飛鳥とA-RISEが店を出た矢先、飛鳥はイヤな予感を感知していた。
ちょっと前…
「クソッ!! 今日も女子から相手にされなかった!!」
と、ゴミ箱を蹴飛ばすB。それを見て通行人たちはドン引きしていた。
「何見てんだ!! ぶっ殺すぞ!!」
そう言うと、通行人たちは引いた。
「何もかも一丈字のせいだ…!! こんな筈じゃなかったのに…!!!」
そう思っていた矢先、飛鳥がA-RISEと一緒にいるのを見かけた。
「あいつ!! μ’sだけじゃなくてA-RISEまで…くぅぅぅぅ…!!!!」
と、Bは歯ぎしりしたが、ある事を考えた。
「待てよ? もし一丈字とA-RISEが一緒にいる所を写真で撮れば、脅せるかもしれない。そうすればμ’sとも近づかないぞ…!!」
そう考えていた。あまりにも愚直である。
「そうと決まれば、早速写真を撮ってやる!!」
と、Bはカメラを持ち出して飛鳥とA-RISEの写真を撮った。
「見てろよ一丈字…。これでお前のハーレム生活は御終いだ。あとはオレがその座についてやる…!!」
Bは気持ち悪い笑みを浮かべた。本当に気持ち悪い。
「だが、A-RISEとどういう話をしているか気になるな。見てみるか…」
Bは店に入ろうとしたが、
「あーチミチミ」
「!?」
と、水色の髪の小柄な少年が止めた。彼の名前はD。Bと同じ『フォー』である。
「A-RISEの邪魔をしないでくれたまえ」
「あ!? 何だテメェは! 知るかよ」
と、Bが進もうとすると、Dが手を突き出してBの足元を凍らせた。
「!?」
「見た所君も「転生者」だね。だけど、残念ながらA-RISEは僕のものだ」
Dが気味悪い笑顔で言い放った。
「あぁ!!? てめぇもこの世界のスクールアイドル狙ってんのか!? どっか行けよ!! 何勝手に入って来てんだよ!!」
令和2年度お前に言われたくない大賞受賞、おめでとうございます。
「君の発言には興味ない」
そして令和2年度お前の発言にも興味ない大賞受賞、おめでとうございます。
と、ひと悶着が起きて数十分後、飛鳥とA-RISEが出てきた。
「出てきた!!」
そして飛鳥がBとDの気配を感知して、今に至る。
「誰かいますね…」
飛鳥がそう言い放った。
「もしかしてDかしら…」
「あり得る…」
ツバサ、英玲奈が警戒していると、
「飛鳥くん。こわーい」
あんじゅが飛鳥に抱き着いた。
「!!?」
「ちょ、あんじゅ!!//////」
お察しのとおり、あんじゅのおっぱいが飛鳥の腕に当たっている。
「私の傍から離れないでください」
(冷静にふるまってる!!!(大汗))
しかし、感触はちゃんと飛鳥の腕に伝わっていて…。
(最近のアイドルは肝が据わってるのか、怖いもの知らずなのか…)
と、考えていた。
「こんな所で何をしているのですか?」
と、Dが現れた。
「D!!」
ツバサが叫んだ。
「A- RISEともあろう人間が、どこの馬の骨と分からない男と逢瀬…ましてや、そんな破廉恥な真似を…ファンは悲しみますよ。大体…」
と、話そうとするとあんじゅは飛鳥を誘導して、ツバサ、英玲奈と共にその場から離れようとした。すると…
「待ちなさい。まだ話は終わってませんよ」
瞬時に飛鳥達の前に立ちはだかった。
「あ、すみません。あなたがDさんですか?」
飛鳥がそう聞いた。
「如何にも。僕はD。このA-RISEの1番のファンであり、騎士(ナイト)…」
と、かっこをつけるD。
「うちのA-RISEが突き合わせてしまって済まなかったね。後は僕に任せてあなたは帰ってください」
と、Dが手を差し伸べるが、
「あ、お構いなく。私は今日飛鳥くんと帰るから」
そう言ってあんじゅは更に飛鳥にくっついた。
『ワシ…何もしとらんのに、ここまで好かれとるとはなぁ』
『御冗談を…(汗)』
色んな意味で冗談であって欲しいと思う飛鳥だった。第一の理由としては、公式に怒られるからだ。二次創作とはいえ、可愛い女の子達がこのような名前も認知度もない男と一緒に仲よくしようものなら、色々まずい。飛鳥としては何も言われないようにしたかったのだ…。
「それはダメだ」
「どうして?」
「あなた達は僕と一緒にいなきゃダメなんだ」
と、Dが冷徹な表情で言い放った。
(何だかよく分からねぇがチャンスだ!!)
と、Bも現れた。
「おやおやぁ? こんな所で何をしてるのかな一丈字くん」
「あ、Bさん」
飛鳥は至って普通だった。
「μ’sと言うものがありながら、A-RISEと仲良くするなんて良い御身分じゃないか」
「そういう関係じゃな」
「どうしようかな~? この事μ’sに喋っちゃおうかな~? 喋ったら間違いなく嫌われるかもな~?」
「あ、お好きにどうぞ」
飛鳥が普通に言い放った。
「なっ!!? ほ、本気だぞ!!? 本気でμ’sにチクるからな!!」
「何とでも」
「飛鳥くん。この人がBさん?」
「そうですよ」
「ふーん…」
あんじゅが口角を下げた。
「まあいいわ。行きましょ飛鳥くん」
「え? ちょ…」
「逃がさないと言ってるでしょう」
「きゃっ!!」
Dがツバサの手を掴んだ。
「へへ。だったらオレも!!」
「!!?」
Bが英玲奈の手を掴んだ。
「ツバサ! 英玲奈!!」
あんじゅが驚いたが、飛鳥はノーリアクションだった。
「おっと動くなよ」
「あんじゅも大人しくこっちに渡しなさい」
と、BとDはツバサたちを人質に取った。
「ダメ!! 飛鳥くん!!」
「あんじゅだけでも連れて逃げるんだ!」
「あ、その必要ございませんよ?」
「え?」
「何だと!!?」
飛鳥が指をさした。
「後ろをご覧ください」
「え?」
「おっとぉ。その手には…」
「ゴッホン!!」
誰かが咳払いをしたので、皆が飛鳥に言われた通り、後ろを向くと、そこには警察の姿があった。
「君たち。一体何をしてるのかね?」
「!!?」
「あ、痴漢です」
「!!!」
「一丈字てめー!!!」
と、BとDがツバサたちを置いて逃げ出した。
「待てー!!!」
警察が追いかけていくが、どうも足が遅い。飛鳥とA-RISEが取り残された。
「あ、大丈夫ですか? 綺羅さん、統堂さん」
「…あ、うん」
「ああ…」
「そうですか」
飛鳥が微笑んだ。
「さあ、帰りましょうか」
「う、うん…」
「あ、やっぱりタクシー呼びましょう。もう危ないですし」
「え!?」
A- RISEが驚く。
「ちょ、そこまでしなくても…」
「あ、すみません。これ、皆さんの為でもありますけど、私の為でもあるんですよ」
「え?」
飛鳥が苦笑いした。
「怒られるんですよ。何で最後まであなた達を守らなかったんだって」
「……!!」
「なので、最後まで守らせてください。お願いします」
飛鳥が一礼した。
「…それはいいけど」
「ありがとうございます」
飛鳥がツバサ達を見つめたが、ツバサが頬を染めた。
「どうされました?」
「な、何でもないっ!!///// タクシー呼ぶんだったら、早く呼んでよ!!」
「あ、はい」
飛鳥が携帯電話からタクシーを呼んだ。
「…あのオーラは反則だろ/////」
「う、うん…/////」
男子に守られているという事に、何か照れ臭くなるA-RISEだった。
『…ところで神様。Dはどうするんですか?』
『安心せい。チート能力は全部没収しておいた。後はワシが飽きるまで負け組の人生を歩むだけじゃ』
『そ、そうですか…(汗)』
つづく