始まりの物語   作:浜風快速

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もはや隔月投稿と化してますね…次は10月?


大会の終結と、”次へ向けて”の始まり

秋吉南との全勝同士の対決、5vs5将棋は終盤戦、手堅く守っているこちらの優勢といったところ。

森先輩を中心に相談しあいながら一手一手を確実に指していく。

相手もかなりチーム戦になっているものの、相談内容が丸聞こえらしく部長が聞き耳を立てて情報収集をしてくれている。ありがとうございます部長。

相手の指し手もだいぶ分かっているのでこちらは守れば勝てそうという場面であるが、油断は到底できない。

 

 

そして。

 

 

「参りました…」

その声を弱弱しく発したのは、

 

 

 

部長だった。

 

そう、僕たち大舞北は、秋吉南に敗れたのである。

部長の情報収集での聞き違えにより対策外の一手を指された僕たちは、時間も使い切り、まともな相談もできず逆転負けを喫した。

「ごめんよ、俺が聞き間違えたばかりに…」

「部長は悪くないですよ。俺らが落ち着いて相談できていれば」

「森先輩の言う通りです。部長だけの責任じゃありませんよ」

 

「第48回 ○○県ボードゲーム大会も、いよいよ終わりが近づいて参りました。それでは、全国大会出場を目指し集まった地区予選の結果と、全国出場校を発表します」

僕たちは4勝1敗となったが、全勝は秋吉南だけなので残り1枠を争う厳正な順位決め抽選に賭ける。

「地区予選優勝は、全勝で秋吉南高校!同校には優勝賞品と、全国出場権が与えられます。」

僕たちも拍手する。本当は祝いたくないんだけどな…僕たちが勝ってりゃ今頃僕はあそこにいたのに…

「なお、4勝1敗が同率で4校いるので、厳正な抽選によって第2位~第5位を決めます。第2位に選ばれた高校には、全国出場権が与えられます」

運命の抽選の時間だ。

 

「第5位は………岩永第二高校!」

良かった、選ばれなかった…。

「第4位…………羽山大学付属三井高校!」

4戦目まで全勝の高校3校のうち残りの1校らしい。

「さあ、第2位は大舞北高校と下梅郷高校、どちらになるのでしょうか!

 

第2位は…!」

 

全力で祈りを込める。大舞北、大舞北…

 

 

「下梅郷!」

 

なんとここでも不運だったらしい。わずか一回の負けで全国の夢さえも逃すとは…。

ふと下梅郷を見ると、信じられないといった顔で呆然と前を見ている。彼らに意識はあるのだろうか…。

 

 

その帰り道。

「ごめんな、俺のせいで…」

「いや私のせいです」

「俺が悪かった」

「僕のせいですよ」

「お前らは何も悪くないよ」

反省会はまともなものではなかった…。そりゃそうだ。あと1歩で全国というところを逃したのだから。

「先輩、トロフィーに涙たまってますよ(笑)」

「は?」

「ご、ごめんなさい…」

部長の剣幕に、茶化しに来た交流戦組がすごむ。そもそも茶化しに来るなよっていう話なのだが。

「まぁまぁ、君たち。次があるじゃないか」

「先生、でも部長の夢が…」

「それは諦めるしかないかもな…あのぉ中村くん(部長)、痛いからやめてくれないかな。電車内だよ?」

「掴みかけた最後の望み、そんな簡単に諦められるかよ…」

静かに反抗する部長が怖いです…。




こんにちは、作者の浜風快速です。
この度、ペンネームを改めさせていただきました。
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