「海未! 君たちは騙されてるんだ!!」
「ああ!! 可哀想な絵里…。必ずそいつから取り戻してみせるからね!!」
「安心してください。必ずあなたを取り戻してみせます」
と、フォートリオがそれぞれの推しに愛の言葉(笑)をかけた。飛鳥としてはもうげんなりしている。
(帰りたい)
しかし、そう思っているのは飛鳥だけではなかった。しかもここは食堂で、周りに人がいる状態だ。このフォートリオの絶対的な自信はどこに来ているものかと、飛鳥は理解に苦しんだ。
「な、何なのこいつ等…」
「やっぱりきもいにゃ~!!!!」
「……」
真姫、凛、花陽は完全にドン引きしていた。あの花陽ですら青ざめて引いているのだから、よっぽど気持ち悪かったのだろう。
「なんか頭痛くなってきた…」
「私も…」
「うーん…。こりゃ相当拗らせとるなぁ」
にこと絵里は立ち眩みがして、希も流石に何とも言えなさそうにしていた。
「穂乃果達は騙されてないもん!!」
「そうだよ!!」
「騙されたとしても、誰があなた達の所に何か!!(大汗)」
穂乃果やことりはともかく、海未は完全に拒絶反応を出していた。
「ってか…どんだけ、女の子に飢えとんねん」
「やめなさいよ。相当女子に嫌われたんじゃないの? 手を繋いだこともないんじゃない?」
「失礼な事を言うなぁ!!」
「こっちは何度も世界を救って、何度もハーレムを作ってきたんだぞ!!」
「そうです…。僕の計算に狂いはないんですよ」
飛鳥は膝から崩れ落ちた。
「あ、飛鳥くん?」
穂乃果達が飛鳥を見た。
「同じ男性として本当に情けない。ご迷惑をおかけして申し訳ありません…」ズーン…
「飛鳥くん!!?(大汗)」
飛鳥のテンションが完全に落ちたので、穂乃果達が慌てた。
「そうやって同情を引いても無駄だぞ!!」
「そういうことやっといて、他にもエッチな事してんだろうが!!」
「男の風上にも置けませんね」
AとBが叫んだ。Cに至ってはどの面下げて言ってんだと、皆思った。
「た、例えば?」
「穂乃果!!」
穂乃果が聞くと、海未が突っ込んだ。するとAが目をカッと見開いた。
「下着とか、自分が選んだ奴をつけさせたり、はかせてんだろぉ!!!?」
空気が止まった。飛鳥はAが何を言っていたのか分からなくなっていた。μ’sは完全にドン引きしていた。
「えっ!!? そ、そんな事してないよ!!!」
「してないしてない!!」
「な、何を言いだすのですか!!! 破廉恥です!!//////// あなた達は最低です!!///////」
穂乃果とことりはそのままの意味で捉えていたが、海未は完全に理解していて怒鳴った。
「ヴェエエエエエ!!!! 本当に何なのよこいつら!!!(大汗)」
「気持ち悪いにゃ~~~~~!!!! かよちん!!! 絶対に近づいたらダメ!!!」
「え? あ、う、うん…(真っ青)」
真姫と凛が絶叫し、凛が花陽をガードした。
「あー…もう、バカにつける薬ってないのかしら…」
「ウォッカでも飲ませて永遠に眠らせる?」
「絵里ち。それ殺人や。でも大人しゅうしてほしい気持ちはわかんで…」
3年生組も完全に引いていた。
「でも大丈夫!」
Aが言い放った。何が大丈夫なんだと飛鳥達は思った。飛鳥に至ってはもう変態発言のし過ぎで精神がすり減っていて、超能力で作った特大のエネルギー弾をぶつけたいと思っていた。
「下着ならオレ達が選んでやるよぉおおおおおお!!!」
「そんな出来損ないよりもセクシィィィィィィな下着をぉ!!」
「自信ありますよォ」
と、完全に勝てると余裕があるのが、下種な笑みを浮かべて近づく3人。すると飛鳥は穂乃果達を見た。
「…って言ってますけど」
μ’sの回答は
「いいよ!! 自分で選ぶから!!!(大汗)」
「イヤー!!」
「は、破廉恥です!!!///////」
「……(泣)」
「いらないにゃ!! それよりもかよちんに近づくな!!!」
「ちょ、ちょっとあなた何とかしなさいよ…!!」
「本当にキモッ!!!」
「こりゃアカンな…」
「そんなの認めないわぁ!!!(大汗)」
当然答えはNOだった。
「ふひひ! そんな釣れない顔をするなよぉぉ! オレは君達の王子様なんだぜぇぇ!」
「君達の愛しのダーリンがそのクソガキの洗脳から君達を解放してあげるよぉぉ。だからそんな怖い顔をしないでくれよぉぉ」
「君達は僕を愛すべきなんだよぉぉぉぉぉぉ」
「……(汗)」
気持ち悪い顔で笑いながら一歩一歩μ'sに近づく馬鹿3人。恐怖におびえるμ’s。そして飛鳥がふと目を閉じた。そして体に電流が帯びる。
「もういい」
飛鳥がそう呟いた。
「おっ、何だ。諦める気になったのか?」
「分かればいいんだよ」
「さあ真姫。僕達の所に来なさい」
と、完全に勝ちを確信するフォー。
「あ、飛鳥くん!!」
「ちょ、まさかとは思うけど、にこ達を見捨てるの!!?」
「そんな筈ないじゃないですか」
「!」
飛鳥が穂乃果達を見つめた。
「ただ…。私も少々我慢の限界が来てまして、それ以上の顔はちょっと見られたくないんですよ…。高坂さん…皆さんを連れて、少し離れてくれませんか?」
「え? あ、うん…」
「ちょ、何をする気なの!?」
「にこちゃん!」
穂乃果がにこを見つめた。
「皆、少し離れよう」
と、皆が飛鳥とフォー達と距離を取った。
「ありがとうございます」
「ちょ、てめぇ!!」
「オレ達とやろうってのか!!」
「分かりました。それではお望み通り、あなたをここで始末します!!」
と、フォー達がチート能力を使おうとしたが、何も出なかった。
「!!?」
「な、なにも出ない!!?」
「何故だ!! 貴様!! 一体何をし…」
その時、飛鳥の周りに禍々しいオーラが放たれ、飛鳥は目を閉じる。
「!!?」
次の瞬間、食堂でとてつもない殺気が放たれた。そして地響きもする。
「ひぃいいいいいいいいいいいい!!!!(泣)」
にこ・凛・花陽が身を寄せ合って涙目になり、震えていた。
「な…な…!!!(大汗)」
「なんだおまえは!!(大汗)」
「そんな…ばかな…!!(大汗)」
フォー達は完全にしりもちをついて、飛鳥を見上げたが、飛鳥の顔はよく見えなかった。しかし、完全に「獲物を殺そうとしている獣の目」をしていた。何も言わず、A達を睨み続ける。
「ひ、ひぎ…」
「そ、そんな面しても怖くねぇぞ!!」
「ふ、二人とも!! 今こそあの必殺技を!!」
「バカ!! あれはμ’sが対象でこいつには…」
その時、飛鳥が更に殺気を強めた。衝撃波のようなものが発生し、周りにいた人間を震撼させる。
そして…
「……(泣)」
A、B、Cはそのまま気絶し、涙を流しながら失禁と脱糞をしていた。
「……」
飛鳥はというと、我に返って俯いていた。暫くして、穂乃果達の方を振り向いた。
「…終わりました」
「……!」
飛鳥が目を閉じた。
「本当にご迷惑をおかけしました。失礼します」
そう言って飛鳥は去っていった。
つづく