鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ) 作:にくキャベツ
「ついに完成したぞマクギリス。俺の最高傑作、アメイジングバエルヴィダールだ!」
「……ヴィダール要素を足した意味は?」
「俺の趣味だ」
フフッと笑い、マクギリスはそのガンプラを見つめる。が、そんな作成室に、ボディガードを引き連れた一人の男が現れる。
「それでは足りんな」
「……ラスタル会長か。何の用です?」
「いや、それに付け足す魅力的な改造プランを持って来てな」
ラスタルはあるものをその机に置き、並べる。
「な……そんな! これは……」
その並べられた、改造用のパーツたちに驚愕の目を向けるマクギリスとガエリオ。
「使わねばなるまい。君たちには勝ってもらわんと困る。……初っ端から新生メイジンが負けたとなれば……盛り下がるのでな」
「……いえ。しかし……これはナンセンスです」
「ならば仕方ない」
ボディガードに取り押さえられる二人。そして、ラスタルが……阿頼耶識のケーブルのようなものを取り出す。
「悪く思うなよ」
「……それは」
オルガたちと対面する、メイジンアグニカ……マクギリス・ファリド。それが携えるガンプラは……異形の、赤黒い血の色をしたガンプラだった。
「……なんだこりゃ……」
「やっぱり、チョコの人の様子がおかしい」
「だよな? ……まあ、戦うしかねえんだけどよ」
困惑しながらも、ガンプラを取り出すオルガ。それを受け取る三日月。それを見てもなお、マクギリスは全く動じることなく、真っ直ぐ立っていた。
「……よし、やるぞ」
《battle start》
「三日月・オーガス。ユニコーンガンダムマーズキング。出るよ」
宇宙空間に飛び出す三日月のユニコーンガンダムマーズキング。が、それを不意打ちで月面に叩き落とすバエル。
「……なっ……いきなりかよ」
「まあ、チョコの人も本気なんでしょ」
バエルのヴェスバーから放たれるビームをシールドで吸収するユニコーン。そして、そのシールドをマグナムに繋ぎ……
「よっしゃミカ! ディスチャージで行こうぜ!」
「あぁ」
そのエネルギーを解放、強力なビームを放つ。……が、それを見たバエルはなんと羽から
「あれは……フリーダムアストレイの!? アレにあんな使い方があったのか……!」
それに驚くオルガ、剣を抜き接近してくるバエル。それに対しサーベルを抜き冷静に対処する三日月。鍔迫り合う両者、そんな中バエルがユニコーンの頭部を殴りつけ、右半分を破壊する。
「カメラがやられた?」
舌打ちを鳴らし、カメラを切り替えながら膝蹴りで反撃し距離を取る三日月。体制をすぐに立て直し接近、シールドを斬り飛ばすバエル。さらにそれで怯んだユニコーンのビームマグナムも真っ二つに斬り裂く。
「あっぶな……」
追撃される前にバエルの腹部を蹴り飛ばし、その反動で距離を取るユニコーン。が、その破壊されたライフルとシールドから巻き起こる爆発の煙の中から、猛スピードでユニコーンの方へ突っ込むバエルが現れる。予想以上に素早いバエルに対応できず、踏みつけられそのままの勢いで月面へ落下する。
「三日月……!」
「オルガ! 三日月! 何やってやがんだ……!」
観客席にも騒めきが起こる。煙の中からいち早く現れるユニコーンだが、それを上回るスピードで横に回り込んだバエルがそれを蹴り飛ばす。
「チッ……予想以上に速いな」
あくまでも冷静に対応しようとする三日月だが、根本的な機動力の違いと、それに対応するマクギリスの反射神経に徐々に追い詰められる。
「……何故すぐにアレを使わない?」
「いえ、会長がこれはショーだと言うので……」
「あんなもの建前だ。チャンスがあればすぐに使え」
「……はい」
その頃、 別室ではラスタルがそれを観戦していた。何故彼が鉄華団の敗北に拘るのか。それはメイジンを勝たせる為などという理由ではなく……
「彼らには嫌な思い出しかないからな」
関節部のみを執拗に狙ってくるバエル。その攻撃を全て間一髪のところで躱すユニコーン。が、突然フィールドが切り替わり……狭い通路に変わる。
「何? どうなってんだ?」
そこを進むユニコーンだが……その先にあったのは行き止まりだった。
「……ミカァ! NT-Dだ!」
追ってくるバエル。それの持つ二本の剣と鍔迫り合うユニコーンのビームトンファー。だが、そのバエルソードが冷気を纏い……
「ビームが、凍る……!?」
ビームトンファーが、ビームごと凍りつき機能を停止した。それを捨てながら距離を取ろうとするユニコーンだが、もう片方の剣に炎を纏ったバエルがそれを許さず、追撃する。その二本の剣で両肩を突き刺し、そのまま壁に押し込む。
「……力負けするか……それじゃあ……」
バルカンを放つユニコーンだが、バエルはすぐさまその側頭部を握りつぶす。それと同時にユニコーンはそのカメラアイから光を失い……
「ミカァ! 全機能が止まって……」
焦ってコンソールを叩くオルガ。
「クソッ! 動けよユニコーン! ここで止まったら……! 頼むから動いてくれよ、なあ! まだ勝負は付いてねえだろうが!」
錯乱して叫びながら機能の回復を図るオルガ。それに対し、三日月は冷たく、だがその内には熱い何かを秘めた目で、冷静に操縦桿を握っていた。
「……オルガ」
「ミカ? 何か案が……」
その間にもユニコーンの破壊は続く。
「つまり、無理やり動かしてやればいいんだろ?」
「……アレを使うまでも無かったか。すぐにトドメを……」
バエルが剣を構える。狙いはコックピット、この状況なら回避はできない。もはや、オルガたちに勝ち目は……
ARAYASIKI
実はあるのだ。一つだけ。この状況を打開する勝ち筋が。光を失ったはずのユニコーンに、明るい血が流れ、瞳をその色で染める。
「……うん。動く。無理やりにでも、動かす」
限界を迎えたその身体を、無理にでも、もう本当は動かなくとも、全力で。目の前の勝利だけを見て引きずり続ける。それが、彼らの華だった。襲いくるバエル相手に全力で押し出し……通路の壁を突き破りながら、その外の宇宙へ飛び出す。
「ミカァ……! なんでこうなっちまったかは知らねえけどよ……! マクギリスのヤツをぶん殴って目覚まさせてやれ!」
「分かってるって」
怯むバエルを蹴り飛ばすユニコーン。
「……ミカ。またアレを使っちまうけど、いいか?」
「うん。オルガがやれってんならね」
質量を持った残像を纏うバエル。それに対し、阿頼耶識のリミッターを解除するユニコーンガンダムマーズキング。砕ける三日月の付けていたギプス。
「おいミカァ、ギプスが……」
「大丈夫だから。行こう」
背中からビームサーベルを二本抜き、バエルに向かい突っ込むユニコーン。それに対し、余計な武装を全て排除した状態で、剣のみになりそれを迎え撃つバエル。お互いに激しく、剣同士で打ち合う。が、ユニコーンのサーベルは一本、また一本と弾き飛ばされて行く。
「……いつも通り、貫手で行くぞ!」
「あー、アレね」
緑の光を纏いながら、残像を撒き散らすバエルへ突っ込んで行く。バエルの持つ、剣と貫手がぶつかり合い、激しい粒子の濁流が巻き起こる。
「……行けえええええええ!!!」
そして……それが晴れた時。相手を貫いていたのは、ユニコーンガンダムマーズキング。たった一人の火星の王だった。
「……ラスタル様。メイジン負けましたけど」
「そうか……マクギリスのヤツには私のくだらん私怨に付き合わせて悪かったとでも言っておけ。だが彼らが勝って終わるというのはつまらんのでな。……私のお遊びにも、付き合ってもらおう」
「勝った! 俺たちが勝ったぞミカァ!」
「……そうだ、チョコの人は?」
三日月を抱え、マクギリスに駆け寄るオルガ。
「マクギリス! ……お前、なんでこんなこと……」
「……あぁ。オルガ団長に三日月君か。すまない……せっかくの決勝なのにこんなことを。実は……この阿頼耶識の技術を転用したケーブルで精神を支配されていてな」
「あぁ? んなこと信じられるわけ……」
「……嘘は言ってないと思うよ、チョコの人は」
「ミカがそういうなら……」
と、オルガたちが試合後に笑いあっていると……突如、会場が粒子で包まれる。
「な、なんだこれは? まさか、バトルシステムが暴走して……」
その会場を飲み込んだバトルフィールドに現れた、鉄血のオルフェンズシリーズにおけるアリアンロッド艦隊のフラッグシップ、スキップジャック級戦艦。そして……それを守るように配置された、大量のハーフビーク級戦艦。
「……会場のファイターたちに告ぐ。ボーナスステージだ」
そして……その広大なフィールドに響くラスタルのアナウンス。
「全員参加だ。私が総制作期間半年と3ヶ月かけて作った……アリアンロッド艦隊を攻略せよ」
そして。それを守るように配置されたのは……
「ダインスレイヴ隊……!」
「本当の最終試合は、私との対戦だ」
「だったら、やるしかねえだろうが!」
次回『約束』
「その先に、連れてってやるよ!」