始まりの物語   作:浜風快速

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「最後の一日」の始まり

「はい、じゃあ部活を始めましょう」

『よろしくお願いします!』

今日もまた、厳しい練習が始まる。

 

「皆さん、明日はいよいよ大会です。今までの練習の成果を発揮して頑張りましょう。1年生は初めての大会ですし、結果が出なくても大会の雰囲気を感じてもらえれば大丈夫です」

でも、こう言う先生こそが結果を出せないと厳しくなるタイプであることを、僕は小中学生の9年間で知識として蓄えた。

つまり、この大会で結果を出せないと、周りからひどい扱いを受けることになる。

そう感じて、より一層練習に熱を入れるようになった。

 

戦略解説では食い入るように先輩の解説を聞いて、いつも以上に分かりやすいメモを取るようにした。

実戦では今まで学んだ戦法、独学で身に着けた戦法を惜しみなく投入する。

さらに運動で蓄えた体力と持久力をフル投入し、どんな相手でも、早原でも上岡さんでも、容赦することなんて無かった。

「女子なのに随分と激しい戦いをするねぇ」

「くそっ、たかが女子に負けちまったよ」

今日戦った先輩の泣き言が聞こえる。

僕はこの、「女子なのに」という言葉が嫌いだ。女子を甘く見ているのか、はたまた女子差別といわれる類のものなのか。とにかく、僕みたいに心が男子である人間にとって、女子なのにという言葉は深く刺さる。

 

…おっと、話が脱線してしまったが、僕は9戦ほど先輩たちと交えていずれも勝利した。

なんと僕は部長にギリギリ勝てるレベルまで成長していたらしい。

「女子なのになかなかやるじゃん」

この言葉にはいつもイラっとさせられるなぁ。部長すらもこの言葉を発する人だったのか、少し残念である。

 

「さて、今日はここまでにしようかな」

疲れ切ってあまり記憶もないが、よほど辛い活動でもしていたのか、気づいたら全身から汗が噴き出している。

「瀬川、大丈夫か?」

「ん? ああ、早原か。僕は大丈夫だよ」

「そっか、ならいいんだけど」

あれっ、何だろう。少し早原の口調に違和感がある。心なしか少し優しい…?

「皆さん練習お疲れさまでした。今日はゆっくり休んで、明日しっかり

実力を発揮してね」

『はい!!』

「それじゃ、号令かけましょう」

「気を付け~、礼~」

『ありがとうございました~』

なぜか脱力した感じになる終わりのあいさつ、バッグを持ち上げる力も出なくなりそう。

 

それでも頑張って何とか帰り、自室でベッドに倒れこむ。

「優~、晩御飯は~?」

「ちょっと今いらない…」

当然この返事が聞こえる筈も無く、無事に母さんが自室に凸。

「ほら優、晩御飯冷めるよ」

「ごめん、今いらない…」

「そう、でも臭くなるからお風呂は入りなさいね」

そうだ、最低限お風呂に入るだけの力は回復させなきゃ。

 

でも、倒れこんでいる間に、僕は深い眠りへと落ちて行ってしまった。




どうも、作者の浜風快速です。

最近PCを新調しました。今までのとは使い勝手が違うので、小説も書きにくいですね…。
ただ、今までより更新頻度が上がるかもしれないので、ご期待くださいませ。

それでは、また次回!

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