ハイスクールD×D 案①『遠坂凛に転生したら』 作:ら・ま・ミュウ
―――数年前
「うわーやっぱり恥ずかしいというか、スカート短すぎじゃない?この服!」
『いやいや~凛さんったら厳しいこと言いますね。これでもかなり妥協したんですよ?これ以上伸ばしたらロングスカートになって『魔法少女』というより『戦うロリッ子メイド』になってしまいますよ!まぁルビーちゃん的には全然ありなのですが♪』
「うぅ…アーチャーがいれば変身しなくても!」
『魔力不足がどうにかなればですけどね~』
この頃の遠坂は、魔術回路と呼ばれる疑似神経を移植することで人間でも魔力を生成出来るという今までの常識を大きく覆す前代未聞の論文を発表したばかり。いずれ得る日本神界の後ろ盾もなく魔力問題でアーチャーを現界させ続けるにも限界があり…しかし、下手に目立ってしまったせいで上級悪魔に昼夜問わず命を狙われ…………遠坂凛5歳。彼女はカレイドステッキことルビーに頼りきりだった。
『その点私は神器扱いで魔力は不要!カードはただの飾りですが、上級悪魔なんてなんのその!あんなお兄ちゃん枠にも親戚のおじさん枠にも入れなかったプリヤの敗北者に凛さんが構う必要ないんですよ~』
「――後でバラされてもしらないからね?」
この時はまだ魔術師として割りきれていなかった魔法少女リンは縄でぐるぐる巻きにした悪魔を冥界へ届ける。
「あー、今月に入って十回目か。なんと言うかすまねぇなぁ、茶でも飲んでいくか?」
アザゼルとの付き合いは意外と長いぞ!
住む場所をことごとく破壊され廃墟を転々としていた凛を泊めてあげたり、魔王から賠償金を請求出来るよう堕天使総督として顔をたてたり、悪魔の引き取り相手となってくれていたのだ。赤い悪魔として覚醒した今でも遠坂は当時の恩から強くあたれなかったりする。
「思えば、悪魔ってfate世界じゃヨダレが出るほどの上級素材なのよね。決めたわ………悪魔専門のハンターになる!」
流石に悪魔=素材宣言をした時にはドン引きされたようだけど…是非もないよね!
その帰る道中、リンは傷ついた黒猫が道路の片隅でうずくまっているのを見つけた。
「…ニャア」
「あら、怪我をしているのね」
遠坂として魔術の研鑽を劣らないリンちゃんは治癒魔術が大の得意だ。(えっ?原典の彼女は苦手だろって?使う機会が多かったのよ察して)
とにもかくにも、リンはあっという間に黒猫の傷を治してしまう。黒猫は少し驚いたのかキョロキョロを辺りを見渡して安心したようにリンにすり寄る。
「――はくしゅ!」
リンは離れた。
「ニャア?」
「ごめんなさい。私、猫アレルギーなの」
「………ニャア」
最後に悲しそうに鳴き声をあげていたのが印象的だった黒猫はそれっきり姿を見ていない。
ちなみに、曹操が負けた遠坂凛の全盛期はこの時期ではありません。