ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第14話「制裁は続くよいつまでも」

第14話

 

 昼休憩の時間がやってきて、飛鳥は自分の教室で一息ついていた。

 

「ふぅ…」

 

 その時、クラスの女子生徒数人が飛鳥の所にやってきた。

 

「ねえ、一丈字くん!」

「何でしょう」

「一緒にお昼食べない?」

「私で宜しいんですか?」

「勿論! あ、お弁当かな?」

「はい」

「よーし! それじゃ決まり…」

 

 女子生徒の一人がそう言いかけた時…

 

「飛鳥くーん!!!」

 

 穂乃果がやって来た。ことりと海未も来ている。

 

「あ、高坂さん」

「一緒にお昼食べよー!」

「すみません、こちらの方達と…」

「あ、いいよいいよ! ちょっと2組と情報交換したいし!」

「あ、良いそうです」

 

 1組の女子のOKが出ると、飛鳥が海未を見た。

 

「?」

「園田さん。調子はどうですか?」

「あ、は、はい…」

 

 海未は遠慮がちに答えた。

 

「大丈夫だよ! 穂乃果やことりちゃんがいるし!」

「あ、それはそうとあいつはどう? A」

「…えっとね」

 穂乃果達のテンションが低くなった。

 

「やっぱり怖いよ。海未ちゃんと違う何か…」

「どういう意味ですか?」

 

 海未が黒い笑みを浮かべた。

 

「園田さんは彼の事どうですか?」

「……」

(トラウマになってるみたいだな…)

 

 震える海未を見て、飛鳥が口角を下げた。これはもう迅速に手を打たなければならないと考えているが、今は迂闊に動ける立場ではなかった。

 

「どうしてAくんは海未ちゃんばっかり見るのかな…」

「体育の時間も海未ちゃんばっかり見てたし…」

「あ! それはそうと飛鳥くん! 体育の時間、何であそこにいたの!?」

「2組の様子を見るようにお願いされたんですよ。そしたら案の定です」

 

 飛鳥が困惑しながら話した。2組の女子の様子から見ると、転生者Aが本当にろくでもない男だという事が分かる。

 

「で、話は戻すけどどうして海未ちゃんばっかり見るんだろう。どうしてか知ってる?」

「園田さんが好きなんじゃないですか?」

「!!?」

 

 飛鳥がはっきり答えた。女子たちの反応はぎょっとしたり、困惑したりと様々だった。

 

『君も結構言うな…』

『まどろっこしいのはあまり好きじゃないんですよ』

『君がモテる理由が分かったよ』

『え、何でですか』

 

 飛鳥と神様がテレパシーで会話をしていた。

 

「あー…やっぱりか」

 

 と、2組の女子生徒が言い放つ。

 

「心当たりあるんですか?」

「うん。園田さんって大和撫子で照れ屋で、気品もあるから人気があるのよ…」

「ああ。海未ちゃん昔から弓道とかやってるから、それで知ったとかかな」

「へー…そうなんですか」

 

 飛鳥が相槌を打った。流石に転生者の好みまでは分からないので、話を聞いて相槌を打つことにした。

 

「だとしてもやっぱりきも~い!!」

「にしても一丈字くんも災難だったね。殴られたんでしょ?」

「ええ。ですがもう大丈夫ですよ」

 

 心配する女子生徒達を見て、飛鳥が苦笑いした。

 

「私達は一丈字くんの味方だからね?」

「ありがとうございます。それでしたら、冤罪かけられたりするかもしれないので、その時は宜しくお願いします」

「任せて!」

(あふれ出す人のやさしさ…)

 

 1組の女子達が本当に任せろ!と言わんばかりのガッツポーズをした。それを見て、飛鳥は嬉しそうな顔をすると共に、後ろを振り向いて苦笑いした。

 

「噂をすればAさんがこちらを見てらっしゃいますね」

「えっ!!?」

 

 Aが睨み付けていた。勿論言うまでもない。飛鳥穂乃果、ことり、海未と一緒に食事をしている事に対して腹を立てているのだ。

 

「ああ。やっぱりちょっと相手してきますね」

「あ、待って! 一丈字くん!」

「?」

 

 クラスメイトの一人が止めた。

 

「私にいい考えがあるわ。さっきの事が本当だとしたら…ちょっと園田さんも耳貸して」

 

 女子生徒が飛鳥と海未に耳打ちした。

 

「えええっ!!? そ、そんなの無理ですっ!!////////」

 

 海未が頬を染めて恥ずかしがる。

 

「無理でもやるの!! そうする事があいつへの制裁なんだから!!」

「それ、本人に聞こえてますよね?」

(何をするつもりだ…!? 一丈字と園田に耳打ちをするなんて…まさか…)

 

 Aが何かに気付いた。

 

(そんな事させるか!! 海未はオレのものだ!!)

 

 Aがずがずがと入ってきて阻止しようとした。

 

A「やあ、一丈字くん。此間はごめん! ちょっとやり過ぎだよ。これから…」

「何勝手に入ってきてんのよ!」

 

 1組の女子達が激怒した。

 

「入ってくんな! この変態!!」

「園田さんをつけ狙ってたんでしょ! このストーカー!!」

「一丈字くんに指一本触れさせないんだから!!」

A(な、何でだよ…何でこいつがこんなに女子達から好かれるんだよ!)

飛鳥(あなたが嫌われているだけです)

 

 Aの心の声に飛鳥が突っ込んだ。ギャグマンガならぬギャグ小説お約束の展開である。

 

「い、一丈字くん? 此間の事謝りたいから、ちょっと一緒に来てくれるかな。そうだ、昼ご飯一緒に食べよう!」

「あ、それは結構です」

「私達と一緒に食べるから、どっか行ってよ!」

「そうだ。それだったらいいものを見せてあげるよ」

「?」

「一丈字くん」

「はい。園田さん…失礼します」

「えっ…?」

 

 飛鳥が海未の手を優しく握って、そのまま恋人繋ぎをした。

 

「ぴゃっ!!!////」

 

 急に手を握られて、海未は顔を真っ赤にした。それを見て、Aは頭に血を登らせる。

 

「……!!!!!」

「アナタ、園田さんの事が好きなんだってね。でも残念でした!」

「園田さんはアンタよりも、一丈字くんがいいんだって!」

「な…な…!!!」

 

 Aが震えていた。そりゃそうだ。目の前で自分の推しである海未が、訳の分からない男と手を握っているのだった。クラスメイトの声など聞こえていない。

 

「だから諦めなさい!! このストーカー!!」

「~~~~~~!!!!」

 

 Aが叫んだ。

 

「ふざけるなぁ!!! 海未はオレのもんだぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!」

 

 Aが激昂して、襲い掛かった。

「ちょっ…!!!」

 

 女子生徒達が怯えると、飛鳥が立ち上がって瞬時にAの拳を受け止めた。

 

「!」

「なっ…!!」

「Aさん。乱暴は良くないですよ」

 

 飛鳥が真剣な顔をして言い放つと、そのままAに関節技を仕掛けた。

 

「く、くそ…いいカッコしてんじゃねぇぞ!! オレには…」

 

 Aがチート能力を使おうとしたが出なかった。それもそのはず、飛鳥が超能力で封じ込めているからである。

「な、何でだ!? 何で出ないんだ!!?」

「何が出ないんです?」

「くそう…このオレが…このオレがこんな雑魚にやられる訳がないんだ…ぐぅ…!!!」

 

 飛鳥が力を入れる。

 

「さっきから何言ってんのよアンタ!!」

「寝ぼけてんじゃないの!!?」

「やっちゃえ一丈字くん!!!!」

「あ、皆さん、ちょっとお静かにして頂けますか?」

「!?」

 

 飛鳥がAを見つめる。

 

「言いたい事があるならここで聞きますよAさん。あなたは…何がお望みなんですか?」

「!」

「何がお望みかと聞いているんです。アナタはこの音ノ木坂にやってきて…何をするおつもりだったんですか?」

「ぐ…!! それをお前に何で教えないといけないんだ…ぐあああああっ!!!!」

 

 飛鳥が更に力を強める。

 

「あまり手荒な真似はしたくないんです。早く教えて戴けますか」

 

 その後に飛鳥が目を光らせて、Aに本音を喋らせる。

 

「オレはただμ’sとのイチャイチャハーレム生活を送りたかったんだ!! それだけなんだ!!」

「そういう事を聞いてるんじゃないんですよ」

「!?」

 

 飛鳥が神様にテレパシーを送り、協力を求めた。

 

『神様、後で上手い事誤魔化してください』

『分かった』

『それから…』

 

「μ’s?」

「何それ?」

(そうなるよね)

 

 まだアイドルグループとして活躍していない為、穂乃果達は何を言っているのか分からなかった。飛鳥は気にせず尋問を続ける。

 

「そのハーレム生活でどうするつもりだったんですか?」

「いてててててて!!! そんなの決まってるだろ!! オレを取り合って喧嘩したり、オレにチヤホヤしたり、夜はずっとオレとセッ○スをするんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! それをよくもぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

「…そうですか」

 

 Aの汚すぎる欲望を聞いて、飛鳥は静かに目を閉じた。

 

 

つづく

 


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