ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第30話「飛鳥 VS ザキラ!」

 

 

「何度も手裏剣に化けていたのか…!! 私の動きを防ぐために…!!」

「ええ…!! お陰様でスタミナが…。本来であれば、私の仲間がここで止めを刺すところなんですがね。今はいないので長期戦。ってところですか」

 

 飛鳥が口角を上げた。

 

「ザキラさんでしたっけ…」

「……!!」

「あなたはとても強い。私のような人間がフォー退治をするのは、確かに納得がいかれないと思います。ですが…、こちらも修業中の身である為、ここはどうかご理解いただけないでしょうか…」

 飛鳥の言葉にザキラが激昂した。

 

「一丈字飛鳥…。多少は貴様の力を認めてやる。私に食らいつく姿勢は、確かに羅城丸様が言っていた通り、天界にいる若手兵士たちにも見習わせなければならない。だが…」

 ザキラの目がカッと開いた。

 

「それで私が納得すると思っているのかッ!!」

「……!!!」

 

 ザキラのパワーに飛鳥が押されそうになったその時、

 

「何をしておる!! ザキラ!!!」

「!!?」

 

 羅城丸と、ザキラの妹であるコロロが現れた。

 

「羅城丸様!!」

「……!!」

 

 戦いは強制的に終わり、両者から事情聴取を受けていた。

 

「全く…」

「……」

 

 ザキラが罰が悪そうに視線をそらしている。

 

「あの、神様…」

「すまん飛鳥くん…。私が少し目を離したすきに…」

 飛鳥が羅城丸に話しかけると、羅城丸は首を横に振って申し訳なさそうにしていた。コロロも心配そうに見つめている。

 

「兄さま…どうしてこんな事を」

「わ、私は天界の未来を思ってだな…」

 羅城丸が正面を向いた。

 

「そんなに悔しいか。普通の人間にスクールアイドルの護衛任務を取られたのが」

 

「!!?」

 飛鳥とコロロが驚いた。ザキラが焦っていた。

「な、何をおっしゃって…」

「調べはついておるぞ。ザキラ、お前…ラブライブのアイドルグループの親衛隊をしているそうじゃな。しかも天界支部隊長」

「!!!」

 ザキラは驚愕した。

「し、親衛隊…?」

 飛鳥とコロロがぽかんとしていた。

 

「ザキラは生粋のラブライバーでのう…」

「いや、あの…羅城丸様…」

「地上の世界で行われていたラブライブのファンミーティングにも行っていたのだ」

「え、天界の人間が行けるんですか?」

「長居は出来ないがの」

 飛鳥の質問にもあっさり答える羅城丸。ザキラは妹の手前、凄く慌てていた。

「演者さんに握手して貰った時なんか感涙しておったそうじゃ」

「そ、そうですか…」

 飛鳥は腕を組んで困惑していた。それなら、オレを目の敵にするわな…と思っていた。

 

「で、あとは察しの通りじゃ。最近フォーが色んなアニメの世界で悪さをしているから、自分も今までの功績を立てにして、ラブライブの世界に行こうとしたが…お前さんに邪魔されたという訳じゃな」

「いや、それでしたらあのゲームセンターを使えば…」

「…天界の戦士がそんなみっともないことが出来る筈なかろう。行こうとしても止められ取ったんじゃ」

「……」

 ザキラは黙ったままだった。

 

「に、兄さま…」

 コロロがザキラを見つめていた。

「コロロよ。兄は確かにこんな趣味を持っているが、今まで通り接してやるのじゃぞ。何はともあれ、若手天使の中では飛びぬけた力を持っておる」

「は、はい…」

 コロロが困惑しながら答えていた。

「えっと…そちらの方は…」

「ザキラの妹、コロロじゃ。天使養成学校に通っておる」

「え、学校ってあるんですか?」

「勿論。何もわかっておらん素人を現場に出すわけにはいかんじゃろう」

「そ、それもそうですね…」

 飛鳥が困惑した。

 

「本当に申し訳ない。ザキラは連れて帰る」

「は、はあ…」

「コロロ。彼を治療してあげなさい」

「は、はい!」

 

 と、コロロが飛鳥を治療魔法をかけようとしたが、効果が無かった。

 

「あ、あれ?」

「あ、ああ…。すみません。私、魔法が一切効かないんですよ」

 飛鳥が苦笑いした。

「そういやそうじゃったな。後で薬を持ってくるから、それで我慢してくれ」

「分かりました」

 コロロが飛鳥を見つめた。

「す、すみません…」

「いえ、大丈夫ですよ」

「……」

 ザキラはずっと黙ったままだった。

 

「ザキラ!」

「…申し訳ございません」

「謝る相手が違うじゃろう」

「あ、その事については大丈夫ですよ」

「そうではない。謝らなければ、他の者に示しがつかん。ましてや、妹にも」

「……」

 ザキラが飛鳥を睨んだ。

 

「…一先ずは謝ってやる。済まなかった」

 

 と、飛鳥に頭を下げた。

「ザキラさん…」

「…これでいったんは、解決じゃな」

 羅城丸が首を横に振った。

 

「一旦飛鳥くんの家に戻ろう。ここだと人目に付く」

 

 飛鳥の家

「これが薬じゃ」

「ありがとうございます」

 羅城丸が知人から取り寄せた薬を飛鳥に渡した。

「ザキラの件はワシに任せなさい」

「は、はい…」

「また明日からサポートするからの」

「感謝します」

 飛鳥が一礼した。

「それではの」

 そう言って羅城丸たちは去っていった。

「……」

 

 飛鳥はさっと薬を塗った。

 

「めっちゃ効く」

 そう感心する飛鳥だったが、ザキラとの闘いを思い出していた。

 

(ザキラさん…とても強かった。暫くの間、修業らしい修業もしてなかったからな…)

 

 飛鳥が静かに目を閉じた。

 

「明日からまた頑張らないとな!」

 そう言って飛鳥は立ち上がった。

 

 

 翌日

「朝だ」

 飛鳥が窓から朝日を見つめてた。

『新しく生まれ変わるには絶好の朝じゃな』

 羅城丸がテレパシーで話しかけた。

「…そうですね!」

 飛鳥が口角を上げた。

 

 そして家を出て、飛鳥は音ノ木坂学院に向かった。

 

「飛鳥くん!」

「?」

 飛鳥が振り返ると、そこには穂乃果、ことり、海未がいた。

飛鳥「皆さん」

「飛鳥くんの家ってこのマンション?」

「え? ああ…そうですね」

 飛鳥が苦笑いした。

「そうなんだ…。あ、昨日は助けてくれてありがとね」

「あ、い、いえ…」

「……?」

 穂乃果達が不思議そうにしていた。

「どうしたの?」

 ことりが飛鳥に聞いた。

「いえ、何でもありませんよ」

「そ、そうですか…」

「絶対なんかあったでしょ! 穂乃果達に話してよ!!」

「……」

 飛鳥が穂乃果を見つめた。

「な、なに?」

「高坂さん」

「?」

 するとことりと海未もちらっと見た。

「南さんも園田さんも」

「ど、どうしたの?」

「何があったんですか?」

 飛鳥が口角を上げた。

 

「あなた達は絶対に守ります」

「!!」

 

「…失礼します」

 飛鳥が敬礼して、その場を後にした。

「……///////」

 穂乃果達の頬が真っ赤に染まった。

 

 

(ごまかすためとはいえ、ちょっとクサすぎたかな…)

(そんなレベルじゃないぞ)

(え)

 神様の突っ込みに飛鳥が固まった。

 

 

 そしてまた、天界の羅城丸の部屋

 

「くぁああああ~~~~~~~~~~!!! 穂乃果ちゃん達をたぶらかしやがってあの男~~~~~~~~~~!!!!!」

(兄さま…)

 モニターから飛鳥達の様子を見て、発狂する兄を見て、困惑するコロロだった。

 

 

つづく

 


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