「グロウ・アップ」
歌:Hysteric Blue
(学校の怪談 OP)
日曜の夜にやってたアニメです…。
ここは音ノ木坂学院(おとのきざかがくいん)。ラブライブの主人公である高坂穂乃果達が通う高校である。秋葉原、神田、神保町という3つの街のはざまにある伝統校。しかし、入学希望者の減少により、廃校寸前となっていた。
このラブライブの物語は、この音ノ木坂学院の廃校を阻止する為に、主人公達が「μ's」というアイドルになって、そのアイドル活動を通じて入学希望者を増やそうとする物語である。最終的には上手く行く。
ちなみに転生センターでは、好きな話を選んでその話だけ転生体験する事も出来れば、大抵は第1話から全話転生する事もできる。フォーになれば全話転生して、ずっとそのままである。
「そういえば、最終回が終わったら、強制的に出られるんじゃないんですか?」
飛鳥が神様に質問をした。
「そのはずなんじゃが、そのチート能力を悪用して、出られないようになっておるんじゃ。そのせいで長蛇の列が…」
「……(汗)」
もう完全に撤廃したほうが良いんじゃないか? と飛鳥は思った。
ちなみに、ラブライブの世界にも色々並行世界があり、とある所では、明治期から始まり、創立115年を数える名門校として、地域NO.1を誇っている。
「ワシらの話はもうどうだって良いじゃろう。そんな事よりもラブライブじゃ!!」
「えー…」
そんなこんなで、飛鳥の(死んでないけど)転生生活が始まります。
朝
「ここが音ノ木坂学院か…」
神様から渡された転校案内書を持って、飛鳥が校門前に立っていた。ちなみに飛鳥は目立たないように、大きな伊達眼鏡をかけていた。普段は裸眼であるが、超能力者である為、目立つのは色々まずいので、こうして眼鏡をかけて、前髪も出して、『どう考えてもどこにでもいそうな普通の高校生』を演じているのだ。
「あなたが転校生?」
「!」
と、現れたのは一人の美女。ラブライブのヒロインの一人である南ことりの母であり、音ノ木坂学院の理事長である。本当に高校生の娘を持っている母親なのかと疑問に思うくらいの美貌だった。メンバー全員の母親が大体そんな感じである。
「あ、はい。一丈字と申します」
飛鳥はそんな事全く気にせず、普通に自己紹介した。鈍感という訳ではないが、基本的に仕事第一という社畜思考を持っている、いずれにせよ可愛げのない男である。
「音ノ木坂学院理事長の南です。どうぞこちらへ」
「はい、宜しくお願いします!」
理事長に連れられて、飛鳥は音ノ木坂学院の門をくぐった。
「あなた以外の転校生はもう来てるのよ」
「え、そうなんですか?」
飛鳥が驚くそぶりを見せたが、実はそんなに驚いていなかった。というのも、事前に神様から『自分以外にも転校生がいる。そいつら全員フォーだ』と教えてもらっていた。恐らく、自分より早く来ているという事は、ヒロイン達にいい顔をしたいからだろうと考えていた。
「あ、ちなみに」
「?」
神様がニヤリと笑った。
「フォーには、『女にモテる』という機能は全部取り上げておいたから、安心したまえ。女の子は全員お前さんの味方じゃ!」
「え、えぇ…(汗)」
もうそれやるくらいなら、その方法を若手に教えた方が良くないか? と思っていた。
そして転校生全員が理事長室に集合した。
(オレは転生者A…。他に転生者がいるが、ハーレムを手に入れるのはオレだ!!)
(この転生者Bこそが、ハーレム王となるのだ!!)
(僕は転生者C…。この僕が、μ’sのハートをつかむ。これは決まっている事なんだ)
(……)
飛鳥と一緒にいるこの男性生徒3名が、神様たちが手を焼いている悪質転生者『フォー』だった。基本的に『女とヤる』『無双』『ハーレム』『モテモテ』の4項目しか考えていない。原作の主人公や他の転生者を殺害し、その作品のヒロインを寝取ったり、強姦する事を生きがいとしている。元は冴えない男で、女に縁のない生活を送っていたが、この転生センターで悪い方向に自信を持ってしまってしまい、今となっては神様たちから目をつけられている。
そんな中で、飛鳥は平然としながら理事長を見つめていた。
(こいつも転生者か…?)
(弱そうだな!)
(相手にするまでもありませんね)
と、完全に舐め切られていた飛鳥。それもそうだ。フォーたちは神様の力でイケメン(もとは不細工が多い)になり、(女にモテる以外)全知全能になり、そんな奴が自分達に勝てるはずがないと思っていた。
しかし、神様は思った。
『その気になっていたお前らの姿は御笑いだったぜぇ?』
『何でパラガスなんですか』
テレパシーで飛鳥が突っ込んだ。
「さて、これで全員そろったわね」
と、南が4人を見つめた。
「改めてようこそ。我が音ノ木坂学院へ。あなた達には今日から体験入学生として、我が校の生徒として学校生活を送ってもらいます」
「はい!!」
フォーたちが愛想良く返事をした。これも教師たちの評価を上げるためだ。
(フフフフ…。この後職員室でイケメンが来たって大はしゃぎになるんだ)
(きっとオレを取りあうんだ…)
(参りましたね)
と、A、B、Cが順番に心の中で笑っていたが、完全に顔に出ていた。
(な、何だこいつら…)
(そんなに女子高にこれたのが嬉しいのかしら…)
(へ、変な事しなきゃいいなぁ…)
と、彼らの担任になるであろう女教師たちは顔をひきつらせた。下手すりゃ逆にトラウマを与えられかねない。あくまでゲームの世界なので、全部終わったらデータは消えるのだが、それまでは地獄でしかない。
(……(汗))
飛鳥も一緒になって引いていた。そして教師の注目は一気に飛鳥に集まる。
(あ、こいつはまともそうだな…)
(この子真面目そう…)
(私達と同じ気持ちなんだなってよく分かる…)
(…まともそうな子が1人いて良かったわ)
すると理事長が咳払いした。
「さて、クラスを発表しますね」
クラスは下記の通りになった。
・ 一丈字飛鳥:2年1組
・ 転生者A:2年2組
・ 転生者B:3年
・ 転生者C:1年
飛鳥はヒロイン達がいないクラスに配属された。
(フン! バカめ! ヒロイン達がいないクラスに配属されるとはな!)
(ついてないなこいつ。精々地獄を味わえ!!!)
(可哀想な人です。せめて僕がハーレムを作るところを指をくわえてみてなさい)
この後、そっくりそのまま同じことをまだ彼らは知らなかった…。
2年2組・教室
「そういえば今日うちのクラスに転校生来るらしいよ」
「へー…」
女子生徒達が話をしていた。そんな中、主人公である高坂穂乃果はある事を言った。
「興味ないや」
つづく