇生は出来ないのでその方は助けられませんでした・・・」

『ッ!!・・・・・・そう・・・・・わかったわ、ありがとう・・・』

 

悲痛な声を押し殺しながらそう返答する所長。心なしかキリエライトや藤丸の表情にも陰りが見える。

 

『次の質問よ。貴方はいつからカルデアにいたの?』

 

しかし少しすると所長はすぐに表情を引き締め直し、次の質問に移った。その切り替え様に俺は彼女の組織のトップとしての意地を感じながら答えていく。

 

「レイシフト作戦が行われる一時間半くらい前ですね。確かマスターへの説明会が行われる前にいつの間にか施設内の廊下にいて、(本当はちょい違うんだが・・・この辺りは説明が難しいんだよなぁ…)気が付いた後は誰にも見つからないようにこっそり移動してたら管制室を見つけて、そこで貴方の説明を一通り聞きましたよ。」

『・・・・・そう、ということは詳しい事情も既に知っているととってもいいのね?』

「まあ説明会で言っていたことの範囲ならば。」

 

俺は説明会で彼女が言っていた大体の内容を掻い摘んで言っていく。

 

『・・・・結構。貴方の正体が何なのか…他にも聞きたいことは山ほどあるけれど、今は置いておくわ。カルデアの監視システムや警報システムにある情報や、ロマニたちの発言から考えて貴方が私達を助けてくれたということはおそらく事実でしょうから。』

 

俺からの説明が終わると彼女はある程度納得したようで、そう言って一呼吸置いた後・・・

 

『梶原 泰寛さん。カルデアのトップとして、貴方に今作戦への協力をお願いします。今後は我々の指揮下で動いてもらうこととなりますが何か異論はありますか?』

「いえ、無いですよ。皆さん、どうかよろしくお願い致します。」

 

俺は気を付けの姿勢になり、藤丸、キリエライト、所長の三人に向けてそう言いながら頭を下げた。

 

「いえ、こちらこそよろしくお願いいたします。」

「足引っ張っちゃうことがあるかもしれないけど、お互い頑張ろうね!」

『・・・それじゃあ三人とも、早速だけど一端霊脈のターミナルに戻って。そこでやってもらうことがあるわ。』

 

「「「了解です。」」」

 

所長の名を受け、俺たちはまず彼女たちが設置したというベースキャンプへと戻ることになった。

 

「・・・・・・ところで一つ聞きたいんだが、俺の記憶違いじゃなければキリエライトさんは確か普通に人間並みの身体能力しかなかったはずなんだが・・・・・・というその姿はいったい…」

「あ、はい。それについてですが実は・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、じゃあ現状英霊としての力はあるけど宝具は使えないと・・・・・」

「はい、皆さんには申し訳ありませんがそういうことになります…」

 

霊脈のある場所へと行きながら、俺はマシュの滑降や戦闘能力に関する理由を一通り聞き終えた。

ふぅ~~~~~ん、まあ俺も流石に英霊になったことがあるわけでもないからその辺は詳しくはわからねえし、この件はさすがに保留かな・・・・・本当にやばい局面になりそうだったらその時は藤丸に礼呪を使ってもらって無理にでも使わせて感覚を覚えさせる手もあるし。ステイナイトとかZEROと違って、カルデアのマスターの礼呪は一日に一角補充されるそうだからな。重要なのは違いないがそこまで惜しむ必要がないのは純粋に素晴らしい。

 

「あ、着いた。ここだよ。」

 

そうこうしているうちに、言われていた場所についたことを藤丸が告げる。

・・・・・・えぇ~(困惑)どう見てもさっきまでと同じ廃墟の真っ只中なんですがそれは・・・

 

『マシュ、ターミナルに盾を置いてちょうだい。』

「了解しました。」

 

キリエライトはそう返すと少し離れてから、自分の盾を地面に置く。

すると彼女の盾を中心として青白く輝く魔法陣や幾何学模様が空中に現れ、周囲の景色が赤黒い廃墟群から綺麗な星空の中にいるような風景へと変わった。

俺がその光景に驚いている中、所長が言葉を続けていく。

 

『三人とも、今から貴方達には英霊召喚の儀式を行ってもらうわよ。さっきまでの戦闘で分かったように、今の私達には決定的に戦力が足りない。梶原がどの程度戦えるかは今のところ分からないけど、それでもこれから先あれ以上に強力な敵が出てこないとも限らない以上、出来得る限り戦力を強化させておく必要があるわ。』

「まあ確かに、俺達だけじゃ敵わない様な奴がこれから先出てこないとも限りませんからね。でもいくらカルデアのバックアップがあるとはいえそんなにたくさんのサーヴァントを一度に運用するのは無理なんじゃ?」

『ええ、おそらく現状の彼女の魔術回路の強度から考えて、貴方達が運用できるサーヴァントは後一体が限度と考えられるわ。梶原は魔術回路が無いから召喚しても魔力供給が出来ないし。』

 

・・・・・・後で魔術回路を作っておこう。多分これから先必要になるわ。

 

「え?そうなの?」

「はい。カルデアから魔力の供給自体は行われますが、基本的にそれはマスターの魔術回路を通して行われるものですから・・・・・・というか私は、梶原さんに魔術回路が無いことに驚きました。本当に魔術師ではなかったのですね…」

「・・・言っておくけどお前、別に魔術だけが神秘なわけじゃねえからな。世の中には燕を切ろうと一心不乱に剣を振り続けてたら剣の技術だけで多重屈折現象を起こしたNOUMINもいるし。」

『なにそれ!?ちょっとそのあたり詳しく…』

『あんたたち!馬鹿なこと言ってないでさっさと始めるわよ!ロマニ!あれを送って!』

『は、はいごめんなさい!いますぐやります!』

 

優男…ロマニ・アーキマンがNOUMINの話題に食いつきかけたが所長に怒鳴りつけられ、慌てて何かの準備をし始めたようだ。

その7,8秒くらい後に、盾の上で放電現象とともに空間が歪んで何かが姿を現した。

 

「・・・あれ?これってあの金平糖擬き?」

 

出てきたのは俺がサーヴァントを倒した時に出てきたあの虹色の金平糖のような物質が三個ほどだった。

俺がそういうと、キリエライトからの補足が入る。

 

「梶原さん、これは聖晶石と言って、カルデアで英霊召喚の際に用いられる触媒なんです。」

「ほぉ~~ん、これがねぇ…」

『本当は他の触媒とかも一緒に送りたかったのだけれど、生憎今はそれだけで精一杯よ…いい?藤丸、ぶっつけ本番だけれどちゃんと強い英霊を呼ぶのよ。そうね……理想を言えば命令を聞くだけのバーサーカーがいいんだけど、それは貴女には荷が重いでしょうし三大騎士クラスかライダーにしなさい。キャスターだけはだめよ!』

「は、はい、よくわからないけどやってみます。」

『ちょっとなによそのふわっとした言い方は!?とにかく!真面で即戦力になるような英霊を召喚しなさい!私を敬って、私を称えて、私を気遣って、私を裏切らない、私を褒めて、私を守って、私の命令に従う、そんな最高のサーヴァントを召喚するのよ!!」

「そういうのは自分で召喚して、どうぞ。」

「落ち着きましょう所長!途中から本音がダダ漏れしてます!」

『うるさいわよあんた達!さあやりなさい藤丸!所長命令です!』

「(そんな都合の良い存在がいる訳が無いんだよなぁ~)まあ取りあえずさくっと済ませようか。どうせ触媒もないんだから相性のいい奴が出てくるでしょ。」

「う、うん・・・それじゃあやるね。」

 

藤丸は苦笑いをしながらそう返し、俺から手渡された聖晶石を受け取って魔法陣に向き直る。

 

 

 

「・・・・・・・・・・ねえ。」

「ん?」

『なに!?何時までも怠けてないで早く・・・』

「いや、あの、召喚ってどうやったらいいのかなぁ~って…」

「「『・・・・・・・・・・』」」

『ああ、うん、藤丸ちゃんは召喚するって考えながら盾の上に石を投げてくれればいいよ。正式な英霊召喚なら確かに一定の召喚過程を踏まないといけないけど、カルデアの召喚システムはそれもこっちでカバーできるから。』

「そ、そうだったんですか!あはははは・・・」

『・・・・・・ハァ――――――、凄い不安だわ・・・』

 

こっちから協力を申し出たとはいえ全くである。

ロマニからの助言もあり、やり方が分かった彼女は皆からの視線から逃げるように俺たちに背を向けて聖晶石を盾に向けて投げる。

 

---キュオオオオオ・・・・シュインッ!!

 

投げられた石は粒子と化して盾に吸収され、それが魔法陣と十二個の光の球となって広がる。

球は魔法陣の上で回りだし、一つの輪になったかと思えばそれが更に三つの輪へと変わり、魔法陣の中心で収束して光の奔流となって天へと目掛けて昇っていく。

 

『この反応は・・・キャスタークラスの霊基です!』

『藤丸!あんたって娘は――――!!』

「そんな理不尽な!?」

 

藤丸が所長から理不尽なお怒りを受けている中、俺は目を細めながらその光の奔流が収まっていく様子を見る。

そしてようやく光が収まりその中心に表れた存在を俺は視界に収めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ンン~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼ばれるのが早すぎやしませんかねぇ・・・サーヴァント【キャスター】、召喚に応じて来てやったぜ。早速だが何をすればいい?俺はこの通りだから基本後・・・・方・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・何やってんの矢島?」

 

召喚に応じたのは、昨日まで俺と一緒にいた親友だった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・え?どういうこと?

 

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