ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第4話「自己紹介!」

 

 

 理事長からのデモンストレーションも終わり、飛鳥達はそれぞれの担任に教室まで案内して貰った。

 

(しかし…ラブライブってそんなに詳しくないんだよな…。女の子好きの省吾さん(飛鳥の古くからの知人)もアニメの女の子にはあまり興味ないって言ってたし…)

 

 現実の世界の女の子ならまだしも、アニメの女の子となると、飛鳥も流石に対応に困っていた。神様が言うには「ワシの言うとおりにしておれば大丈夫じゃ!」とも言われているが、そういう発言程信用できないものはないと、飛鳥は知っていた。

 

 しかし、今は神様しか頼る人間がいない為、従う事にした。

 

「あなたの教室はここよ」

「ありがとうございます」

 

 灰色のスーツを着た深山聡子が飛鳥に話しかけた。ちなみに巨乳であるが、飛鳥はまったく気にした様子が無かった。

 

「お前の教室はここだ」

「ありがとうございます」

 

 転生者Aはジャージを着ている山田博子に案内して貰っていたが…。

 

(担任はあっちの方が良かったな…)

 

 と、深山の巨乳を思い出していた。それを察したのか、山田は若干嫌そうな顔をした。

 

A(まあいい…。このドアの先に穂乃果、ことり、海未が…。μ’sはオレのものだ…いや、サブキャラもモブキャラもぜーんぶオレのものだぁ!!)

 

転入初日、Aは穂乃果・ことり・海未に会える興奮を内心は隠し、その他のメンバーもどう惚れさせようか考えていた。そして、教室の前でまだかまだかとソワソワしている所であった。

 

(…あの様子だと、自分のやった事について自覚はしてないみたいだな…。てか、邪心がある人は報われないって漫画によくあるパターンだけど、報われない方が良いのかもな)

 

 飛鳥が転生者達の邪悪な笑みを思い出して、静かに一息をついた。

 

(あくまでも仲良くする気はない…という事か。まあ、自分だけだと思ってたのに転生者が4人もいたらそうなるわな)

 

 Aに至っては、飛鳥は完全に相手にならないと感じ、2年の女子は完全に自分が貰ったと思っていた。

 

(いつまでもいい気になりおって。見ていろ、偽物のチートと本物のチートの差を見せてやる)

(いや、チートじゃないですから)

 

 モニタールームから神様が見ていて、転生者Aに天罰が下るのを今か今かと待ち構えていた。それに対し飛鳥はチート呼ばわりする神様に冷静に突っ込みを入れた。

 

 そして山田が扉を開けた。

 

「急な話ではあるが今日からウチのクラスに転入生が入る! ウチの学園は入学希望者が年々減少傾向にある! 学園は共学可を視野に入れる決断をし、お試しではあるが男子生徒の転入生を募集した! 現時点では4人だけだったが、学園側はこのまま少し様子を見るそうだ! 早速だが今から転入生を紹介する! 入って来い!」

(来た!)

 

山田の話が終わったと同時に、転生者Aは教室のドアを開けて堂々と教室に乗り込んだ。

 

(高坂穂乃果だ! 南ことりや園田海未もいる! 本当にラブライブの世界だ…!)

 

 穂乃果、ことり、海未がいる事に感動するA。それと同時に性欲も一斉に高まっていく。早くμ’sと触れ合いたい、愛しあいたい、絡み合いたい、孕…と、ダシマ劇場ではあるまじき展開にしようとしている。もう下心丸出しだ

 

「今日からこいつがウチのクラスメイトになる男子転入生だ。A。自己紹介を始めろ。」

 

「はい!」

 

転生者Aは教卓の前に立ち、堂々と自己紹介を始めた。

 

「今日から皆さんのクラスメイトになったAです! よろしくお願いします!」

 

Aはとびきりの笑顔で自己紹介した。顔にはとてつもない程の自信があったので、まあこうやって愛想良く笑えば、女子達は感嘆して自分に見惚れるだろうと思っていた。

 

ちなみにこのような行為を『ニコポ』と呼び、主人公が「ニコッ」と笑うだけでヒロインが「ポッ」と惚れるものである。

 

『が、本当に惚れると思っていたお前の姿はお笑いだったぜぇ?』

『気に入ってるんですか。ソレ…』

 

 神様と飛鳥がコマの外から話をしていた。

 

「!?」

「……」

 

Aは驚愕した。座っている生徒は気味悪がったり、機嫌悪そうにしたり、無視したりしていた。

 

A(何、何故だ!?何で誰も反応しない!?)

 

 突然の展開にAは混乱した。

 

『あれ? 神様、これってどうなってるんですか?』

『最初の断罪だ。ヒロイン達の好感度がずっと0のままだ』

『本当に私いらないんじゃないんですかねぇ』

 

 飛鳥が皮肉気味に答えた。

 

『何を言っておるか! 前に言ったじゃろう。女にモテるという機能は失くしたと。ある意味奴らにとって、美少女とのかかわりが一番の肝じゃからな!!』

『それって要するに…』

『まあ、早い話がもう奴らにとって、このラブライブは何の価値の無いものとなったな。どんだけ頑張ろうが、決して振り向くことはない』

 

 

Aは内心かなり焦っていた。今までならここでキャーキャー言っている筈だったのに、今回は真逆だったからだ。

 

「質問ある奴はいるか? 無いよな。A。下がっていいぞ」

「…はい」

 

 ちなみに、転生者BとCも同じような展開で、女子のハートをつかもうと愛想良くしたが、いずれも彼らが望んた通りの反応はしてこなかった。

 

(な、何故だ!!?)

 

(これは計算外ですね…)

 

 

 そして飛鳥。教壇の前に立っていた。

 

「今日からこの学校に転校してきた、一丈字飛鳥くんよ」

「一丈字です。本日から宜しくお願いします」

 

 飛鳥が一礼して、そのまま終わらせようとした。飛鳥としてはあまり自分の事を話したがらない性格だった。小学校、中学校の時も名前だけを言って終わりにしていたのだった。趣味や特技は聞かれたら、答えるようにはしていたが…。

 

「宜しくー」

 

 と、クラスメイト達がそれなりに挨拶をしてくれた。

 

 

 変わってAの教室

 

(自己紹介は若干滑ったが、これで穂乃果達と同じクラスになれたぞ…!! さて、どのようにしてオレのものにしていこうか…)

 

 と、Aは穂乃果達の方を見ながら企んでいた。

 

「……」

 

 穂乃果、ことり、海未はAの視線を気にしていた。

 

「な、何なんですかあの人…」

「ことり達の方ばかり見てる…」

「……」

 

 穂乃果が口角を下げた。

 

「大丈夫だよ二人とも」

「!」

 

 穂乃果が口角を上げた。

 

 

 

「絶対に大丈夫。だから気にしなくていいよ」

 

 

 

つづく

 


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