「伊助、お香......」
同じ釜の飯を食べた仲間が今日も2人自分たちの前で命の灯を消した。生き残った4名の同僚は2人の亡骸を並べ膝を地面について静かに涙を流した。それを少し後ろで見守る全身タイツの男は誰にも見つからないように一度きゅっと両手を力強く握った。爪が食い込み拳を伝い赤い液体が地面にしたたり落ちる。涙は流さない、それが守れなかった自分への罰であり贖罪である。
「碌、帰還準備。隊の状況を確認をするにゃ」
「......。各自健康状態を確認、迅速に報告を」
相変わらずの陽気な声に苛立ちを覚えたが、またいつ鬼が現れるかわからないのも事実哀しみをぐっと抑え震える唇で指示を出した。
「以上が今回の任務報告です......。」
ところ変わって片膝をつき今回の任務完遂及び被害状況を蝶屋敷の庭で報告する碌、少し後ろには3名の同僚が静かに片膝をつき待機していた。
「そうですか、伊助とお香が......。残念です。御館様には私のほうから報告しておきます。現刻をもって任を解きます。各自疲れた体を癒してください」
碌の報告を静かに聞いていた花柱「胡蝶カナエ」は軽く瞳を閉じて労いの言葉をかけた。
「猫さん(ねこさん)この度は私のところの隊士を救ってくれてありがとう」
カナエは隊士の解散を確認したあと猫柱のもとへ訪れていた。となりには妹のしのぶが汚物をみるように鋭い目で睨みつけている。
「お゛お゛お゛お゛んwwwにゃんのにゃんの下の面倒をみるのは柱の役目だにゃ、でもカナエおねぇさんがそういうなら素直に受け取るにゃぁぁ」
陽気な濁声を発する全身タイツの男は耳をぴこぴこと動かしながらカナエの言葉を素直に受け取った。
「ねえさんもういいでしょ?帰りましょ!!こんなやつのそばにいたら頭がおかしくなる!!」
この妹はあまり姉をこの変態に近づけたくないようで裾をつかみここから離れるように催促をした。
「もう、しのぶちゃんったら......。猫さんごめんなさいねこの子ったら悪い子ではないのだけれど......」
あらあらと眉毛をハの字にして失礼な妹の代わりに謝罪を述べる。
「ん゛ん゛ん゛ん゛ぅうんんんww別に気にしてないのにゃぁ、しのぶちゃんは素直になれない可愛いおんにゃの「誰が素直になれないよ!」みゃ゛おんwww」
すべてを言い終える前に右の頬が殴られる、細身のしのぶの拳など普段であれば痛くはないがこの時ばかりは地味に痛かった。
「ところで猫さん、気になることがあるの......。どうしてうちの塀に顔がめり込んでいるの?」
カナエと相対して会話をしている相手は壁を貫通し顔だけがこちらに出ている状態だった。
「それがにゃ?さっき塀の外に甲隊士の蜜璃ちゃんがいたから後ろから挨拶がてらおっぱいをもんだのにゃ、そしたら、ほら、いつのまにかこうなってたにゃ。摩訶不思議だにゃ」
甲隊士の甘露寺蜜璃は瞬間的に強力な力をだすことができる、豊満なたわわな果実をまえにこの男は我慢ができなかったのであろう。摩訶不思議ではない、なるべくしてこうなったのである。
「また女性の体に手をだしたんですか?本当に凝りませんね!裏にまわってお尻をけりあげてあげるわ!!」
「や、やめるにゃ!!そう言って壁尻のミーにしのぶちゃんは乱暴をする気なんだにゃ!!エロ同人誌みたいに!!エロ同人誌みたいに!!!」
「何をわけのわからないことを言ってんの?ついに頭がおかしくなった?いや、もとからおかしいわね」(パシン)
お゛お゛ん!!痛いにゃwwデコへの執拗な攻撃は今のミーには地味に効くにゃ!!(パシン)みゃ゛おん!?ありがとうございます!!
「本当に気持ち悪い!どうしてあなたみたいな人が柱なのよ!!」
執拗に額に攻撃を繰り返すしのぶにおろおろとしているが止める気配はない、止めにはいったときにしのぶのヘイトがこちらに向くのをおそれたためである。
「お゛お゛お゛お゛んwww柱だからおっぱいを触っちゃいけないルールは存在しないのにゃ!「人として倫理的なルール違反よ!!」あひんwww」
手で触るのも嫌悪感がうまれたのかしのぶは刀の柄で額を手加減なく小突いた。(小突いたといえるレベルではなかったが気にしてはいけない)
「かぁぁかぁぁぁ、連絡~連絡~柱は直ちにお館に集合、かぁぁぁ。繰り返す~」
突然カナエの前に1羽のカラスが旋回をしながら降り立ち流暢な日本語でそんな言葉を放った。
「緊急収集?猫さんいきますよ~」
火急の収集だ何あったのだろうカナエは屋敷に日輪刀を取りにもどるためきびつを返した。
「わかたにゃぁぁ...にゃん!?誰にゃミーのプリティーなお尻をつついてるお馬鹿さんは!?やめ、やめるにゃ、お゛おぉぉぉん......。あっ......。」
花柱であるカナエに火急の知らせがきたのだ、当たり前に同じく猫柱であるこの男にも伝令が届く、壁の向こうで何が起こっているかは詳しくは語らない。ただ猫柱を担当しているカラスは少々過激派でしのぶよりも容赦がないとだけ付け加えておく。
いつしか雲一つない晴天は、暗くどんよりとした曇り空に変わり、いやな風がしのぶの頬を静かになでた。
※にゃんちゅうはしのぶの顔面ドロップキックで無事に壁から抜け出しました。
感想のほどおまちしております。基本土日更新でやっていく所存です。評価と感想次第では少しはやまるかも?