ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第27話「神の居ぬ間に修羅場」

 

 

 

 飛鳥がA-RISEを助け出してから一晩が過ぎた。飛鳥は知られていない事を願いながら、音ノ木坂学院に向かう。

 

(こういう時に限って神様はいないし…。今日は長い一日になりそうだ…)

 

 と、どんよりしていた。あれだけ大騒ぎになっていて、顔も知られたわけだ。何も起こらない筈がない。と、飛鳥はそう思っていたら、転生者トリオが目の前に立ちはだかった。

 

(いるよー。早速いるよー。そして、何かあったか全部わかってるって顔してるなこれ)

 

 A、B、Cがニヤニヤした様子で飛鳥を見ていた。下手をすればこれをいいことに、自分を変態のレッテルを押し付けて、μ’sを横取りしようって寸法だろう。作戦としてはありなのかもしれないが、神様の介入がある今、果たして本当に上手く行くのかどうか、飛鳥はそっちが気になっていた。

 

「やあ、一丈字くん」

「あ、おはようございます…」

 

 Aが機嫌よく挨拶すると、3人が同時に囲もうとしたが、飛鳥は瞬時に逃げた。

 

「あ、逃げるなコラァ!!!!」

「待ちなさい!!!」

 

 と、3人が追いかけてくる。女にモテる事以外はチート能力を持ったままだったなので、簡単に追いつかれる。

 

(成程。これも修業って奴か…)

 

 飛鳥はそう解釈した。

 

「おい、逃げんじゃねぇよ」

「聞いたぞ? A-RISEを助けたんだってな」

「ですが、それと同時に裸体も見たと」

 

 すると

「え!? そんなに知りたいんですか!!?」

 

 と、飛鳥がわざとらしく叫んだ。

 

「ちょ、バカ! 声がでけぇよ!!」

「何考えてるんですか!! あの人たちは今傷ついてるんですよ!!? 気持ちは分からなくはなりませんが、もう少しその辺考えなさい!!!」

 

 わざと怒鳴ると、周りにいた女子生徒達が何事かとB達を見ていた。

 

「く、くそぉ!! 行くぞ!!」

「ただでは済ませませんからね!!」

 

 と、B達は去っていった。ちなみに記憶を消す能力はあるのかだが、無い。とにかく敵を無双する力しかもっていない為、補助系の技はあまり持ち合わせていなかった…。

 

「ふぅ…」

 

 飛鳥が一息ついた。人気の多い場所であり、時間帯も時間帯で女子生徒達の一人はいるだろうと踏み、ハッタリで叫んでみたが、案の定女子生徒達がいたので助かった。最も、女子生徒達がどう思ったのかは、今の段階では分からないが…。

 

「……」

 

 飛鳥は凛とした表情で女子生徒達を見つめた。

 

「お騒がせしました。失礼します」

 

 そう言って飛鳥は女子生徒達に頭を下げて、その場を去っていった。

 

 

 音ノ木坂学院

 

「飛鳥くん聞いたよ!! A-RISEを助けたんだって!?!」

「……」

 

 穂乃果が1組にやってきて、飛鳥に詰め寄った。ことりと海未も同席している。

 

「うん。事実だよ」

「どうして一人で向かったの!?」

「いや、警察にはちゃんと通報した…」

「そうじゃないよ!! もし飛鳥くんの身に何かあったら…」

 

 と、ことりが胸を締め付けられる表情をすると、飛鳥は「ゴメン」一言だけ謝った。

 

「…ですが」

「!」

 

 海未が口を開いた。

 

「もし飛鳥さんが来なければ、綺羅さん達は性的被害を受けていたと伺っています。ですが!! このような無茶は…」

「それじゃ聞くけど園田さん」

「!」

 

「もし、今度あのような状況にあったら、どうすれば宜しいですか?」

 

 飛鳥が海未を見つめた。

「このような事態を起こしておいて言うのもアレだけど、対策が見つからないんだ。他の人の意見も聞きたくてね。園田さんはどうすればいいと思う?」

「そ、それは…」

 海未が視線を逸らすと、穂乃果が机をたたいた。

 

「今度からは穂乃果にも話して!!」

「話してどうなるの?」

「その…。な、何か出来る事があるかもしれないよ!!」

「……」

 

 飛鳥が目を閉じた。

 

「…分かった。それじゃ一先ずそれで考えるよ。それと…」

「!」

 飛鳥が穂乃果達を見つめた。

 

「高坂さん達も気を付けて。決して他人事じゃない。深山先生か理事長からも話があると思うから、その指示に従って」

「……」

「本当にいつも迷惑をかけてすまない。けど…この通りだ」

 

 飛鳥が頭を下げた。

 

「……」

 穂乃果達が困ったが、

 

「ホンマにしょうがないなぁ。飛鳥くんは」

「!!」

「東條先輩!! それに、生徒会長も!!」

「ちょっと!! にこもいるんだけど!!」

 

 と、廊下から希、絵里、にこが現れた。

 

「まあ、なんやかんや言うても、肝心な時に女の子を守れんようじゃアカンしな」

「飛鳥くん。出来ることがあったら何でも言って頂戴。いつもあなたに助けられてるから…」

「にこも。アンタのその態度はちょっと納得いかないけど…妹たちも助けてもらったから」

 

 飛鳥が驚いた。

 

「私達もいるわ」

「そうにゃ!」

 

 と、真姫、凛、花陽も現れた。

 

「そういう事だから飛鳥くん!」

「……!」

 

 穂乃果が口角を上げた。

 

「穂乃果達は、飛鳥くんの味方だから! 大丈夫!」

「!」

 

 飛鳥は穂乃果の顔を見て、中学時代の同級生を思い出した。超能力者であるが故に、悩みやトラブルも多く、同級生たちとも何度か対立しては、拒絶したこともあった。しかし、ぶつかりあいながらもいつも助けてくれ、今では親友になった。

 

 そして確信した。自分は大丈夫だと。

 

「高坂さん…皆さん…」

 

 飛鳥が口角を上げた。

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 ところがどっこい、昼休憩

 

「大丈夫なわけねーだろうがぁ!!」

 

 と、空気をぶち壊すようにA、B、Cが飛鳥の前に立ちはだかった。

 

(ですよねー…)

 

 飛鳥は渋い顔をした。そりゃそうだ。今日は自分で「長い一日になりそう」と言ったのだ。ここで災難が終わるはずなどない。

 

「おい! A-RISEの裸を見といて、何μ’sと一緒にいるんだよ!」

 

 と、Aがいちゃもんをつけてきた。

 

「そうだそうだ!! 離れろこの変態野郎!!」

「皆さん。そのような痴漢と一緒にいてはなりません。こっちに来るのです」

 

 その時だった。

 

「あのさ」

「!」

 

 穂乃果が睨みつけた。

 

「いい加減にしてよ。どうして綺羅さん達を助けたのに、そんな事しか言えないの?」

「!!」

「バカね」

 

 にこが前に出た。

 

「本当は自分達がヒーローになりたかったのよ。もし自分がこいつと同じ立場だったら、自分はツバサちゃん達を助けたんだ!! 何でそんな事言われなきゃいけないんだよ!! って、鼻息荒くして怒るわよ」

「何それ。意味わかんない」

 

 と、他のメンバーもA達を軽蔑する。

 

 

 さて次回はお待ちかねのμ’s VS フォートリオの全面戦争だ!!!

 

 

(お待ちかねはしてないと思います!!!(大汗))

 

 

 飛鳥は心の中で突っ込んだ。

 

 

 

つづく

 


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