鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ)   作:にくキャベツ

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第22話 バエル・フォーミュラ

 

「プロジェクト・バエル……」

 

「あぁ。アリアンロッド最強のガンプラだ。お前に相応しいモノだと思うが?」

 

「バエル。……歴代のメイジン・アグニカが使用してきた、伝統、いや伝説のガンプラ。……私もついにそれを与えられる日が来たのか」

 

「あぁ。お前の希望通り……ほとんど素に近いカスタムでな」

 


 

 前々回の戦いで、ほとんどのパーツを破損したグレイズアイン。アインはそれをそっと置き……新しいガンプラの制作に取り掛かった。ベースキットは……キュリオス。

 

「バエルに……マクギリス先輩に勝つには、これしかない」

 

 彼にとっての、初めて、最初から、ベースキットから組み立てる、カスタムガンプラ。尊敬する恩師から譲り受けたガンプラを改造したモノでも、レンタルガンプラでもない。彼にとって最初の……自分だけの力で作ったガンプラの大舞台だった。

 


 

「……アインか」

 

「あぁ。刹那さん」

 

 ホテルの一室、フリーバトルルームで座り込んでいたアインに話しかける刹那。

 

「お前もバトルしに来たのか? 俺でいいなら相手をする」

 

「……ありがとうございます。俺も手加減はしません」

 


 

 お互いに宇宙空間に飛び出す機体。

 

「相手はキュリオス……接近戦に持ち込み、変形させさせなければアルトライザーが有利か。……第一形態で様子見を!」

 

 チェーンソーを取り出しキュリオスに突っ込むアルトライザー。だが、しかし……

 

「俺のこの手が」

 


 

「刹那!? そのアルトライザーは……」

 

 破壊されたアルトライザーを拾い上げる沙慈。

 

「相手は……相手は?」

 

「アイン・ダルトン。彼は……以前とは比べ物にならないほど強くなっている」

 


 

 翌日。準決勝第二試合で……ついにアインとマクギリスが激突する。

 

《battle start》

 

「マクギリス・ファリド。アメイジングバエルF。出撃する」

 

 荒野に飛び出すマクギリスのバエル。それに向かってくるのは……戦闘機型から人型に変形し、砂原へ着地するキュリオス。砂埃を巻き上げながら地に降り立つ二機。お互いに距離を取り……

 

「……マクギリス先輩」

 

「アイン。その機体はなんだ?」

 

「俺の……初めてのオリジナルです!」

 

 まず動いたのは……キュリオス。サーベルを抜き、バエルに斬りかかるも……躱される。背後に回り込んだバエルがキュリオスに剣を振るうも、キュリオスはそれを宙返りで躱す。

 

「速い……やはり! だけど! バエルに射撃武装はない!」

 

 ビームサブマシンガンを取り出し、バエルに向かい連射するキュリオス。が、バエルにそれは当たらない。

 

「当たらないなら、結局接近戦しか!」

 

 お互いの剣が空中でぶつかり合う。お互いに弾きあい、射撃戦に移行する。ビームサブマシンガンを連射するキュリオスに、射撃武装すらないバエルは太刀打ちできない……はずだった。変形する、背中のバエルウイング。そこから現れるビーム砲は……

 

「VSBR……!?」

 

 VSBR。通称はヴェスバー、正式名称はヴァリュアブル・スピード・ビーム・ライフル。つまり、速度、威力などを自由に調整可能なビームライフルである。F91では背中に収納していたが、アメイジングバエル・Fではほとんど同じ位置にあるバエルウイングに同等の機能を搭載しており、その中からビームを放つ事が出来る。

 

「射撃武器はアグニカに反するんじゃ……」

 

「敢えて言おう。ガンプラは、アグニカは自由だ!」

 

 通常のビームライフルと同等の威力でヴェスバーを放つバエル。それを変形しながら躱すキュリオス。反撃にサブマシンガンを放つが、それも当たらない。最終的に変形しながらサーベルを抜き、肉薄するキュリオス。短い鍔迫り合いの後弾かれ、空中を舞うキュリオス。

 

「俺に力を貸してくれ、キュリオス」

 

 ……そんな中。スロットを操作し、何か妙な項目を選択する。

 

「トランザム」

 

 赤みを帯び、変形するキュリオス。

 

「飛び込むぞ、バルキュリオス!」

 

 そのまま、圧倒的なスピードで空を舞い、浮かび上がったバエルに突っ込む。それが放つGNビームサブマシンガンの銃撃と圧倒的なミサイルの嵐から、時にはヴェスバーで迎撃し、羽根を広げながら美しい軌道で躱して行く。

 

「アサルトワイヤー!」

 

 が、その煙の中から飛び出してきたワイヤーに絡め取られ、動きを止める公式の悪魔。それを巻き取りながら現れるのは、何やら妙な実体剣を持ったキュリオス。それをバエルに突き刺し、蹴り飛ばし、マシンガンを連射しワイヤーに引き寄せられながら再び接近する。

 

「フリージングバレット!」

 

 さらに手を叩きつけ、そこからバエルを凍りつかせる。振り払われるキュリオスだがワイヤーが絡まっている限り追撃は終わらない。続いて脚部にビームの刃が現れ……

 

「ライトニングキック!」

 

 バエルを飛び蹴りで蹴り飛ばす。さらに続いて、ワイヤーを使い相手を引き寄せながらもう一本剣を取り出し、

 

「モーターソード!」

 

 さらにもう一発バエルに突き刺す。さらにGNフィールドを発生させ……

 

「GNフィールド・ディストーション!」

 

 それを自らバエルに当てることにより歪みを発生させ、バエルを吹き飛ばす。

 

「ついに吹っ切れたか……アイン・ダルトン!」

 

 トドメと言わんばかりに巨大なプラスドライバーを持ち、バエルに突っ込むキュリオスだが……

 

「……私が……何も考えていないと思ったか」

 

 黄色い残像を纏いながら、そのバエルは何処かへ消えてしまった。

 

「残像? これは一体……」

 

 アインのキュリオスの周りを飛び交う大量のバエル。アインを囲い込み、ヴェスバーを構える。

 

「まずい! 質量を持った残像か!」

 

 すぐさま本体を見極め、そこから放たれるビームを躱す。

 

「トランザムの限界時間は迎えたはず……何故まだトランザム出来ている?」

 

「……明鏡止水。曇りなき俺の心が、限界を超えた力を引き出しているんです」

 

 お互いに高速で大空を飛び交い、残像を撒き散らしながら、二刀流同士の剣のぶつけ合いが繰り広げられる。激しく音を立てながら、大気を揺らしながら行われる接近戦。ヴェスバーから放たれる光線を躱しながら、新設されたマシンキャノンで反撃を行う。が、接近するバエルに対応するため可変し、バエルの追跡を振り切りながらミサイル、マシンガンなどでバエルを攻撃する。大量のミサイルの軌道を見切り、相打ちさせるように誘導しながら位置を取り、ミサイルを振り切るバエル。それに変形しながら斬りかかるキュリオス。何度も弾きあい何度も剣を交える。一瞬の隙をつき、キュリオスの剣を弾き飛ばすバエル。

 

「これが私の全力だ!」

 

 だが、突如トランザムに加え、黄金に輝き出したキュリオスにそのトドメの一撃になるはずだったモノは防がれる。

 

「これは……」

 

「トランザム・プラス・ハイパーモード! これが、俺の全力です!」

 

 黄金のハイパーモード、紅蓮のトランザム。その二つが合わさり、赤みを帯びた金がここに顕現する。バエルの剣を躱し受け止め、蹴りを入れ顔面に正拳を叩き込む。さらにその頭部を掴み取り岩肌に叩きつけ、バックファイアでさらに追撃する。それと同時に飛び上がったキュリオス。

 

「まさか……キュリオスの皮を被った、モビルファイターとでも言うのか!?」

 

 バックファイアを受け、左腕が耐えられなくなり爆発するバエル。が、それでも立て直し、残像を纏いながら空へ飛び上がる。

 

「その覚悟。真っ向から受け止めよう」

 

 剣を構え、キュリオスへ向かって行くバエル。それに対し、腕を掲げるキュリオス。

 

「俺のこの手が……真っ赤に燃える! 勝利を掴めと……轟き叫ぶ!」

 

「行くぞガエリオ。出力最大で……迎え撃つ!」

 

「今やってるところだ!」

 

「爆熱! ゴッドフィンガァァァッ!」

 

 叫びと共に放たれる赤く輝く腕。それとぶつかり合うバエルの剣。閃光と共に戦いは終わりを告げようとしていた。

 

「壊れろ、壊れろ唯一神!」

 

 そして、純白の悪魔が……黄金の天使、いや神を。その腕ごと、打ち砕いた。

 

《battle end》

 


 

「マクギリス先輩……!」

 

「アイン。君はよく頑張った。初めてのカスタムだったんだろう?」

 

「そうです。まさかここまでやれるだなんて……」

 

「俺、いつか超えてみせます。マクギリス先輩の事……それに、ガエリオ先輩の事も!」

 

「……出来るかな? お前に」

 

 お互い笑い合う、ギャラルホルンの面々。

 

「次は、カルタも呼ぶとするか……」

 

 笑顔を漏らすマクギリス。終わった試合に……後悔はなかった。

 




「俺のユニコーンガンダムマーズキングが!」
「俺のバルバトスが」
「最強だ!」
次回『火星の王』
「……何処かで前、これを動かしてた気がする」
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