ダシマ式ラブライブ!「転生者・一丈字飛鳥」   作:ダシマ

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これでμ'sが全員出てきました。


第8話「彼女たちは見ていた」

 

 そんなこんなで放課後になっていた。飛鳥は笹原に言われた通り、職員室に向かおうとしていた。

 

「さて、行くか…」

 

 その時、穂乃果、ことり、海未がやってきた。

 

「ねえ、飛鳥くん!」

「?」

 

 教室に入って来るなり、穂乃果が飛鳥に話しかけた

 

「今日、時間空いてる?」

「すみません。今日は空いて無いんですよ」

「どうして?」

「職員室に来るように言われましてね…」

 

 飛鳥がそう言うと、穂乃果がジト目で飛鳥を見つめる。

 

「もしかして、Aくんに何かされたの?」

「別の方ですね。またの機会にお願いします。そういう訳で、失礼しますね」

 

 そう言って、飛鳥は職員室に向かっていった。

 

 職員室。飛鳥がノックして入ってきた。

 

「失礼します」

「来たわね一丈字くん」

「あれ?」

 

 職員室にはにこ・絵里・希の他に、女子生徒が3人いた。制服の色は穂乃果達ともにこ達とも違っていた。1年生である。

 

 

「これはこれは…」

「ああ! この人で間違いないにゃ! この先輩が真姫ちゃんの事を助けてくれたにゃ!」

「間違いありません!」

「間違いないわ」

 

 と、3人の女子生徒が言い放った。語尾に「にゃ」とつけている女子生徒は星空凛。その後に答えたのが小泉花陽。そして、最後に喋った女子生徒の名前は西木野真姫だった。3人とも1年生である。

 

 実はこんな事がありました。にこ達と合流する前…。

 

「この辺にはいなさそうだな…」

 

 と、飛鳥が散策をしていると、真姫が脚立の上に立っていて、下には花陽と凛がいた。何かものを取ろうとしていた。

 

 すると突風が吹いて、真姫がバランスを崩して、落下しそうになった。

 

「!!?」

「かよちん!!」

「危ない!!」

「!?」

 声がしたので、飛鳥が声をした方を見ると、真姫が落下しそうになっていた。

 

「キャー!!!!!」

 花陽も悲鳴を上げたが、真姫と凛も悲鳴を上げていた。

 

「危ない!!!」

 飛鳥が瞬時に走り出したその時、誰かに突き飛ばされた。

 

「ぐあっ!!!!」

 飛鳥は転倒した。そして転生者Cが真姫をお姫様抱っこした。

 

「……!!」

 真姫たちが唖然としていた。

 

転生者C「ふう。危ないところでしたね」

真姫「……!!」

転生者C「ケガはないですか? 真姫」

 

 と、転生者Cが微笑みかけた。

 

「…して」

「ん?」

 

 真姫が転生者Cを睨みつけた。

 

「離して!! さっきあの人を突き飛ばしたのちゃんと見てたわよ!!」

「なっ!!」

 

 すると花陽が飛鳥に駆け寄った。

 

「大丈夫ですか!?」

「いたたた…」

 

 この状況に転生者Cも驚きを隠せなかった。

 

「そうにゃ!! 凛もかよちんもちゃんと見てたよ!! 真姫ちゃんを助けようとしたのはありがとうだけど、何もあの人を突き飛ばす事ないにゃ!!」

「そこまでして私に良いところ見せたかったの? イミワカンナイんですけど!!」

 

「なっ!! ひ、人が助けてやったのに何だその態度は!!」

「助けた!? わざと人を突き飛ばしといて何言ってんのよ!! それなら、ちゃんとあの人に謝りなさいよ!! それに、ついてくるなって何度も言ったわよね!!? それからいい加減降ろしてよ!!」

 

 と、真姫はひとりでに降りて、凛と共に飛鳥に近づいた。

 

「大丈夫にゃ!? 足挫いてにゃい!!?」

「凛、この人2年生よ。ごめんなさい、私を助けようとしてくれたんでしょ?」

 

 自分ではなく別の転生者に優しくしている真姫たちを見て、転生者Cの顔は真っ赤になった。

 

「な、何故だ…。何故だ何故だ!! 真姫を助けたのはオレなのに!!」

 

 すると真姫、凛、花陽が睨みつけた。

 

「うるさいわね!! そんな事よりもこの人に謝りなさいよ!!!」

「そうにゃ!! そこまでして女の子を助けてもカッコ悪いにゃ!!!」

「そうです!!」

 

 3人とも怒った顔でCを責め立てていた。飛鳥は困惑した表情を浮かべていたが、Cも引くようすはない。

 

「カッコ悪い…このオレがカッコ悪いだと!!?」

「あーはいはい。もうやめなさいな」

 

 Cが激昂すると、飛鳥が立ち上がって止めた。

 

「確かCさんでしたよね?」

「う、うるさい!! どうしてお前が真姫たちに優しくされるんだ!!!」

「分かりません。ただ、これだけは言っておきますね」

 

 飛鳥がCを見つめた。

 

「女の子を助けたい気持ちは分かりますが、落ち着きましょう」

「……!!」

 

「ふん!! 行きましょ!!!」

 

 と、真姫は飛鳥を連れて凛と花陽と共に去っていった。この後別れるのだが、にこ達とのトラブルに巻き込まれるのだった…。

 

「神様…。これってアトラクションの一つなんですか?」

「いや、転生者の行動パターンを見て、それに合ったイベントが起きるようにしているのじゃが…。このパターンは初めてじゃな…」

「そうですか…」

 

 飛鳥と神様が心の中で会話していた。

 

 

 そして回想は終わり、今に至る。

 

「そ、そう…」

 担任の山内が返事をした。

「あ、えっと…小泉さんを助けてくれてありがとう!」

「あ、いえ…。助けたのは私じゃなくて、彼なんですが…」

 

 本当に助けたわけではないので、飛鳥は複雑そうにしていた。

 

「いいわよ。あんな奴。3年生も助けたんだし、あなたの手柄にしておけば」

「そ、それはどうなのかな…」

「いいにゃ! 人を突き飛ばして謝らない人なんて、ヒーローでもなんでもないにゃ!!」

「ま、さしずめ女の子にモテたいから。でしょうね」

(めっちゃズバズバ言うな…(汗))

 

 真姫の一言に、飛鳥は困惑するしかなかった。本当に困惑するしかない。何しろこんなにズバズバ言うのだから。

 

「それにしてもアナタ…。随分地味ね」

「西木野さん。一丈字くんは先輩ですよ!」

 

 と、真姫たちの担任である山内が諫めた。すると絵里が飛鳥の方を見た。

 

「あ、それはそうと…さっきは助けてくれてありがとう」

「いえ」

「確かに大したことはしてないかもしれへんけど、絵里ちの為に嫌がらせはやめろ言うたやん。それや」

「あー…」

 飛鳥が納得した。確かに言われてみれば言ったような気もしたな…。という感じで思い出していた。

 

「本当に大した奴よ。あんた」

(あぁ…。今まで頑張った甲斐あったなぁ…)

 

 身内以外でこんなに褒められることは滅多にないので、飛鳥は称賛をかみしめていた。しかし、神様からは「転生世界での過剰なまでの称賛が、転生者をダメにした」と言われているため、あまり調子に乗らないようにしていた。

 

「山内先生と笹原先生からお前の話は聞いた。転校初日から本当に大した奴だ」

「いえ、お恥ずかしい限りです…」

 

山田から褒められて、飛鳥が視線を逸らした。

 

「謙遜するな。自信を持て」

(本当に今まで頑張って良かった!!!)

 飛鳥は感涙しそうになったが、何とかこらえた。

 

「…それに比べてあいつは」

「え?」

 すると笹原と山内も沈んだ。

「そうね…うちもまずいかも…」

「……」

(あっ)

 

 飛鳥は察した。この3人の教師はフォーを受け持っていたのだった。これからの学校生活を考えたら、同情するしかない。

 

『ちなみにCの事について教えてやろう』

『え、何かあるんですか?』

 

 神様が突然テレパシーで飛鳥に話しかけた。

 

『自分がヒロインにちやほやされていないと気が済まない性格で、本当に殺しておる』

『……』

 

 ちなみにフォーの特徴

転生者A:正統派イケメン。ジャニーズにいそうな顔。

転生者B:ワイルド系イケメン。俳優っぽい顔。

転生者C:頭脳派イケメン。眼鏡をかけている。漫画に出てくるメガネ系イケメン顔。

 

 ちなみに元の顔は3人とも不細工である。

 

『何度も言っておるが飛鳥よ。お前の仕事はあの3人からμ’sや他の女子生徒を守るという事と、チヤホヤされる事だ』

『ダメになりそう…』

 

 と、飛鳥が弱気な態度を見せていると、山田がため息をついた。

 

「はぁ…。どうすればいいんだ…」

(ガチのトーンで困ってらっしゃる…)

 

 共学化のテストという名目で転入した飛鳥達だったが、状況は最悪だった。眉間にしわを寄せた山田たちの姿がすべてを物語る。もし自分までああなってしまったら、完全に音ノ木坂は暗黒の未来を迎えることになる。そして自覚した。自分が『最後の希望』だと。ゲームでよくあるパターンだが、まさかこんな状況でそのパターンになるとはと、飛鳥は信じられずにいた。

 

「4人中3人がろくでなしとはな…」

「はぁ…」

「……」

 

 転生に限らず、人気アニメのキャラクター達って大変だなぁ…と、飛鳥は思った。

 

 

つづく

 


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