鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ)   作:にくキャベツ

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第16話 最終形態

 

「また遅刻だ! どうすんだこれ!?」

 

「おい三日月遅えぞ!?」

 

「だから本当は身体動かないんだからしょうがないでしょ」

 

「……もうミカは放っておけ! 俺たちだけでどうにかするぞ!」

 


 

 身体がうまく動かない三日月を背負い、会場へやってきたオルガたち鉄華団。

 

「……ミカ、そろそろ重いから降りてくれ」

 

「あぁ、うん」

 

「さて、対戦相手は……」

 

「俺だ、鉄華団」

 

 声が響き、その方向に振り向くオルガ。そこにいたのは……刹那と沙慈。

 

「ついに来たね。僕たちのガンプラの決着をつけるときが来た」

 

「……あぁ。こっちだって万全の体制だ。負けねえぞ?」

 


 

「今日のバトルは二試合。メイジンアグニカとステラの二人が勝ち進むって予想するのが普通かな……」

 

 トーナメント表が映し出されたモニターを見ながら戦略を立てるキラ。そこにムウが近付いてくる。

 

「よう、キラ。……お互い初戦は楽に勝ち進めそうだな」

 

「あぁ、ムウさん。油断は禁物ですよ。だって次の相手は……」

 


 

「……刹那。勝つイメージが僕には全然湧かないんだけど勝てる?」

 

「あぁ。ガンプラバトルは理屈じゃない。俺はアイツらに勝つ。……新搭載された最終形態を使って」

 


 

 観戦後の帰り道……

 

「……前回阿頼耶識を使いすぎてミカは通院中、仮にバトルに出れたとしてもあんなぎこちない動きじゃ刹那の兄貴には勝てねえ。昨日はガンプラバトルして来たみたいだが……いつもより動きが悪かったらしいからな」

 

「なるほど。代打は俺か? シノか?」

 

「今回は昭弘に出てもらう。流星号も前回ディスチャージを使いすぎて関節にキてるからカラミティくらいしか無事なガンプラはねえんだ」

 

「分かった」

 


 

 そんな中、沙慈は……なんと一旦、プトレマイオスに戻って来ていた。

 

「……あの、ニール・ディランディさんですよね?」

 

 来ていたのは、ニール……ロックオンを訪ねるため。

 

「あぁ。まあ店員姿の時はロックオン・ストラトスだけどよ」

 

「……教えてください。どうやったら僕は刹那に相応しいガンプラを作れるんでしょうか」

 

「刹那のヤツに相応しいガンプラ?」

 

 その言葉を聞いたロックオンは、少しだけ微笑を見せてから盛大に笑った。そして、そのままのトーンで次の言葉を言い放った。

 

「……刹那はそんなこと気にしねえよ。アイツにとっては、お前みたいな、分かり合えるような人間が作ってくれたガンプラが、自分に一番相応しいモノだと思ってるはずだ。刹那は自信満々なんだろ? ……それじゃあお前もそれに相応しいだけ、存分に調子に乗ってやれ」

 

「……調子に……乗る……」

 

「自信過剰になれないヤツは、丁度良い程度の自信も持てねえんだぜ? もっと胸張って……刹那に任せてみな」

 

 ロックオンの言葉を聞いた沙慈は、何かを決意したように拳を握りしめ……礼を言いながら店を去った。

 

「……お前らの試合、楽しみにしてるぜ」

 


 

 翌日。オルガたちの正面に立つのは……刹那のみ。

 

「……どうすんだ刹那の兄貴。沙慈の兄貴来ねえぞ……」

 

「大丈夫だ。あいつは必ず来る。来てくれる」

 

 その言葉通り……さらなるカスタムを施した、アルトライザーを持った沙慈が、一足遅れてやって来た。

 

「……刹那! 遅れてごめん!」

 

「いいんだ。ほら、アルトライザーを」

 

「あぁ。ここにあるよ」

 

 アルトライザーを受け取る刹那。お互いにガンプラをセットし……戦いが始まる。

 

《battle start》

 

「昭弘・アルトランド。ソードカラミティガンダムリベイクフルシティ! 行くぞ!」

 

「刹那・F・セイエイ。アルトライザー、目標を駆逐する」

 

 お互い、宇宙のフィールドに飛び出す。索敵を行うカラミティだが……そこに大量のミサイルが襲いかかる。ユニコーンガンダムマーズキングと同型のアブソーブシールドを犠牲にしそれを防ぐカラミティ。

 

「いきなり第二形態か……!」

 

 大量のアームを搭載したアルトライザー第二形態の姿を確認するオルガ。だが、そのようなものは序の口に過ぎなかった。

 

「第二形態の初撃が回避された。第三形態に変形し一気に制圧する」

 

「了解!」

 

 大量のアームがアルトライザーの身体を包み、さらにその膨大な数のアームがさらに増殖し周りのデブリ群や小惑星を巻き込みながら巨大化する。さらに元はアームだったモノで構成された上半身、顔、そしてそのさらに上から生える、アルトライザー本来の身体。

 

「これは……デビルガンダム!?」

 

「デビルガンダムを参考に作られたのがこの第三形態だ。……単純な戦闘力ならば数々の形態の中でトップクラスを誇るぞ」

 

「警告どうも」

 

 大量に襲い来る触手のような元アームを切り払いながら本体に接近しようとするカラミティ。アームで出来た巨体の中から生み出される、通常の白アルトをビームブーメランで蹴散らしながら本体の前までたどり着く。が、その巨体から繰り出される格闘攻撃にうまく接近できず防戦一方。

 

「昭弘!」

 

「分かってる!」

 

 振り抜かれた拳を対艦刀で防ぎながら、隠し腕を使いそれを斬り刻む。右腕を破壊したが続いて左腕が襲い来る。それに対し……対艦刀をなんと二刀流で使用し、片方でその攻撃を受け止めながらもう片方で腕を破壊した。

 

「くっ……第三形態もここまでか」

 

 アルトライザー本体に接近するカラミティだが、巨体を脱ぎ捨てたアルトライザーが接近するカラミティを肥大化した拳で殴りつける。

 

「第四形態……! ここでどこまでやれるか……!」

 

「今度は素手の格闘か!?」

 

 対艦刀を振るうカラミティだが、それを片手で防がれる。それどころかアルトライザーはその対艦刀を握り潰してしまう。昭弘が恐るべきパワーに驚いている隙に腹部を殴りつけるアルトライザー。が、カラミティは腹部ビーム砲スキュラでその殴りつけた拳を粉砕し、それによって怯んだアルトライザーの顔面に、落とした対艦刀すら拾わず拳を叩き込む。

 

「ぐっ……沙慈! 第五形態は?」

 

「第五形態は武装がほとんど失われたから無理! ……最終形態のお披露目……するかい?」

 

「あぁ。それしかないようだな」

 

 砕けて行く、アルトライザーに張り付いていたアームたち。それどころか、アルトライザーの装甲が、次々と剥がれて行く。

 

「な、なんだ!? どうなって……」

 

 アルトライザーの頭部が砕け、その姿を覗かせた本当の顔は……ガンダム、エクシア。

 

「これが……俺たちの……ガンダムだ!」

 

 叫ぶ刹那。次々とアルトライザーという名の殻を破り現れる刹那の『ガンダム』。その姿は、まるで……

 

「天使だ」

 

 観客席にいた、メイジンアグニカが、その姿をそう評した。純白の翼を広げ、今空に輝くのは革新の天使。

 

「これが俺の……ガンダムエクシア・ライザークアンタだ!」

 

 二つの不釣り合いな翼が、輝き出し……光を放つ、一点の曇りもない白と青の色を持った新たなる羽となる。

 

「そうだ。俺は、俺は負けない。……何故ならこの先に……」

 


 

『もらった!』

 

『し、しまっ……』

 


 

「……あいつが、あいつらが待っているからだ!」

 

 トランザムを発動し赤く輝くエクシア。

 

「昭弘! 三日月みたいにならないようにな!」

 

「分かってる……!」

 

 それに対し、阿頼耶識を起動し目を赤く光らせるカラミティ。お互いに剣を構え……斬り合う。ぶつかり合うそれが、火花を散らす。その様子を、全ての観客、ファイターが真剣な眼差しでそれを見守っていた。

 

「ライザーソードだ。出し惜しみはするんじゃない!」

 

「分かってる。ライザーシステム起動!」

 

 真っ赤なビームの刃がGNソードを包む。

 

「あいつを受け止めるには……全神経を拳に持って行って、粒子の圧縮率を上げるしかねえ……! 全身強化なんかしたら、ミカみてえになっちまう……全身強化無しでも、いけるな?」

 

「……分かってる。この拳に全部をかければいいんだな!?」

 

 カラミティの目がさらに深く、赤に光る。お互いの全力が、光る宇宙でぶつかり合う。GNソードがひび割れる。それに対しカラミティの腕も、ピキピキと音を立て破片を落とす。そして……その光の刃は、厄災の拳によって砕かれた。

 

「……何?」

 

「行けっ! すぐにトドメを刺せ!」

 

「分かってる!」

 

 そして、その拳は天使の身体に迫り……

 


 

 選手控室から出て行く沙慈。

 

「……あ、ルイス」

 

「えっと……沙慈? ……カッコよかったよ。あんなの見たの初めてで……」

 

 ルイスに話しかけられても、まだ歩みを進める。

 

「ちょっと、沙慈!?」

 


 

 河原に座り込み……なんとも言えぬ表情で川を見上げる。

 

「……負けた。僕のガンプラじゃ……刹那は勝てなかったんだ……」

 

 その背後から近づくのは……刹那。

 

「……刹那。ごめん。僕のガンプラが弱かったせいだ」

 

「いいんだ。ほら立て沙慈、また次、もっと強いガンプラを作ってくれるなら、俺はそれでいい」

 

「刹那。やっぱり、刹那は刹那だ」

 

 差し出された手を取り、立ち上がる沙慈。二人が見る川の景色は……青く、美しく輝いていた。

 


 

「ミカ? リハビリは終わったのか?」

 

「うん。今日の分はね。これつけてる間だけだけどしっかり動くようになって来たよ」

 

「それじゃあバトルに出れる日もそう遠くはなさそうだな……」

 

 後から会場にやってきた三日月とそんな会話を交わしていたオルガだったが……

 

《battle end》

 

 突然響いたバトル終了のアナウンスを聞き、立ち上がる。

 

「アレは……」

 

 バトルステージに転がっているのは……オルガたちを苦しめた伝説巨神、イデジム。バラバラになった状態で、その巨神は倒れ、イデオンガンは、原型を留めないほどに潰されていた。

 

「嘘だろ? あのユウキ・コスモが!?」

 

「……相手は?」

 

 信じられない様子だったオルガたちだが、その対戦相手を見て、その驚愕は納得へと変わった。

 

「……鋼鉄ジーグの相手には物足りないぜ!」

 

 高らかに拳を振り上げるのは、オルガたちも良く知る、いやガンプラバトルをやっていて知らない者はいないファイター。

 

「アムロ……アムロ・レイ!」

 




「ついに現れやがった最強ファイター、アムロ・レイ!」
「その圧倒的な力がマクギリスのアメイジンググリムゲルデを襲う!」
次回『鋼鉄アムロ』
「マグネットパワー、オン!」
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