ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第11話「人の心を忘れずに」

 

 

 暫くして、理事長が絵里達のマンションに到着して、絵里と亜里沙は保護された。2人が理事長の車に乗せられるのを見送った。その時に亜里沙から何度も頭を下げられたという。

 

 

 翌朝、飛鳥は笹原達にも事情を説明した。

 

「…という訳なんです」

「そ、そうですか…あぁ…」

「さ、笹原先生!!!」

 笹原はショックで倒れそうだった。前々からそういう節があったとはいえ、そこまでするなんて…と、信じられない気持ちでいっぱいだった。隣にいる山内は本当に心配していた。

 

「一丈字。お前はよくやってくれた。本当に凄い奴だ」

「いえ、嫌な予感がしたので、見張っていて良かったです」

 

 山田に褒められたが、飛鳥は複雑な気持ちでいっぱいだった。それもそうだ、知り合いが強姦されそうになっていたのだから、気が気じゃない。

 

「一時的ですが、絢瀬さんのご両親が帰国されるそうなので、あとは絢瀬さん達の判断にお任せしたいと思います」

「そうか…」

「それから…絢瀬さんのケアをお願いします。最後に彼女をみた段階では、落ち着きを取り戻していますが、かなりショックを受けているようなので…」

「…分かった」

 

 山田も複雑な表情を浮かべる。

 

 

「ひっく…ひっく…」

「お姉ちゃん…大丈夫?」

 

 絵里と亜里沙は保健室にいた。というのも、自宅にいるとまた転生者Bが襲い掛かってくる可能性が高い為、避難しているのだ。

 

「ごめんね…ごめんね…。えりーちか…おねーさんなのに…」

 

 絵里が亜里沙に泣きじゃくっていた。正直、妹に頼るのは姉としてプライドが許さなかったが、それだけBが怖かったのだ。

 

「大丈夫だよ。確かにお姉ちゃんは亜里沙のお姉ちゃんだけど、無理しなくていいんだよ。怖いなら素直に怖いって言えばいいんだし…」

「うぇぇぇぇぇええええええええええええええん」

 

 絵里が声を上げて泣くと、亜里沙も泣きそうになっていた。その時、保健室の外からノックする音がしたので、絵里と亜里沙が吃驚して震えていた。

 

「絵里ち。亜里沙ちゃん。うちや、入るで」

「希…?」

 

 声が同級生で一番仲の良い東條希の声だと分かると、絵里は一安心した。そして扉を開けて中に入ってきた。希に続いてにこ、希、飛鳥が入ってくる。

 

 すると希、にこ、笹原が入ってきた。飛鳥も一応同行してきたが、中には入ろうとしない。

 

「……!」

「絢瀬さん。大丈夫?」

「先生…」

 

 担任である笹原が絵里の体調を心配していると、にこが飛鳥の方を向いた。

 

「アンタも来なさいよ」

「いえ、男性がトラウマになってもおかしくない状況ですので…」

「アンタはいいのよ! ほら、こっち来なさい!」

 

 にこが飛鳥の手を引っ張って、中に入れた。

 

「絢瀬先輩、大丈夫ですか?」

「うん…」

「そうですか…」

 

 苦笑いして強がる絵里を見て、飛鳥は困った顔をする。

 

『このように、奴らは今までヒロイン達に迷惑行為を繰り広げてきたのだ』

『となると…私も命を狙われますね』

『ああ…』

 

 飛鳥と神様がテレパシーで会話をする。

 

『あの、神様…』

『なんじゃ?』

 

 飛鳥が困った顔をする。

 

『アナタ方の復讐が果たされるまで、彼女達をこんな目に遭わせるのですか? さっさと追い出した方が…』

『そうじゃな。じゃが、これ以上被害者を増やさない為じゃ。もうこの物語で終わりにしたいんじゃ』

『……』

『お前さんが支えになればいいだけの話だし、いざっていう時にはちゃんと手を打っている』

『くれぐれも今後は怖い思いは極力させないでくださいね…。後で私も同類にさせられる可能性もありますし』

『ないない。それは絶対ない』

 

 と、神様が根拠もないのにきっぱり否定したので、飛鳥は更に困った顔をしていた。

 

「それにしてもBって本当に地球のゴミよね! 死ねばいいのに!」

「死ねは言い過ぎやけど…せやなぁ、ホンマに偉い事になってもうたわ」

「……」

 

 Bの話になり、絵里がまた震えだした。にこと希に至っては、Bに対する評価は最底辺になっている。飛鳥と神様としては思惑通りになっているのだが、彼女たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。そんな中、希が絵里に近づいた。

 

 

「絵里ち。気持ちは分かるけど、生徒会長やろ? な? 元気だし」

 

 と、希は後ろから絵里を抱きしめた。この時絵里は小動物のように震えていた。

 

「それにしても、飛鳥くんにはホンマに頭が下がるわ。絵里ちを二度も助けてくれるんやから」

(…その前に、突き止めた事に関しては特に突っ込まないのかな)

 

 希が飛鳥の方を向いて褒めてたが、飛鳥に至っては自分も怪しまれるんじゃないかと心配していた。

 

「あ、そ、そうでした! お姉ちゃんを助けてくれて、本当に…本当にありがとうございました!」

「いえ、お気になさらないでください」

 

 亜里沙が頭を下げたので、飛鳥が苦笑いした。そして絵里の方を見た。

 

「…暫くは1人で出歩かない方が良さそうですね」

「そうね…」

「それは心配せんでええで。うちとにこっちに任しとき」

「分かりました。お願いします」

「……」

 

 絵里も飛鳥を見つめる。

 

「そういう訳ですので絢瀬先輩、もう心配は要りませんよ。私は教室に戻りますね」

 

 そう言って飛鳥が去ろうとすると、絵里が飛鳥の服の袖をつかんだ。

 

(何か…フラグ建ったっぽい?)

(建ったな)

 

 飛鳥が絵里の方を振り向くと、絵里は俯いて飛鳥の服の袖を離さないままだった。

「どうしました?」

「…め」

 

 絵里がか細い声で何か言ったので、飛鳥はもう一回聞くことにした。

 

「すみません。もう一度お願いします」

 

 すると絵里は目に涙を浮かべて、飛鳥を見た。

 

「いっちゃだめ…!」

 絵里はまた泣きそうになった。この状況ににこ達も驚いていた。すると笹原が困惑した表情を浮かべて飛鳥を見た。

 

「…一丈字くん、悪いんだけどもうちょっとだけ一緒にいてくれないかしら」

「私で宜しいんでしょうか…」

「いや、滅茶苦茶アンタじゃなきゃダメな感じじゃないの…」

 

 と、にこが突っ込みを入れると亜里沙が頭を下げた。

 

「あの、お願いします! ちょっとだけでいいので、もうちょっとだけ一緒にいて貰えませんか?」

「ていうか男でしょ。黙って一緒にいてあげなさいよ」

 

 飛鳥が困惑した表情を浮かべた。

 

「一緒にいる事は別に構いませんけど、私も男ですよ。その辺は大丈夫ですか?」

「成程。そういう気遣いは大事やな」

 

 絵里が頷いた。

 

「分かりました」

「それなら話は決まりやな」

「ちなみにBは停学を言い渡したから安心して」

「ありがとうございます」

『楽には殺さんぞ』

『……』

 

 神様の発言に、本当に大丈夫なのかと心配する飛鳥だった。

 

 

 その頃、Bはというと…。

「畜生…どうしてこうなるんだよ!!!」

 

 と、ものを壁に投げつけていた。朝、南や笹原から停学を言い渡された上に、こっぴどく怒られた。となれば、もうクラスや学校での自分の評判は滅茶苦茶である。これも全部一丈字のせいだと、Bの憎悪は増していった…。

 

 

つづく

 

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