SNSサイトにて、ツイ廃と化したガラルジムリーダー総勢一名 作:暁刀魚
だいぶ大きなミスがあったので改定します。改定したらタイトルに表記します。
お詫びとして、20時にもう一話投稿予定です
:待機
:待機
:待機
:今日は虫公の解説か。
:開幕初戦落としてて草。
アリシアと虫の花園:誰ですか私のことを開幕初戦を落とした負け犬とか言った人は!
:虫公おるやんけ!
:開始直前に待機画面を見るな。
:そこまでは言ってないだろ!
:キョダイヒャッカさんちっすちっす。
:動画投稿待ってます!
待機画面が、スタジアムの中継に変わり、観客たちが映し出される。
:始まった!
映像はやがて解説席へと移り、そこでは実況のアナウンサー。虫ジムリーダーアリシア、フェアリージムリーダービートの三人が、座っていた。
「長らくお待たせいたしました。本試合はプロリーグ第一戦二日目、マクワ選手対メロン選手の試合をお届けいたします。実況は私、解説はこちらのお二人にお越しいただきました」
「虫タイプジムリーダー、アリシアです。本日はメインの解説を務めさせていただきます。コメントのみなさーん、元気ですかー!」
「すぐにSNSに依存しようとしないでください! フェアリータイプジムリーダーのビートです。本日は激しいバトルを期待しています」
:ビートくんだ!
:ビートくんだ!
:ビートくんだ!
「……あのー、私に対してのコメントはー?」
:……
:……
:……
「えーそれでは、本日の対戦カードについて。第一戦にして、非常に興味深い対戦カードとなりました」
:もはや当然のように慣れた様子で、実況にスルーされてて草
「はい! 本日はジムリーダーをよくご存じの方には馴染みの深い、マクワ様とメロン様親子のバトルです。もはや因縁となって長い月日が立ちましたが、未だに二人は激しいライバル関係にあります!」
「テンション高いなぁ……」
コロコロと、楽しげに笑うアリシアに、ビートが嘆息しつつ、実況が後を引き継いだ。
「そうですね。二日目とはいえ、この第一戦でいきなりこの両名が激突するという展開、目が離せませんね。お二人、それぞれの今回のバトルの注目ポイントをお聞かせください」
その問いに、まずはビートがうなずいて、フェアリータイプを思わせる洗脳型営業スマイルで答える。
「基本的に、この二人のバトルはタイプ上、メロンさんの不利です。それを覆すのは、やはり非得意タイプのポケモンですね」
「と、いいますと、例えばみずタイプのような?」
「それこそ、メロンさんの切り札はラプラスですからね。得意タイプのポケモンも、対マクワさん用に、みず・こおりを据えることが多いです」
「親子水入らずってやつですね!」
:いらなくて草
:矛盾してるぞ
:とりあえず思いついたら言わないではいられない生き物。
「なんですかもー!」
「え、えーその、はい。今回は水タイプのカマスジョーを採用しつつ、それ以外の水タイプはラプラスのみという構成です。この意図はどうお考えでしょう」
コレについては、アリシアが元気いっぱいに答える。
「ここ最近、メロンさんは対岩対策に雨の天候を使うことが増えてきました! 結果、マクワさんの手持ちにはカジリガメが入るようになってきています。今回もいますね。そのカジリガメを透かす目論見ではないでしょうか!」
「かわりにユキノオーが入っていますね、これで今回カジリガメを選出できないパーティになっています」
ビートは、アリシアの解説を補足するように付け加える。
「もう一体のサダイジャは、よくメロンさんの手持ちで見かける非得意タイプですね。主に対炎を担当することが多いでしょうか」
「対するマクワ選手は、ランターンに、アーマーガア。どちらも初登場のポケモンです。これはどういった考えでしょう」
「カジリガメと合わせての、水牽制でしょう。おそらく特性はちょすい。一方的にみずタイプがいれば有利に立つことができます」
「対するアーマーガアは、そもそもどうしてここまで見なかったんだろう、というくらい岩タイプの補完にはピッタリなポケモンですよ」
:岩タイプの弱点のうち。くさ、じめん、かくとう相手に有利を取れるんだな
「ただ……」
「ただ?」
アリシアが言葉を濁す。何やら思うところがありそうだが、そこで時間切れだ。
マクワとメロンが姿を表したのである。同時に登場し、メロンは周囲に愛嬌を振りまきながら、マクワはどこかニヒルな笑みを浮かべての入場となった。
それぞれに、黄色い歓声が飛び交う。
「さぁ、両者出揃いました! いよいよ運命のときです!」
『よくきたねぇ、マクワ! 今日こそ決着をつけようじゃないのさ!』
『そのセリフ、一体何回言ってきたんです!? そもそも、これはリーグ戦じゃないですか! 一回の勝負で、全てが決まるとは思わないことです』
『そうかい。何にしたって、授業参観は親の楽しみだからねぇ、さっそくやっていこうじゃないのさ!』
『ああもう……そういうのが気に入らないって、なんども何度も言っているのに!!』
「バトル開始――!」
:いつものメロンとマクワだ!
:今日はどっちが勝つかな。
「お互い先手は……マクワ選手セキタンザン! メロン選手パッチルドン!」
:初手アーマーガア読みだったかな?
「そうでしょうねぇ、マクワ様としては、とりあえず様子見として出しやすいアーマーガアはベターな選択です」
「対して、メロンさんは対アーマーガアに有効なパッチルドンですか」
:ってことは下げてくるかなぁ
「下げたとして、誰が後ろにいるんです? ラプラスは選出されているんですかね」
「かといって、この対面で下げない意味はなんです? 後ろにはほぼアーマーガアが控えてるんですよ?」
アリシアがコメントに反応し、さらにビートが乗っかる。そこで戦局は動き、マクワはフレアドライブを選択、攻防の後それがパッチルドンにヒットするが――
:耐えた!
「おおっとー、完璧に決まったかに思われたフレアドライブ、効果抜群は強烈な一撃だー! しかし、しかしメロン選手のパッチルドンは耐えているー!」
「……耐えると解っていて、交換しませんでしたね。これは」
冷静に、ビートが状況を観察する。パッチルドンは耐久用の調整をすれば、セキタンザンのフレアドライブなら問題なく耐えることのできる耐久力がある。故に、当然反撃を想定しての交換なし。
『よォシ、そのままやっちまいなよ、パッチルドン! じだんだ!!』
歓声にスタジアムが湧く、激しい猛攻を耐えての反撃だ。しかもこうげきはセキタンザンにより深く突き刺さる地面技。だが……
「セキタンザンもまた、これを耐えるー! 激しい攻防です! これは、どちらも一進一退だー!」
:マクワのセキタンザンは鉄壁だからなぁ
「メロン様も人が悪いですね、ここであえてのじだんだは、じょうききかんの特性を避けるためのものでしょうが……ともあれ、次のパッチルドンの攻撃をセキタンザンは耐えられないでしょう」
「…………なんで、ダイマックスしないんだい?」
状況を観察していたビートが、ふとそれを漏らす。
:え、今ダイマックスするところだったの!?
「よくお気づきですね、ビートくん。ここでダイマックスは十分アリな選択だと思います。いくらパッチルドンがフレアドライブを攻撃を耐えるとはいえ、ダイマックスをしたセキタンザンのダイバーンを耐えることはできません」
「加えていえば、アーマーガアに対して有利な敵はパッチルドンだけ……ですから、ここはダイマックスを切ってでもパッチルドンを排除する選択肢はある……」
:パッチルドンが逃げるかみるためじゃね?
:それだ!
「考えられますね。まだセキタンザンはだいぶ体力に余裕がありますから、ここでダイマックスをしても、パッチルドンの次の一撃を耐えられます。もちろん、その次は続かないでしょうが……」
「プロリーグならではの、戦略的なダイマックスというわけですね」
実況の言葉に、アリシアがうなずく。相手の思惑を外す意味でのダイマックスは、ここでは十分あり、そういう結論に至るが……
『そのまま決めな! もういちどじたんだだ!』
マクワ、ダイマックスせず。セキタンザンはこの一撃を受けてダウンしてしまった。
「おおっとー、ここでマクワ、エースであるセキタンザンを失ったー! しません、ダイマックスしません! これはどういうことだぁー!?」
:オイオイオイ
:対氷の切り札にもなるセキタンザンがあっさり……
:マクワ大丈夫かー?
「アリシア選手、これはいった――」
「――なぜ、アーマーガアなのでしょう」
そこで、ふと、少しの間沈黙していたビートがつぶやく。その言葉に、アリシアが待っていましたとばかりに、ビートを指差した。
「正解! さすがビートくんです。これはどういうことか。答えは単純……そもそも、アーマーガアはたしかにいろいろなタイプに有利を取れますが、若干器用貧乏なところがあります」
「はい。アーマーガアはひこうタイプなので、こおりタイプを受けるには向きません。格闘にたいしても等倍になってしまいますし、地面には有効打がありません」
『おいおい、どうしちまったんだい、マクワ! おまえ、そんなに切り札を軽々しく切り捨てられるタイプだったのかい!?』
『ええい、これは彼も納得済みの選択です! 見ていなさい! ここからが反撃の時! いけ、アーマーガア!』
言っている間、言い合いをしながら、マクワがアーマーガアを繰り出す。これでアーマーガアとパッチルドンの対面。アーマーガアはそのまま鋼技を繰り出し、パッチルドンを下した。
「ここでパッチルドンがダウンだー! 交代はしてきません、これでお互いに残るポケモンは二匹ずつです!」
『いけ! ラプラス! オンステージだよ!』
対するメロンも、ここでエースを投入だ。代名詞と言えるラプラスが場に登場し、一気に観客はヒートアップした。
:ラプラスでたー!
:これはメロンの勝ちパターン入ったか……?
「御覧ください、この歓声! 会場が一気にメロンコールで沸き立っています!」
「……逆境ですね」
ビートがつぶやく。戦況は、パッチルドンを失ったものの、エースを繰り出したメロンに対し、対氷の秘密兵器を投入したものの、同じく対氷が多少なりとも可能で、代名詞といえるエースセキタンザンが撃破された状態だ。
そして、だからこそ、
『――この瞬間が、一番映える』
マクワが、待っていましたとばかりに、声を上げる。
『レディースエーン、ジェントルメーン! 今宵お集まりいただき、まことにありがたく思います! 観客の皆様、皆様はこう思うでしょう。大丈夫か、マクワ! 逆転の一手はあるのか!』
『あぁ……?』
『手に汗握っていることでしょう、どうなってしまうんだ。これでおしまいなのか! 秘策はあるのか! 答えは一つ――ある!』
その宣言とともに、マクワがアーマーガアをボールに戻す。その仕草は、交代では――ない。
「こ、これは――!」
実況が、叫ぶ。そう、これは――ダイマックス。
否、
『いけぇ、アーマーガア! キョダイマックスです!!』
会場が、一瞬にして、色を変えた。
:キョダイマックス!?
:マジで!? あのアーマーガアが!?
「……マクワ様は、今回に向けて新戦力を投入してきました。それは、鋼タイプという、一見こおりタイプに有利ながら、ひこうタイプを複合することで、受けには向かないアーマーガア……ですが、それで構わなかったのです」
そのハンディをもってあまりある、メリット。
それが――
「キョダイマックス、アーマーガア……マクワ様が、この大一番で見せる、新たな境地です!」
――そして、鋼の双翼が。雄々しき翼が、スタジアムに降臨した。
『ははぁ、そういうことか!』
メロンが驚愕し、そして、
『さぁ、反撃と参りましょう、アーマーガア、ダイナックル!』
「……これは」
:格闘技をもたせてたのか!
:ダイナックルなら、ラプラスでもそうそう耐えられないぞ!
激しい攻防。アーマーガアが先手を取る形で、ラプラスを追い詰める。ラプラスも反撃するが、それがアーマーガアの致命傷になることはない。故に。
「――おおっと、ここでラプラスダウンです! マクワ選手、キョダイマックスでラプラスを圧倒、撃破しました!」
戦局は、一気に傾いた。
しかし、解説のアリシアとビートは、どこか浮かない顔をしている。何かを考え込んでいるかのように。
「あの」
「はい、ビートくん」
「……ダイマックスしませんでしたね、ラプラス」
:あっ
:あっ
「それは……どういうことでしょう」
実況が、思わず問い返す。
「あの二人の顔を見てください。……戦局は変わったと、誰もが思いました、ですが」
――笑っているのは、メロンだ。
苦々しい顔をしているのが――マクワだ。
観客たちは、激しいマクワコール。さきほどまでのメロンコールとは打って変わって。逆境だ。それも、マクワがいうそれよりも、さらに厳しい、本物の。
『あえて返してやろうじゃないのさ、マクワ』
そういって、メロンは最後の一匹を繰り出す。
『――この瞬間が、一番映える』
マクワが使った反撃の狼煙を、メロンが意趣返しのように使う。その言葉の意味を、理解できない観客ではない。
「ま、まさかこれは!」
最後に現れたのは、サダイジャ。
そして、サダイジャにはある特徴がある。アーマーガアがそうであるように、マクワがそうしたように。
『サダイジャ、キョダイマックスさぁ!』
メロンも同様に、切り札を切る!
会場は、割れんばかりの歓声が包む。ダイマックス同士が並んだ。それも、お互い初めて投入する、キョダイマックスポケモン。
「考えることは、やはり親子ですね」
ビートが苦笑した。アリシアも同じように肩をすくめて――
「そのうえで、一枚上手だったのはメロン様の方ですね」
『マクワは露骨すぎるんだよ、この状況でそんな見たこともないポケモンを投入したら警戒するじゃないのさ。アタシみたいに、一度使ったことのあるポケモンが、隠れ蓑になることもないってのに!』
メロンの言葉がすべてだった。
サダイジャはアーマーガアにたいしてダイバーンで攻撃を仕掛け、これを一方的に撃破。続く三体目、バンギラスに対しても、ダイナックルで攻め立てる。
「……最後がバンギラスというのが、皮肉ですね。あのサダイジャ、すながくれでしょう。バンギラスの攻撃が外れましたよ」
「メロン様は、ここまで完全に読み切っていたのですね。ああ……バンギラスさんが、倒れました」
:あー、惜しかった……
:いいバトルだったー
「決着ゥー!! 勝者はメロン選手、新たな戦力、サダイジャによる、華麗な逆転劇! 会場は、メロンコールで沸き立っています!」
:メロン!
:メロン!
:メロン!
:虫公キョダイヒャッカ待ってます!
「誰ですか今、不純物を混ぜたのー!!」
惜しみない歓声を受けるメロンと、落胆するマクワ。二人が近づいて、握手をする。握手をする時には、もうマクワも普段の気障な表情へと戻っていた。
『戦術だだ被りは痛かったですが……楽しかったですよ、母さん』
『お前も強くなったもんさ、マクワ』
そういって、なんやかんや、健闘を称え合って、解説席ではそんな二人に拍手を送りながらも、アリシアが燃えて、ビートがその被害を負って。
マクワ対メロン、プロリーグの一戦は、こうして熱狂の末、幕を閉じるのだった。