第24話
そんなこんなで、千歌の家の宿「十千万」についた。
「結構大きい所じゃないですか!」
「そう?」
穂乃果の言葉に美渡が苦笑いした。
「ふーん。結構アンティークでいいんじゃないかしら」
真姫が髪を弄りながらそう呟くと、山田が真姫の頭を拳骨した。
「あ…あははははは!! すみません!!」
「いえ、結構言われるので…」
山田が美渡に謝罪すると、美渡は苦笑いした。
「パパにも殴られた事ないのに…」
「今のは真姫ちゃんが悪いにゃ」
「アハハハ…」
真姫の言葉に凛が突っ込み、花陽が苦笑いした。
「いらっしゃいませ」
「予約していた音ノ木坂スクールアイドル部です」
「お待ちしておりました。こちらにどうぞ」
志満が飛鳥を見た。
「あ、その節は…」
「お待ちしておりました」
(うわっ、何か圧がある)
志満の発言に飛鳥が困惑した。
「お部屋はこちらになります。6名様のお部屋が2つ、個室が2つです」
「え? 個室って誰が使うの?」
「私と山田先生です」
「えっ!!? 飛鳥くん個室なの!?」
「…いや、普通に考えて当たり前じゃないですか」
飛鳥が口元をひきつらせていた。
「何だお前。男と寝たいのか?」
「…ふぁっ!!?//////」
「ほ、穂乃果!! 破廉恥です!!」
山田の冷やかしに穂乃果が赤面して、それに海未が追随した。
「あ、いや! そういう意味じゃないんです!! 今の無し無しー!!!//////」
(あぁ…オレは生きて東京に帰れるのだろうか…。神様も今はいないし…)
飛鳥は不安そうにしていた。
「あ、飛鳥くん!!? 違うからね!!?/////」
「あーはい」
「ホントなんだからね!!?/////」
「分かりましたから。とりあえず荷物置きましょう」
「う、うん…」
それぞれの部屋に入っていった。
「…ふぅ」
飛鳥は自分の部屋に荷物を置くと、一息ついた。
そんなこんなで夕方
「早っ!!!」
飛鳥はそう突っ込んだ。
「お風呂の準備が出来ましたので、どうぞお入りください。夕食は7時からです」
「やったー!! お風呂―!!」
談話室にほぼ全員が集まっていた。
「ウチのお風呂広いんだよー」
「そうなんだー」
途中で合流した千歌とすっかり意気投合した穂乃果。その姿を見て、飛鳥は安心して口角を上げた。
「改めて飛鳥くん。うちの妹を助けてくれてありがとう」
「それから、乗っ取られていた浦の星女学院を救って有難ね」
「本当に私達の為に戦ってくれて…ありがとう!」
μ’sや関係者の前で千歌たち三姉妹にお礼を言われる飛鳥。
(やべぇ…もう本当に昔の事があったせいで、色々ヤバい)
飛鳥は青ざめて、蕁麻疹が起きていた。実は以前からこのような人助けをしているのだが、それによる同級生からのやっかみや嫌がらせがあり、素直に喜べなかったが、穂乃果達はすっかり自分の味方であり、文句を言う人間が誰一人なかった為、飛鳥は素直に喜べないでいた。
(ありがとうって気持ちが伝わり過ぎて、どうしたらいいか分かんない!!!)
おまけに千歌たちの気持ちがまぶしすぎて戸惑っていた。
(…地獄だった)
飛鳥は見上げた。
「あ、それはそうとアンタ」
「はい」
にこに話しかけられて、飛鳥はにこの方を振り向いた。
「お風呂だけど…絶対覗かないように!」
「あ、私は個室に風呂があるので、そっちに入りますね」
「……」
飛鳥の発言に皆が沈黙した。
「言いたい事は分かります。でも、今までの事があったので」
「今なら裸見たって何も言わんって」
「申し訳ございません。何名かそんな事ないって顔をしてらっしゃるんですが」
飛鳥の突っ込みに海未、真姫、にこ、絵里が反応した。
「飛鳥くん! そんな空気の読めない事をするのは良くないと思うな!」
「高坂さん。それ、覗いてくださいって言ってるようなものですよ」
「ふぁっ!!?/////」
(学習しないなぁ…)
赤面する穂乃果を見て、飛鳥が目を閉じた。
「まあ、お気づかないなく。ごゆっくりどうぞ」
そう言って飛鳥は去っていった。
「ま、千歌の奴見たからいっか」
「良くないよ!!!///// 美渡姉のバカ!!!!///// ていうか全部見せてないから!!」
μ’sの一部が頬を染めた。
そして、皆風呂に入ったが、本当に飛鳥は何もしなかった。
「クビになるんで」
「……」
「え、何ですか」
その場にいた美渡がジト目で見つめたが、飛鳥はツッコミを返した。
そして食事の時間になり…
「うわ~!!!!」
穂乃果や凛が興奮した。
「ご馳走だ!!」
「海の幸がいっぱいにゃ!!」
「ありがとうございます」
飛鳥が志満たちにお礼を言った。
「いえいえ。これくらい」
「まだ足りないくらいよ。飛鳥くん?」
「……(汗)」
美渡の言葉に飛鳥は苦笑いするしかなかった。
「さあ千歌。アンタも手伝うのよ!」
「分かってるよぉー」
千歌も手伝いに出ていた。
「折角だから飛鳥くんにお酌してあげなさい」
「み、美渡姉!!」
「……」
そして千歌が飛鳥にお酌した。
「明日、頑張って」
「あ、はい…」
それを穂乃果達がじっと見ていた。
「何ですか」
「いや、何か穂乃果たち以外の女の子と仲良くなったなーって。A-RISEもそうだけど」
「お付き合いですよ」
穂乃果の皮肉に飛鳥は普通に答えた。
「アナタ…女の子にモテそうよね。顔は女っぽいけど、やってる事とか男らしいし」
「ご冗談を。頂きましょうか、あ、それじゃ乾杯の音頭を矢澤さん」
「に、にこっ!!?」
にこが驚いた。
「にこっちはアドリブが弱いなー。ホント」
「そ、そんな事ないわよ!!! それじゃ皆! グラスを手に持って!」
「湯呑やけどな」
「そんな細かい事は良いのよ! それじゃ、かんぱーい!!!」
「か、かんぱーい!!」
皆が乾杯して、そのまま料理を堪能した。
そして…
「ふー! 美味しかった!」
「そうだねー」
穂乃果・ことり・海未が部屋にいた。
「何か寝れないね!」
「穂乃果。今回は遊びに来たんじゃないんですよ」
「分かってるよ。明日千歌ちゃんが水泳の大会に出るんでしょ。だから自分の事のように考えてるから寝れないんだよ」
「そ、そうですか…」
「それなのに海未ちゃんときたら勉強の事ばっかり考えて! 全くもう!」
「喧嘩売ってるんですか。え?」
海未が黒い笑みを浮かべた。
その頃…
「何か緊張してきたにゃー」
「アナタが緊張してどうすんのよ」
「花陽も緊張してきました…」
「いや、だから何でよ」
「明日ある意味で、浦の星女学院の運命を左右するんやもん。しょうがないで」
「どうして? 閉校が決まってるんでしょ」
「だからや」
「!」
希が真面目な顔をした。
「学校が閉校になるからって、そこで終わりやないんや。終わるとしても、次の始まりの為の何かが始まるって事や」
「何それ。イミワカンナイ」
「もうちょい大人になれば分かるで」
「な、何よそれ!!」
「そんなのにこには分かるわよー」
「ふーん。それじゃ、この問題分かる?」
「そ、それは関係ないでしょ!」
「大人なら、解ける筈やでー」
「え、えっとぉ…」
「…にこ。これ、中学校の問題よ?」
絵里が呆れたように突っ込んだ。
「よっしゃ。ウチがほんまもんの大人にしたるわ」
「えっ、ちょ…それは…いやあああああああああああああ!!!!」
「うるせぇ矢澤!!!」
「何でにこだけ!!?」
にこだけ山田に怒られて、夜が過ぎていった。
そして迎えた当日
「でかい…」
「でかいね…」
会場となるダシママリンプールは東京ドーム並みのでかさだった。
「名前!!!」
ちなみに、冬の時は温水プール、もしくは熱湯になるそうです。
「確かあの一番手前にある1周500mのプールを延々と泳いでればいいのよね」
「千歌ちゃんは10㎞やから20周やな」
真姫の問いに希が答える。しかし穂乃果が疑問に感じていた。
「でも深さ2mって深すぎない?」
「調節できるらしいわよ」
「そっか」
絵里の返答に納得する。
「……」
千歌がぐっと握りしめた。
「高海さん」
「?」
千歌が飛鳥を見た。
「肩に力を入れ過ぎないように。あと、準備体操を怠らないようにね」
「は、はい!!」
と、千歌が力強く返事した。
「いたぞ!!」
「十千万には入れなかったが、ここで終わりだ…」
「フフフフ…」
と、フォートリオも会場にたどり着いていた。
つづく