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成り行きで飛鳥はラブライブワールドに別れを告げたが…。
「はぁ…」
飛鳥はため息をついていた。
「今までご苦労じゃったのう」
と、羅城丸がねぎらいの言葉をかけていたが、落ち込んでいた。
「やっぱり強引過ぎましたかね…」
「うーむ…」
と、いきなり穂乃果達に別れを告げた事に関して、これで良かったのか迷っていた。
「あ、神様」
「何じゃ」
飛鳥が神様を見た。
「そういえばA達はどうなるんですか? 前に捕まったD達も…」
「見てみるか?」
と、神様に連れられて飛鳥が向かった先は、地獄にある簡易刑務所だった。その中にAたちは収監されていて、囚人服を着せられていた。
「どうして…どうしてこうなったんだぁああああああ!!!」
「オレはこんな所で終わる男じゃなぁああああああああああああい!!!」
「うわぁああああああああああああ!!! 栄光の日々を返してくれぇえええええええええええ!!!!」
と、泣き喚いていた。
「ちなみにDたちも同じような感じらしい」
「……」
飛鳥が困惑した。
「所詮、偽物の力で手に入れた栄光や名誉など無に等しい。現実を受け入れてそこから努力しなければ希望などないのだ。飛鳥、今のお前さんなら分かるだろう」
「はい」
飛鳥が返事した。
「ちなみにだがの。あのゲームセンターはもう閉鎖する事となった」
「え!?」
飛鳥が神様を見つめた。
「やはりゲームに夢中になり過ぎて仕事をしない若者が増えてきとってな。ましてや入り浸るものだからトラブルも絶えないんじゃよ」
「そ、そうですか…」
「フォーもわしらが責任を持って探し出す」
飛鳥が俯いた。
「そういえばあの無印とサンシャインの穴は…」
「あれもわしらが責任もって修復する。安心してくれ」
「そ、そうですか…」
飛鳥はまた俯いた。
「ラブライブはアニメであって架空の世界。すっかり情が移ってしまったかの?」
「…そうですね」
飛鳥が口角を上げた。
「アニメのキャラクターとはいえ、あっちの世界では私達と同じように普通の人間と生きていて、私もあの世界にいる時は彼女達と共に生きていましたし、時間を忘れる程楽しかった。そして今でも…どこかで会えるんじゃないかなって思うくらいですよ」
「そうじゃな…」
「A達の肩を持つわけじゃないけど、とってもいい人たちですね。μ’sも、Aqoursも」
「ああ。勿論だとも」
神様が口角を上げる。
「さて」
「!」
神様が飛鳥を見た。
「飛鳥。フォー討伐任務はいったんこれでお終いじゃ」
「はい。短い間でしたが、お世話になりました」
飛鳥が頭を下げた。
「一晩こっちで過ごしてみんか」
「!」
「そして翌朝に元の世界に返してやろう」
飛鳥が神様を見た。
「お言葉に甘えさせていただきます」
そしてその夜、飛鳥は神様とコロロの3人で食事をとっていた。
「本当にお疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「そして…兄がご迷惑をおかけしました」
「あ、いえ…」
コロロが申し訳なさそうに頭を下げると、飛鳥は苦笑いした。
食事が終わってしばらくたつと、飛鳥は用意して貰った寝室で横になっていた。
「……」
穂乃果達の事を考えていた。アニメの世界でありアトラクションの世界でもあるとはいえ、ちゃんと無事にやっていけるだろうか。フォーの件で恐怖を持っていたりしていないだろうか。ずっとその事ばかり考えていた。
飛鳥は静かに目を閉じた。瞼には穂乃果達の笑顔や今までの思い出が浮かんできた。
最後に見た彼女達の泣き顔。本当にこれで良かったのだろうかと。
「……」
飛鳥はゆっくりと眠りについた。
そして迎えた朝。飛鳥は一足早く起きて身支度をし、神様やコロロと共に食事をとった。
気まずい空気はなく、何気なく食事は行われていた。ただ、穂乃果達の話はそこではしなかった。
「では、飛鳥を送ってくる」
「はい」
と、神様がコロロに言い放った。
「コロロさん。お世話になりました」
「いえ」
飛鳥がコロロに言うと、コロロは笑顔を見せた。
「飛鳥さんもお元気で」
「ありがとうございます」
飛鳥が口角を上げると、神様が飛鳥の肩に触れた。
「行くぞ」
「はい」
すると神様は瞬間移動をすると、コロロ一人だけが残った。
「……」
コロロは口角を下げた。
「…本当に良かったんですか? 兄さま」
コロロが横を向くと、陰からザキラが現れた。
「構わん。そもそも私は奴とそんなに仲良くはない」
「そんな事言って。ずっと心配してたじゃないですか」
「……」
ザキラが口角を下げた。
「そんな事はない」
「そうですか」
コロロが一息ついた。
「それはそうとコロロ」
「なんですか?」
ザキラがコロロに近づいた。
「…あのゲームセンターについては」
「兄さまの出番はないそうですよ!」
そして…
「懐かしいだろう」
「そうですね」
と、神様と飛鳥が初めてであった虹島のとある草原に来ていた。
「思えばここからすべてが始まったの」
「ええ…」
飛鳥が口角を下げた。
「飛鳥。彼女達の事は気にするな」
飛鳥が神様を見た。
「わしが何とかしておく。だからお主は…前を見るんじゃ。ちゃんと生きる事が彼女達への償いじゃよ」
「神様…」
神様が口角を上げると、そのまま飛鳥と握手した。
「本当にありがとう。お前さんのお陰で護衛隊の連中も少しはやる気を出すようになった」
「そ、そうですか…」
そして手を離すと神様は距離を取った。
「ではな。またいつか会おう」
そう言って神様は消えた。
「……」
飛鳥は空を見上げると、優しい風が吹いた。
「…帰るか」
そう呟いて飛鳥はその場を後にした。
天界
「はぁ…」
神様は残業をしていた。
「全く、厄介な事をしてくれたわい…」
その時だった。
「羅城丸様!」
「何じゃ」
天使の一人がやってきた。
「その…羅城様にご依頼されていたラブライブの件なんですが…」
「どうかしたか?」
「修復を試みたのですが…残念ながら」
「そうか…」
羅城丸は俯いた。本来イレギュラーが発生した場合は早急に処分しなければならないのだが、飛鳥の事もあり迷っていた。
「それから一つ気になる事がございまして」
「何じゃ?」
「その…いくら記憶を消しても、登場人物たちが「一丈字飛鳥」という男の事を覚えていて…」
「何じゃと!!?」
羅城丸が驚いていたが、俯いた。
「はぁ…本当に厄介な事をしてくれたわい」
「ど、どうされますか…」
「……」
ある日の事。
「……」
飛鳥は買い物をする為に町まで歩いていた。ふと通りかかったCDショップのとあるポスターが目に映った。
それは穂乃果達μ’sと千歌たちAqoursのニューシングルのポスターだった。
「……」
それを見て飛鳥は安心したように口角を上げると、
(飛鳥くん)
(一丈字さん!)
「!!」
と、穂乃果と千歌の声がしたような気がして、飛鳥は振り向いたが、当然アニメの登場人物である2人がいる筈もなかった。
「行くか」
そう呟いた飛鳥はその場を後にした。
THE END