鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ) 作:にくキャベツ
「粒子が暴走して……あの艦隊は!?」
膨大な量の粒子が会場に散布され、現れるアリアンロッド艦隊。会場がそれに巻き込まれ、崩れていく。
「……どうなっている会長! ボーナスステージとは、この惨事はなんだ!?」
「さあな。……君たちの勝利条件はただ一つ。粒子発生装置を破壊し……このバトルを終了させる事のみだ」
叫ぶマクギリスに対し、帰ってくる返事はただそれだけだった。
「……ってことは、正真正銘ガンプラバトル選手権最後の戦いってことか」
鉄華団に号令をかけ、それぞれのガンプラを取り出すオルガ。それに加え、観戦していた各ファイターたちも彼らに駆け寄る。
「ええ。このまま粒子が散布され続ければどんな惨事を引き起こすか想像が付きませんわ」
「僕たちも協力するよ」
「刹那。やろうか」
「あぁ」
「……あんたら」
キラ、刹那が修復したガンプラで参戦しようと名乗りをあげる。それだけではない。
「まったく……こんな流れになったら断れないじゃないか」
「分かった。ステラもあと少しだけ頑張る」
「ステラがやるってんなら……俺もやるしかないな」
「俺も、バルキュリオスでやってみせます」
「イデジムの力、思う存分見せてやる!」
ムウ、ステラ、シン、アイン。そして、コスモも次々とガンプラを持ち寄る。
「……やるか。みんな!」
次々とガンプラをセットしていく、ファイターたち。
「ユニコーンガンダムマーズキング! オルガ・イツカ!」
あるものはここまで付き添ってきた白いガンプラを。
「それじゃガンダムバルバトス、三日月・オーガス」
あるものは自分で作った、まだ荒削りなガンプラを。
「ソードカラミティリベイク、昭弘・アルトランド」
あるものは家族から受け継いだガンプラを。
「流星号TYPEAmerican、ノルバ・シノ!」
あるものは仲間の作ったモノに自分で名付けたガンプラを。
「アイン・ダルトン、バルキュリオス」
あるものは模索し続けようやく見つけた答えを詰め込んだガンプラを。
「シン・アスカ、デスティニー!」
あるものは自分の運命を決めたガンプラを。
「……ステラ・ルーシェ、ガイアインパルス」
あるものは初めて自分で選んだ運命のガンプラを。
「ムウ・ラ・フラガ、ターンX」
あるものは自らとよく似た者のガンプラを。
「キラ・ヤマト、フリーダムアストレイ」
あるものは歌姫から託された自分だけの道を切り開くためのガンプラを。
「イデジム!」
そしてあるものは、ガンプラではない伝説の巨神を。それぞれその最後の戦いの舞台へ旅立たせた。広大な宇宙を駆ける光の線。その全てが、艦隊へ真っ直ぐ進んでいた。
「ダインスレイヴ隊の砲撃には散開して対応。艦隊さえ潰せば……バトルは強制終了するはずだ!」
放たれるダインスレイヴ。圧倒的な速度の砲弾を……
「ここは俺に任せろ!」
オルガが放ったシールドファンネルがサイコフィールドを発生させ、ダインスレイヴを全て弾き返す。さらにそのシールドファンネルがダインスレイヴ隊に突っ込んでいき、次々と突き刺さる。シールドが突き刺さったグレイズは次々と爆散していく。
「陣形は崩れた、今のうちに肉薄!」
接近されたダインスレイヴ隊は、近距離ではまったく対応できぬまま次々倒されていく。が、他の艦からは次々と通常装備のグレイズが現れ、ファイターたちに襲いかかる。
「イデオンガンを使う!」
「よぉし、ガンバレルと手足全部使うぜ!」
分離したターンXのパーツがそれぞれ、グレイズたちを撃ち抜き、撃墜していく。さらに向かってくる大量のグレイズとその背後にいる艦隊を、イデオンガンが一気に消し飛ばす。
「ミーティアなら!」
ミーティアユニットを装着したキラのフリーダムアストレイが戦艦を斬り裂きながらグレイズ隊を壊滅させていく。他にもトランザムを発動したバルキュリオスが目にも留まらぬ速度で飛び回り、ミサイルとマシンガンを撒き散らしながら艦隊を蹂躙する。
「デスティニーなら! ……付いてきてくれ、ステラ!」
デスティニーが真っ直ぐ突っ込み、その討ち漏らしをステラのインパルスが殲滅する。その横ではマシンガンパンチで周りのグレイズを吹き飛ばしていくシノと、それで開かれた突破口を抜け戦艦を斬り捨てていく昭弘の姿があった。
「それにしても数が多いな……!」
大量の戦艦と、それ相応の数を誇るグレイズ。未だ終わりは見えず、このままで物量差、疲労でこちらが負けると思われたその時。赤い光が突き抜け、大量のグレイズと戦艦が巻き込まれていく。
「これは……ライザーソード! ってことは、刹那の兄貴か!」
「正解だ。最終調整に時間がかかって出撃に遅れてしまった」
既にアルトライザーの殻を脱ぎ捨てたエクシアが、ライザーソードを振るい周りの敵を薙ぎ払っていく。
「チーム鉄華団は今のうちにスキップジャック級を!」
「オッケー! 行くぜお前ら!」
オルガたちがスキップジャック級の撃破へ向かう。が、その間それ以外のファイターたちは不利な戦いを強いられる。
「グレイズばっかり……それ以外になんかないのかよ、ここの主催者は!」
そう愚痴をこぼすムウに答えるかのように、何処からか現れるは……ネオジオング。
「……ムウさんがなんか言ったせいでまたヤバいの来たんじゃないですか?」
「おいおい、俺のせい?」
ガンプラの中でも最大の大きさを誇るネオジオングだが、それだけではなかった。ネオジオングが一機、ネオジオングが二機。
「ネオジオングが……ネオジオングが三機!?」
そこに現れたのは、赤と、青と、白の、三機のネオジオングだった。あまりにも理不尽なこの光景に流石に戦慄する面々。
「くっ……だが倒さないことには!」
構える刹那だが……そのネオジオングの中の白い一機が、何処からか現れたザクの正拳突きによってコアユニットのシナンジュスタインのみを破壊され崩れ落ちる。
「あのザクは……ククルス・ドアン!」
「待たせたなみんな。私も加勢する!」
さらにそれに反応して攻撃しようとした青いネオジオングは、背後から現れた黄金のモビルスーツに次々とパーツを解体され、最後にはシナンジュを燃え盛る腕で破壊され沈黙する。
「ドモンさん!」
「あぁ! 俺のゴッドガンダムさえあれば百人力だ!」
ドアンのザクとドモンのゴッドガンダムが並び立つ。そして……
「ククルス・ドアン! 久しぶりにやってみるか!」
「あぁ。……魂のハイパーモードだ!」
黄金に輝き出すドアンのザク。ゴッドガンダムと同時に残った赤いネオジオングに立ち向かい、ビームを弾き返し、躱しながら接近し、拳や蹴りを連続で叩き込みネオジオングを解体していく。
「トドメだ! このキックで……!」
さらにコアユニットに飛び蹴りが直撃。最後のネオジオングも同じように沈黙した。
「……ネオジオングが一瞬で……」
「デタラメな強さだね……」
さらにそのままの調子で周りの艦隊も蹴散らしていく。形勢逆転と思われたその時……その宇宙を電磁波のようなものが貫いていく。
「巨大なビーム砲!?」
「……アレは……ジェネシス!?」
スキップジャック級が構える巨大なビーム砲。それは、ガンダムSEEDのジェネシスを、極限まで小型化した何かだった。
「あんなもんまで持ち出して来んのかよ!?」
もちろん、オルガたちを追撃するために、グレイズたちがやってくる。なんとか対応するが……
「このままじゃまた撃たれちまう……!」
ジェネシスの再発射がそこまで迫っていた。だが周りのグレイズを相手するので忙しく、回避行動は間に合わない。……と、思われた。
「バエル!」
残像を纏いながら現れたバエルが、周りのグレイズを殲滅する。もちろんそのパイロットは……マクギリスだった。
「お前……マクギリス!」
「あぁ。ガエリオが1分で直してくれたぞ。ここは私たちに任せてくれ」
「……たち?」
それと同時に現れた赤いガンダムが緑色の暖かな光に包まれたビームを放ち……ジェネシスをあっさり破壊する。
「……これでスキップジャックは無防備だ、少年!」
その煙の中から現れたのは、シャア・アズナブルが駆るキャスバル専用ガンダム。さらにそれをカバーするように現れたフォーエバーガンダムが周りのグレイズを殲滅する。
「……行くぞアムロ、マクギリス君。ここは私たちで抑える」
「あぁ。やるぞ、シャア!」
「……分かっていますよ、二人とも」
さらに、この三人だけではない。会場にいたガンプラビルダーたち全てが、この戦いに加勢しようとガンプラを持ち寄り、そして既に出撃していた。……そしてすべては、スキップジャック級を攻めるオルガたちに託された!
「ふざけたイベント企画しやがって! 俺たちがぶっ潰してやる!」
周りの敵を殲滅しながら艦に近付く鉄華団。
「ブリッジ叩くのはお前らに任せた!」
砲塔の対処に回るシノと昭弘。そしてオルガたちは……
「ミカァ! バックパックを移す!」
バックパックを分離するユニコーンガンダムマーズキング。分離したそれが、バルバトスに繋がり……
「後はもう後ろは振り返るな! ……ブリッジを潰せ!!」
そのまま勢いを付け……その艦を貫いた。
「……見事だった。このようなファイターたちに集まってもらって光栄だったよ」
最後の大イベントの後、辺りは既にお祭りムードだった。……まあ、その祭りはもう、終わったのだが。ワイワイと賑わうその姿は……本当は決勝戦でマクギリスとオルガが実現したかった、ガンプラの楽しさを感じる戦いを実現したように見えた。
「……おいマクギリス。俺たちの決着はまだ付いてねえよな?」
「あぁ。今度こそ、改めて決着を」
「そうだな。ミカァ! ……おいミカ?」
オルガが改めてマクギリスに勝負を挑む。……が、彼が後ろを振り返った時には。
「……ミカ」
そこに残されていたのは、両目から光を失い、ピクリとも動かない三日月だった。
「……嘘だろ?」
その日の夜、オルガは夢を見た。それは、動かなくなったはずの相棒が語りかけてきた夢。
「オルガ。俺はいつか戻って来るからさ」
「……その間俺を置いて行くくらい強くなってよ」
彼は用件だけを告げて去っていった。……多くを語らないその姿は、本当に彼のようだと、オルガが感じたかどうかは定かではないが。それから一年後、オルガたちチーム鉄華団は再び、導かれるように選手権の舞台に立っていた。
「……やるか。トップバッターは俺が行くぜ!」
オルガはまた、その席へ付いた。今度は自分で操縦する……獅電を携えて。
鉄血のビルドファイターズ、完結!
……トライの構想自体もまだできてないんすよ……