鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ) 作:にくキャベツ
「ラスタル会長、雇った者が失敗したようですが?」
「なあに、アレが成功するとは最初から思っていない。鉄華団のファイター達の実力を見るための試験といったところだ」
「……何故ラスタル様は鉄華団にそこまで入れ込むのですか?」
「そうだな……彼らは新時代の象徴的存在だ。そんな彼らに活躍の場を与え、試練を与え成長させ……その上でうちのマクギリスがそれを倒す。……メイジン新時代の幕開けにしては上々な演出ではないか?」
「……そりゃあまた、趣味がよろしいことで」
「さて、次のステップだ。象徴たる鉄華団が次に破るのは……」
「オルガ、次の試合形式が発表されたぞ。一対一のバトルで相手はムウ・ラ・フラガ」
「あーはいはい、一対一のバトルだな……まあ余……は? ムウ?」
昭弘の言葉を軽く聞き流していたオルガだが、対戦相手の名前を聞き口を開けたまま固まってしまう。
「そうだ。俺たちも良く知る相手だな」
「……昭弘。このピリオドで勝てなけりゃ決勝には出れねえんだよな?」
「あぁ。相手が強豪の中の強豪であっても、この試合には勝たねえと俺たちはここで終わりだ」
「……ミカ、やってくれるな?」
「これからはこの私が世界を導くのだよ!」
水面から現れるアルヴァトーレ。それに対し巨大な砲台を構えるイデオン。
「イデオンガン! 発射!」
イデオンガンから放たれるエネルギーに巻き込まれたアルヴァトーレはそのまま粉砕され、中から現れたアルヴァアロンがイデオンに向かい銃を構えるも、それを放つ前にイデオンの手から放たれる白い光線、イデオンソードに真っ二つにされ爆散した。
『第1試合勝者、ユウキ・コスモ!』
向かってくる105ダガーとガンバレルストライカーの攻撃をシールドで防ぎ、接近してきたところをガーベラストレートで一刀両断するフリーダムアストレイ。
『第5試合勝者、キラ・ヤマト!』
「行くぞレギンレイヴ! 飛操剣、起……」
「させるか!」
一般機カラーのモビルレギンレイズが何やらファンネルのようなものを展開しようとするも、アルトライザーの超火力でその前に消し飛ばされる。
「そんな! 飛操剣作るのに苦労したんだぞ!?」
『第7試合勝者、チームプトレマイオス、刹那・F・セイエイ!』
「前回は加速のしすぎで遅れを取ったが、今回のヅダは完璧である!!」
グレイズアインへ突っ込むヅダ。シールドピックをかわしヅダに斧を振り下ろそうとするグレイズアインだが、ヅダの機動力の高さゆえにその前に間合いから抜けられてしまう。
「もらったぞぉ!」
シュツルム・ファウストでグレイズアインに攻撃するヅダだが、その攻撃がアインの逆鱗に触れた!
「この欠陥品が……クランク二尉から頂いたガンプラを!」
モノアイガードを開いたグレイズアインが驚異的なスピードでヅダに襲いかかる。その攻撃を躱し、バックパックを展開しトランザムを発動するヅダ。
「ハッハッハ! トランザムを発動したヅダは無敵だ!」
「チィッ!」
加速し続けるヅダ、それになんとか追いつき打ち合うグレイズアイン。
「これで終わりだ!」
ヒートホークを構えグレイズアインへ突っ込むヅダだが、グレイズアインは抵抗しようとしない。何故かと言えば……
「何? 時間がなかったからトランザムの調整が出来なかっただと!? それをどうにかするのがガンプラ製作チームの仕事だろう!? クソォ! ヅダが完璧な状態ならばこんなことにはぁ!」
プスプスと音を立て、装甲や四肢がもげていくヅダ。そんな状態になっても未だ加速し続け、グレイズアインにその刃は届くことなく爆散した。
「呪うなら欠陥を直せなかった制作チームを呪うがいい……俺はお前の呪詛を糧としさらに成長する!」
『第10試合勝者、アイン・ダルトン!』
……そして、当然オルガたちの番もやってくる。
「ミカ、相手はムウさんだ……強敵だぞ」
「……そんなこと、俺が一番分かってる」
《battle start》
「それじゃあ三日月・オーガス、ユニコーンガンダムマーズキング……出るよ」
「ムウ・ラ・フラガ! ターンX! 行くぜ!」
荒野に放たれる二体のガンプラ。ビームマグナムを構え、放つユニコーン。
「おいおい、いきなりかよ? ご挨拶もなし?」
「もう戦いは始まったんだから当たり前でしょ」
それを地上に急降下し避けるターンX、さらに何発も放たれるビームマグナム。それを躱しながら荒野を走り抜け、ビームマグナムで起こる砂ぼこりと同時に消える。
「……いない?」
と、そこで背後からビームが放たれ、それをユニコーンは躱しきれず被弾、爆発が巻き起こる。そのビームが放たれた方向に反撃のビームマグナムを放ち、それはターンXを捉えた……
「手応えはある……だけど変な感じだ」
煙が晴れると、そこにいたのは……ターンXの左腕だけだった。
「しまった……!」
「どこを見てる!」
左腕以外全て合体した状態のターンXがユニコーンの死角に飛び込み、蹴り飛ばす。そして左腕を引き寄せ、装着する。
「その分離……厄介だな」
立て直すユニコーン。が、ターンXから分離したオールレンジ攻撃兵器、ガンバレルがユニコーンを追撃する。ガンバレルから放たれる弾を避け、シールドのガトリングで迎撃、一基目のガンバレルを破壊するユニコーンだが……その煙に紛れ接近したターンXが右腕の溶断破砕マニュピレータを展開し……
「シャイニングフィンガーッ!」
「しまっ……!」
それによる一撃でシールドを容易く粉砕した。それによって怯んだユニコーンに足を分離し、勢いよくぶつける。俗に言うロケットキックというやつだ。それにより吹き飛んだユニコーンはビームマグナムを落としてしまう。さらに飛ばした足の方に全身を引き寄せ、相手の背後へ高速で移動。振り返ろうとしたユニコーンを蹴り飛ばし、その正面へ回り込み展開していない状態の右腕で強烈なアッパーカットを放つ。
「ほらほらどうしたぁ! そんなんじゃないだろ!?」
「……!」
連続して放たれるターンXの拳を避けるユニコーン、ビームマグナムもシールドも失ったためとっさに回し蹴りを放つユニコーンだが、それを上へ飛び上がり躱したターンXが再びガンバレルを展開し、さらに全身を分離しユニコーンの元へ飛ばす。圧倒的なオールレンジ攻撃、なんとかそれを躱し続けるも、ガンバレルに被弾した一瞬の隙を突かれ合体したターンXのシャイニングフィンガーを頭部に受ける……前に、ビームトンファーを展開したユニコーンがその右腕を斬る。が、斬ったターンXの右腕が浮かび上がり再び胴体に付く。完全に捉えたかと思われたが、やはり斬られる寸前に分離したようだ。
「やっぱり……頭を潰す以外無理か……!」
「今度こそ、終わりだ!」
渾身の斬撃を躱され、ガラ空きになった胴体にターンXの輝ける右手が襲い来る。が、しかし。
『ARAYASIKI』
突然デストロイモードに変身し、なおかつその目が紅く光ったユニコーンガンダムマーズキングがその一撃を弾く。
「なっ……!? この動きは!?」
驚きを隠しきれないムウ。
「あの動き……確か野球の時も……!」
かつてを思い出す沙慈。そんな沙慈に対し、近くに座っていたキラがその動きについて、説明する。
「あの動きは間違いない。ガンプラバトルシステム用のコンソールに人体に外付けする神経共有システムを繋ぎ、反応速度と操縦性を圧倒的に向上させる……阿頼耶識システムだ。だけど、ガンプラに影響が及べばファイターの身体の神経にも影響を及ぼす危険な機能なんだよ。まさか、そのシステムを採用したのか、チーム鉄華団は……!」
サイコフレームの赤い輝きを見せつけながら、深紅の目でターンXを見つめる火星の王。
「なるほど……こりゃあ凄い」
「ここで……阿頼耶識の力を出し切る」
あまりにも強くコンソールに接続しすぎた弊害で、目が充血しそこから血が垂れる。だが、身体にそこまでの負荷をかけてまで深くシンクロした三日月とユニコーンガンダムマーズキングは、もはや一切のタイムラグなしに、まるでそれが自らの身体であるように動く、最強のファイターと化した。
「面白い……! こいつを受けてみな!」
展開されるガンバレル、四方八方から放たれるその銃撃は……一発として当たることはなかった。引き抜いたビームサーベルで周りのガンバレルを目にも止まらぬ速さで斬り裂く火星の王。
「やるじゃ……ねえかよ!!」
溶断破砕マニュピレータからシャイニングフィンガーを展開するターンX。それに対し、ビームサーベルを投げ捨て、万が一のために用意しておいたメイスを構える火星の王。お互い、最後の手段を使おうとしていた。
「……頼むぜ、ターンX。あと少しだけ……あと少しだけでいいんだ、少しだけなんだ。あと少しで……この戦いに決着が付く!」
「おいユニコーン。さっさとよこせよ。あいつに……あの人に勝つには、お前の全部がいる。……だから、全部寄越せ。ユニコーン」
突っ込んでくるターンXに頭部を掴まれ、岩肌に押し付けられ引き摺られる火星の王。が、メイスを持っていない左腕がターンXに向かい拳で一撃を加える。そのままターンXを押し出し……
「こいつで……いや、これじゃないと」
メイスを構える、鉄華の王。同じく、ターンXは展開すらしない右手でその王の顔面を殴りつける。が、頭部を破壊されても、王は怯まない。槍のような使い方で、ターンXに向かいメイスを放つ。
「……殺し……倒しきれない……!」
ターンXトップを捉えるメイスの先端、パイルバンカー。そして……
「……はっ……強くなったなぁ、お前ら……」
頭が潰れ、倒れこむターンX。勝負は……決した。
『……さ、最終試合。勝者は……チーム鉄華団!』
巻き起こる拍手と歓声。そしてバトルを繰り広げた二人は……とても、清々しい顔をしていた。そして、コンソールに向かい合っていたオルガは、倒れこもうとする三日月を支える。
「大丈夫かよ、お前……最後らへん血流してたぜ?」
「……たぶん大丈夫だと……あ……アレ……?」
「どうしたんだ、ミカ?」
「……なんか、身体動かなくなった」
「は?」
「街で金髪の変な人に会ったんだけど」
「その人って、もしかして……」
次回『赤い彗星』
「前作主人公の登場は、熱い」