鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ)   作:にくキャベツ

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第20話 シュピーゲル

 さて皆さん、大変なことが起こりました。ドイツ代表のシュバルツ・ブルーダー、彼はなんと強豪、ムウ・ラ・フラガを倒したステラ・ルーシェをあっさりと鎮圧してしまうではありませんか。さらに、そんな彼の次の対戦相手であるアイン・ダルトンはその彼、シュバルツ・ブルーダーに何か心当たりがあるようなのです。突如現れた覆面のファイター、果たしてアインは準決勝のマクギリスの元へ駒を進めることができるのでしょうか? 

 

 それではガンダムファイト、レディー! ゴー! 

 


 

「もう試合の進行に支障はあるまい、大会を続けてくれ」

 

 ガイアを容易く撃破したシュバルツが改めてバトルシステムの端に立つ。

 

「えー……ハプニングはありましたが、準々決勝最終試合を開始します」

 

 会場にアナウンスが入り、試合が終了した選手たちが退場し、シュバルツの対戦相手……アインが入場する。

 

「あの実力……二人のファイターを連戦で倒したステラ・ルーシェのガイアを一瞬で解体するなんて、はっきり言って俺の勝てるような相手じゃない……だけど、あいつらも使っていた阿頼耶識なら……!」

 

 様々なジャンクパーツで補修したグレイズアイン、グレイズアインリペアードを握りしめシュバルツの前に立つアイン。そして……バトルシステムに粒子が散布され、戦いの準備は整う。

 

「フッ……教えてやるアイン。純粋な反応速度に頼りすぎることが、死を招くと言うことをな!」

 

 旧キットのシュピーゲルを極限まで作り込んだガンプラをセットするシュバルツ。粒子との兼ね合いも含め、旧キットにも関わらず圧倒的な性能と可動域を誇る。

 

「それでは行くぞアイン! ガンプラファイト!」

 

「レディ……ゴー!」

 

 お互いに開始を叫び、荒野に降り立つ。グレイズアインが振るう巨大バトルアックスをシュピーゲルブレードで受け止める。それを弾き、肩に蹴りを入れるシュピーゲル。それに留まらず連続で蹴りを入れる。

 

「ハハハ! どうした!」

 

「やっぱりこの動き……!」

 

 そのまま背後に回り込み、シュピーゲルブレードで斬りつける。振り返るグレイズアインだが、振り返ると同時に放った斧の一撃は分身で躱される。さらに背後から飛び出してきたシュピーゲルの攻撃を斧で防ぎ、鍔迫り合う。

 

「やはり……この動き、キョウジ・カッシュ! キョウジさんなのですよね……!」

 

「さてどうだろうな。この戦いに勝てれば分かるかもしれんな」

 

 お互い弾き合い、着地するシュピーゲル。グレイズアインの放つ攻撃を躱し続け、右手の斧を弾き飛ばす。それに肩のマシンガンで対抗するも通用せず、ステラ戦でも使用した網、アイアンネットでグレイズアインを固める。

 

「どうした、自慢の阿頼耶識とやらは!」

 

「……うるさい!」

 

 阿頼耶識を接続しモノアイガードを開くグレイズアイン。ネットを必死に振り払いシュピーゲルに襲いかかる。初撃を躱され、すぐさま二発目を放つ。ブレードに防がれるも落ちていたもう一本の斧を拾い三発目を放ちシュピーゲルを吹き飛ばす。さらに吹き飛んだシュピーゲルに膝蹴り、ドリルキック、パイルバンカーなどのあらゆる攻撃を叩き込む。が……

 

「ハハハ……何処を狙っている?」

 

 何故か、背後からシュバルツの声が聞こえる。気付いた時には、攻撃を叩き込んでいたはずのシュピーゲルは消え去っていた。

 

「いつからそこに?」

 

「お前が追撃しようとした辺りからだ。このような変わり身に騙されるとは……単純な反射だけではそれ以上強くはなれんぞ」

 

「知った風な口を……俺は俺のやり方で、今日こそあなたを超えてみせる!」

 

「フン……阿頼耶識に振り回されるようではこのシュピーゲルは捉えられぬわ」

 

 足を掘削機のように回転させ、ドリルキックを放つグレイズアイン。だがそれがシュピーゲルに触れることはなく、分身で躱されてしまう。さらに顔面に蹴りを受け、右腕を切り飛ばされてしまう。錯乱して斧を突き出すアインだが、シュバルツはシュピーゲルの特性すら使わずその斧の上に飛び乗ってしまう。

 

「武器の上に……」

 

「愚か者め!」

 

 さらにそこから頭部を蹴り、その衝撃で落とした斧を踏みつけて折るシュピーゲル。

 

「どうやらとんだ期待外れだったようだな。それでは私にも、ドモンにも勝てはしないぞ」

 

「ドモン……ドモン・カッシュさんか。確かにあの人のゴッドガンダムは強い」

 

「その通りだ。今の機械のシステムに頼ったお前では明鏡止水の領域にまで至るなど夢のまた夢。恥を知れ!」

 

 腕を組み、ブレードを収納するシュピーゲル。

 

「確かに俺は……カッシュ家の人間に一度も勝ったことはなかった。だけど、俺は昔とは違う。クランク顧問から託されたこのガンプラがある。そして俺の後ろには彼らがいる!」

 

「何!? まさかお前のスポンサーは」

 

 立ち上がるグレイズアイン。そして、アインから放たれる言葉に驚愕の声を上げるシュバルツ。

 

「だけど、それも今日で終わりだ!」

 

 背中に刺さった阿頼耶識のケーブルを引きちぎるアイン。それと同時に、バトルシステムに通信が入る。

 

『何をしているアイン、貴様に阿頼耶識を与え出場権まで用意したのは我々なのだぞ?』

 

「会長。俺はここから、俺だけの力でやって見せます。連合には既に二人ファイターがいる、それにアリアンロッドにもマクギリス先輩が……!」

 

『おい、話は終わっていないぞ』

 

 通信を切り、操縦桿を握るアイン。それに対し、ブレードを展開し構えるシュバルツ。

 

「ついに吹っ切れたか。だがその小細工なしのお前がどこまで私に通用するか?」

 

「通用します。させてみせる!」

 

 自らモノアイガードを引きちぎり、拳を握りしめる。

 

「ハハハ! そのパイルバンカーだけで私を倒すつもりか! ……面白い! 正面から受けて立とう!」

 右手を失った状態ではほとんど無傷のシュピーゲルには勝てない。会場のほとんどがそう考えた。だが……突き出されたブレードを分身し回避、さらに背後に回り込み顔面に一発食らわせるアイン。

 

「分身殺法、体得したか!」

 

「いえ、これは分身ではありません。……単純な速度で回避しました」

 

「速度でだと? ……面白い事をしてくれる」

 

 後ろに下がり、何やら妙な構えを取るシュピーゲル。

 

「行くぞ。シュツルム・ウント・ドランク!」

 

 シュバルツが叫び、回転するシュピーゲル。まるでコマのように回転したそれは、全てを切り裂く竜巻となりグレイズアインに迫る。躱すグレイズアインだが、何回も曲がりながら向かってくるそれを避けきることはできず、ついに直撃を食らってしまう。連続の斬撃を受け、ボロボロになるグレイズアインだが……

 

「取っ……た」

 

 その激しい攻撃の中、頭を掴むことに成功する。

 

「……ぐっ……しまった!」

 

 回転数を上げ、一気にトドメを刺そうとするシュバルツ。が、グレイズアインのパイルバンカーは稼働を始め……

 

「ガンダムファイト国際条約第一条。……頭部を破壊されたものは、失格と……」

 

 シュピーゲルの首を、討ち取った。

 


 

《battle end》

 

「……強くなったな。アイン」

 

「待ってください! やはりあなたはキョウジ……」

 

「私からは語らん。……聞きたければ観客席にいる弟に聞け」

 

 去っていくシュバルツ。完全に退場する前に、観客席で見守っていたドモンを指差し、何処かへと去っていった。

 

「……試合に勝って勝負に負けた気分だ。やはり彼らは強い……あの人たちに相応しいファイターになる為に、今大会で優勝しなければ」

 

 そして、破壊されたグレイズアインを見て……

 

「クランク顧問。あなたのガンプラは、確かに責務を全うしました。今度は俺が一から作ったガンプラで……」

 

 それを、静かにしまいこんだ。それを見ていたマクギリスたちワークスチームは……

 

「フフッ、まさか強豪であるカッシュ家の者が彼を育てる為だけに出場したとはな……彼らならば優勝を狙いに行けるだろうに」

 

「そう言うなガエリオ。私は楽しみになってきたよ。彼と……アイン・ダルトンと戦うのがね」

 

 オルガたち鉄華団、ステラの連合チーム、そしてワークスチームのマクギリス。……さらに、連合とアリアンロッド双方と繋がっていたと思わしきアイン。ベスト4は出揃い、ついに準決勝が始まる……

 




「ついに準決勝開幕だ!」
「……三日月」
「ステラ……」
「あの二人の戦いを止めないと。ステラは三日月と戦いたくなんかないんだ」
次回『運命の種』
「これってただの遊びだぜ?」
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