ハイスクールD×D 案①『遠坂凛に転生したら』 作:ら・ま・ミュウ
「殺っちまった…」
バルムンクの一撃を受け爆煙と共に巨体が落ちて行く。
拍子抜けするほどアッサリとティアマットは倒されてしまった。
赤龍帝の籠手を発動させていたイッセーは隣で少し青ざめるアーシアに「女の子には刺激が強かったよな」と普段の彼では考えられないほど非常に穏やかな笑みを浮かべて頭をそっと撫でる。
「怖かったな、アーシア」
「…はぃ」
ドライグはつまらねぇと退屈そうに呟くが知ったことじゃない。
思えば、イッセーがこの龍退治?に参加したのはアーシアの身の危険を案じたからであり、元々戦う気などなかった。
「(たぶん、恋しているからだと思う)」
一目惚れしたあの時よりも、小さなことで笑ったり、困っている人を見逃せなかったり、目を離すと心配になるほどおっちょこちょいで…イッセーの中でアーシアという存在は次第に大きくなっていった。自分の思考回路の大半を占めるエロよりも赤龍帝としての本能よりもこの気持ちがきっと――
「なぁアーシア、俺達ってさ――」
『人間ンンァァンァンンン!!!!』
「イッセーさッ」とんっ
『ガァァァァァァ!!!!!!!!!!!!』
キミを愛しているというこの気持ちが優ってたんだ。
『イッセーさッゥ!?いやぁァァァァ!!』
「嘘でしょう?」
凛はその光景があまりに信じられず呆然と呟く。
「ティアマット以外にもドラゴンが洞窟に潜んでいただと!?」
ティアマットに皆の意識が向いていた瞬間、爆炎が上空で一本の線となり冥界の上で見物していたイッセーとアーシアをイッセーが直前で突き飛ばしたアーシアは無事だが…巻き込まれた。
縄張り意識の強い龍が共存していた?
違う………凛が驚いているのは、その龍が洞窟の奥から出てきたのではなく確かに転移魔法を使って現れた事だ。
「ファフニールクラスが五大龍王以外にいたとは!」
そもそも、龍なんて特大の魔力を礼装まで使って感覚を強化している私とアーチャー、生命力に敏感なエレちゃんが見逃す筈ない。アーチャーの言うファフニールクラスなら、十キロは離れても感知出来る。
『………誰よアイツ』
傷ついていたティアマットはそう言葉を漏らした。
龍として長く生きたティアマットが知らない?
私達とティアマットがイッセーとアーシアに意識を削いだその瞬間を狙い済ましたように現れ………私たちではなくイッセーらを狙ってブレスを放つなんて、「………ドライグ、心当たりってある?」
「熱っ熱い!!?」
その時、爆炎から飛び出したのは禁手化を発動した若干熱で赤銅色に輝く赤龍帝。
『さぁ知らねえな!こんな奴がドラゴン族に居たなんて見たことも聞いたこともねえ!でも何だろうな、俺に近い力を感じるぜ、案外兄弟だったりしてな!』
「お前っそんな軽々しく!後少しで丸焦げになるとこだったんだぞ!」
『フッあの直前で禁手化するとは中々やるじゃねえか。俺も手伝ってやったが見直したぜ。今代の赤龍帝は甘ったれぇぬるま湯に浸かるとんだ腑抜け野郎かと思ったが気に入った!相棒と呼んでやるよ!』
「誰が相棒だ!?」
「(オーフィスの素材を混ぜ込んだ外套(礼装)を被っているからどのみち無傷だった………というのは野暮よね)」
「良かった、本当に良かった………!」
『ガァァァァァァ!!!』
「「「!?」」」
「兎に角、こいつを倒す!ティアマットは邪魔したら逆鱗剥ぐわよ!」
「「「おう!(はい!)」」」
『………もう勝手にしろ』
この後、ティアマットはどさくさに紛れて逃げた