SNSサイトにて、ツイ廃と化したガラルジムリーダー総勢一名 作:暁刀魚
アリシア SNSサイトにて、ツイ廃と化したガラルジムリーダー総勢一名@Alicia_butterfly
お掃除の季節! 年末といえば一般的に大掃除の時期ですが、ジムトレーナーにはもう一つ、お掃除の季節が存在します。それはこのジム移動期間! ジムチャレンジの順番が公表され、それぞれが担当するジムも発表されると、今いるジムはお引越ししなければなりません。
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マイナーに落ちたり、メジャーに昇格した場合もこれは同様。いそいそと移転の準備をしなくてはならないわけです。そうなると、移転を希望しない組が羨ましい話ですが、そういう人たちだって、マイナーに落ちれば移転しなければ行けないわけで。
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彼らは同じ場所を希望する代わりに、負けられない義務を負います。基本的にガラルのジムリーダーはジムの場所を選びません。選ぶ理由がある以上、それを実力で奪われてはならないわけです。ある種対比的な現実です。
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はぁしかし、忙しいですねぇ。基本的にジムの引っ越しには、専門の業者、リーグ委員、そしてジムトレーナーがそれぞれ分担して関わります。ジムトレーナーの役割は自分たちが使用していた場所の清掃。まぁ当然といえば当然ですね。
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ちなみに業者は使用していなかった部分の清掃、およびスタジアムコートの清掃。リーグ委員はジムチャレンジのギミックとコート、及び各種機材のメンテナンスです。あれって結構専門的な知識と技術が必要ですからね。そしてその技術はマクロコスモスがほぼほぼ管理しており、リーグ委員とは≒でマクロコスモス社員です。
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ちなみに、私達むしジムは非常にメンバーが少ない関係で、ジムの使用箇所も少ないです。最大で三桁単位の人間が使用できる場所を一桁メンバーどころか五人くらいで管理しているので、使っていない部分が埃かぶりまくっています。
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でもしょうがないじゃないですか! 人が……人が増えないんですよ!! 今の少なさもフットワーク軽くて私は好きですが。
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こういうことって、長いガラルの歴史だとたまにあるんですよね。年代によってタイプの人気って推移しますし、その中でジムトレーナーの人数が極端に少なくなる場合があって、そのときにたまたまそのタイプで強いトレーナーが生まれて、零細メジャージムが誕生するって。
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とはいえ、そういうたまたま強いトレーナーって本当に強い事が多いので、そんな人のもとにトレーナーがあつまり、十年二十年すると、そこそこの規模になります。そしてその人が後継を残せないと、またじわじわ減っていくわけですね、諸行無常。
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タイプ別の人気って、本当に炎、草、水とあとドラゴン以外はどれも似たようなもので、なにかしら要因が絡まないと、基本的にどかっと増えたり、それを維持し続けたりって言うことはありえないわけです。まぁ、何が言いたいかと言うと。
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今が巻き返しのときってことですよ! 見ててくださいよむしジムを笑うもの! 十年後には、ガラル有数の大規模ジムとして、きっとすごいことになっているはずなんですからー!
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ああ、そういえば。いましたね、特に希望を出していないにも関わらず、ただ一つの事実だけで、同じジムの場所を維持し続けてきた人。火、草、水の基本タイプと違い、いくらでも場所が代わりうるにも関わらず、同じ場所で十年もジムリーダーをやってきた人。
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まぁ、そりゃ私がそこから引きずり下ろしたんですけども。……キバナ様、今どうしているんでしょうねぇ。
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普通に自撮りしてました。
(コメ付きポケRT)
キバナ バイバイナックルジム@KIBANA_Galaxy
また来るぜ! 我がマイホーム! ナックルジム!
(ジムトレーナーと全員でナックルジムを背景に撮った写真)
「っし――と」
いつものように、自撮りの写真をPoketterにアップすると、キバナは一仕事を終えた、と言わんばかりに大きく息を吐く。自分を囲むジムトレーナーたちを解散させると、キバナは周囲を感慨深げに見渡した。
遠くには、キバナ達の集合写真を眺めている、ナックルシティの住人たちと、それからマスコミの姿が見える。
次はあそこだな、と苦笑してから、キバナはスマホロトムを伴って、あるき出した。
――ドラゴンタイプジムリーダー、キバナがこのナックルジムにやってきたのは、今から十年前のことになる。ジムチャレンジで驚異的な成績を残し、ダンデとともに新世代として大々的にデビューした彼は、いきなりプロリーグ、タイトル戦で驚異的な結果を残すと、このナックルジムを任されることとなった。
ナックルジムは、ジムチャレンジで必ず最後に訪れることとなる八番手のジム。そこにジムを構えるメジャージムリーダーは、すなわち最強のジムリーダーであり、チャンピオンに挑む前の、チャレンジャーにとっての最後の壁だ。
そんな場所に、若干十と少し、今のアリシアよりも更に幼い年齢で収まったキバナは、まさしく天才と言うにふさわしい実力を有していた。
「おう、またせたな!」
そう叫んで、ファンであるナックルシティの住人たちを招き入れるキバナ。
――昔からキバナは人気のあるジムリーダーで、こうしてファンに囲まれることは多かった。ジムチャレンジ時代から、その容姿と強さ故に人気を博していたのだ。
しかし、十年前と今とでは、こうしてナックルジム前に集まるファンの態度は、まったく違うものだった。
十年前、初めてこのジムにやってきたキバナを、当時多くのファンが出迎えた。けれども、彼らはキバナを遠巻きから眺め、歓声を送るだけだった。
別にそれはおかしなことではないし、今でもナックルシティ以外の場所に赴けば、ファンは遠くから声援を送ることがほとんどだ。
ただ、このナックルシティでは少し話が違う。今、キバナを囲むファンたちは、非常に近い距離でキバナに接していた。最も近い足元には幼い子どもたちが、そこから大人たちが目を輝かせてこちらを見ている。
十年だ。この十年で、キバナとナックルシティの住人の間には、特別な絆のようなものが生まれていた。
「ん、おまえさんはこの間、ポケモンを貰ったってばかりの坊主だな? どうだ、あれから調子は」
「うん! あのね!」
子どもたちと同じ視界になるまで腰を落とし、そんな話をするキバナ。こんなやり取りを、キバナは十年間、ずっとナックルシティの人々としてきたのだ。
楽しげに話す子供の話を聞いて、キバナは笑みを深めながら、昔のことを思い出す。
――こうして、話をするようになったのはいつからだろう。
最初は、ただのジムリーダーと、そのジムのある街に住む人々、それだけだった。キバナには、一つの街に根付くという意志はなかったし、決して興味があったとは言い難い。
ただ、キバナが自撮りにハマってから、少し。町中で自撮りをしていたときのこと。その時、町の住人はキバナを避けた。有名人の写真に入り込むのが恐れ多いと感じたのだろう。
それが、キバナには気に入らなかった。ガラルの人々は優しい人々だ。他所の地方からやってきたキバナは、この地方に住む人々の優しさというものを強く認識している。
だから、そんな彼らが遠慮しているというのは、キバナにとっては「よくない」ことだった。
周囲の人々に声をかけ、一緒に写真を撮った時、最初は驚き困惑していたようだった住人だが、少し言葉を交わせば、すぐに快く写真に映った。
彼らは、とても気のいい人達だ。
……もちろん、他の街の人々もそうなのだろうけれど。
それでも、キバナにとって――
「ねえ、キバナ」
その時、一人の子供がキバナに問いかける。なんだ? とキバナは優しげに問い返した。
「……やっぱり、キバナいなくなっちゃうの?」
子供は寂しそうに、そう聞いた。キバナが少しだけ驚いて、目を見開く。それから、本当に少しの間だけ考えて、それから笑みを浮かべた。
「おれさまはいなくならねぇよ、少し遠くに行くだけだ」
「でも、そうしたらキバナはナックルジムのジムリーダーじゃないじゃん!」
「安心しろよ、次のジムリーダーはクソガキ……あのアリシアだぜ?」
「アリシアがジムリーダーになったら、ナックルシティがキテルグマみたいになっちまうよー!」
いやなんだそれは。
思わずツッコミながら、笑みを浮かべてキバナはガシガシと子供の頭を撫でる。
「流石にアリシアだってそんなことにはならねぇよ……でもま、そうだな。おれさまだって別にアリシアに任せたいってわけじゃねぇ」
そして、手を放すと、拳を握りしめて、
「預けるだけだ」
少年の前に突き出した。
「必ずおれさまはここに戻ってくる。男と男の約束だ。どうだ? おれさまのことが信じられないか?」
「そんなわけないだろ!」
少年も、それに拳を合わせる。周囲の子どもたちが自分も、自分も、とキバナに群がって、最終的になんだかキバナはトゲデマルのようになって、思わず笑みが溢れる。
「じゃあ、約束だ!」
そう言って叫ぶキバナに、おー、と子どもたちの歓声が応えた。周囲の大人たちも笑みを浮かべて、キバナはそれに気をよくしながら、周囲の人々を動かして、スマホロトムの撮影範囲に収める。
自撮り。キバナが始めた、彼のアイデンティティの一つ。いつしか、そこに映る人々は、自分だけではないことが多くなった。
今は、そのことがたまらなく嬉しい。
そう思いながら、写真を撮った直後のことだった。
「ああああああああああああああああああ――――すいませんどいてくださいいいいいいいい!!!!」
突如、上空から声がする。キバナには聞き慣れた声だった。その声に、周囲は驚くが即座に行動し、その場を離れる。
キバナも少し距離を取ると、
そこにアリシアが落下してきた。
「いだぁ!」
明らかに落下しては行けない速度で落下してきたアリシアが、しかし無傷で起き上がる。相変わらず人間の耐久度ではない。
「アリシアだー!」
「虫公だー! 何しに来やがったー!」
「燃えるぞー! にげろー!」
周囲の子どもたちが、威嚇するように叫ぶ。嫌われているように見える気もするが、どちらかというと好かれている反応だ、キバナは思わず感心する。
アリシアは、何処に行ってもアリシアなのだな、と。
「なんですか! やるんですかこらー!」
そう言いながら顔を上げて、アリシアはキバナと目があった。お、と何やら目を輝かせる。嫌な予感、彼女のクソガキモードにスイッチが入ったと、キバナは内心嘆息しながらも、口元は笑みに歪んでいた。
「キバナ様じゃないですかー! ナックルジムのお片付けは済みましたかー!? キバナ様ー!」
煽りを入れながらシュバッと立ち上がり、構えを取る。周囲の子どもたちが一斉に同じように構えを取り、一触即発ではないが、なにやら空気が物騒になってきている。
「おいおい止めとけ、お前たちもあんな炎上芸人みたいになっちまうぞ」
「やだー!」
「なんですとー!?」
キバナの言葉に、即座に子どもたちは矛を収める。同時にアリシアが吠えた。
「納得いきませんが!」
「事実じゃねぇか」
ふんす、と寄ってくるアリシアの頭をがしっと掴んでとめる。ブンブンとアリシアの両手がから回った。
「それで、何のようだ」
手を離しながら本題にはいると、アリシアは澄ましたような顔で、本題に入る。
「ナックルジムのことで、キバナ様に聞きたいことがありまして、長くなるので場所を移しませんか?」
「ん、おお、そうだなぁ」
少し、頬を掻いて考える。別に嫌だというわけではない、場所をどうするか、という思案だ。ジムの中は今、せわしなくジムトレーナーたちが片付けに走り回っている。となると宝物庫か、いっそワイルドエリアか。
「それにしても――」
そんな時、アリシアがふと周囲を見渡して、
「いい場所ですねえ」
こちらを眺める住人たちを見ながら、そういった。
その言葉に、キバナも頬を緩めて笑みを浮かべる。
「だろう? これから一年、ここがお前のホームになるんだぜ? 無様な姿は晒すんじゃないぞ」
「さっきのアレが無様に入らないなら、大丈夫ですよ」
落下した地面の跡を眺めながら、アリシアは胸を張る。そこは胸を張るところじゃない、とデコピンをしてから、キバナは、
「ったく、大丈夫だろうなぁ」
「大丈夫になるように、話を聞きに来たんじゃあないですか」
そう言って胸を張る、――もっともこの場所を任せるに値すると、そう考えるジムリーダーを見た。
キバナにとっての十年間。この街と一緒にあり続けた十年間。キバナの一部になったこの街を、キバナは今年手放す。ただ、それは決して、マイナスな気持ちで迎える出来事ではない。
――あの時、絶不調の中にいた自分を、アリシアは強引な方法で引っ張り出した。
そのバトルが終わって、ここに戻ってきた自分を温かく迎えてくれたナックルシティの人々に、キバナは感謝以外の気持ちを抱けない。
ここを手放すということは、不甲斐ない自分への罰だ。そしてその罪滅ぼしの間、この温かい人々を、より笑顔にしてくれるトレーナーは、自分を引きずりあげたこいつしかいない。
アリシア。
今は、周囲に寄ってきた子どもたちを相手に、威嚇をして遊んでいる。炎上家で、放っておくとアホをやりだすアリシアだが、同時に誰よりも、このガラルを愛している。
誰よりも、楽しいを追求し続けている。
ガラルにあって、ガラルらしくない。
アリシアを端的に表す言葉、きっとアリシアは、このナックルシティを自分とは違う方法で盛り上げてくれることだろう。
「……ったく、遊んでる場合か」
遊んでいるアリシアにげんこつを一つ入れ、頭を押さえるアリシアを伴って、その場を離れる。場所は……今は、ワイルドエリアにしようと思った。
少しだけ、ここで話をしていると、どれだけ前向きだろうと、感傷的な気持ちも湧いてくるものだから。
ナックルシティの入り口に立って、振り返る。
「どうしたんですか?」
不思議そうに見上げるアリシアを伴って、
「なんでもねぇよ」
――じゃあな、ナックルジム。バイバイ、ナックルシティ。
キバナは、ナックルシティを後にした。