ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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μ's編
第9話「夜の戦い!」


 

 その夜、飛鳥は家の周りを見渡していた。神様もいる。

 

「本当にいいおうちをご用意して頂きましたね」

「これでストーカー対策は万全だ」

「何かある前提なのが、少し気になりますけど」

 

 飛鳥が住んでいる場所は、入居者が飛鳥以外いない高級マンションの一室だった。

 

「まあ、ワンルームだから掃除は楽そうだけど」

「いざとなればハウスキーパーや、クリーニングも頼めるぞ」

「居たり尽くせり!! 何かあの人達が駄目になる理由が分かる気がしてきた…」

 

 あまりの待遇の良さに飛鳥は頭をかいた。人間、楽な方に流れていくのは簡単である。

 

「マナーの良い転生者はそういう所もきちんと守ってくれるが…、飛鳥よ」

「何でしょう」

「こういう仕事をしてきて、今までこんなに女性から好意を寄せられる奴、あんまりいなかったぞ。しかもチートなしで」

「またまた。御冗談を」

 

 飛鳥はそう言ったが、本当に勘弁してほしかった。別れるのが非常に辛くなるから。結婚相手は一人に絞らなければいけないし、アニメの女の子と結婚するなどありえない。でも、少なからず情はある。人間だもの。

 

「ちなみにこのマンションにはトレーニングルームも完備しているので、超能力者としての修業も出来るぞ」

「神様の力ってすごい!(大汗)」

「君も凄い。本当に人間かね?」

「人間です」

 

 超能力者であるが故、たまにそう言われる事もある。ちなみに超能力を使うときは、救助がメインで、戦闘ではあまり使わない。それだけ体力を使うのだ。

 

「大技ばかりに頼っても、足元を掬われるだけだしのう。フォーと来たらすぐ大技に頼るからのー」

「……(汗)」

 

 その時、飛鳥の腹が鳴った。

 

「今日は外食しよう」

 身支度する飛鳥。

(この生活…いつまで続くのかなぁ)

 

 飛鳥は心配していた。元の時間に帰る時は、旅立ってから5秒後しか経ってないと聞かされていたが、それまでの間、仲間はどうしてるか等心配になる。

 

 しかし、これも仕事であるため、飛鳥はそのまま外に出ることにした。

 

 マンションを出る飛鳥。

「周りは誰もいないようですね…」

「そうだな」

「近くに食堂屋が何かあればいいんですけど…」

「あるよ」

 

 神様は同行せず、あの世からテレパシーで飛鳥と会話していた。

 

『食堂 ダシマ』

 

(ネーミングセンスェ…)

『いちいち名前つけるのめんどくさいんだろうな。覚えるのもめんどくさいし』

「…まあいいや、あそこで夕食にしよう」

 

 飛鳥が食堂ダシマで夕食を済ませた。

 

「何でもあるな…。ビュッフェ形式」

「ちなみに君はこの店のプレミアム会員なので、良い値段で食事が楽しめるぞ☆」

「朝が500円、夜が1000円ですもんね。そりゃ安いわ」

 

 と、飛鳥はチャーハンを大量に食べた。

 

 そして食事が終わって、飛鳥が店から出てきた。

「ふー、食った食った」

「良く食べるな。君はサ○ヤ人か?」

「地球人です…ん?」

 

 飛鳥がBを見かけた。何やらにやにやしていたし、飛鳥が直感的に嫌な予感を感じ取った。

 

「あの人は…如何にも何かしそうなんですけど」

「どうする?」

「…まさかとは思いますけど」

「神がそんな事するか」

「ですよねー」

 

 飛鳥が真剣な顔で見つめる。神様がアトラクション的な何かでトラブルを起こそうとしているのではないかと考えていたが、本人が否定したため、飛鳥は神様を信じることにした。

 

 とある道路

 

「……」

 一人歩いていた絢瀬絵里は嫌な悪寒を感じた。生徒会の仕事があり、夜遅くまで残っていた。

 

(や、やっぱり誰かにつけられてる…ストーカーかしら…)

(間違いない…やっぱり絢瀬絵里だ…オレの絢瀬絵里…)

 絵里に近づいている事もあり、バレないように変装しているB。絵里が家に向かって早く走るが、Bは逃がさないように追尾する。

 

(イヤ…!!! 誰か助けて…!!!!)

 絵里が家の近くまで来た。

 

(フフフフ…ここが絢瀬絵里の家)

 Bも絵里の家を特定して、気持ち悪い笑みを浮かべていた。

 

 すると絵里は転んだ。

「きゃっ!!!」

 転んで顔を上げる絵里は青ざめた。それもそのはず、後ろから気配を感じていたからだった。

 

(転んだ! 助けて好感度アップだ…!! 君の王子様が助けに行くヨ♪)

 Bが近づこうとすると、絵里が振り向き、目が合った。

 

「い、いやああああああああああああああ!!!!!!! 来ないでぇぇぇぇえええええええ!!!!」

 絵里が泣きながら悲鳴を上げた。

「え? え?」

「お姉ちゃんどうしたの!? あ!!」

 

 絵里の妹である絢瀬亜里沙がマンションの入り口から出てきて、Bと鉢合わせした。

 

(あ! 妹の亜里沙!)

「あ、ああ…!!!」

 亜里沙もBの顔を見てパニック状態になっていた。それもその筈だ。姉がBを見ておびえているのを見て、明らかにヤバい奴だと感じていたからだった。

 

「あ、ぼ、僕は怪しい者じゃないよ!? ほら!」

 Bが顔を見せてイケメンスマイル(笑)を放った。

 

「……!!!」

 亜里沙は完全にBの事を不審者と認識した。

「あ、あり、あり、亜里沙!! あなたは危ないから家にいなさい!!」

「ご、ゴメン…。あ、足がすくんで…!!」

 

 と、亜里沙も恐怖で動けなかった。これはアトラクションなんかではない。本当におびえているのだ。それもそうだ。飛鳥達から見たらアニメのキャラクターだが、彼女たちはこの世界で飛鳥達と同じように「普通の人間」として生きているのだから。恐怖があって当たり前だ。

 

「ほ、本当に何なのよ!! ホントに!! い、妹にだけは手を出させないんだからぁ!!」

「ち、違うんだ! 僕はただ君を…」

絵里「来ないでぇ~~~~~~~~~!!!!!」

 絵里が泣き喚いていた。Bはとても鼻息を荒くして近づこうとしているのだから…。

 

「…神様」

「何だ?」

 飛鳥が陰から絵里達を見ていた。

 

「もしもあのBさん達がマナーの良い転生者だったら、ちゃんと仲良くなれたんですよね?」

「勿論。与えてやったチャンスを悉く踏みにじりおって…神を怒らせるとどうなるか教えてやる必要があるのだよ」

「実際に下そうとしてるのは、私なんですけどね」

「細かい事は良い! 助けに行くのだ!」

「え」

 

 ドンッ!!!

 

「うわあああああああああああっ!!!」

 

飛鳥は後ろからぶっ飛ばされるように、Bと絵里の前に現れた。勿論受け身を取っている。

 

「いてててて…」

 

 

 つづく

 


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