ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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敗北編
第31話「栄枯必衰」


 

 

「Aくーん♥♥♥♥♥」

「Aせんぱーい♥♥♥♥♥」

 

 と、黄色い声援を送る女子生徒達。それに対して笑顔で対応するA。

 

(うっひょお!! 綺麗で可愛い女子がオレに微笑みかけてるぞ!! ぶひひひひ!! もっとオレの事だけ見ろぉ!!!)

 

「Bくんは私とエッチするのー!!」

「私とだよー!!」

「あたし!!」

「おいおい。オレを取り合うなよ。オレは皆のものだぜ?」

 

 自分を取り合う女子達に気障っぽく答えるB。

 

(そうだ!! もっと取り合え!! もっとオレを取り合ってくれぇええええええ!!!)

 

「Cくん。お弁当作ったんだよ」

「ありがとう」

 Cが弁当を食べた。

「味付けがいまいちですね。40点です。もう少し僕の好みについて勉強してください」

「ご、ごめんなさい…」

「私なら満足させられるわ!」

 

 と、女を自分の欲望を満たす道具として扱っているC。

 

(いいぞ…女が僕の忠実な下僕になっている。ふひひひひひひひひひ)

 

 

 3人は自分のこう思っていた。

 

(オレは…)

(僕は…)

 

 

 

 勝ち組だ!!!

 

 

 そしてこの世界でもこうなると確信していた…。

 

「Aくん。おはよ~」

「おはよう穂乃果」

 穂乃果がAに抱き着いて、おっぱいを押し付けた。大きさは関係なく、可愛いもしくは綺麗な女のおっぱいであれば良かったのだ。

(そしていい匂い!! ん~!! やっぱり可愛い女の子はいい匂いするなぁ!!)

 と、この上気持ち悪い発言をしていた。これを見ている女性読者の皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいである。ただ、この男達が如何に気持ち悪いかを表現するにはこうするしかなかったのだ…。

 

「あ、穂乃果ちゃんだけずるい~!! ことりも~!!」

 と、ことりも抱き着き、

「わ、私も…/////」

 と、海未も抱き着いた。これでハーレムの出来上がりである。

 

(ことりも海未もいいにおいするし、ちゃんとした膨らみもある!! もう股間が偉い事やでぇ!!)

 もう死んでるけど、死んでください。

 

 

 また…

「B♥」

 絵里がBに腕を絡めていた。とても嬉しそうに…。

「全くしょうがないな絵里は」

「ねえ。今日もお姉さんとイイ事しない?」

「練習はいいの?」

「練習なんかいいわよ。あなたがいてくれればそれだけで♥」

 と、胸を押し付ける。

 

(うっひょオ…!! 夢にまで見たエリーチカのエリーチチ…。ケツ触ってもいいよな…)

 と、絵里の尻を触る。

「あんっ♥」

 と、嬌声を上げる。

「もぉ、エッチ♥」

 嬉しそうに言う絵里。

「ゴメン。でも、絵里が魅力的でエロい体してるのが悪いんだよ…」

 と、いちゃついていた。

 

「ちょっと!! 絵里ばっかりずるいわよ!!」

「Bくん。うちもそういうテクニック自信あるんやけどなー」

「それじゃ今日は4人でイイことしよっか」

「ムスー」

 絵里が剥れる。

 

「剥れる絵里も可愛いなぁ」

「そ、そんな事言ったって騙されないんだからね/////」

「そうだ! 折角だから亜里沙も誘おうよ!」

「えー。だってあの子も貴方に興味持ってるし…」

「いいからいいから」

 

 と、こんな感じのを期待していた。

 

 

 Cはというと…。

「40点ですね」

 と、弁当にケチつけていた。

「うー…。やっぱり凛にこういうのは無理だにゃ…」

「り、凛ちゃん。頑張ろうよ」

「これはやっぱりお仕置きが必要ですね」

「お、お仕置き!!?」

 凛が頬を染めて嬉しそうにする。

「何を嬉しそうにしてるんですか? お仕置きなんですよ?」

「だ、だってCくんからのお仕置きなんて嬉しすぎるにゃあ…」

「り、凛ちゃんだけずるいです!!」

「仕方ないですね」

「ちょっと!」

 と、真姫が出てきた。

「Cは私のご主人様なんだから!!」

「そんなルールは無効にゃ!!」

「そ、そうだよ! 真姫ちゃんだけずるいよ!」

「やれやれ。仕方ありませんね」

 Cが眼鏡をクイっと上げた。

 

「3人纏めて可愛がってあげましょう。勿論一糸纏わぬ姿で…」

 

 

 と、まあ何とも女を何だと思ってるんだという感じの展開を期待していた3人だったが、その野望は1人の超能力者によって阻止された。

 

その結果、学校の生徒に会えば気持ち悪い物を見るような目で見られ、挨拶をしても無視される日々を送っている。特に初日と2日目に自分が起こした奇行が噂となり、彼らは今までの世界とは違い惨めな生活を送っていた。

 

何も苦労する事は無かった。朝はヒロインが起こしてくれた、料理もヒロインがしてくれた、学校や街に行けば自分は注目の的になり、女性キャラクター達を侍らせてハーレム生活をいくつも堪能してきた。だがこの世界では買い物は自分でする、料理や洗濯も自分でする、自分で起きなくてはいけない、学校に行けば女性キャラクター達からは嫌われる。今まで勝ち組だった自分の面影はこの世界には存在していなかった。

 

 だが、最後の女性キャラクターに嫌われるという点を除けば、飛鳥も当てはまる。現職の職業柄、朝は早く起き、料理もそれなりに好きなので自分でやる。ここぞという時に頼りになるので、学校や街ではいい意味でも悪い意味でも注目の的になる。ハーレムと言えるかどうかは分からないが、結構沢山の女子に囲まれて、家事を教えてる事もある。

 

 

 そんな彼が学校で見せた強力な殺気。あれを感じてAたちはなにもできず、恐怖におののいていた。今までの自分達ならあり得ない事だった。神様から貰ったチート能力で簡単にいなせた。しかし、それを使う勇気が無かったのだ。

 

 もうお分かりだろう。たとえどんなに強力な力を持ってようとも、使わなければないのと同じなのである。つまり、あの時の彼らはチート能力を授けられる前の弱い人間に戻っていたのだ。そんな奴らが勝てるはずなどない。

 

 そして彼らは思っただろう。

 

「何処で間違ってしまったんだ!? 今までの世界では全てが上手く行っていた筈なのに! 全てがオレを中心に回っていた筈なのに!」

 

 ずっと回り続けたアニメの世界。そしてその中で必ず『勝利』と『栄光』が約束されていた。必ず自分のやる事は上手く行って、何の努力や苦労をせずとも、圧倒的な力で楽が出来た。いつもみたいに敵を圧倒して、気に入った女を抱いたりすることも出来た。たとえそれが彼氏持ちや既婚者であっても。チート能力の前では何の意味もなさなかった。

 

 

 しかし、彼らはまだ気づいていない。

 

 

自分達の栄光は終わり、地獄が始まっている事に…。

 

 

つづく

 


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