鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ) 作:にくキャベツ
渡された端末を操作し選手情報を見るステラ。
「……三日月……あの子……このガンプラのファイターだったんだ」
「私、この子のガンプラも壊さなきゃダメなのかな」
まだまだ世界大会は続く。第四ピリオドはガンプラを使った射的……ビームマグナムを放つユニコーン。
「よし、当たった」
「……当たったっていうか吹き飛ばしてねえか?」
続いては運動会のような玉入れ。
「モビルトレースシステムがついてる流星号なら余裕だぜ!」
第六ピリオド、三対三のチームバトル。
「ハハハハハ!! このモビルアーマーザムザザーさえあれば貴様らなぞ一瞬で!」
暴れまわるザムザザー。ビームを放ち街を焼き払う。が、しかし。突如飛んできたマシンガンにビーム砲を破壊される。
「何!? 何者だ!?」
「……」
それを放ったのは肩の赤いザクフリッパー。さらに肩のミサイルを発射しザムザザーのクラッシャーを破壊する。
「あの赤い肩は……まさかレッドショ……」
それに気を取られたザムザザーは前方から接近するソードカラミティリベイクに気付かず、そのまま真っ二つに切断された。
《battle end》
試合後のファミレスにて……
「さすがだよオルガ君、三日月君。まさかここまで全勝とはね」
「……俺たちも貢献したんだが」
ドアンと話すオルガたち四人。
「全勝ってことはよ、俺たちはもう決勝トーナメント出場決定みたいなもんじゃねえか?」
「……そうでもない。全勝したファイターは他にもいる」
「……何?」
「まずはアリアンロッド特別枠で出場しているメイジンアグニカ……使用ガンプラはアメイジンググリムゲルデ。優勝候補筆頭と言われる腕前は伊達ではないようだ」
メイジンアグニカ……オルガたちもよく知る、マクギリス・ファリドである。
「他にも今大会のダークホースと呼ばれたガンプラ連合のステラ・ルーシェ……を破り、なおかつその後も勝利を重ねる地方大会優勝常連、コウ・ウラキ。使用ガンプラはGP-03、デンドロビウム」
デンドロビウムを駆る撃墜王、コウ・ウラキ。その実力はそれ以外では負けなしだったステラ相手に勝利するほどだった。
「ガンプラバトル以外の分野でも高い才能を発揮し、オリンピック選手や研究者などの経歴も持つスーパーヒューマンキラ・ヤマト。使用ガンプラは、フリーダムアストレイガンダムホワイトフレーム、バックには主催者側とも繋がりの深いラクス・クラインがいるとも言われている」
キラ・ヤマト。強豪、エクストラを討った実力は確かだ。
「それにステラとは別枠で参戦したガンプラ連合のエース、君たちも良く知るムウ・ラ・フラガだ。使用ガンプラは独自のカスタムを施したターンX、ファンの間ではストライカーXとも呼ばれている」
扱いが難しいガンバレルを操り、並みのファイターではまともに動かすことすら怪しいトールギスの機動力で多彩なターンXの強力な武装を扱う不可能を可能にする男ムウ・ラ・フラガ。
「そして最強のビルダー沙慈・クロスロードのガンプラを操るガンダムマイスターは刹那・F・セイエイ、使用ガンプラのアルトライザーにはどんな隠し機能が搭載されているか想像もつかない」
オルガたちとも何度も対面し、その度に多彩な武装を見せてくれた、最強ビルダーが作った最強の機体、アルトライザー。そしてその全てを臨機応変に使用することのできる刹那。
「……これは地味で周りからはあまり知られていないがひっそりと全勝している隠れた強豪ファイター、キリコ・キュービィー。使用ガンプラは緑のカラーリングと赤い肩を有したザクフリッパーレッドショルダーカスタム、独自の武装カスタムも施してある」
周りのファイターや観客からは知られていないが、並み居るファイターたちを蹴散らし全勝している謎のファイター。さらに使用ガンプラは旧キットのみで発売されているMSVのモビルスーツザクフリッパー。先程から登場している赤い肩のザクフリッパーも彼であった。
「他にもドイツ代表シュバルツ・ブルーダー、アメリカユニオン代表グラハム・エーカー、そして地球連邦代表アムロ・レイなど……」
「待ちやがれ。……アムロ・レイだと?」
「……そうだ。あの前回準優勝のかつてチャンプと呼ばれた男……アムロ・レイもこの大会に参戦している。だが手の内を全くと言っていいほど明かさないため詳細は不明だ……」
アムロ・レイに関してはピリオドごとにガンプラを変えるという徹底ぶりを見せ、あらゆる情報を外部に出していない。……分かるのは、彼が恐ろしく強いということだけだ。
「他にもそれに続く者たちは先程話したステラ・ルーシェや君たちが破ったユウキ・コスモなど……ともかく、これからの動向で順位の入れ替わりもありえる。気をつけるんだ、みんな」
『第七ピリオドの種目内容を発表します! ……こちら、ガンプラレースとなっています! もちろんスピード重視でも構いませんが……原則、銃火器などによる妨害はありとなっています!』
「……妨害ありのレース……速さと強さを両立しなきゃな」
「じゃあこのシノ様の流星号で行こうじゃねえか! シールドを使えばサーフィンみてえに空中を滑れるし、パンチで妨害だって出来るぜ!」
「……そうだな。この勝負、お前に任せた」
一方その頃、整骨院で腕の打撲を直してもらった直後の三日月は……
「……あ」
「三日月……だよね?」
シンとステラに鉢合わせしていた。
「なんで俺の名前知ってんの?」
「テレビで見たから……ガンプラバトルの大会に出てるんだよね……?」
「あぁ、うん。結構楽しいよ、アレ」
「……楽しくない。変な感じがするから……」
ステラがネガティブなことを言い始めた途端、シンが焦り始める。
「あぁおいステラ!? 大丈夫だって、今はアレとは関係ないから、ほら安心して」
「……シン……そうだよね、私今は休んでていいんだよね」
抱きかかえるシンの胸の中で、外であるにもかかわらず眠るステラ。
「……三日月、だっけ? なんか、ステラがごめん……こいつガンプラバトルの話になると……」
「いいよ。ガンプラバトルで何か嫌なことあったんでしょ?」
「……あぁ。だけど……やっぱりダメだ。こんな子がファイターだなんて……でも連合の上の奴らは聞いてくれないし……」
「……ファイター? それに、ステラって……」
シンのこぼしたファイターという言葉とステラという少女の名、そして連合という単語を脳内で結びつける三日月。彼は気付いた。……彼女がガンプラ連合のファイター、ステラ・ルーシェだということに……
翌日。
『第三レースももうすぐ大詰めであります!』
月光蝶で後続を消し飛ばしながらゴールするターンX。
「やっぱり、俺って不可能を可能に……!」
『第四レースを開始します!』
「最後まで言わせてくれよ……」
第四レース、圧倒的出力による恐ろしいスピードでゴールテープを切るグリムゲルデ。
『第四レース、勝者メイジンアグニカ!』
「邪魔だあああああ!!」
走行するガイアガンダム、周りのガンプラを切り捨てながらゴールテープを切る。
『第五レース、勝者ステラ・ルーシェ!』
「イデオンガン、発射!」
放たれるイデオンガン。それを受けた前方を走行するガンプラたちはまとめて消し飛ばされ、そのまま悠々自適にゴールするイデオン。
『第六レース、勝者ユウキ・コスモ!』
大量のサブフライトシステムをつなげた謎ブースターを使い一瞬でゴールするフリーダムアストレイ。
『第七レース、勝者キラ・ヤマト!』
『これより最終レースを開始します』
「いいかシノ、作戦通りに!」
「任せとけって!」
一斉に駆け出すガンプラ達。その中で唯一明らかに他より速いガンプラが一機。ショッキングピンクのガンダムマックスター、流星号だ! それを撃墜すべく後続から大量にビームが放たれる。が、それをグラブで吸収する流星号。
「よし、ディスチャージで加速するぞ!」
「オッケー!」
燃え上がる流星号、さらに背中からは炎の翼が現れ、それを身に纏い、風を吹かしながらさらに加速しコースを駆け抜ける。サーフィンのような姿でコースを颯爽と駆け抜けるその様は……
「……エウレカ?」
またもガンダムではない作品をそれを見た観客に連想させた。はっきり言ってこのようなスピードに追いつけるものはいない……はずだった。それに超高速で追いつく青い機体。
「アイアムアヅダ! アイアムアデュバル! ピンク色のガンダム、お前もそろそろ退場してもらおうか!」
そう、全勝ファイターの一角ジャン・リック・デュバルの駆るヅダであった。
「おいオルガ! ディスチャージで引き離せねえのか!?」
「無理だ、あとは温存しとかねえと後が怖……」
「うるせえ、今がその時だろうが!」
再びディスチャージを発動し加速する流星号、だがヅダのファイターデュバルは未だ余裕の表情を崩していなかった。
「なるほど、素晴らしいスピードだ……だがこれならば! ……トランザム!」
なんとヅダのバックパックが弾け飛び、GNドライブが露わとなる。それによりトランザムを発動し加速するヅダ。
「ディスチャージに追いついてきやがった!?」
「フハハハハハ! これがトランザムを発動したヅダの力だ!」
驚きを隠せないシノ、得意げに高笑いするデュバル。さらに加速するヅダがさらに流星号を引き離し、見えないところまで加速していった……
『一周目のトップはヅダ! それをマックスターが猛烈に追う!』
「流星号だ! しっかりと機体の名前くらい覚えときやがれ!」
実況に向かい叫ぶシノ。もはやヅダと流星号のトップ争いと化したレース。が、しかし。ヅダは機体の許容限界に達し爆発する。
「何!? 私のヅダがぁ!?」
「勝った! ヅダが自爆しやがったぞ!」
ヅダの爆散を見て勝利を確信するオルガだが……水中を走っていた流星号は、突如水中へ引っ張られる。
「何!? 引っ張られて……」
「下か……!? どこのどいつだ!?」
流星号を水中へ引き摺り下ろしたのは……水中用のカスタムが施され、大量のアームが付け足された……ジオングだった。
「バカな……なんでこんなガンプラが!?」
水中の岩肌に押し付けられる流星号、さらに機体を締め付けていたヒートロッドに電撃が走る。
「やべえって! このままじゃ……」
「機体に負荷がかかってる以上阿頼耶識を使ったら逆に接続した神経が焼き切れちまう……このままじゃ!」
水中に引き込まれた二人の上の水面を次々と走り抜けるライバル達。目前だった勝利が一気に遠ざかっていく。
が、しかし。バトルシステムの下部でそれを操縦する謎の男に立ちはだかる者がいた。
「……なんだお前は!?」
「私の名前はククルス・ドアン。真剣勝負を邪魔する無粋な輩を見逃すわけにはいかんのでな」
それを聞きドアンに殴りかかる謎の男だが、飛び上がったドアンに飛び蹴りを受け怯む。さらにドアンはアッパーカットで吹き飛ばしたところに正拳突きをかまし謎の男をKOした。
「後は任せたぞ!」
「よし、相手の動きが止まった! 阿頼耶識で……!」
「オッケー!」
阿頼耶識を起動し、アームを引きちぎり水を振り払いながら水面から浮上する流星号。全ては思うままに。さらにディスチャージで風を、炎を纏い波に乗る。
『なんと! 水面に飲み込まれたはずのガンダムマックスターが再度浮上!』
「だから流星号だっての!」
色あせた景色を風が流れていく。恐ろしいスピードで空中を滑る流星号。周回遅れを取り戻すようにスタンドラインを抜け、見えた他の機体をあっさり抜き去っていく。なんと一瞬で二位に浮上する。
「見えたぞ! アレが一番上の……!」
「Gアーマーか!」
ついに一位のGアーマーをロックオンする流星号。猛烈な加速で追いつこうとするも……何か音がした。何かを閃いたような音だ。
「そこ!」
次の瞬間、Gアーマーのメガ粒子砲を向けられ、さらにその次の瞬間には……流星号は残骸と化し道に横たわっていた。そして、最後に放たれたGアーマーからの声。その声は、ガンプラファイターなら、知らないはずのない声だった。
「……アムロ・レイ……と、とんでもねえレースを……引いちまった……」
Gアーマーを操縦していたファイターはアムロ・レイ。前大会準優勝の、生ける伝説。その圧倒的な力の前に……オルガの渾身の傑作であったはずのガンダムマックスター改弐は、あまりにも無力で、ちっぽけなものだった。そのままゴールインするGアーマー。……試合は、終わりを告げたのだ。
「負けた……俺の……俺の最高傑作が……」
「どういうことだよオルガ……あのガンプラは! それに……あのGアーマーは!」
「ファイター同士の譲れない戦い!」
「これこそが、ガンプラバトルってヤツだよな!」
次回『愛ない、絶えない、退廃』
「俺たち全員が、一人のファイターだ!」