ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第12話「飛鳥 VS 転生者A!」

 

 

 2年2組の教室。飛鳥と絵里、そして転生者Bの話題でもちきりになっていた。

 

「ねえ、聞いた?」

「聞いた聞いた。一丈字くん…変態ストーカーのBから、生徒会長を守ったんだって?」

「ホントに凄いよねー…あの子」

 

 そんな中、面白くなさそうに表情を歪めていたのは転生者Aだった。

 

(くそう…本来はオレが一丈字のポジションにいるべきなのに!!)

(はぁ…またこいつは…)

 

 ヒフミトリオの一人、ミカがうんざりした顔でAを見つめる。運悪くAの隣の席になってしまい、何かしらAの顔を見てはうんざりしており、一日でも早く席替えをしてほしいと思っている。

 

「1年生も間一髪で助けるし、昼休憩も会長達を助けたんでしょ? 本当に凄いよね…」

「ていうか、一丈字くんって結構トラブルに巻き込まれるよね」

 

 この言葉を聞いたAは席を立ちあがり、すかさずこう言った。

 

「そうだ! 全部あいつが悪いんだ! あいつが裏で何かしているんだよ!」

 

 は? 何言ってんだコイツという顔でAを睨む。とんでもない言いがかりだ。

 

「あのさぁ…」

「?」

 

 ヒフミトリオの一人、ヒデコがうんざりしたような顔でAに話しかけた。

 

「それってなに? 一丈字くんに対する嫉妬?」

「言っとくけどね。仮にそうだとしても、アンタの好感度上がんないよ? それに今の発言だって、一丈字くん可哀想って話だし」

「そうそう。でさ、隣で不機嫌そうにするのやめてくんない? そろそろ鬱陶しいんだけど」

「!!」

 

 Aははっとなった。よくよく考えたら、ヒロインに嫌われる行動ばかりしているではないかと考えていた。ヒフミトリオだけではなく、他の女子生徒も同様の反応だった。

 

 

「あ、ああ…そ、そうだね。ゴメンゴメン。今度からは気を付けるね!」

 

 と明るく言い放つが、信頼は完全に失墜していた。

 

(…くそっ!!!)

 

 当然面白いはずもない。そう考えていると、飛鳥が通りかかり、穂乃果が飛鳥の顔を見るなり叫んだ。

 

「あ、飛鳥くん!」

「!?」

 

 Aは心底憎む顔で飛鳥を見た。飛鳥はふと驚いたが、穂乃果に返事した。

 

「あ、高坂さん。こんにちは」

「聞いたよ! 絵里ちゃんの所にずっといたんだって!?」

(え!?)

 Aは驚いていた。

(そ、そんな馬鹿な! この時点ではまだ廃校の話も出てないし、知り合いでもないんだぞ!!?)

 

 そう、まだ第1話の時点にもなっていないのだ。

 

(お前達が無茶苦茶やってくれたお陰で、シナリオの流れもおかしくなったんじゃよ。こちらも好き勝手にやらせてもらう!)

(大丈夫かなぁ…)

 

 飛鳥はもう心配事しかなかったが、冷静さを取り戻して会話を続けることにした。

 

「ええ。ですが、落ち着きを取り戻しました」

「良かったぁ…」

 

 ことりが胸をなでおろした。

 

「南さん。昨晩はありがとうございました」

「う、ううん!! 気にしないで!!」

(な、なんだと!!?)

 

 飛鳥とことりの会話にAが反応した。お前らそんなに関係が進んでいたのか!? と、驚きが隠せなかった。

 

「あ! それはそうと飛鳥くん! ストーカーを追い払ったんでしょ!?」

「えーと…」

 するとAが立ち上がって、飛鳥に近づいた。

「どうしたんです?」

「ちょっとこっち来い」

 

 そう言ってAが強引に飛鳥を連れて行った。

 

 人込みのない所

「どうかしたんですか? 私の顔に何かついてるんですか?」

 

 飛鳥が困惑しながらAに話を聞こうとしたが、瞬時に飛鳥の鳩尾に裏拳をお見舞いした。

 

「うッ…!!!」

「出しゃばってんじゃねーよ。オレの時といい、Bの件といい、何で邪魔ばかりする」

 

 Aの目は殺意に満ちていた。

 

「グハッ!!」

 

 殴られた拍子に飛鳥は吐血した。

 

「血を吐いてんじゃねーよ!! どうせチート能力があるんだろうが!!」

 

 と、Aは飛鳥を殴り続けた。飛鳥はチート能力によって、感覚がマヒしていると感じていた。

 

「邪魔をするなんてそんな…」

「お前、何か能力があるんだろ」

「能力?」

「お前がμ’sを洗脳してるんだろ!」

(オレじゃなくて運営なんだけどね…)

 

 運営が関わっていると言ってしまっても、信じて貰えない可能性があった為、飛鳥は何とも言えなかった。あったとしても、どんな注文をつけてくるか分かったものじゃない。正直話を聞くだけめんどくさいと飛鳥も感じていた。

 

 

「今すぐ元に戻せ! 何でヒロイン達はこんなにオレに冷たいんだよ!?」

(自分の行いが原因で、運営が重い腰を上げたんだよ…)

「とにかくお前がいると邪魔なんだよ! オレを取り合って喧嘩をしてほしいんだよ! チヤホヤしてほしいんだよ! ハーレムにしろよ!」

 

 と、殴りながらぶーぶー言い放つ。飛鳥自身は攻撃はかわせるが、反撃する事は無かった。

 

「そ、そんな事言って大丈夫なんですか…?」

「何が大丈夫なんだよ! 殺すぞてめぇ!!」

 Aが飛鳥の胸ぐらをつかむと…。

 

「いい加減にしろA!!!」

 

 という声がした。山田先生を筆頭に、A組の面々が現れた。飛鳥が攻撃をしなかったのは、完全に味方をつける為である。

 

「な……!!」

「お前が言いたい事はよく分かった。どうやらお前…そういう趣味があったようだな。気持ちは分からなくはないが、学校のルールは守れ!」

 

 山田だけでなく、穂乃果達にまで見つかってしまい、青ざめるA。

 

「そうだよ! ホントにいい加減にしてよ! 飛鳥くんは何も悪くないじゃん!!」

「あ!!」

 

 ことりが悲鳴を上げて、両手を口に当てた。

 

「ど、どうしたんですか?」

「飛鳥くん、口から血が…」

「!!」

 

 穂乃果達も飛鳥の吐血に気付いて、青ざめた。穂乃果とことりが飛鳥に駆け寄った。

 

「大丈夫!!?」

「気分悪くない!?」

「あ、大丈夫ですよ。元々体が弱くて…」

 

 飛鳥が苦笑いすると、海未が前に出てAの前に出た。

「ち、違うんだ海未!! 悪いのはオレじゃない!! 悪いのは君に手を出そうとした一丈字で…」

 

 すると海未が思い切りAの頬を叩いた。

 

「あなたは最低です!!!」

 

 涙目で言い放った。

『これがラブライブ名シーンの一つ、「あなたは最低です!」だ』

『え、そ、そうなんですか…?』

『お前もされる可能性はあるぞ。道を踏み外せば…な』

『そ、そうですか…』

 

 神様と飛鳥がテレパシーで会話していた。

 

「一丈字さんがそんな事する訳ないじゃないですか!! もう関わらないでください!!」

 

 皆がシーンとした。

 

「大体、何がハーレムよ!!」

「こんな大変な時に何考えてんのよ!! バカじゃないの!?」

「そうだそうだ!」

 

 ヒデコ、フミコ、ミカの順に怒鳴ると、女子たちが一斉にAを睨みつけた。

 

(絶対一丈字だ…。一丈字が何かしたに違いない…!!!)

(してねェよ…。そんな事してこっちに何のメリットがあるんだ)

 

 絶対自分が何かしていると踏んでいるAに対し、飛鳥はあきれ果てていた。

 

「とにかくAは職員室に来い!」

「くっ…!!」

 

 Aは渋々連行されていった。

 

ヒデコ「バーカ!! こってり絞られちゃえー!!」

フミコ「もうお願いだから学校辞めてよ!!」

ミカ「もうこっちも泣きたいよ…」

 

 ヒデコ達は連行されるAに罵声を浴びせ続けた。

 

「ふぅ…」

 飛鳥が一息ついた。

 

『どうだ。あいつの拳は』

『…いや、あんまり大したことなかったですね』

 

 飛鳥と神様がまたテレパシーで会話をする。

 

『そりゃそうじゃ。チート能力を失くしたんじゃからな』

『……』

『今のアイツらは裸の王様だ。過去の栄光に縋りついている哀れな連中だ)

『…よっぽど恨みがあるみたいですね』

『そして止めは、これ以上という程ない恥ずかしい思いをさせてやる』

『……』

『50話までまだ時間はある。たっぷり玩具としてやるぞ』

『……(汗)』

 

 飛鳥は困惑していた。そんなにフォーに手を焼いてたんだなと…。

 

『それはそうと飛鳥くん。本当に大丈夫!!?』

『ええ、これくらいどうって事ありませんよ…』

 

 穂乃果が改めて飛鳥を心配していた。

 

『いやいや、口から吐血って結構大事なんだけど!!』

『もう傷害事件で訴えるべきよ!!』

 と、飛鳥の周りには女子が囲んでいた。

 

「な、何故だ…。何故あいつにあんなに女子が…!!」

 

 陰で見ていた転生者Cが驚いていた。

 

『やっぱりあいつは排除するべきだ…。このままだとオレの真姫も…』

「Cくん」

 

 Cが振り向くと、山内がいた。

 

「何をしているんですか…?」

 

 山内の後ろで、花陽・凛・真姫が怒った顔で睨んでいた。

「あ、こ、これはですね…」

「何でもいいけど、誰がオレの真姫よ。イミワカンナイ」

「きもいにゃ」

「……」

 

(あっちで、何かが起きているな…)

 飛鳥はC達がいる方を見た。

 

 

 

つづく

 


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