ARMORED CORE LOST for Tomorrow Answer   作:ダルマ

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世界の理

 太陽系第三惑星、地球。

 かつて、蒼く輝く、海と大地のコントラストが美しいこの星を支配していたのは、"国家"と呼ばれる存在であった。

 地球上に数多ある国家は、時に手を取り、時に砲火を交え、それでも、長らく地球と言う惑星の支配者として君臨し続けていた。

 

 だが、そんな支配者たる国家にも、終焉の時が訪れる。

 国家による支配体制、その引導を渡したのは、国家の原動力の一端を担っていた、"企業"であった。

 

 長らく続いた国家主導による人類の支配。だが、その統治能力は、緩やかに、しかし確実に衰退し、機能不全を起こし始めていた。

 管理の利かぬ人口増加、それに伴う食糧危機、或いはエネルギーの慢性的な不足問題等々。

 もはや国家、及びそれらの協力機関に、これらの問題を解決するだけの能力がない事は明白であった。

 

 そこで立ち上がったのが、国家の衰退をしり目に繁栄を続けていた企業であった。

 幾つかの企業が軍産複合体を形成し、形骸化の一途を辿る国家に代わり、その影響力を強めていく。

 そして、遂に、その時は訪れる。

 

 

 ──国家解体戦争。

 

 その名の通り、企業による国家解体の為の戦争。

 その始まりは、企業側の一方的な奇襲から始まった。

 地球上各地で蜂起した企業による、人類誕生以来類を見ない大規模クーデターとも言うべきこの戦争は、その規模に比べ、戦争自体はごく短期間の内に終結する事となる。

 即ち、国家による旧体制が崩壊し、企業による新たなる統治が始まった瞬間でもある。

 

 この戦争の勝者である企業の勝利に大きく貢献したものこそ、当時の企業の最高戦力にして切り札、既存兵器とは一線を画する兵器、次世代型アーマードコア(AC)"ネクスト"である。

 

 国家解体戦争以前に実用化されていた、圧倒的な火力に制圧能力を有する人型機動兵器、アーマードコア(AC)

 その中でも、頭部や胴体、更には四肢や兵装等々を任意に換装可能なコア構想を採用した、所謂ハイエンドモデルを参考に。

 当時の最先端技術、コジマ粒子と呼ばれる新物質を軍事転用したコジマ技術を採用したAC、それこそが、ネクストである。

 

 ネクストの登場により、ノーマルと総称される事となったACと比較し、圧倒的な性能を有するネクスト。

 ACの心臓ともいうべきジェネレータは、コジマ技術の採用によりコジマジェネレータと呼ばれ。

 この新型ジェネレータは、ハイエンドモデル搭載の物に比べ大出力・長稼働時間を可能とし、同時に、精製されるコジマ粒子を機体周辺に安定的に還流させる事により、ネクストの特徴の一つともいうべき防御機構プライマルアーマー(PA)を展開させる。

 また、機体の各部に設けられた特殊推進機構、クイックブースト(QB)は、亜音速、或いは音速を叩き出す出力を用いて、機体を上下以外の任意の方向に移動させる事が可能となっている。

 

 上記のように、圧倒的な機動性を有するネクストであるが、その特殊性故に、従来の操縦システムとは異なるシステムを採用している。

 それが、Allegory-Manipulate-System(AMS)だ。

 搭乗者の脊髄や延髄を経て、脳と機体が直接データをやりとりをする、次世代の制御システム。

 従来の操縦システムと比較し、実機挙動へのタイムラグはほぼゼロとなり、また精密な機体制御も可能となり、AMSなくしてはネクスト足り得ないと言える。

 また、このシステムを加味し、ネクストの搭乗者は"リンクス"と呼ばれるようになる。

 

 このように、既存の兵器とは一線を画するネクストであるが、その特殊性故に、国家解体戦争当時に企業側で運用された数は、たったの"三十機"。

 しかし、それだけの数であるにもかかわらず、国家側は敗北を喫した。

 この事実からも分かる通り、ネクストは、もはや兵器単体としては最高クラスの戦力と言っても過言ではないのである。

 

 

 

 ネクストとリンクス、新たなる力の鮮烈なデビューであった国家解体戦争。

 その戦争終結から五年後、地球は、またも戦火に巻き込まれる事となる。

 

 企業間の主権を巡る対立、利害の不一致、資源や技術を巡る対立。

 国家打倒に一致団結したはずの企業は、国家解体戦争から僅か五年の年月を経て、かつての味方を相手取り、再び戦乱を巻き起こす事となった。

 

 この戦争は、後に戦争の主役であるネクスト、及び搭乗者リンクスの名を冠して、"リンクス戦争"と呼ばれる事となる。

 

 リンクス戦争は、主に二つの陣営、GA(グローバル・アーマメンツ)グループを中心とするGA陣営と、レイレナード社を中心とするレイレナード陣営とで争われた。

 開戦当初は、ネクスト及びリンクスの質・量共に優位なレイレナード陣営が優勢かと思われていた。

 だが、戦争の行く末は、当初の予想を遥かに覆すものとなった。

 

 アナトリアの傭兵、後に、リンクス戦争の英雄と呼ばれる事となる人物。

 

 彼の活躍により、レイレナード陣営は壊滅的打撃を受け、戦争は、GA陣営の勝利で幕を閉じた。

 

 

 だが、勝利の代償は、あまりにも膨大過ぎた。

 コジマ技術の核心であるコジマ粒子は、軍事的には優良な物質であったが、自然環境や人体に対しては、有害な物質でしかなかった。

 その為、リンクス戦争において、ネクストを用いた戦闘による生活圏等への影響は深刻なものとなり。

 人類の父たる大地は、かつての豊かさを失ってしまった。

 

 

 この為、生き残った者達は、ある"答え"を出す事となる。

 それが、空。

 空気よりも重いコジマ粒子の性質により、汚れを知らぬ青き清浄なる空に、人類は、新たなる大地を築き、そこに住まう事とした。

 

 その人工の大地の名を、"クレイドル"

 

 高度七〇〇〇メートルの清らかな世界を半永久的に飛ぶ、超巨大航空プラットフォーム。

 この人工の大地に、生き残った人類の過半数は逃れる事となる。

 

 

 一方、生き残った者達は、先の二つの戦争の原動力であるネクストとリンクス、この存在に対しても、とある答えを導き出す。

 

 二つの戦争を通じて示されたその圧倒的な力。

 しかし、それは戦略的には欠陥ともいうべき存在であった。

 AMSという特殊な操縦故、リンクスにはAMS適性と呼ばれる先天的な要素が存在し、それは、先天性故に容易な代替えや補充が難しく。

 また、ネクストとは、リンクス個人にその力の行使を委ねるに他ならず。万が一の場合のコントロールリスクも存在していた。

 

 この、圧倒的なまでの個体依存による現状、しかし、その圧倒的な力の魅力を捨てきれぬ現状。

 戦後、この相反する二つの感情を抱いた企業側は、国家解体戦争以前、ACパイロット達の支援組織として名を馳せていたレイヴンズネストを参考に。

 危険な山猫とそれらが操る危ない玩具に首輪を施す為の組織、リンクス管理機構、通称"カラード"を設立。

 これにより、企業はカラードを介した共同管理の体制を確立し、その力を手中から手放す事を回避した。

 

 だが、依然として個体依存性の問題が解決した訳ではない。

 その為企業は、一握りの"天才()"に頼る事のない、代替え可能な圧倒的"凡人()"により運用される力を作り上げる事となる。

 

 その名を、アームズフォート(AF)

 

 企業が、ネクストに替わる力として導き出した、一つの答え。

 その名が示す通り、圧倒的なまでの巨大さと、それに比例する圧倒的なまでの火力と物量。

 ハードウェアとしての優れた戦力、それはまさに、企業が待ち望んだ答えそのものであった。

 

 AFの登場後、企業戦力の主力が、ネクストからAFへと移行するのに、さしたる時間はかからなかった。

 

 

 

 しかし、それでもなお、ネクストの力を、企業は完全に切り捨てる事はなかった。

 ネクスト、及びその搭乗者であるリンクス達は、カラード管理のもと、傭兵として、汚染された大地に取り残される事となる。

 その目的は、リンクス戦争以降も、汚染された大地を舞台に企業間で繰り広げられる経済戦争、その尖兵となる為。

 

 かつて、戦場を支配していた面影をなくした彼らは、薄汚れた大地で、延々と続けられる戦闘に身を置く。

 

 その戦いの先、生き残った"明日"に、求める"答え"があると信じて……。

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