ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第15話「転生者A 終了のお知らせ」

 

 

 

 Aのカミングアウトを聞いて、女子たちは悲鳴を上げた。

 

「何それ!!!」

「きも――――――――い!!!!」

「もう本当にこの学校から出てってよ!!!」

 

 女子生徒達はドン引きしていた。飛鳥はAの体を拘束したままである。

 

 

「で…園田さんをずっと狙っていたのは、彼女が本妻だと?」

「お、お前には関係…ぐああああああああああ!!!! そ、そうだよ!! 海未をオレのものにして、あの綺麗な髪の自由に触ったり、においを嗅いだり吸ったりして、慎ましい胸もオレ好みに…」

(マ、マジか…)

 

 Aの言葉に女子生徒達は青ざめた。飛鳥もげんなりしていた。

 

「一丈字くん!! その変態もっとやっちゃって!!」

「もう腕折って!!」

「警察警察!!!」

「コラー!!! 何やってるんだお前達!!」

「!!」

 

 山田がやってきた。

 

山田「い、一丈字…」

 山田がショックを受けているが、飛鳥の態度は変わらない。するとAがわざとらしく、

 

「せ、先生!! 助けてください!!! 一丈字くんが急に暴れ出して…!!!」

「いいぞもっとやれ!!!」

「先生!! それはダメです!!!(大汗)」

 

 山田からのゴーサインが出て、飛鳥が突っ込んだ。

 

「はぁ!!? 何言ってんのよ!!」

「アンタが高坂さん達を襲おうとしたんでしょうが!!」

「しかも変態的な事も言ってただろーが!! 髪を触りたいとか、おっぱい揉みたいとか、脇の匂いを嗅ぎたいとかよぉ!!」

「脇は言ってない!!!(大汗)」

 

 しかし、これで山田に変態発言をした事を認めてしまった。

 

「言いたい事はよく分かった。一丈字、やめろ」

「はい」

 

 飛鳥がAを解放した。

 

「お前は私と一緒に来い。理由はどうであれ暴力は良くないな」

「…申し訳ございません」

 

 飛鳥が頭を下げると、Aは勝ち誇った顔をしていた。

 

「職員室まで来い」

「分かりました…」

「ちょ、ちょっと待ってよ!! こいつは!?」

「お前達で何とかしろ」

「えええええええええええ!!!?」

 

 そう言って、山田は飛鳥は連れて行き、Aと女子生徒達が取り残された。

 

「様子を見るぞ」

「はい」

 と、陰から1組の教室の様子をじっと見ていた。

 

「ふぅー…まあ、さっきのは冗談だとして」

「何が冗談よ!!! さっきのがアンタの本音じゃない!!」

「出てって!!! この変態!!!」

「金輪際園田さんには近づけさせないから!!!」

 

 と、1組の女子達がAにものを投げ始めた。しかし、穂乃果達にもあたっていた。

 

「あのっ!! 穂乃果達にもあたってるんだけど!!! ちょ、痛いってば!!!」

「いや~ん!!! いた~い!!」

「あのっ!! 庇ってくれるのは嬉しいんですけど、せめてコントロールを…いたたたたたたた!!」

「あの、ちょっと理由を…」

「「「「「出てけー!!!!!!」」」」」」

A「うわああああああああああ!!!!」

 

 Aは追い出され、どこかに去っていった。もう1組の女子がAを好く事はないだろう…。

 

「余程の事をしでかしたようですね…」

「ああ…もうヤダ…」

 

 飛鳥と山田が呆れるのもつかの間、無実を証明しようと山田は1組の生徒達に顔を出した。飛鳥も後に続いて顔を出す。

 

「大丈夫ですか?」

「あれ!? 飛鳥くん!?」

「山田先生と一芝居打って、私が連れ出された後、どう出るか試してたんですよ」

「もうあいつはクロだ。これから審議にかける。一丈字が証拠を掴んだ。園田、もう心配いらん」

「先生…」

 

 海未が飛鳥を見ると、飛鳥が口角を上げた。

 

「山田先生もこう仰ってますから、大丈夫ですよ」

「一丈字さん…」

 

 海未が飛鳥をじーっと見つめる。

 

「あ、私ちょっと用事があるから席を外しますね」

 

 飛鳥が教室を去っていった。

 

「くそっ…!!! こんな筈じゃなかったのに…!!!」

 

 人気のいない校舎裏でAが憤っていた。

 

「くそぉ!! 何もかもあいつのせいだ!! あいつさえいなくなれば海未もμ’sも…」

 

「オレのもの。って所か?」

「!」

 

 Aの前に神様が現れた。

 

「お、お前は!」

「随分派手にやってくれたな」

 

 神様は険しい表情でAを見つめた。

 

「そ、そうだ!! お前!! あいつに何かチート能力を与えてるのか!!? ズルしてんじゃねぇよ!!」

 

 Aが文句を言うが、神様は何も言わずにAを睨み続ける。その気迫にAは後ずさりした。

 

「な、何だよ」

「そう思うだろう。だが、残念ながら彼には何も与えていない。自前だ」

「そ、そんな事がある訳ねぇだろ!! あんな能力が自前である訳がない!! そんな事よりも能力よこせよ!! 一丈字をぶっ殺す力をよぉ!!」

「もうお前に能力は与えない」

「えっ!!?」

「これまで自分が何してきたか分かっているのか? 分かっていないだろうな」

「何言ってんだ。オレは今まで沢山の世界を救って、ヒロイン達も虜にした勇者だぞ!」

 

 と、鼻息を荒くして神様に怒鳴るA。何とも無様だろうか…。

 

「それは自分の力ではない。我々神が与えたアトラクション用の力だ。遂に妄想と現実の区別がつかなくなったか」

「だからどうした!! さっさと能力よこせよぉ!!! 一丈字をぶっ殺して、μ’sをオレのものにするんだよぉ!!!」

 Aが地団駄を踏んだ。正直みっともないったらありゃしない。この男、生前は冴えない男で、女とは全く縁がない生活を送っていた。ある日、運悪く死んでしまいあの世の生活を余儀なくされた所、転生センターに出会い、今ではこの様である。

 

 あの世でも人間関係は続いており、勿論嫌な事もある。その場合は、家に引き籠ってればいいのだが、この男の場合は転生センターに味を占めてしまい、女に対する欲望があふれ出してしまった。女に触れたい、女と交わりあいたい、女を侍らせたい。今まで胸の中にしまい込んでいた煩悩が、彼を変えてしまったのだ…。

 

 今となってはもう遅い話なのだが…。

 

「妙な下心を持たなければ、夢は実現できたものを…」

「うるせぇうるせぇ!!! さっさとよこせ!! この無能がぁ!!!」

 

 神様がため息をついた。

 

「分かった。お前に能力を与えるか」

「分かればいいんだ。さっさと…」

「はっ!!!」

 

 神様が手を突き出して念じたが、Aの姿はとてつもなく醜くなった。

「え…?」

「あらまあ、私が無能だったばかりにお前を元の姿に戻してしまった。済まないな。もう私が出来る事がなさそうだ」

 

 元の姿に戻ったことに、転生者Aは青ざめた。

 

「ふ、ふざけるな…今すぐ元の姿に戻せぇ!!! こんな姿じゃ…」

「おやまあ、今までいくつもの世界を救っても、容姿には自信がないのか? 随分無様なもんだ。それこそお前の今までの実績が幻だと言うもんだ。では、さらばだ」

「ま、待てよぉ!!」

 

 Aが神様を掴もうとしたが、神様が消えた。

 

「あ…あぁ…!!!!」

 

 Aが膝から崩れ落ちた。

 

A「びぇえええええええ~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!!!!」

 

 と、泣き叫んだ。その様子を上空から飛鳥と神様が見つめていた。

 

「はー…ちょっとだけすかっとしたわい」

「そ、そうですか…」

「ちなみに次回には元に戻す」

「え?」

 

 神様が黒い笑みを浮かべた。

 

「まだまだわしの気がスマンし、見せしめにならんじゃろう…!!」

(神様がしたらいけない悪い顔になってる…(汗))

 

 神様の悪い笑みに、飛鳥は心の底からAに同情した。

 

 

 

 

つづく

 


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