ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第16話「こうして少年は英雄になっていく」

 

 

 Aに制裁を加えた後、飛鳥は1組の教室に戻ってきた。すると、皆飛鳥を称賛していた。

 

 

「それにしても一丈字くんって強かったんだね!」

「いえいえ…」

 

 飛鳥はクラスの女子生徒達に囲まれていた。今までの事があり、女子生徒の飛鳥を見る目は好意的なものだった。

 

『ご褒美だ。ハーレムを満喫したまえ』

『いや、ありがた迷惑です…』

 

 飛鳥が困惑した。本当に女子達に囲まれているのだから。飛鳥としては女の子はあまり得意ではない。というのも、昔から色々やっかみが多かったせいで、異性に囲まれるのは嫉妬を招きやすいため、本当に得意ではなかった。

 

「それにしても絢瀬生徒会長や、1年生の子も助けてるんだよね! 凄いなー! まるでヒーローみたい!」

「ていうかヒーローでしょ」

「いやいや、大した事してませんから」

「いや、普通にしてるし、結構凄い事だよ!!?」

 

 と、皆から突っ込まれると、飛鳥はたじたじになった。今まで同級生にそんな事を言われた事は殆ど無かったからである。異性ならなおさらだ。

 

「何か格闘技やってたの?」

「まあ…護身術は習ってましたね」

「しかも手際良かったし…」

「そうですか…」

 

 飛鳥は適当に返事をすると、一人の女子生徒が飛鳥に顔を向けた。顔立ちは良い少女だった。というか、ラブライブの登場人物はモブでも顔立ちはレベルが高い方である。

 

「こーらっ! ちゃんと人の顔を見て話しろっ!」

 

 飛鳥はその女子生徒の顔をじっと見た。

 

「……!!/////」

 

 飛鳥が真顔で見つめるので、女子生徒は頬を染めた。

 

「そ、そんなにじっと見つめないでよっ!!!/////」

「アナタが見ろと言ったんでしょう」

「う、うるさい!!//////」

 

 他の女子生徒も頬を染めた。自分も同じように見つめられたら照れてしまうと言い切ってしまう。ちなみに飛鳥の瞳の色は青色で、人からサファイアのように綺麗だと言われている。

 

「恐らく彼は、自分がこういう事をされる事を望んでいたんでしょうね」

「は?」

 

 女子生徒の問いに飛鳥が一息ついた。

 

「彼って…あ、あいつか」

「女子高ですからね。女子も多いですし、男子も珍しい筈ですので今みたいに自分に興味を持ってくれると思っていたんでしょう。まあ、私がいた事で外れてしまいましたが…」

「いや、アナタはいていいのよ」

「ていうかアナタだけで良かったのに…」

「恐縮です」

 

 飛鳥が軽く一礼した。しかし内心本気を出せばすぐに解決できるのに、自分達の都合でそれをしない事を心から詫びていた。本当なら今すぐにでも解決させたい。というかしないと下手すれば自分まで巻き添えを食らってしまうからだ。

 

「一丈字くん」

「?」

 

 深山が現れた。

 

「深山先生」

「放課後、職員室にいらっしゃい」

「あ、はい…」

 

 放課後、飛鳥は職員室を訪ねると、山田の座席の前に立っていた。

 

「お前には本当に頭が下がる。ありがとう」

「いえ」

 

 飛鳥だけではなく、穂乃果、ことり、海未、そして居合わせた1組の生徒が集められた。

 

「Aが園田を狙っていたのは分かった。Bの事もあるしな…私もそろそろ腹を括らんといかん」

「そうですか…」

 

 まあ、当然と言えば当然だろうと飛鳥は心の中で思っていたが、神様がフォー3人をどうするのか、まだ聞いていない為、安心は出来なかった。

 

「先生! Aを退学にしましょうよ!」

「そうです!! このままだと怖くて学校に行けません!」

 

 と、女子生徒達はAの退学を訴えていた。

 

『…って、言ってますよ』

『心配するな。奴らが天下を取る事はない』

 

 飛鳥と神様がテレパシーで会話し、飛鳥は遠回しに物事の解決を急かしたが、神様はもう少し様子を見ることにした。

 

「まあ…、停学は免れんだろうが、今は退学は難しい。学校の経営にも関わるからな…」

「そんなぁ~!!!」

 

「にしても…」

 

 山田が飛鳥を見た。山田の羨ましがる目を見て、飛鳥は困惑した。

 

「2組にきてくれんか…。ていうかもうAと交換してくれ…」

「交換はやめてください!!!!(大汗)」

 

 山田のトンデモ発言に1組の生徒は絶叫した。今のクラスにあの変態が来るなんて冗談じゃない。飛鳥がいなければ男性恐怖症不可避の状況である。

 

「そうだ。今度の成績が良かったクラスを一丈字、悪かったクラスをAにすればいいんだ」

「先生。その発言は教師としてどうなんですか」

 

 苦しみから逃れるために言い放った山田のトンデモ発言に対し、飛鳥は冷静に突っ込んだ。

 

「一丈字くん」

「?」

「私達、頑張るからね!」

「あ、はい…」

 

 それだけ皆Aが嫌いになっていたのだ。BやCのいるクラスもきっと同様だろう。いや、間違いなくそうだ。Bに至っては生徒会長の絵里に対してストーカーをしていたのだから、当然と言えば当然だろう。というかもう寧ろ飛鳥も安心できる状況ではなかった。

 

『神様がバックにいるんだけど、普通に安心できねぇですわ…』

 

 その時、穂乃果が飛鳥を見つめた。

 

「あ、そうだ! 飛鳥くん!」

「?」

 

 飛鳥が穂乃果を見ると、穂乃果は口角を上げた。

 

「さっきは海未ちゃんを助けてくれてありがとう!」

「ああ。あれは気にしないでください」

「それはそうと怪我してない!?」

「してませんよ。ありがとうございます」

 

 飛鳥が苦笑いしながら礼を言うと、海未がモジモジしながら飛鳥を見つめた。

 

「どうしました?」

「そ、その…」

 

 海未は目を閉じて思いっきり頭を下げた。

 

「ほ、本当にありがとうございましたっ!!」

 

 その様子を見て、飛鳥があっけにとられた。

 

「…まあ、今日の事で男性恐怖症にならなきゃいいのですが」

 

 飛鳥が困った顔で周りを見渡した。

 

「まあ…Aさんの本性が分かった今、1人で登下校しない方が良さそうですね」

「そうだな…そうだ、一丈字。お前暫くの間送ってやれ」

「え?」

 

 飛鳥が困惑した。

 

「何だ。嫌なのか?」

「一丈字くん。海未ちゃんを送ってあげたら更に好印象なんだけどなー」

 1組女子がジト目で見つめる。

 

「あ、先日笹原先生から、絢瀬さんを家まで送るようにお願いされていて…絢瀬さんとご一緒になりますが、それでも構いませんか?」

「そうだったの!!?」

「それだったら先に言ってよ!!!」

 

 女子生徒が慌てながら突っ込んだので、飛鳥がまた苦笑いした。すると、笹原がやってくる。

 

「あの、山田先生…」

「?」

「そういう事なので…。一丈字くん。悪いんだけど、お願いできるかしら?」

「あ、私は構いませんが…。園田さんは大丈夫ですか?」

 

 飛鳥が事務的に答えると、海未の方を向いて問いかけた。

 

「ええっ!!? あ、はい! 私は大丈夫です…!!?」

「ちょ、ちょっと待って!!? 本当にいいの!!?」

「ええ。丁度試したい事がありまして…」

「試したい事?」

「……」

 

 

つづく

 


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