転生したら、レイヴン、リンクスだらけの街に住むことになった…   作:とある組織の生体兵器

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4月…大変な時期です。


Ⅴ話

…………

インテリオルグループ社内 

 

「おはようございます。」

 

ソルディオスは出社する。

 

「今日はいつも通り2番ですか。主任はいつも通り何処かに寝ているはずだから…。」

 

ソルディオスは主任のことを気にせず、パソコンを開くが…。

 

「おはようございます。先輩!」

 

「!?」

 

レジーナがお茶を持って立っていたことに驚く。

 

「こんなに早くに…。今日は初めてだから最後に来ると思ってましたよ…。」

 

「いや、初めてだからこそ…です!」

 

ソルディオスは驚く。実際、彼が初めてここに来た時(とは言っても、元から勤めていた設定だが…)は最後だった。だが、ジャック・Oや主任が笑い流してくれた。

 

「でも…。」

 

「?」

 

「まだ朝の5時ですよ…?」

 

だが、忘れてはいけない。ここは超ブラック企業だ。

 

「朝日も登っているかどうかわからない時間帯ですのに…。」

 

「誰よりも早く来る予定だったから、朝の4時にはいました!」

 

「はやっ!?それは早すぎ!」

 

レジーナはソルディオスの言うことをしっかりと聞き、前日、早く就寝みたいだ。

 

「…ところで、仕事を教えたいんですが…。」

 

「あっ、うん。よろしくお願いします!」

 

「あっ、いえ。ジャック・O先輩がまだなので、教えられません…。」

 

「そうなんだ…。」

 

レジーナは少し気を落とす。

 

「…暇なら、主任を起こしてきてくれませんか…?自分、仕事をしますので…。」

 

「…わかったわ。」

 

「助かります。」

 

ソルディオスが言い、レジーナが探す。

 

……ついてない…。もしかして、ここは使えない人が来る場所なのかな…?私、あまり優秀じゃないから…。

 

レジーナはそんなことを思うと、少し悲しい気持ちになった。

 

……やっぱり、家を飛び出して、あまり世間を知らないから…。…お父さん…。

 

レジーナはふと、動かずに考え込んでしまう。

 

「…?どうしました?」

 

ソルディオスが手を動かしながら聞く。ソルディオスは一切パソコンから目を逸らしていない。どうして動かなかったことが分かったのか不思議だ。

 

「…!あっ、いえ!なんでもありません。」

 

レジーナはすぐに考えるのをやめて、主任を探す。

 

……床にもいないし、机の下にもいない…。

 

レジーナはあらゆるところを探すが、主任が見当たらない。すると…。

 

「出社した。」

 

「あっ、おはようございます。先輩。」

 

ジャック・Oが出社する。

 

「あっ!先輩、おはようございます!」

 

レジーナも挨拶する。

 

「ああ。おはよう。…ところで、主任の姿が見えないようだが…。」

 

「レジーナさんにやらせています。毎年のアレですよ。」

 

「あぁ…。アレか…。」

 

ソルディオスが言い、ジャック・Oが納得する。

 

……アレって何!?

 

レジーナは今のを聞いて不安になる。さっき考えていたこともあってか、先輩たちに虐められるのではないかと不安になる。世間知らずだから分からないのだと思っている。すると…。

 

「私が来た時は驚いたな…。」

 

「自分もです。あんなの、思いもしませんでしたよ。」

 

2人が思い出して笑う。そして…。

 

「主任見つかってませんね?ヒントは絶対にいないと思う場所ですよ。」

 

ソルディオスがヒントをくれる。

 

……絶対にいないと思う場所…?…机の中…はあり得ない…。いくらなんでも物理法則完全に無視してる。

 

そうは思いつつも机の中を開けると…。

 

「……。」

 

空。

 

「いえ、いくらなんでもそこは…。」

 

「私も流石にそこは開けなかったぞ…。」

 

「……。」

 

レジーナは2人に言われて、すごく恥ずかしい思いをした。耳まで真っ赤だ。

 

「じゃ、じゃあどこなんですか!仕事にならない!」

 

レジーナが顔を赤くしながら言う。

 

「いやぁ、それを言うと…。」

 

「だな。」

 

2人は顔を見合わせてうなずく。

 

……くぅ〜…!私に恥ずかしい思いをさせといて…!見つけたらただじゃおかない…!

 

レジーナはイラつきを覚えながらも、半分投げやりに適当に開けていると…。

 

「…あれ?そこにいませんか?」

 

ソルディオスが言う。

 

「何がですか?」

 

レジーナは少しイラつきながら聞く。

 

「あっ、いえ…。いない…みたいですね。すみません…。」

 

ソルディオスがすごすごとジャック・Oの近くへ行く。

 

主任…打ち合わせと違うぞ…。

 

そうみたいですね。…でも、主任、約束を破りましたっけ…?

 

いや、仕事は投げやりだが、破ったことは一度もないぞ…。

 

……聞こえてる…。…でも、ここにいる予定だったのね。

 

レジーナは2人がコソコソ会話するのを聞いていた。すると…。

 

……ん?何これ?赤いけど…。…血?が乱暴に塗られた跡みたいな…。

 

レジーナは血痕らしきものを見つける。

 

……なーんて。あるわけが無いし。

 

レジーナはそんなものを気にせず、辺りを探すと…。

 

「あれっ!?データがありません!」

 

「む!?私もだ!」

 

2人が大声を上げる。

 

「えっ?」

 

レジーナは2人の声に驚いた。

 

「前まであったデータが全て空です!しかも、重要な物ばかり!」

 

「私もだ…!パスワードを破られたか…!」

 

「!?先輩!見てください!荒らされた後もあります!」

 

「本当か!?」

 

2人が大慌てで探したり、見たりする。

 

「そ、そうなんですか!?」

 

……なんて。絶対演技よ。

 

レジーナは心配する素振りを見せる。

 

「…社内の費用や、計画、取引も全て抜き取られてます…。」

 

「…社長に見つかったら大目玉だ…。いや、余裕でクビだ…。」

 

「…どうしますか…?これ…?」

 

「…内密に処理する他ないだろう…。」

 

2人が頭を抱える。

 

「……。」

 

……もしかして…。本当…?

 

レジーナがことの重大さに気づき、背中から嫌な汗が出る。

 

「…レジーナさん…。一生のお願いがあります…。」

 

「このことは…。社内に漏らさないでくれないか…?」

 

「土下座もしますから…。」

 

2人が重々しく言う。

 

「は、はい…。バレたら私もクビ…どころか、入ったばかりなので、犯人と間違われてしまいます…。」

 

……本当…なのかな?あの声…。それに、土下座まで…。

 

レジーナが冷や汗を垂らす。まさか、入社して3日でこんなことになるなんて思いもしなかったのだろう。

 

「…そう思ってみれば主任は…?」

 

ソルディオスが主任の隠れていた場所であろうところを探す。

 

「せ、先輩!ここです!」

 

レジーナも協力する。

 

「これ、血痕…ですよね…?」

 

「……。」

 

ソルディオスが言い、レジーナが顔を青くする。

 

「見ろ。ここにもだ。…続いているぞ…。」

 

ジャック・Oが見つける。

 

「…荒らされた後もありますね…。」

 

「主任は犯人ではないだろう。こんなことはしない奴だ。」

 

「と、なれば犯人ともめたんでしょうか…?」

 

「……。」

 

ジャック・Oとソルディオスが話し、レジーナは息を飲みながら聞き、血の跡を目で辿っていく。

 

「いくぞ。」

 

「…あっ!ま、待って!」

 

レジーナが2人についていく。すると、分かれ道があり、そこで血痕が途絶えていた。

 

「…私とソルディオスはこちらを探す。」

 

「レジーナさんはあちらに。」

 

「い、嫌!先輩たちと一緒がいい…!」

 

レジーナが恐怖で首をいやいやと振る。

 

「…仕方ない。ソルディオス、行けるか?」

 

「はい、そのためのソルディオスです。て、マジすか!?」

 

そして、ソルディオスはしぶしぶレジーナと行く。しばらくして、薄暗く、蛍光灯がチカチカ点滅している場所に出会す。

 

「ここ、蛍光灯が古いんです。でも、誰も使わないからって、社長が変えてくれないんです。」

 

ソルディオスが言う。レジーナはずっとひっついたままだ。

 

「この先に部屋があるんですが…。レジーナさん、行けますか?」

 

「嫌!」

 

「まぁ、自分も入ったことがないのでわからないんですが…。」

 

「絶対無理!死んでも行かない!」

 

ソルディオスの後付けでさらに恐怖してしまった。

 

「…分かりました。共に行きましょう。」

 

レジーナが頷き、ソルディオスと共に行く。ソルディオスは全く恐怖を感じて無さそうだ。(もう、この時点で気付いているかもしれませんが、成り行きをご覧ください。)

 

……頼もしい…。先輩…格好良い…。

 

レジーナはソルディオスをジッと見ていた。

 

「どうしました?」

 

「あっ、い、いえ…。」

 

レジーナが俯きながら歩く。すると、部屋の前に立つ。

 

「…ここですね。入りますよ。」

 

「ちょ、ちょっと待って…。」

 

レジーナは深呼吸する。そして…。

 

「大丈夫…です。」

 

「では、入りますよ。」

 

ソルディアスが開けると…。

 

ドサッ

 

ビシャッ

 

中から血塗れの主任が出て来て倒れ、レジーナの顔に飛び血がつく。

 

「……。」

 

2秒ほど沈黙し、状況を理解したと思うと…。

 

「キャーーーーー…!」

 

レジーナの目が恐怖に変わり、思いっきり悲鳴を上げ、床に倒れ込み、後ずさる。だが…。

 

「……。」

 

ズルズル…パシッ

 

「いやぁぁぁぁぁぁ…!」

 

血塗れの主任がズルズルと動き出し、レジーナの足を掴む。

 

「ぁぁ…ガクッ…。」

 

レジーナは気絶した。

 

「…主任?やりすぎじゃありませんか?倒れるだけのはずですが…。」

 

ソルディオスはレジーナが気絶したことに気づかず、主任に言う。

 

「やるんなら本気でやったほうが楽しいだろ!ハハハハハ!」

 

主任がなんとも無さそうに起き上がり、いつも通りに振る舞う。

 

「成功か?」

 

すると、ジャック・Oがドッキリの看板を持って、通路から現れる。

 

「自分、最初本気で心配しましたよ。」

 

「私もだ。」

 

ソルディオスとジャック・Oが笑う。気づけば、誰もレジーナの悲鳴を聞いて駆けつけない。誰もが毎年恒例だと知ってて、心配しないのだ。

 

「まぁ、毎年恒例の新人を驚かせて、緊張をほぐす活動だよね〜。」

 

「でも、今回の足を掴むのはやりすぎだと思いますけど…。」

 

「む?私の時は終わったと見せかけて、後ろから抱きつかれたぞ。」

 

「えぇっ!?それで気絶しなかったんですか!?」

 

「ああ。」

 

「俺が気絶しそうだったよ…。」

 

ジャック・Oが言い、主任が重々しい顔で言う。そう、逆にジャック・Oに襲われそうになったのだ。すると…。

 

「う〜ん…。ハッ!?」

 

レジーナが目を覚ます。

 

「な、何が…。!?」

 

レジーナは全てがドッキリだったことに気づく。ソルディオスたちのアレも演技だったと気づいた。

 

「レジーナさん。緊張はほぐれましたか?」

 

「ほぐれたなら仕事だぞ。」

 

「シャワー浴びて来ようかぁ〜。」

 

ソルディオスとジャック・Oが言う。主任はシャワーを浴びにどこかへ行った。

 

「ほぐれた…?ほぐれたかどうかですか…?」

 

「あれっ?もしかして…怒ってらっしゃる…?」.

 

「私が…一体どれだけ心配して、心臓が止まりかけたか…!」

 

レジーナは確実に怒っていた。いくらなんでもやりすぎだ。

 

「…ソルディオス、合図したら逃げるぞ…。」

 

「はい…。」

 

ジャック・Oとソルディオスがコソコソ話す。

 

「この…!ばかぁぁぁぁ!」

 

「逃げろっ!」

 

「はいっ!」

 

「待ちなさい!逃がさない!」

 

笑いながら逃げるジャック・Oとソルディオスが走る。レジーナは怒ってはいるが、どこか安心したような顔で追いかけた。

 

……先輩たちは私のことを思ってやってくれた。…やりすぎたことはあるけど、皆んな面白くて良い人たち。役立たずなんかじゃない。いつまでも、この部署で働きたい!

 

レジーナはそんなことを考えながら走るのだった。




終わりです。次回は5月かな?

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