転生したら、レイヴン、リンクスだらけの街に住むことになった… 作:とある組織の生体兵器
…………
インテリオルグループ社内
「おはようございます。」
ソルディオスは出社する。
「今日はいつも通り2番ですか。主任はいつも通り何処かに寝ているはずだから…。」
ソルディオスは主任のことを気にせず、パソコンを開くが…。
「おはようございます。先輩!」
「!?」
レジーナがお茶を持って立っていたことに驚く。
「こんなに早くに…。今日は初めてだから最後に来ると思ってましたよ…。」
「いや、初めてだからこそ…です!」
ソルディオスは驚く。実際、彼が初めてここに来た時(とは言っても、元から勤めていた設定だが…)は最後だった。だが、ジャック・Oや主任が笑い流してくれた。
「でも…。」
「?」
「まだ朝の5時ですよ…?」
だが、忘れてはいけない。ここは超ブラック企業だ。
「朝日も登っているかどうかわからない時間帯ですのに…。」
「誰よりも早く来る予定だったから、朝の4時にはいました!」
「はやっ!?それは早すぎ!」
レジーナはソルディオスの言うことをしっかりと聞き、前日、早く就寝みたいだ。
「…ところで、仕事を教えたいんですが…。」
「あっ、うん。よろしくお願いします!」
「あっ、いえ。ジャック・O先輩がまだなので、教えられません…。」
「そうなんだ…。」
レジーナは少し気を落とす。
「…暇なら、主任を起こしてきてくれませんか…?自分、仕事をしますので…。」
「…わかったわ。」
「助かります。」
ソルディオスが言い、レジーナが探す。
……ついてない…。もしかして、ここは使えない人が来る場所なのかな…?私、あまり優秀じゃないから…。
レジーナはそんなことを思うと、少し悲しい気持ちになった。
……やっぱり、家を飛び出して、あまり世間を知らないから…。…お父さん…。
レジーナはふと、動かずに考え込んでしまう。
「…?どうしました?」
ソルディオスが手を動かしながら聞く。ソルディオスは一切パソコンから目を逸らしていない。どうして動かなかったことが分かったのか不思議だ。
「…!あっ、いえ!なんでもありません。」
レジーナはすぐに考えるのをやめて、主任を探す。
……床にもいないし、机の下にもいない…。
レジーナはあらゆるところを探すが、主任が見当たらない。すると…。
「出社した。」
「あっ、おはようございます。先輩。」
ジャック・Oが出社する。
「あっ!先輩、おはようございます!」
レジーナも挨拶する。
「ああ。おはよう。…ところで、主任の姿が見えないようだが…。」
「レジーナさんにやらせています。毎年のアレですよ。」
「あぁ…。アレか…。」
ソルディオスが言い、ジャック・Oが納得する。
……アレって何!?
レジーナは今のを聞いて不安になる。さっき考えていたこともあってか、先輩たちに虐められるのではないかと不安になる。世間知らずだから分からないのだと思っている。すると…。
「私が来た時は驚いたな…。」
「自分もです。あんなの、思いもしませんでしたよ。」
2人が思い出して笑う。そして…。
「主任見つかってませんね?ヒントは絶対にいないと思う場所ですよ。」
ソルディオスがヒントをくれる。
……絶対にいないと思う場所…?…机の中…はあり得ない…。いくらなんでも物理法則完全に無視してる。
そうは思いつつも机の中を開けると…。
「……。」
空。
「いえ、いくらなんでもそこは…。」
「私も流石にそこは開けなかったぞ…。」
「……。」
レジーナは2人に言われて、すごく恥ずかしい思いをした。耳まで真っ赤だ。
「じゃ、じゃあどこなんですか!仕事にならない!」
レジーナが顔を赤くしながら言う。
「いやぁ、それを言うと…。」
「だな。」
2人は顔を見合わせてうなずく。
……くぅ〜…!私に恥ずかしい思いをさせといて…!見つけたらただじゃおかない…!
レジーナはイラつきを覚えながらも、半分投げやりに適当に開けていると…。
「…あれ?そこにいませんか?」
ソルディオスが言う。
「何がですか?」
レジーナは少しイラつきながら聞く。
「あっ、いえ…。いない…みたいですね。すみません…。」
ソルディオスがすごすごとジャック・Oの近くへ行く。
「主任…打ち合わせと違うぞ…。」
「そうみたいですね。…でも、主任、約束を破りましたっけ…?」
「いや、仕事は投げやりだが、破ったことは一度もないぞ…。」
……聞こえてる…。…でも、ここにいる予定だったのね。
レジーナは2人がコソコソ会話するのを聞いていた。すると…。
……ん?何これ?赤いけど…。…血?が乱暴に塗られた跡みたいな…。
レジーナは血痕らしきものを見つける。
……なーんて。あるわけが無いし。
レジーナはそんなものを気にせず、辺りを探すと…。
「あれっ!?データがありません!」
「む!?私もだ!」
2人が大声を上げる。
「えっ?」
レジーナは2人の声に驚いた。
「前まであったデータが全て空です!しかも、重要な物ばかり!」
「私もだ…!パスワードを破られたか…!」
「!?先輩!見てください!荒らされた後もあります!」
「本当か!?」
2人が大慌てで探したり、見たりする。
「そ、そうなんですか!?」
……なんて。絶対演技よ。
レジーナは心配する素振りを見せる。
「…社内の費用や、計画、取引も全て抜き取られてます…。」
「…社長に見つかったら大目玉だ…。いや、余裕でクビだ…。」
「…どうしますか…?これ…?」
「…内密に処理する他ないだろう…。」
2人が頭を抱える。
「……。」
……もしかして…。本当…?
レジーナがことの重大さに気づき、背中から嫌な汗が出る。
「…レジーナさん…。一生のお願いがあります…。」
「このことは…。社内に漏らさないでくれないか…?」
「土下座もしますから…。」
2人が重々しく言う。
「は、はい…。バレたら私もクビ…どころか、入ったばかりなので、犯人と間違われてしまいます…。」
……本当…なのかな?あの声…。それに、土下座まで…。
レジーナが冷や汗を垂らす。まさか、入社して3日でこんなことになるなんて思いもしなかったのだろう。
「…そう思ってみれば主任は…?」
ソルディオスが主任の隠れていた場所であろうところを探す。
「せ、先輩!ここです!」
レジーナも協力する。
「これ、血痕…ですよね…?」
「……。」
ソルディオスが言い、レジーナが顔を青くする。
「見ろ。ここにもだ。…続いているぞ…。」
ジャック・Oが見つける。
「…荒らされた後もありますね…。」
「主任は犯人ではないだろう。こんなことはしない奴だ。」
「と、なれば犯人ともめたんでしょうか…?」
「……。」
ジャック・Oとソルディオスが話し、レジーナは息を飲みながら聞き、血の跡を目で辿っていく。
「いくぞ。」
「…あっ!ま、待って!」
レジーナが2人についていく。すると、分かれ道があり、そこで血痕が途絶えていた。
「…私とソルディオスはこちらを探す。」
「レジーナさんはあちらに。」
「い、嫌!先輩たちと一緒がいい…!」
レジーナが恐怖で首をいやいやと振る。
「…仕方ない。ソルディオス、行けるか?」
「はい、そのためのソルディオスです。て、マジすか!?」
そして、ソルディオスはしぶしぶレジーナと行く。しばらくして、薄暗く、蛍光灯がチカチカ点滅している場所に出会す。
「ここ、蛍光灯が古いんです。でも、誰も使わないからって、社長が変えてくれないんです。」
ソルディオスが言う。レジーナはずっとひっついたままだ。
「この先に部屋があるんですが…。レジーナさん、行けますか?」
「嫌!」
「まぁ、自分も入ったことがないのでわからないんですが…。」
「絶対無理!死んでも行かない!」
ソルディオスの後付けでさらに恐怖してしまった。
「…分かりました。共に行きましょう。」
レジーナが頷き、ソルディオスと共に行く。ソルディオスは全く恐怖を感じて無さそうだ。(もう、この時点で気付いているかもしれませんが、成り行きをご覧ください。)
……頼もしい…。先輩…格好良い…。
レジーナはソルディオスをジッと見ていた。
「どうしました?」
「あっ、い、いえ…。」
レジーナが俯きながら歩く。すると、部屋の前に立つ。
「…ここですね。入りますよ。」
「ちょ、ちょっと待って…。」
レジーナは深呼吸する。そして…。
「大丈夫…です。」
「では、入りますよ。」
ソルディアスが開けると…。
ドサッ
ビシャッ
中から血塗れの主任が出て来て倒れ、レジーナの顔に飛び血がつく。
「……。」
2秒ほど沈黙し、状況を理解したと思うと…。
「キャーーーーー…!」
レジーナの目が恐怖に変わり、思いっきり悲鳴を上げ、床に倒れ込み、後ずさる。だが…。
「……。」
ズルズル…パシッ
「いやぁぁぁぁぁぁ…!」
血塗れの主任がズルズルと動き出し、レジーナの足を掴む。
「ぁぁ…ガクッ…。」
レジーナは気絶した。
「…主任?やりすぎじゃありませんか?倒れるだけのはずですが…。」
ソルディオスはレジーナが気絶したことに気づかず、主任に言う。
「やるんなら本気でやったほうが楽しいだろ!ハハハハハ!」
主任がなんとも無さそうに起き上がり、いつも通りに振る舞う。
「成功か?」
すると、ジャック・Oがドッキリの看板を持って、通路から現れる。
「自分、最初本気で心配しましたよ。」
「私もだ。」
ソルディオスとジャック・Oが笑う。気づけば、誰もレジーナの悲鳴を聞いて駆けつけない。誰もが毎年恒例だと知ってて、心配しないのだ。
「まぁ、毎年恒例の新人を驚かせて、緊張をほぐす活動だよね〜。」
「でも、今回の足を掴むのはやりすぎだと思いますけど…。」
「む?私の時は終わったと見せかけて、後ろから抱きつかれたぞ。」
「えぇっ!?それで気絶しなかったんですか!?」
「ああ。」
「俺が気絶しそうだったよ…。」
ジャック・Oが言い、主任が重々しい顔で言う。そう、逆にジャック・Oに襲われそうになったのだ。すると…。
「う〜ん…。ハッ!?」
レジーナが目を覚ます。
「な、何が…。!?」
レジーナは全てがドッキリだったことに気づく。ソルディオスたちのアレも演技だったと気づいた。
「レジーナさん。緊張はほぐれましたか?」
「ほぐれたなら仕事だぞ。」
「シャワー浴びて来ようかぁ〜。」
ソルディオスとジャック・Oが言う。主任はシャワーを浴びにどこかへ行った。
「ほぐれた…?ほぐれたかどうかですか…?」
「あれっ?もしかして…怒ってらっしゃる…?」.
「私が…一体どれだけ心配して、心臓が止まりかけたか…!」
レジーナは確実に怒っていた。いくらなんでもやりすぎだ。
「…ソルディオス、合図したら逃げるぞ…。」
「はい…。」
ジャック・Oとソルディオスがコソコソ話す。
「この…!ばかぁぁぁぁ!」
「逃げろっ!」
「はいっ!」
「待ちなさい!逃がさない!」
笑いながら逃げるジャック・Oとソルディオスが走る。レジーナは怒ってはいるが、どこか安心したような顔で追いかけた。
……先輩たちは私のことを思ってやってくれた。…やりすぎたことはあるけど、皆んな面白くて良い人たち。役立たずなんかじゃない。いつまでも、この部署で働きたい!
レジーナはそんなことを考えながら走るのだった。
終わりです。次回は5月かな?