ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第20話「先生も大変なのヨ」

 

「会議はこれにて終了とします。皆さんお疲れ様でした。各自受け持っているクラス、業務に戻ってください」

 

 皆が席から立ち上がった。

 

「…それにしても、本当にどうにかならないかしら」

「いっつもギスギスするんですよ…教室…」

 

会議の終了を南が告げた瞬間に、笹原と山内は転生者B、Cによってクラスの雰囲気が悪くなった現実を憂いていた。

 

山田「私も戻るか…」

 

 と、山田も席を立ちあがった。ふと深山を見ると…。

 

「……」

 

 深山は凄く嬉しそうに立ち上がっていた。

 

「あの、深山先生?」

「え、な、何でしょう?」

 

 山田がジト目で深山を見つめる。笹原と山内も深山も見つめる。

 

「何でそんなに嬉しそうなんですか?」

「え!? そ、そんな事ないわよ!?」

 

 笹原と山内がジト目で見つめる。

 

「自分だけあたりを引いたからって…」

「酷いです…」

「ち、違いますよ!! 私は至って普通ですよ!!! ほ、ほら! 早く戻りましょう!! 生徒が待ってますよ!!?」

 

 と、深山が笑ってごまかしたが、残りの3人にとっては地獄でしかなかった。

 

 

 ちなみに現在どうなっているかというと…。

 

 山田先生のクラスでは、静かにしていた。ただ、Aと海未は完全に隔離されていて、席からは海未が見えない状態だった。これはもう女子たちが総出で遠ざけました。

 

(くそっ…!!! 海未が全然見えないじゃんかよ…!!! ふざけやがって!!!)

 

 ふざけてるのはお前です。

 

 笹原先生のクラス。Aと同様、絵里と隔離されていた。Bは抗議をしようとしたが、受験で完全にイライラしている受験生を全員相手するのは得策ではないと感じ、甘んじた。

 

 山内先生のクラス。Cも真姫と隔離されていた。この時Cは理論的に抗議を立てたが、その上から目線の態度で完全に女子たちの反感を買った。今では「屁理屈クソメガネ」というあだ名がついてるとかついてないとか。

 

 

 深山先生のクラス。すなわち、飛鳥のクラスでもある。

 

「そういや一丈字くんってなんかゲームしてるの?」

「最近はしてないんですけど、Switchは一応ありますね…」

「ソフトは?」

「最近のポケモンですね…。知り合いから貰ったんですよ」

 

 と、楽しそうにゲームの話をしていた。

 

「あの、これは休憩時間に…」

「えー」

「いいじゃんいいじゃん」

「ゆっくりお喋りしようよ!」

 

 女子生徒達に引っ張りだこだった。どこかの3人組とは違って。

 

「ソードとシールドどっち!?」

「確かソードでしたね…」

 

 その時、深山が入ってきた。

 

「アナタ達、課題はもう終わったのかしら?」

「終わりましたー」

「あ、そ、そう…。でも、他のクラスは授業してるから静かにね」

 

 と、深山が苦笑いすると、飛鳥を見つめた。

 

「?」

「……」

 

 深山は心の中で感涙していた。ありがとう、神様!!! と。

 

『どう致しまして』

『事の発端我々ですけどね…』

 

 いつものようにテレパシーで会話して、飛鳥は神様に突っ込んだ。

 

 そして昼休憩…

 

「一丈字くん。一緒にお昼ご飯食べよ」

「あ、すみません。ちょっと用事がありまして…」

 

 飛鳥が困惑した。

 

「用事?」

「ええ…ちょっとまあ…。またお願いします」

 

 と、教室を出て、2組の教室を見ると、中からとても禍々しい気を感じた。

 

「…やっぱりか」

 

 飛鳥は遠い顔をした。

 

「ちょっと他行ってみよう」

 

 と、笹原先生と山内先生のクラスを訪ねたが、同じように禍々しい気を放っていた。

 

「ですよねー…」

 

 飛鳥が困惑した。

 

「一丈字」

「?」

 

 飛鳥が後ろを振り向くと、山田がいた。

 

「山田先生」

「その…なんだ。ちょっといいか?」

「?」

 

 飛鳥は食堂まで連れていかれた。

 

「悪いな。ちょっと話があるんだ」

「分かりました」

 

 と、山田はカレーを頼み、飛鳥はざるそばを頼んだ。2人が注文してから料理が来るのはそんなに時間が経たなかった。

 

 二人が向き合って食べる。

 

「……」

「……」

 

 お互いが向き合っていて、沈黙した状態が続いた。

 

「あの、山田先生…」

「そうだったな。だが、食べながらにしよう」

「分かりました」

 

 と、二人が食べた。その様子を生徒達が見守っていた。何事かと思いながら…。

 

(凄く注目が集まってるな…(汗))

 

 山田は気にしていなかったが、飛鳥は割と気にしていた。それだけ生徒達が見ていたからだった。

 

「食わんのか?」

「あ、いや。食べます…ハイ」

 

 と、飛鳥はそばを食べた。

 

 暫くして…

 

「一丈字」

「あ、はい」

 

 山田が飛鳥を見た。

 

「学校には慣れたか?」

「あ、はい。お陰様で慣れました」

「そうか…」

 

 と、他愛のない話をしていた。飛鳥としてはもっと聞かれたらマズイ事を聞かれるのではないかと考えていたが、少し安心していた。

 

「あ、そういえば山田先生」

「何だ?」

 

 今度は飛鳥が聞き返す。

 

「最近、園田さんの様子はどうですか?」

「お前もよく知っているだろう」

「そうかもしれませんが…。私は男性ですので、やはり無理をされているのではないかと思いまして…」

「…そうだな。園田は真面目だからな」

 

 と、山田が困惑していた。

 

「まあ…高坂と南がついているから、今のところ心配はない」

「そうですか。ありがとうございました」

 

 山田が飛鳥を見つめる。

 

「それにしても不思議な奴だ」

「そうでしょうか」

「ああ。是非共うちのクラスに欲しいくらいだ」

「ありがとうございます」

 

 と、飛鳥は静かに口角を上げた。

 

「ところで一丈字」

「はい」

「お前…サッカーやってたのか?」

「え?」

 

 山田の問いに飛鳥が驚いた。

 

「此間の体育の時間にリフティングをしていただろう。どう考えても初心者とは思えないが…」

「ああ。実は中学の時の友達にサッカー部の子がいまして、その子とよくサッカーの練習してたんですよ」

「そうなのか…。意外だな」

「そうですか?」

「ああ。いかにも勉強しかしてなさそうに見えたからな」

「よく言われますね」

 

 と、そのまま談笑した。気のせいか話しているうちに山田の表情が穏やかになったように見える。飛鳥もそれを感じて安心したように口角を上げた。

 

 暫くして、午後の授業が始まろうとしていた。

 

「そろそろ授業があるので…」

「おお…そうだな。話し込んでしまった。済まない」

「いえ、こちらこそありがとうございました」

 

 と、飛鳥が立ち上がろうとすると…。

 

「一丈字」

「?」

 

 飛鳥が山田を見ると、山田が照れ臭そうに視線を逸らした。

 

「その…何だ。また機会があったら…////////」

 

 飛鳥が笑顔を見せた。

 

「はい! またお話ししましょう!」

 

 

 その後、職員室で…。

 

「理事長。一丈字とAを交換してください」

「ちょっと!! ダメに決まってるじゃないですか!!!(大汗)」

 

 山田が理事長に直談判をしたので、深山が突っ込みを入れた。

 

「検討しています」

「検討すなっ!!! 職権乱用反対!!!!」

 

 という理事長の発言に深山がさらに突っ込んだ。どうなります事やら…。

 

 

つづく

 


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