鉄血のビルドファイターズ(旧題 ガンダムビルドオルガーズ) 作:にくキャベツ
「……こいつは、HGダブルオークアンタか……」
「あぁ。トランザム風のカラーに塗装した」
刹那が作成したダブルオークアンタを見つめるオルガと三日月。
「へえ……すごいじゃん。早速バトルしてみようよ」
「いや、やめておく。これはバトルには使えない」
「え? なんで? こんなに作り込んでるんだから強いでしょ」
「確かに強いかもしれない。だが、俺がバトルで一番使えるのは自分で作ったガンプラじゃない。アイツが作ったガンプラなんだ」
「アイツって……」
「沙慈・クロスロード。俺の知る中で最高のビルダーだ」
「……さて、何処にいるのかな。刹那の言う鉄華団ってチームは」
自室でパソコンのキーを叩くオルガ。
「えっと……沙慈クロスロード、ビルダー……こいつのことか」
刹那の言う沙慈という男を画像検索で調べると、そこには彼の作品と思われる恐ろしいほどの出来栄えのガンプラと、彼本人の顔写真と思われる画像が映し出された。そんな画面を見ているとドアが開き、三日月が入って来る。
「ねえオルガ、俺のユニコーン直さなくていいの?」
「あぁ、その事についてなんだが……次の試合までにはしっかりと直すさ、間に合わなくても昭弘に出てもらえばいい。ってか、直す時にユニコーンに手を加えてえんだ。次の試合を勝ったら、さらにその次の試合はマクギリスと当たるはずだからな」
「……チョコの人とようやく戦えるのか」
模型店、プトレマイオス。そこに一人の青年が立ち入る。
「……よく来たな、沙慈」
「あぁ刹那。刹那の言ってた鉄華団のオルガって人、何処かな?」
「そいつなら今工作部屋でガンプラを仕上げている。見に行ってやれ」
ガンプラバー、ククルス・ドアンの島。前回刹那に連れられ三日月がやってきたこのバーでは、またも三日月とムウのバトルが繰り広げられていた。
「ガンダムアスタロト、確かに優秀な機体だ、だが!」
マシンガンを持ち砂漠を飛び回るアスタロト。そんなアスタロトに対しターンXがトールギスのドーバーガンを放つ。捲き上る砂埃を被りながら手に持ったマシンガンを投げ捨て、対物ライフルを取り出し反撃する。
「調子に乗るのはそこまでだ、鉄華団のエース君!」
「……!」
それを躱し、ターンXはバックパックに搭載されたガンバレルを解放し周囲に漂わせる。オールレンジ攻撃に使用せず、周りに浮遊する砲台として使用することにより手数を増やしアスタロトを追い詰める。二発ほど直撃を受け怯んだところにドーバーガンを撃ち込まれ墜落するアスタロト。
「……もう終わりでいいんじゃないか? これくらいに……」
「いや。まだ行けるから大丈夫」
「そうかい……俺は意地っ張りは嫌いじゃないがね」
「……あんたが沙慈・クロスロード、刹那の兄貴の知り合いか」
「うん。刹那と組んで選手権に出たこともあるんだ」
「なら、沙慈の兄貴と呼んだ方がいいか?」
「……別になんでもいいよ」
少し困った様子を見せながら微笑む沙慈。
「そうだ、僕も新しい作品を持って来たんだ。刹那が次の選手権で使えるように」
「あぁ。そうだったな」
「それと……オルガの作品が見てみたいな」
「……沙慈の兄貴。悪いが俺の作品は凄いぜ」
お互い睨み合い、ガンプラが入るサイズのホルスターに手をかける。
「こいつが俺の」
「こいつが僕の」
ホルスターを開け、そこから取り出したのは……
「ユニコーンガンダムマーズキングだ!」
「アルトライザーだ!」
オルガがユニコーンを取り出したのと同時に、沙慈はホルスターから確実にガンプラではない何かを取り出す。ベースキットは30 minute missionのアルト。カラーは白だ。バックパックはオーライザー、全身をコトブキヤ発売、MSGのクラッシュマント、サイドマントで、オーライザーが露出した背部以外の全てを覆っている。左腕には同じくMSGからエクスキャノンが搭載されており、右腕の手持ち武器はアルト付属のサブマシンガン。頭部は30 minute missionのカスタム用パーツの一つである指揮官用アーマーを使いカスタムしている。MSGをふんだんに使用し、なおかつベースキットはガンプラですらないという完全にバンダイに喧嘩を売ったそのカスタムを見てオルガは戦慄していた。その戦慄はバンダイに喧嘩を売ったことではなく、その恐ろしいほどの完成度から来たモノだった。マントにはクロスボーン・ガンダムX1に代表されるMSが使用するABCマントと同じ効果を付与するように特殊な塗装が施されておりただの飾りではない事が伺え、さらにオーライザーはアルトに装着可能にするために特殊な措置を施しており、さらに分離することも可能であると推測できる。マントで前面を覆っているため詳細が全くと言っていいほど不明であるのも不気味であり、何を仕込んでいるのか見当もつかない。オーライザーにGNドライブを一体化させていることも見え、トランザムも可能であろうという推測も頭を過る。
「……このガンプラ……出来る!」
その頃沙慈も思案を巡らせていた。HGユニコーンガンダムをベースに改造したそのキットは、一見ベースキットとあまり変わらないようにも思える。だが特筆すべきはバックパック、なんとモビルワーカーが仕込まれている。おそらくこれを分離し事実的な二対一に持ち込むのだろうと予想する。二人の想像がぶつかり合い、想像の世界でのバトルが始まる。
「モビルワーカーを仕込んでるんでしょ、そのバックパック!」
「お見通しかよ、クソッ!」
ビームマグナムを放つユニコーン、それを容易く躱すアルト。エクスキャノンによる反撃をシールドで弾き、ビームトンファーを滑らせ手で持ち、ビームサーベルとして使用する。それに対しサブマシンガンを投げ捨てたアルトがチェーンソーの付いた銃をマントの中から取り出す。
「何!? MSGのチェーンソーとダブルバルカンか!?」
「ご名答!」
チェーンソーとビームサーベルが鍔迫り合い、光を散らす。
「力くらべは好きじゃないんだよね!」
「何!?」
アルトがマントを脱ぎ捨て、その衝撃で吹き飛ばされるユニコーン。そしてマントを脱ぎ捨てたアルトの姿は……
「……んだよそれ」
増設したジョイント、追加アームだらけの姿。そしてそのジョイント、アーム全てに様々な武装が搭載されている。その全てがあのマントの中に収まっていたとはとても思えないその異形の姿に圧倒される。
「これが僕のアルトライザー第二形態だ」
「第二形態!?」
大量の武装が一斉に放たれる。デストロイモードに変身しシールドを構えながら避けようとするも……大量の火器からは逃れられず爆発に巻き込まれ撃墜された
と、思われた。
「何? なんで避けて……!」
「確かにあんたの腕は俺より上だ。それに今の攻撃も俺が操縦してるなら絶対避けられねえ。……だけどな、ユニコーンガンダムマーズキングのパイロットは……」
想像の世界でのユニコーンに乗るパイロットが、オルガから切り替わり……
「ミカなんだよ!!」
三日月となる。ミサイルやビームを振り切りながらアルトに斬りかかる。
「やるね、だけどこのアルトライザーの正式パイロットだって僕じゃない、それにこのアルトライザーには第三形態が……!」
ゴテゴテと引っ付いた腕やジョイントを引き剥がしながらユニコーンに対抗しようと……と、そこで。
「そこまでだ!」
一人の男により勝負は中断された。
「この勝負、この私ドアンが預かった」
「……あんたは、刹那の兄貴の行きつけの……」
「あぁ。……この戦いは君たちの想像の中で終わるには惜しい。だからこそ、ここでの戦いは中断し、世界大会で改めて激突するのはどうだろう?」
「……分かったよ。僕のアルトも刹那に動かして欲しいしね」
「あぁ。沙慈のアルト、使いこなしてみせる」
沙慈との出会いを受け、さらに改良したユニコーンガンダムマーズキングのバズーカから大量のミサイルが放たれる。
「なんだよそれ!? 反則だろ!?」
対戦相手の量産型ガンキャノンがそのミサイルを受け爆散する。
《battle end》
「これなら、チョコの人相手でも勝てるよ」
「……そう言ってくれるとは嬉しいぜ」
《battle end》
街が燃える。その中に立つ漆黒のガンプラ。その足元に転がる真紅の、原型を留めないほどに破壊された残骸。……3分前まではアメイジンググレイズだったモノだ。
「やりました、やりましたよ顧問。僕はあのマクギリス先輩を超えました」
その頭部だった何かを持ち上げ、握り潰す。
『準々決勝、第四試合はアイン・ダルトン選手の勝利です』
「嘘だろ、マクギリスが負けた? なんなんだよ、アレは……」
アメイジンググレイズを無傷で叩きのめした黒いガンプラ。登録ネームは……グレイズアイン。
「やりました、やりましたよクランク顧問」
「あなたのガンプラを完成させました」
次回『グレイズアイン』
「決着を付けよう、鉄華団。私のアメイジンググレイズで」