ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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第7話「ハーレムをつかむのはだれだ!?(後編)

『今はどうされますか? あのままほっといても靡くことはないんですよね…?』

『無い。そればかりか周りの女子を見てみろ。あまりにも無様すぎて引いてるぞ』

 

 飛鳥と神様がテレパシーで作戦会議をしていた。周りの女子生徒はゴミを見る目で見ているか、まとわりつかれている少女達が可哀想と見ていた。ちなみに金髪の美女が絢瀬絵里、紫色の美女が東條希、黒髪のツインテールが矢澤にこである。

 

「ちょっと!! にこにも美女をつけなさいよ!!!」

「美女って言うより美少女の気が…」

「そ、そう…?」

(あ、機嫌直った)

 

 矢澤にこがナレーションに突っ込み、更に飛鳥が話をするとにこが飛鳥を見た。そして絵里と希とも目が合った。Bとも目が合うのだが、飛鳥の顔を見るなり、表情を歪めた。

 

「何? お前」

 

 お前が何なんだよ…とB以外の全員が思った。

 

「アナタが何なんですか」

(突っ込んだ!!)

 

 飛鳥は負けじとBに噛みつく。自分の勝利が決まっているからではない。ごく自然に突っ込みを入れた。そう、彼は大阪府出身であり、関西人特有の突っ込み気質なのだ。

 

(いや、意味わかんないし、関西人全員がそうじゃないから)

 

 飛鳥はまたしても突っ込みを入れた。

 

「言っておくがこの絵里はオレの女だ。手を出すなよ」

「あ、そうだったんですか」

「違うわよ!」

「違うって言ってるじゃないですか」

「違う違う。照れているだけだよ」

「え、えー…」

 

 どうやったらそんな解釈が出来るんだ…と、飛鳥も引いた。Bは絵里の大ファンであり、それが変な方向まで行ってしまった。自己紹介して早々絵里にプロポーズまがいな発言をして、クラス全員の女子をドン引きさせた。確かに顔はイケメンだが、下心が丸出しだった為、仕方がないと言えば仕方がないのだが…。

 

 

「いい加減にしなさいよ! 転校初日だから黙ってあげようと思ってたけど、もう我慢できない! 何様のつもりよ!」

 

 にこが激怒する。この時点では一緒にいることはないのだが…。まあ、細かい事は気にしないでおこう。

 

「…あの、何をされたんですか?」

「転校していきなり、馴れ馴れしく挨拶してきたのよ! 休憩時間もしつこく絡んでくるし、今だってこの2人が一緒にお昼を取るつもりなのに、一緒に食べようってしつこいのよ!! おまけに絵里に関しては自分の女だって言ってくるし! にこが止めに入っても聞かないのよ!!」

(あー…これもう手遅れってパターンか)

 

 飛鳥はガチで引いていた。もう熱狂的になり過ぎて、妄想と現実の区別がつかなくなっているパターンだと確信したが、こうなってくると本人に何を言っても無駄である。警察にぶち込む他ない。もし自分が神様だったらそうしている。アニメのキャラクターとはいえ、女の子は女の子。やっぱり心配になってくる。

 

『さあ、助けに行くのだ。勇者よ』

『ほざきなさい』

 

 飛鳥は思わず突っ込んだ。

 

「あの…嫌がってるのでしたら、やめてあげてください。彼女達にも選ぶ権利がありますよ」

「うるせぇ! 何でお前の指示に従わないといけねーんだ! オレよりも地味で貧弱そうな体しやがって!」

 

 すると、ヒロインの一人である東條希が飛鳥に近づいた。彼女は何かしら掴みどころのない性格をしている。

 

「なっ!?」

「そうかー? うちはこの子の方が好みやで。可愛いし」

「アナタの方が可愛いですよ」

「やーん♥」

 希がわざとらしく照れる。

「あ、美人さんって言ったほうが良いですかね」

「……///////////」

 

 希はガチで照れた。

 

「なっ! 誑かすな!」

「誑かしてませんよ。この方が私の事を可愛いと仰ったので、可愛いって言い返しただけですよ。この方可愛…じゃなかった、美人ですか?」

「ああ! 美人だ…って、邪魔するな!」

「何? あれだけ絵里を自分の女って言ってた癖に、すぐに希に浮気? 最低」

B「!」

 

 絵里が押しなのに、希を美人と言った事でにこが噛みついてきた。

 

「せやね。アンタに言われても嬉しゅうないし、絵里ちから浮気するなんて最低や」

(女子のネットワーク怖ぇー)

(いつの時代も、どこの世界でも女子は皆こうじゃ。刺されんようにの)

 

 希の冷たい一言に飛鳥は冷や汗をかくと、神様も突っ込んできた。男性読者の皆さんも気をつけましょう。そして女性読者の皆さんは…お手柔らかにお願いします。勿論、A達のような屑にはどんどんやってしまってください。

 

「分かったらさっさと消えて頂戴! 貴方とお付き合いするなんて…認められないわぁ」

 

 絵里が腰に手をあてて悪態をついた。そしてそれを皆で冷ややかな目で見ていた。

 

「絵里ち…。それ、ギャグでやっとるん?」

「すぐに忘れて貰ったら有り難いわ…はい、そこ!! 露骨に視線をそらさない!!」

 

 絵里が飛鳥の方を指さして叫んだが、飛鳥は視線を逸らしたままだった。

 

「ワカリマシタ」

「いや、全然目を合わせないじゃない!! いや、ホントにほんのギャグなのよ!! ねえ!! ちょっとこのままだとポンコツな生徒会長のイメージがついちゃうからぁ!!」

「前々からついとんで。サンプルのチョコを本物を間違って食っとったし、他にも…」

「や―――――――め―――――――――――て―――――――――!!!!!///////」

 

 と、自分の恥ずかしい秘密を暴露しようとする希を止める絵里。普段は御硬いが、かしこくて可愛いエリーチカとして通している絵里だが、若干天然ボケな所もあり、巷では「ポンコツ可愛いエリーチカ」とも言われている。ちなみに声優さんにも言われている。

 

「な、何だよお前はぁ!! オレの邪魔をするな!! 痛い目に遭いたいのか!?」

 

 自分が置いてけぼりにされかけているので、怒鳴る事で注目を自分に集める。しかし、飛鳥の表情がおかしくなった。

 

「何だ? 逃げ腰になったのか? だったら絵里達を置いて…」

「いえ、痛い目に遭うのはアナタですよ。後ろをご覧ください」

「!?」

 

 Bが後ろを振り向くと、担任の笹原京子がいた。とても険しい顔をしており、Bは青ざめていた。

 

「Bくん」

「ち、違うんです!! こいつが…」

「どういう事か説明してくれるかしら?」

「だからこいつが…」

 

 Bが飛鳥に罪を擦り付けようとしたが、誰が悪いのか一目瞭然だった。

 

「先生―! こいつが絢瀬さんに言い寄って来るんですけど、とってもしつこいんです!」

「しかも私の事、勝手に自分の女とか言ってくるんです!」

「しかもうちら3人に話しかけとるから、このままやとうち等、人気のない所に連れ込まれてスッポンポンにされて、セ×××させられそうやー。どないしましょー」

(えげつねェ!!!!(大汗))

 

 改めて女子怖いと思った飛鳥だった。笹原は卑猥な言葉が出て頬を赤らめた。

 

「ゴ、ゴホン!! どういう事? Bくん」

 

 強姦しようとしていたと聞いて、笹原はBを更に睨みつける。

 

「ち、違うんです先生! こいつが絢瀬さんを…」

「犯人はBくんです!!」

「この子はただ通りかかっただけなんですよ!」

「私達、みーんな見てました!!」

(ああ…。これでオレが犯人ですなんて言われたら、おしまいだわ)

 

 飛鳥が頭をかいたと同時に、Bは激しく責められて涙目だった。

 

「泣くな!!」

「?」

 女子生徒が叫んだ。

 

「泣きたいのは絵里ちゃん達の方よ!」

「被害者面してんじゃないわよ!!」

「泣く前に謝りなさいよ!!」

「ただでさえ受験でイライラしてんのに…」

 

 と、避難轟々だった。確かに3年生は受験勉強を始めてもおかしくはなく、本当にイライラしている状態だった。Bはどうしたら良いか分からない状態だった。

 

「…ああ、これならもう大丈夫そうですね。もう行っても宜しいでしょうか」

「あ、それから君は…2年生の一丈字くんね」

「あ、はい…」

「放課後、職員室に来て頂戴」

「…分かりました」

 

 事情聴取か何かだろうと思い、余計な事は言わずに飛鳥は承諾した。

 

「それじゃ、行ってもいいわ」

「ありがとうございます。それでは、失礼します」

 

 そう言って飛鳥は笹原に頭を下げて、その場を去ろうとした。

 

「あ、ちょっと!」

「私の事はお気になさらずに!」

 

 にこが呼び止めたが、飛鳥は去っていった。

 

 

 

つづく

 


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