「『エクスプロージョン』━━━━ッッッッ!!」
晴れた空の下、小鳥がチュッチュとさえずる声も聞こえる中、
私の魔法は炸裂した。
以前より増した轟音は平原のどこまでも響き渡る。
「ふぇぇ・・・・・・
カズマ、今日の爆裂は何点ですか?」
「ふむふむ・・・・・・
この風量と爆裂の色彩を見ても100点・・・・・・と、言いたいところだが、
お前の爆裂は俺の手によって強化された。
すると評価基準も当然厳しくなる訳だ。
70点」
「ふあ!?
今のがですか!?威力といい爆風といい、あれは150点でしょう!?」
「ソムリエ様に文句があるのか?あの時お前に上級魔法を覚えさせてもよかったんだぞ?」
「ありがとうございます。精進します」
カズマは手馴れた手つきで私を背負う。
そう、私はカズマと日課である爆裂散歩に来ていた。
ゆんゆんが問題発言をしたのはつい先日の事。ゆんゆんと私・・・・・・いや、私の活躍によって魔王軍幹部シルビアを討伐してからまだ数日しか経っていないのだ。
なのに凄く長く感じられる。理由はよく分かっていないがモヤモヤするのだ。それのせいで長く感じられて・・・
「どうかしたか?めぐみん。なんか考え込んでるみたいだけど」
「・・・へ?あっいえ、何でもありません。」
顔に出ていたか。カズマに心配させまいと言い訳しようとするが、カズマの方が少し早く口を開く。
「本当か?何か悩んでる感じだったからさ」
・・・・・・カズマはたまに鋭い所がある。だが、私の事を心配して言ってくれてるのだと考えると嬉しい。すると、
「・・・ははーん。分かったぞ。さてはお前今日俺が八百屋のおばちゃんのとこから買った具材見たろ?それが何か気になってんだな?実は今日の夕飯は・・・」
「違いますよ。でもそれは気になりますから教えてください。」
ははーん、なんて言っておいてここまで違うとは、むしろ感心してしまう。
カズマは自信があったのか、私を見てすごく嫌そうな顔をする。それに対し私はそれを超える嫌そうな顔で応戦するもカズマは無視して歩みを進める。
「・・・違うなら教えない」
「何でですか!教えてくださいよ!教えると言ったり教えないと言ったり!」
モヤモヤの原因は多分この矛盾ニートである。この八百ニートが私の爆裂魔法を強化してくれて以来、いやもう少し前からモヤモヤしている。その正体を早く暴きたい訳だが・・・
「ちなみに俺が行ったのは八百屋だけじゃねえからな」
「知りませんよそんなの」
こんなツンデレみたいなのにモヤモヤしてると思うと時々腹が立つ。八百屋にツンもデレも無いと思う。
「あっ、屋敷が見えてきましたよ」
「お前、今八百屋の件誤魔化したな。見え見えだぞ?」
「違いますよ!まず誤魔化す程の事じゃないでしょう、いい加減しつこいです!」
カズマが予想以上のしつこさを見せてくるので、私も少し強めに叩いてみる。
「痛っ!・・・・・・お前の方が力は強いんだから手加減してくれよ」
この時間ならアクアが庭の植木に水をあげているところだと思う。ダクネスは昨日のクエストで傷がついた鎧の手入れでもしてるだろうか。
「ただいま、帰りましたよー」
「おかーえり!長かったけど、どこ行ってたの?」
珍しくアクアは中で正座しながら、台所にいるらしいダクネスの観察を行っていた。月に1回ランダムでやる週間があるのだ。本人は、ダクネスにも可愛い所があるの!とか言ってるが、観察する可愛さとは違う気がする。
「まあ色々とな。めぐみんの日課に付き合ったり、夕飯の材料買ったりとな。とっておきのやつを買ってきたぞ?さーて、今日の夕飯は何だと思」
「おっ、カズマ達帰ってきてたのか。ちょうど夕飯が出来たところだ。先に風呂に入ったらどうだ?」
・・・・・・。
「・・・もう俺今日夕飯食べない」
「!? どうしたんだ、私今変な事言ったか!?」
「カズマは今日特別な料理を作るために自信満々で食材を買ってきたそうです」
「この空気も読めない変態令嬢が、あっち行け・・・」
「はうっ・・・!・・・ど、どうやったらそれをもっと言ってくれる!?もっといじめてあげればいいのか!!」
「もはやダクネスはSなのかMなのか分からなくなってますよ!これ以上カズマをいじめてあげないで下さい!」
もうこのパーティはどうしてくれようか。どうしてここまでまとまりがないのか。
そんな中アクアが1番静がなのが気になる。女神とか自称していたが、ついにその神格か何かが覚醒したのだろうか。勝手に妄想した設定が案外良くて紅魔族の本能で喜んでいると
「あんた達、ちょっと位は私みたいに落ち着きを持ちなさいな。こう揉めないで、相手を許す精神を持ちなさい」
私はアクアの成長具合に思わず感動してしまう。ああ、あのアクアが・・・・・・
「お前、エリス教徒の中で数少ない巨乳をダクネス意外駆逐してやろうとか言ってたの知ってんだかんな」
違ったようだ。展開が早くてこんがらがいそうになっていると、
「おい!それなら私は除外するな!」
「そうじゃないでしょう!もうなんなんですかあなた達は、一人一人変な特性持ってる意味が分かりませんよ!」
「「「よく人に言えるな」」」
何故か皆私の方を見てる気がするがそれは無視する。
アクアに期待した私がバカだった。プライドなどどこに捨て去って来たのか言い合いを続けている。そんな雑音が飛び交う中、私はもうダメだこいつらとばかりにため息をはき、夕飯の準備の為台所へと向かう。今日は色々と疲れたし食べたらもう寝よう。一応、明日にはやりたいこともあるのだ。
「おいめぐみんちょっと助けてくれ!アクアを泣いてもいじり続けたら何か物騒なこと言い始めんたんだよ!お前も手伝っ・・・・・・こらっ暴れるな!」
「ふふふ、今日こそはエリス教徒の血液にピュリフィケーションを・・・!」
何か凄い事が聞こえた気もするが、私は聞き流して台所へと向かった。
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快晴の空に囲まれ、雲の1つも見えない始まりの街、アクセル。そんな街の澄んだ風の音は、
「カズマ、いい加減起きてください!そうじゃないと私の杖でみぞうちガンッてやりますよ!!」
「ちょっと位寝かせろよ!昨日ほとんど寝てねぇんだよ!」
「徹夜しかけてただけじゃないですか!」
私達の争う声によって掻き消された。
私には今日予定もある。早くして欲しいところなのだが、
「うるせぇよ!何も無い日くらい休ませろよ!」
「いいえ!カズマには今日は私と買い物に行く予定があるのです、早く布団から出てくださいよ!ほらはや・・・出ろやぁぁぁ!」
私はカズマの被っていた布団を天井に当たる勢いでぶん投げる。
「おい!急に布団を取る事はないだろ!それに八百屋ならもう行かねえからな、トラウマも出来たし!」
「違いますよ!服とかそういうのでいいんです!」
「・・・・・・それって、もしかして俺とデー」
「ち、違います・・・と言うより何故服を着てないのですか!?ないならついでにそれも今日買いますか!?それだから寒いんでしょう!」
私は完璧な話の逸らし方で話題を逸らす。
「それだから隠してたんでしょう!?」
「うっ・・・と、とりあえず着替えてから来てください!」
そう、私はカズマへのモヤモヤの正体を暴くべく、1日一緒にいてみて確かめることにしたのだ。しかし、成功はしたものの思わぬカウンターを食らってしまった。
私はカズマの返答を聞かずに玄関へと駆け出す。
しかし・・・・・・
カズマは私と買い物に行く事をデートといった。正しくは言いかけた、か。その、なんだろう。そう意識してしまうと妙な期待と胸の高鳴りが私を動揺させる。私はどうしてしまったんだろう、つい先日まで爆裂魔法のことしか考えてなかったのに今では片隅に閉まってしまっている。気付かぬうちにもう私の顔は紅に染まっているだろう。そう、考えるだけで・・・
「めぐみん?」
「・・・・・・?ッ!はっ、はい!」
「どうしたんだ?目紅く光らせて。なんか顔も赤いか?」
目まで紅くなってたとは・・・急な事で素っ頓狂な声をあげていたかもしれないが、何か言い訳をせねばと考える。
「い、いえ、爆裂魔法を撃ちたい衝動に駆られてました」
「そうか。なら買い物には1発撃ってからでも行くか?」
「いえ、そうしたらその、カズマにも迷惑をかけますし、私も歩けないですし」
「普段迷惑しかかけない奴が何言ってんだよ。ほら行くぞ」
どうしてこの男はこんな場面でそんな事言ってしまうのだろう。いや間違ってはいないのだが、あながち間違っていないのだが。
すっかり冷めてしまった私はそんな男の横を行く。
「とりあえずは行きたいとことかある?」
「いえ特に。まずはブラブラしてみましょうか」
「なぁ・・・人を無理やり連れ出しといてブラブラしましょうかって・・・」
カズマの言葉を聞き流し、そこらの店を見て回る。
服屋、魔道具店、靴屋からアクア行きつけの宝石店まで、この見ると意外と楽しめそうな気がしてくる。
「はあ、じゃあ俺が行きつけの場所、連れてってやるよ」
「ホントですか!?ありがとうございます!」
私はいつの間にかカズマの手を取っていた事にも気づかず、街中の人混みへと向かった。
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━━━━━━━ 冒険者ギルド ━━━━━━━
それは、冒険者達が集まる、酒場も兼ねた集いの場である。
カズマはアクアがいつも登って歩いている、馬車の通る道のふちの段差を軽く越え、ギルドへと入る。
いや、そうじゃないだろう。
「カズマ?なんでギルドに入るんですか?」
私は恐る恐ると言った感じで聞いてみる。
「?
適当にブラブラするとか言ってたから、飯とか食うんじゃないかって」
「いやご飯食べるとかはいいんですけどね!ギルド見たいな所は雰囲気がちがいますよ!」
「?
まあよく分からんけど・・・じ、じゃあ移動するか」
この男は自分でデートとか言っといてこれは何なのだろうか。
「もしからかってるのなら、明日は日課をカズマで済ませますよ?」
「マジで?・・・・・・じゃあ、喜んで。そんときゃ俺も全力で行く」
「・・・カズマ、変な意味に捉えてます?カズマに爆裂魔法を撃つという意味で、カズマで済ませるとは決してそう言う意味じゃ・・・に、ニヤけるのはやめてもらおうか!」
全く、こんな時に下ネタとはこの男の脳内はどこまでお花畑なのだろうか。少なくともアクセルよりは広いはずだ。
・・・とりあえずは他に向かうか。
「・・・・・・ちなみにお前の名付けた我がエクスカリバーはいつでも準備はできているっ!」
「次それ言ったらその聖剣についてる宝玉叩き潰しますからね?」
カズマは私の言うことを冗談と捉えているのか、注意しても未だにニヤニヤしながら私を見つめてくる。私はそれを見て処刑を実行に移そうと・・・
「おい、あのカップル見ろよ」
「ああ、女の方は可愛いのにあの男冴えねえな・・・釣り合うって言葉が似合わねえ感じだ、あの女も見る目ねえなあ」
私やカズマを知らない事からアクセル外から来たと思える少しチャラそうな若者2人。そんな人たちがそんな言葉を放った。か、カップル・・・・・・
「・・・おい、誰が冴えないだ!確かに冴えてはいないけど!前半聞こえなかったが俺はこの街有数の金持ちだ。裁判起こせばどうにでもなるぞ?ああん?」
カズマが今まで聞いた中でもトップクラスのクズ発言をする。いやそれよりも、カップル・・・・・・
「うわ、嘘ついちゃって。とうとうイキリだしたよ」
「可哀想だわー」
「は?ふざけんじゃねぇ。お前らちょっとばかりイケメンだからって。俺はイケメンが嫌いなんだ。おい、めぐみんも何か言って・・・・・・めぐみん?」
カズマが私に何か言っているようだが、まるで聞こえない。だだ、だって、カップルって・・・
「こいつめぐみんって言うのか・・・!?
おい、変な名前に眼が紅いって、まさか・・・」
「こいつ紅魔族だ!逃げろ!騒動に巻き込まれるぞ!」
ああ、逃げてったなあ・・・ふふ、カップル・・・・・・
「おいめぐみん、ほんとに大丈夫か!?眼が紅い上になんか表情が溶けてる!トロンってなってるぞ何だこんな顔みたことねえ!いや、そうじゃなくて!おーい」
私はカズマにしばらく揺さぶられ、やっと我に返る。
「・・・・・・ふあ!」
「!?・・・戻ってきたか?めぐみん」
「はい。帰還しました。」
「戻ってきたという割にはまだニヤけてる訳だが・・・ついに本当にとち狂ったかと思ったぞ」
「とち狂ったとは失礼な。私はいつでも冷静沈着ですよ」
私がそう言うとカズマは、少し考えるような素振りを見せ、ごにょごにょと篭った声で言う。
「あれが冷静沈着か。日本から持ってくるの四字熟語辞典にしとけば良かったかもしれん」
「何か言いました?」
「何も」
というか、私はカズマが何か言ったかとかはどうでもいい。今は凄く気持ちがいいのだ。
「ならいいです。じゃあ早速次、向かいましょうか」
「おう、期待しとけよ」
私はそんな淡い期待を胸に、カズマの隣を歩いた。
━━━━━━━━とある喫茶店━━━━━━━━
それは、カズマが2つ目に選んだ店。
いや、ここは流石にないだろう。センスの有無どうのこうのじゃない。私はこの店を知っているが、カズマがよく悪友と行っている世の男性行きつけの喫茶店である。これは人としての問題だと思う。
「あの・・・・・・カズマ?」
「・・・・・・いい夢見ろよ」
よし、決めた。
潰そう。
「あんな嬉しい思いをした後なのに、残念です。カズマ、今までの相棒にサヨナラを言ってください」
「!?
おい待て、本気で蹴る気か!?冗談だから、お願い冗談だから!」
「大丈夫です。1回で2ついきますから、楽ですよ?」
「違うから!そうじゃないから!分かった、次だ、次行こう!」
何か、凄くこの男を見てるとアクアに近い何かが感じられることがある。少し違う感じだが。
「いい加減場所考えて下さいよ、もう!」
「・・・・・・じゃあ、あそこ行くか!」
「・・・・・・あそことは?」
「教えなーい♪」
「・・・・・・」
私はダクネスじゃないんだから焦らしとかそういう類は止めて欲しい。でも何だろう、凄く胸の奥が締め付けられるような、何と言うかドキドキする。
モヤモヤも完全にはハッキリとしないものの、それでもカップルと言われて嬉しいあたり、見当はついている。でもこんな感情初めてだから・・・まだよく分からないのだ。
「はあ・・・今度こそはちゃんとした場所、連れてって下さいね?」
「おう!」
さっきと打って変わって、今のカズマには不安が持てない。ああ、安心してついて行っていいんだなと、そんな感情が持てる。私はここまでチョロい女だっただろうか。でもまあ今回は、期待してみるとしようか。
私は二人三脚のようにカズマと足を合わせる。
「「・・・・・・・・・」」
・・・なんでだろう、凄くやりたくなった。これも何かあるのだろうか。
私は急に我に返り、顔が赤くなってないか心配になりながらも、足を合わせるのはそのままにしてカズマと一緒に街を歩いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「よし、着いたぞ」
「・・・ありがとうございます」
うーん・・・・・・まあカズマだからな。ここで一気に展開が進んだ方がおかしいのか。
私はカズマに連れられて、ダクネスみたいな貴族が行くでもなく、一般人が行くでもないちょっとだけお高い感じの服屋に来ていた。
というか、私は何を期待していたのだろう、普通ここは喜ぶところだ。
でも、カズマが連れてきてくれた場所なら、よっぽどじゃない限り嬉しい。さっきみたいのは例外だ。
「カズマ・・・その、一緒に選んでくれますか?」
「もちろん!」
何かもうこの一言だけで安心して生きていける気もしてくる。カズマと一緒にいると、いつも騒ぎが起こるのに、その度安心感に浸ってしまう。まあ、騒ぎを起こしているのは私達の方なのだが。
意を決して店の中に入ると、美人なお姉さんが出迎えてくれる。そして私達を見て、
「いらっしゃいませ、当店は大人物の女性の服が多いのですが・・・2人とも兄妹かな?お母さんのプレゼント買いに来たの?」
そう言った。
帰るとしようか。
「・・・ちょっ、めぐみん待てって!このお姉さんは別に悪気があって言った訳じゃねえだろ?」
「む・・・確かにそうですが・・・」
「・・・すみません、もしかして親子・・・とかだったりしました?」
「我が名はめぐみん!この始まりの街にて1日1爆裂という風物詩を作りし者!文句があるなら言ってもらおうじゃないか!」
私は思わず食って掛かる。確か、アルカンレティアでも兄妹とは勘違いされたが、親子と言われるのは流石に初めてである。
「あの爆発あなたなんですね・・・最近はみんな街から評価する人も出てくる程度には話題ですよ」
ほう、それは興味深い。ついにこの街の文化として私が認められたという事か。
「その話、詳しく」
「・・・・・・服選ばない?」
しまった。こっちに気を取られて完全に服の事を忘れていた。爆裂魔法の話は正直なところいつでも聞けるのだ。今はカズマといるこの時間を有意義に使うとしよう。
「そうでしたね。私とした事が、すみません。」
「いや、大丈夫。いつもこんなんだろ」
まあ、そうなのだが。そう言うと、カズマは自由に選んでとばかりに歩き出す。それに私がついていくと、直ぐにカズマは私と速度を合わせる。
カズマはこんなに出来た男だっただろうか。失礼になるが、感心してしまう。
しばらくの間、私とカズマは店内を物色する。
・・・・・・こう2人で店とかにいると、彼氏彼女を意識してしまってどうも照れてしまう。さっきもカップルとか言われたし。
「・・・・・・」
「っ・・・・・・」
カズマもそれを意識しているのか、目を合わせようとすると少し慌てるような表情をする。・・・・・・このカズマを少しでも可愛いとか思ったら危ないだろうか。いや、別にもちろん思わないのだが。ほんとに。
「おっ、こ、これとかどうだ?かなりいいと思うんだが」
カズマは誤魔化そうとしているのか、1つの服を指さす。
「そうですね。いかにも我が爆裂!という感じがしますね。買いましょう」
「それはよく分からんが、似合うと思うぞ?試着してきたらどうだ?」
「いえ、買いましょう。カズマが選んでくれたんですから」
「・・・・・・俺が選んだ方がセンスはないと思うぞ?普段からジャージだし」
「いえ、これは買います」
「お、おう」
カズマは少し驚いたようにしているが、私は買うこと一択である。
「じゃあ、これは俺が奢るから、あと1つ選べよ」
「・・・・・・え?いいんですか?2つも」
「おう、店員のお姉さんは兄妹か親子とかとしか見てねえから、お前に払わせても・・・な?」
む、確かにそうか。では今日の所は奢らせてもらって、今度何か奢るとしようか。
「じゃあ、これにします!」
「おお、いいんじゃないか?これは試着してみろよ」
「そうですね、じゃあ行ってきます」
そう言い私は試着室へと入る。
カズマは服とかに興味はあるのだろうか。よくよく考えると、カズマのファッションというものを見たことがない気がしてくる。今度、カズマに何か着せてみるか。
そんな事をかんがえながら、着替え終わった訳だが、
「・・・・・・大きいですね」
そう、その服はだいぶ大きかった。調子に乗って選んでいたからか、サイズに注目するのを忘れていた。
服の袖もブカブカで手も隠れ、首まわりもかなり露出してしまっている。
これをカズマに見せたら、またロリだとか言われるだろうなあ。ここに入った以上、見せないといけないのだろうが。
「そろそろいいか?」
「はい、いいですよ」
私は半分なげやりでカーテンを開く。そしてカズマが一言。
「よし、似合ってる。買おうか」
「・・・・・・え?でも、ブカブカですよ?」
私は一瞬戸惑いつつも、カズマに聞き返す。
「いや、めちゃくちゃ似合ってると思うよ?女優だ女優」
「なんですかジョユウって・・・・・・
まあ、買いますか」
カズマはこの服のどこを気に入ったのか、凄い勢いで推してくる。とりあえずは買うのだが。
「お会計6980エリスになります」
「はい」
「・・・・・・カズマ、ありがとうございます。次は私が奢りますよ」
「おう、ありがとな」
私達は会計を済ませ、外に出る。
ああ、何かすごい幸せだ。カズマと2人で買い物しただけなのに、憂鬱なんてこの先できそうにないくらいに気持ちがいい。
ちなみに私は、カズマが最初に選んだ服を既に着ている。
「・・・・・・どうですか?似合ってますか?」
さっきも言ってくれたが、私は期待してカズマに聞く。
するとカズマは渾身の笑顔を私に向けて、
「ああ、めっちゃ似合ってる!」
その瞬間、私の中のモヤモヤが空の果てまで吹っ飛んでいく。まるで、今まで何を考えてたのかさえ思い出せないくらいに。
「・・・・・・あ、ありがとうございます」
やっと、カズマへの想いがハッキリとした。今なら、何でも出来る気さえする。
「その、もしもだが、お前に彼氏とかができた時には、俺が何か買ってやるよ。でも、彼氏は絶対にイケメン連れてくんなよ?そうだったらそいつ吹き飛ばすからな?」
カズマがそんな嬉しい事を言ってくれるが、私はそんな時は来ないだろうと、そう思っている。
私は少し、いや、かなり照れながらも、
「・・・・・・何をバカ言ってるんですか。私は、カズマの事好きですよ?」
今までのモヤモヤの正体を、思いっきりカズマにぶつけた。
どうも、ハーメルン初書きのくせして最初から8000文字書くバカ、うぼンヌです。
今回の話はこのすば映画の事後談といった形なので、アニメ派も小説派も楽しめるような話にしたつもりです。
カズめぐ要素強めでしたが、続きが出るか否かは正直気分次第です。
僕は小説家を夢としていて、まだまだ勉強中ですが、気まぐれで始めたSSなので、低クオリティは悪しからず・・・
とまあ、紹介的なのはこんな感じで。
この度はこのSSを読んでいただきありがとうございます!
本当に嬉しい限りです!
では、いろいろ済ませたと言うことで、僕はこれで。
そして最後に、小説家っぽく後書き出来るのが1番たのしい!