話は戻り、飛鳥は何気ない毎日を再び送っていた。
「一丈字くん。おはよー」
「あ、おはようございます」
普通に登校すれば、クラスメイトは勿論の事、クラスメイト以外の女子生徒も挨拶をしてくれる。
それに対し…
「あ、A達よ…」
「まだ退学になってなかったんだ…」
「あれだけの事をしといて、よく学校来れる気になるよね」
「しょうがないよ。女の子がいっぱいだもん。ハーレム(笑)を手放したくないんじゃない?」
Aたちが登校すると、女子生徒全員から後ろ指をさされる始末。
(くそっ!! どうしてオレがこんな目に逢わなきゃいけないんだよ!!)
(何もかも一丈字のせいだ!!)
(これはあってはならない事だ…。早急に一丈字を始末しなくては…)
2年1組の教室
「飛鳥くんおはよー」
「おはようございます」
「ねえねえ。昨日のドラマ見た? 主演の俳優さんめっちゃかっこいいよねー」
「飛鳥くん男の子よ?」
「あ、そうだった!」
「あはははははははは!!」
と、和気藹々としていた。
2年2組の教室
「やあ、おはよう!」
Aから挨拶をするが、殆どの生徒がガン無視。声をかけてきてくれても、すっごい嫌そうな声で「おはよう」と一言だけ言う始末。
(何で…何でこうなるんだよ!!!)
「その顔やめろや!!」
「朝からイラつかせるのう!!!」
と、Aが不貞腐れる度に女子生徒達もイライラしていた。これはBとCも同様で…。
Bの教室
「はー…本当にBいなくなってくれないかな…」
「1年辛抱すればって考えても…長いわー。残り時間5分の授業と同じくらい長いわ」
「それな」
Cの教室
「見て。またCが来てるわよ」
「もういい加減にしてほしいわ…」
「入学早々嫌な奴が来ちゃったよ…」
「何だこの格差」
『因果応報じゃ』
飛鳥と神様がコマの外で突っ込んでいた。
とある授業で選択授業があり、調理実習を選択していた。
「あ! 飛鳥くーん!!」
「高坂さん」
なんと、穂乃果、ことり、海未も同じく調理実習を選択していた。
ちなみにAはというと、体育を選択していたが…。
(ど、どうして穂乃果達がいないんだ!? 盗み見た時は体育を選択してた筈…!!)
Aはチート能力を使って穂乃果達が何を希望したかを盗み見て、体育を選択している事が分かり、体育を選んだが、よくよく考えてみましょう。あれだけ海未の事をいやらしい目で見ている事が分かっている筈なのに、学校も対策を打たないわけがないと。早い話、別々にされたのだ。
ちなみにヒフミトリオが穂乃果達に第一希望を体育にするように教えたのだが…。
「山田先生怖いからねー」
「うんうん」
そしてAは山田の指導を受ける羽目になった。お目当ての海未がいない状態で…。
「まずは手始めにグラウンド10周!!!」
「きっつ!!(大汗)」
「手始めの意味わかってます!!?(大汗)」
「つべこべ言わず行ってこい!!」
と、Aと体育を希望していた生徒達は走らされていた。ちなみに他の希望者は「どうせ海未の他にも透けブラ狙ってんだろ」と、ジャージを羽織っていた。
(ちくしょ~~~~!!!! 一丈字め~~~~~~!!!!)
そんなAの無様な末路はさておき、飛鳥に戻ろう。
「飛鳥くん! 穂乃果達と組もうよ!」
「……」
穂乃果が早速アタックしていた。ことりと海未もペアを組んでほしそうにしている。
「ちょっと待った! 飛鳥くんは私達と組むんだから。同じクラスだし」
「えー。クラスが一緒ならたまには譲ってよ!」
「そうよそうよ!!」
「うちの男子がどんだけ屑かアンタたちも分かるでしょ!!?(大汗)」
「じゃあペア組まなくてもいいから、一丈字くんとA交換して!」
「ごめん、ちょっと何言ってるか分からない」
2組の女子の発言に、1組の女子は訳が分からなさそうにした。
「ここだけの話、理事長がそう検討してるらしいよ」
「お母さんが!!?(大汗)」
「ブーブー!!」
「職権乱用ブー!!」
「バンザーイ!! 理事長バンザーイ!!」
と、収拾がつかない事になり、飛鳥が困惑した。
「あの、神様…」
『Aたちはせいぜい、お主の引き立て役として頑張ってもらうからの。女には手を出せず、わき役の毎日を過ごす! 奴らにとってこれほどの屈辱はないわい!!』
「は、はあ…」
最終的に、班決めはくじ引きで決める事になり…。
「あ、宜しくね一丈字くん。私ヒデコ!」
「私フミコよ。知ってるかしら?」
「ミカでーす」
「3人合わせて、ヒフミトリオ!!」
「あ、はい…宜しくお願いします…」
と、ヒフミトリオと組むことになった。
「む~~~~~~」
「ほ、穂乃果ちゃん…」
「…むぅ」
一緒の班になれなかったことに対し、悔しがる穂乃果と海未。ことりもなだめるが心の底から残念がっていた。
「分かるわよ。飛鳥くん大当たりだもの」
「料理上手だし」
「まあ、組めなくてもああいう男子と一緒に組めるからね」
「Aだったら喜んでくれてやるけど」
(めっちゃ言われとるがな…)
と、飛鳥は心の中で突っ込んだ。
そして調理実習が始まると、飛鳥はやっぱり活躍した。
「ヒデコさん。こちらをお願いいただけますか?」
「あ、うん…」
「一丈字くん。これ、出来たよ」
「ありがとうございます。フミコさん」
「一丈字くん。これ、どうしたらいい?」
「あ、ミカさん。それはですね…」
と、同じ班の女子に紳士的かつ丁寧に教えていた。それに見とれる他の班の女子達。
(…何かすっごい見られてる)
(お前さん、やっぱり素質あるのう…)
(いやいや…)
数十分後に、調理が完了した。
「できたー!!」
と、皆が料理を食べ始めていた。飛鳥達が作ったのはホールケーキである。
「おいし~!!!」
「生クリームとかお店の奴みたーい!」
「ほんと!!」
「……」
飛鳥は満足そうにヒデコ達を見ていた。
「え!? そんなに美味しいの!? ちょっと一口だけ…」
「あ、こら穂乃果!!」
穂乃果が一口だけ食べた。
「お、美味しい!!」
穂乃果が飛鳥を見た。
「飛鳥くんとっても美味しいよ!!」
「そ、そりゃどうも…」
飛鳥が苦笑いした。
「ちょっと。褒めてるんだから、もうちょっと嬉しそうにしなよ」
「あ、いえ…。そこまで褒めて頂けるなんて思いもしなかったのもので…。気に入って貰えて良かったです」
飛鳥が苦笑いした。
「けどこの作り方、飛鳥くんのオリジナル?」
「えーと…全部ではないんですけど」
飛鳥が頭をかいた。
「今度教えて!!」
「あ、えっと…」
「あ、ずるい私もー!!」
と、囲まれた。
そしてAはというと…
「調理室に行くつもりなんでしょ!!?」
「行かせないからね!!!」
「ちょ、本当にトイレだってば!!」
「ここでしなさいよ!!!」
「鬼畜!!!(大汗)」
と、女子達に通せん坊されていた。
「一丈字くんがケーキ作ったみたいなんだけどめっちゃ美味しいって!!」
「え~~~~~!!!!?」
「調理実習にすればよかった…」
(一丈字め~~~~~~~~~~~~!!!! そこ代わってくれよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!)
と、Aは心の中で負け犬の遠吠えをあげるのだった…。
つづく