第41話「旅先のトラブルはお約束」
第41話
ある日の事。
「気の向くままに電車で移動したらこんな所に来ちゃったよ」
ここは沼津市の内浦。飛鳥は海沿いを歩いていた。空は雲一つない青空で、海も青かった。フォーの戦いに疲れた飛鳥は気の赴くままに出かけた。そしてたどり着いたのがここである。
(良い所だ…。老後はこういう所で隠居したいなぁ…生きてたらの話だけど)
飛鳥がふと砂浜を見ると、1人の少女が海に向かって立っていた。特に意識せずそのまま通り過ぎようとしたが、
「…輝きた~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い!!!!!!!」
と、突然叫び出して、思わず振り向いた。
「ふぅ…」
少女が後ろを振り向くと、飛鳥と目が合った。しかしその少女の姿を見て神様は慄然した。
「……」
「……!!!//////」
少女が顔を真っ赤にした。
(よし、逃げよう)
飛鳥が逃げようとしたその時、神様が待ったをかけた。
(待て)
(何ですか?)
(…あの娘、どうしてここにいるんだ?)
(どういう事ですか?)
(あの少女は高海千歌と言ってな。今君がいる「ラブライブ!」の次回作「ラブライブ!サンシャイン!」の主人公だ)
(と、いうと…)
神様が珍しく焦った表情を見せた。
(…2つの世界が1つの世界になってしまった可能性がある)
神様の発言に飛鳥がけげんな表情を浮かべた。
(それって…マズいんですか?)
(とってもマズい。転生センターの運用にかかわる。恐らくフォーが次元の壁に何かしらダメージを与えたせいだろう)
(次元の壁?)
(その話は後で話そう。高海千歌がこっちに向かって走ってきてるからな)
「え」
すると千歌が走って来た。
「あ! えっと! す、すみません!! 大声出して…」
「……」
『理由を聞いてみるのだ』
『は、はい…』
神様のアドバイスに飛鳥は従う事にし、千歌に事情を聴いてみた。すると千歌は素直に答えた。
「そうだったんですか」
「はい…」
飛鳥と千歌が横に並んで話をしていた。
「友達が活躍していて輝いてるから、自分も輝きたいと…」
「そうなんです…」
「ふーん…」
飛鳥が口角を下げる。
「高海さんでしたっけ」
「はい」
「高海さんにとっての輝くって何ですか?」
「え?」
千歌が飛鳥を見た。
「何をしたら、自分は輝いてるって思えますか?」
「そ、それは…」
千歌が答えに迷う。
「そりゃ分かりませんよね。分かってたらさっきみたいに「輝きたい」って叫びませんし」
「お、思い出させないでください/////」
千歌が頬を染めた。
「高海さん。私は「輝く」って事に対する考えを持っているんですけど、発表しても宜しいでしょうか」
「え、ど、どうぞ…」
「ありがとうございます」
飛鳥が一礼した。
「高海さん、輝くって自分が自分でいる事だと思います。まあ、自分に自信を持つ事ですね」
「自分に自信を持つ事?」
「ええ。まあ、正確には自分を持つ事ですがね」
飛鳥が青空を見た。
「…高海さん。アナタは今、何か輝く為に努力はしていますか?」
「そ、それも全然…」
「そうですか」
飛鳥が口角を上げる。
「それでしたら、自分に自信を持つ事から始めてみては如何でしょうか」
「自分に自信を持つ事?」
「ええ。自分はやれる、自分は出来るんだっていう気持ちを持ちながら物事に取り組むんです。失敗もありますが、そこはまだやれるって気持ちで。簡単な事で良いんです。テレビゲームでも、勉強でも、とにかく自信を持って何かを最後までやり抜いてください。それが「自分は出来る」っていう自信に変わって、アナタを輝かせてくれる筈です」
千歌が驚いた。
「…と言っても、半分は自分に言い聞かせてるんですよ。コレね」
「そうなんですか?」
「ええ」
飛鳥が苦笑いした。
「あ、でも始めようとしてる事があるんです」
「何ですか?」
「スクールアイドルです」
千歌の言葉に飛鳥は驚いた。
飛鳥「やりたい事があるならそれで良いですけど、軽はずみでやっても上手くいきませんよ」
千歌「……」
千歌が俯いた。
「自分が輝きたいからスクールアイドルをやる。これは自分の為だけにやっていて、お客さんの事とか考えてないでしょう。自分の事しか考えない奴にスクールアイドルは無理だと、No.1スクールアイドルグループの方達が言ってましたよ」
「No.1スクールアイドルグループ…」
A-RISEの事だが、敢えて名前を出さない飛鳥だった。
「まあ、その人達も最初は自分達の事しか考えてなくて、結果的に大きな失敗をしたそうです。それで、反省や努力を繰り返してNo.1になってますからね。あと、1年生の頃から始めているそうです」
「そ、そうだったんですか…」
千歌が俯く。
「でも私…」
「……」
千歌が俯いた。
「それでも、普通で何の取り柄もないから…」
「だったらそれを魅力に変えましょうよ」
「え?」
千歌が飛鳥を見た。
「スクールアイドルをやらないにしても、普通で取り柄がないっていうのは、まさに輝くチャンスだと思いますよ」
「ど、どうしてですか…?」
「だってそれ、いくらでも成長できるチャンスじゃないですか。普通で取り柄がないからで終わらせるには勿体ないと思いますよ」
「そ、そうですか…?」
「スクールアイドルをやれって言ってる訳じゃないですけど…、アナタがその気になれば、0から1にも2にもなって、輝けると思いますよ。まあ、私が言いたいのは、守りに入らないで前に進んでいきましょ。若いんですから!」
千歌が俯く。
「…不安な事があるなら、周りにいる人たちに相談して御覧なさい。力になってくれるから」
「…分かりました」
千歌が飛鳥を見た。
「い、いきなり大きな事は出来ないと思うけど、実践してみます!」
「その意気です」
飛鳥が口角を上げる。
「あ、ところで一丈字さんって何歳ですか?」
「15…」
『この世界では君は高校2年生だ』
『あ、そうだった…』
思わず自分の年齢を言いそうになったが、神様に言われて訂正した。
「じゃなかった、16です」
「えっ!!? 16歳って事は高校2年生!!?」
「え、ええ…2年生ですけど」
「私と同い年じゃん!!」
「そうでしたか…」
千歌が驚いた。
「あ、えっと。その…」
「?」
「…電話番号、交換してください」
(何で!!!?(汗))
そんなこんなで後にスクールアイドルグループ「Aqours」のリーダーとなる高海千歌と連絡先を交換した。
「あー、疲れたー」
飛鳥が帰りの電車で呟いた。
『それはそうと神様』
『何だ?』
『高海さんに会う前に話していた「次元の壁」って何ですか?』
『おっと、忘れる所だった。次元の壁というのはな、文字通り壁だ』
『はあ…』
『壁に穴を開けるとどうなる?』
『そりゃ…穴が大きかったら、その穴から別の部屋に入れますね』
『その通りだ。先ほどの高海千歌は元々別の次元の人間だ。まあ、別の星の住人とでも言っておこうか。それが次元の壁に何かしらのトラブルが起きた事で、ラブライブ星と、ラブライブサンシャイン星がくっついてしまい、1つの星になったと考えてくれたまえ』
『という事は…』
『2つの世界の世界観や設定がゴチャゴチャになり、シナリオも何もかも滅茶苦茶になるという訳だ』
『えっ!!? それだったら私を使って遊んでる場合じゃないでしょう! 今すぐ元に戻さないと!!』
飛鳥が驚く。
『それが出来んのだ。アニメやゲームの世界とはいえ、立派な一つの世界だ。規模も大きすぎるし、そこまで時間や労力も割けん。ラブライブの世界は3月末までいられるのだが、その3月末を過ぎたら、転生者達は全員星から追い出されるようになっている。その時にメンテナンスをすれば正常になる。それに、今回はフォー達をあぶり出して地獄に落とすのが第一優先だ。恐らく高海千歌のいる浦の星女学院に…フォーが現れる可能性がある』
「……」
『私がサポートする。浦の星女学院にも気にかけてくれ』
と、急展開になってしまったラブライブの物語。飛鳥はどう出るか!!
天界
「む、無印とサンシャインのクロスオーバーだと!!? 何て贅沢なぁああああ!!!」
と、テレビを見ていたザキラが発狂していた。それを見た妹のコロロは引いていた。
つづく