このゲーム、名乗られたり情報として取得していない限りは、たとえ原作キャラであっても相手の名前が「???」とか「巫女」とかになります。
ですが、原作キャラと近距離で向き合った時にはちゃんと立ち絵が表示されます。
例のよく使われている絵師さんの立ち絵ですね。見間違えるはずもございません。
名前こそ白狼天狗とありますが。間違いなく犬走 椛ちゃんでしょう。
……スゥゥウウウウ……(諦観)
いや、死ぬとかそういうわけじゃないんです。ゲームオーバーになるわけではないと思います。
むしろ、山で椛とかち会った場合はかなり寛大な処置を受けます。通常プレイならば逆に運が良いでしょう。
問題はこれが通常プレイではなく、RTAということです。悲しいなぁ……。
妖怪の山をうろつく人間が白狼天狗などの哨戒役に見つかった場合、威嚇されて警告を受けます。
山を降りるか、ボコボコにされて山を降りるかです。なお相手によってはボコボコどころか普通に殺してくる場合もあります。それだけ、妖怪の山は天狗たちにとって聖域扱いされているんですね。縄張り意識が強いとも言います。
相手の懐に入り込めれば、この警告や追い払いを食い止めることはできます。
三ツ葉ちゃんの場合は色々な奇跡もあってそんな状況に持ち込めました。
しかし、普通の白狼天狗は違います。個人によって多少の数値のブレはありますが、基本的に皆職務に忠実なのです。
中でも椛はとびきり頭の堅い方です。ちょっとやそっと仲良くなったくらいでは、なかなか彼女からの入山許可はもらえません。温厚なので戦闘に発展することは稀ですが、丁寧に脅されて人里まで追いやられます。
はい、人里行きルート濃厚です。
山歩き終了のお知らせだぁ……。
チャートが……ちゃーんと書いたチャートが……。
「お前は……何者だ?」
アッ。ひょっとすると疑惑値クズ運で即殺ルートかもわからんぞこれ。
疑惑値が一定を超えているとそのまま殺伐戦闘に突入することがあります。
「これも仕事のうちなのだ。話してもらおうか」
……ん? キーワード選択画面が出てきました。
あれ、弁明の余地がある……? どうやら疑惑値関係のものではないです。てことは……今回のイレギュラーな要素は大体三ツ葉ちゃん関係なので、彼女とのやり取りが今の状況を生み出しているようですね。
もしかして……師弟関係だから? 関係ボーナスがあるとか?
それか三ツ葉ちゃんを起点にほかの白狼天狗にも信頼値が伝播していたのかもしれません。
とにかく、取るべき選択は決まっています。
◾︎「三ツ葉」
「やはりか。あの天狗は……なるほど、師弟関係だったと。あの三ツ葉とね……」
>白狼天狗は静かに悩んでいる。
どうやら椛と三ツ葉ちゃんは知り合いのようですね。
原作キャラとモブキャラに繋がりがあるのは珍しいことではありません。
また、相手が悩んでいるということはそれなりに心が揺れているという証でもあります。
これはチャンスです。どうにかして椛からの信頼を勝ち取りましょう。勝ち取りたい……勝ち取りたくない?
◾︎「礼節」
「……人間よ。妖怪の山はその名の通り、妖怪が暮らす山だ。修験者であろうと、天狗の領域に人が踏み入ることは許されない。場所が悪かったな、としか……」
信頼は勝ち取れましたか……? (小声)
「私は哨戒天狗の犬走 椛。だから私は職務上、お前に言わねばならない。いい? 私の言うことを聞くように。今すぐ道を引き返し、さっさと住処に帰りなさい」
>犬走 椛は剣を向けて威圧している。
おや……これは。
これはもしかして……もしかするかもしれませんよ?
◾︎「従う」
「それでいい。名も知らぬ修験者よ、さらばだ」
>あなたは道を引き返すことにした。
……いよっしゃァアアア!
オーケー、セーフ! セーフです! アウト寄りでもない完全なセーフでした!
人里にドナドナさせると思っていましたが、想定以上に椛が有情で助かりました。
知ってか知らずか、彼女は人里まで追い払うのではなく、私に住処へ帰るように促したのです。
当然、私の住処といえば山小屋しかありません。だから山を出る必要はないのです!
また、椛側も私の名前を聞くこともなく、ただ一人の人間を追い払った事として処理するつもりのようです。ありがてぇ……名前が広まるのはマイナスにしかならないので助かります。
ネームドの強キャラとかちあうトラブルこそありましたが、どうにか五体満足で帰還できました。帰って来れたァー!
さりげなく椛の名前も取得できたのでホクホクです。話題が広がるのは嬉しいですねぇ!
山小屋に到着したら暗くなるまでの間、恒例のクラフトをします。
今回は採取したシロツメクサを使って装飾品を作っていきます。
材料は木材アイテムとシロツメクサの花。
はい完成です。超低レベルのクラフトなのですぐに仕上がります。
完成品はシロツメクサのかんざしです。超低レベルだけど一個失敗しました。鈴木ェ……。
あとは石を使って石斧なんかも作ってみます。斧があれば立ち枯れた木からの薪の採取効率が上がるので、長い目で見ればお得なんですね。
クラフト失敗。おい! 鈴木! お前いい加減にしろよ!
工作スキルはもう本当に長いスパンでやっていくしかありません。
低レベルではゴミを生成するのが関の山ですからね。修行期間と思ってやっていきましょう。
暗くなってきたら、火を熾してゲロマズそうな山菜料理を作ります。
料理も回数熟すことが重要ですからね。人里に下りればもう少し美味しいものが作れるようになるので、それまでの辛抱です。
瞑想を挟みつつやることやったら、寝ます。
ウゥーン……(就寝)
オッハ────!!
12日目になりました。
>一休みしてステータスが変化した。
うん、(伸び代が)美味しい!
工作もほどほどに伸びていい感じです。そろそろ石斧とか作れるようになりたいですねぇ。
>あなたは世界を取り巻く神秘の力に一歩近づいた!
>スキル「神秘の知覚」を獲得した。
そしてついに霊力が一定を超えたため、不思議エネルギーを把握できるようになりました。
幻想郷の住人により近づけたということでもありますし、ようやく術関連の技が解禁されたということでもあります。
>果敢「退魔の打擲」を入手した。
>果敢「退魔の蹴撃」を入手した。
>堅実「退魔の解放」を入手した。
>謀略「退魔の一喝」を入手した。
神秘の知覚に伴ってスキルカードを入手しました。全部霊力関連の技ですね。
基礎威力も高く、妖怪に特攻があります。入れない理由がないので、すぐにデッキにぶち込んでやるぜー。
さーて、これでようやく雑魚妖怪相手にも一方的な
本日はここまで。ご視聴ありがとうございました。