BLACKSOULSⅡ腹パンRTA 0:19:19:19 作:メアリィ・スーザン・ふ美子
名無しの森の支配下を抜けた先にあるのはハノーヴァー廃駅。
そこは森奥の小さな廃駅。
忘れ去られた蒸気機関車が佇んでいる。
周りには何故か木乃伊や肉塊が散乱していた。そう、森を抜けた駅前すぐのところにあった篝火の周囲には、精を吸われ肉を食われたかのような焦げ臭い男性遺体がそこかしこに転がっていたのだ。
身の危険を感じつつも、まずは篝火に手をかざし火をつけ『最後……準備……の夢』すぐさま座り込み、最後の戦いに備えて一度図書室の夢に戻る。
以心伝心な伝播の調子が悪いのだろうか? どこか声が遠い。
もしや、また何か問題でもあったのだろうか?
心配だ。
準備を万全にして急がなければ。
私はシロクマへと飛竜の剣をはじめとした敏捷力に貢献しない不要品を全て売却し、投げナイフ『万能鍵』と万能鍵をひとつ補充させてもらう。
そしてエリザベートなどから吸収した手持ちソウルの全てを可能な限り黄のソウル購入にあてた。
これで良いんだよなアリス?
いや、もうこれ以上、なにも聞かなくてもわかる。
ビースト狩りの夜がいつまでも明けないように、これで良いのだ!
黄のソウル。
それを手の中で砕き吸収することで、砕いたものの素早さがあがる、不思議の国特有の色つきソウルだ。ほかにも色々な色のソウルや四葉のソウルがあるものの、今の私に必要なのは黄色のソウルただひとつ。
ノーデが買い取ってくれない黒のソウル二つも砕き、私の敏捷性は生半可な相手には遅れを取らないほどとなった。
これで速さが足りた。後はアリスに会うだけだ。
アリスはどこだ?
私は篝火の前で目をつぶり、ハノーヴァー廃駅を思い浮かべる。
目を開ければ、そこは篝火。
ハノーヴァー廃駅の篝火だ。
それにしても……くんくん……クソッ、ひどい臭いだ。
屋外であるにも関わらず、一帯を支配するのは強い淫臭。己が雄だと自負するならば、誰もが挑みたくなるような、甘く深い誘う香り……つまり、淫獣に注意しろ。
チェシャ猫の危険なサインであるらしい濃霧こそないものの、むしろ廃駅一帯には桃色の霧が立ちこめているような……いや、晴れている? ああ、これは幻覚なのか?
堕落部屋で目覚めてから四半時も経っていないと感じているのに、時が経つにつれてますます現実と幻覚の区別があやふやになっているような気がする。今夜のジャブジャブは調子がいいようだ。速く殺さなければ。アリスを助けた後にでも。
ともあれ絶対にこの臭いの発生源には関わらないようにしよう。もしも視覚情報を得てしまえば、淫獣対淫獣のソウル燃え盛る仁義無き閨勝負になるかもしれない。私にそんな暇はない。
早くアリスを助けなければ。
視線を落とし、ゲートを抜けてホームを目指す。
や ら な い か ?
っていうかもう脱いでるじゃないですかぁ!
駅のホームですっぽんぽん!?
やったぁ!!
え? コレ私を食べてって意思表示ですよねイイんですよね!?
そうですよねっ!
左手側方面から、言外に性交渉その他を熱望する、燃えるような熱い視線を感じる。けして私から声をかけたわけでも、直接声をかけられたわけでもない。だが千の言葉より雄弁に語る視線はきっと、見られる者に怖気とともにその下種な欲望の限りを確かに伝えるのだ。
やはり淫獣か……目を合わせてはいけない……
俺は…………食事ックスが嫌いだァーッ!
絶対逃走してやるぞっ!
待ってろ結婚ライフ! アリスは俺の嫁だ! ホアァァァァアアアアア!!!(((訳注・彼は狂っていた)))
私はただ前だけを見つめて一気に駆け出し、出発の時を待つ蒸気機関車に駆け込み乗車せんとした。だが車両の乗り込み口にはモギリめいた黒衣の車掌が立ち塞がっている。
「おっとぉっ! 駆け込み乗車は大変危険ですのでおやめくださいってなァ!
ヒッヒヒヒ!」
「どいてくれ頼む! ……って、ハイン先輩っ!
こんなところで何やってンスか!」
車掌をよく見ればその顔は、誰であろう忘れもしない、以前の職場でお世話になった先輩であった。誰の手を取ろうとめでたしめでたしのない度重なる絶望を繰り返し、全てにおいて投げやりになり、とにかくソウルを黒く染め上げたがっていたあの時、黒ソウルの横流し品をよく譲ってもらったものだ。
「あぁん? 誰だお前?
つーか誰だとかの前に半裸じゃねーか。
今みたいな鏡の国じゃなかったら猥褻物陳列罪で逮捕だぞ」
忘れたのか、私はほもだ。
そう名乗ろうとして……言葉を失う。
私は、前世の名を未だ思い出せていない。
ハイン先輩とは、前世で職場を同じくしていた先輩で……だから、先輩に名乗るなら前世の名が必要で……ああ駄目だ。全く思い出せる気がしない。
「あ……う……」
「……ま、テメェが誰でも良いけどよ。ヒヒヒッ。
列車に乗りたきゃ切符を見せなぁ……持ってんだろ?」
私は震える手で列車の切符を差し出した。
「切符を拝見っ!」
ハイン先輩は慣れた手つきで偽造かどうかや不審点はないかを呼称確認していき、問題ないことを確かめるとピッと切符を切った。
……変われば変わるものだ。黒の裁判が四つの刻魔の一人にして、刻魔随一の残虐な手法で業の深い者どもから黒のソウルを狩りとっていた死神ハインが、陽気な笑顔を浮かべてモギリ的業務をを全うする黒の車掌ハインとなっているなど想像だにしなかった。
「マミるよし!
よーし、いいぞぉ。こっちはアンタ持ちだ。返すぜ。
さあ、さっさと乗りな。まもなく出発するぜっ!」
「あの、ハイン先輩、ジブン、昔先輩に世話になった者なンスけど……」
「あぁん? 知るかバーカ。
昔のことなんかよぉ、どうでもいいじゃねぇか。
俺なんかロクに覚えちゃいねえゾ?」
「……」
「結局のところ、俺らが生きてんのは昔じゃなくて今なのさ。
そいつぁ現実世界だろうが箱庭世界だろうが同じことだろがよ。
ああそうさ……そうなのさ……アーイイ……遥かに良い……
俺ぁ、昔からずっと車掌になりたかったんだ……
もうこのままでいい……ずっと、このままがいい……」
そうか……ハイン先輩は第二の人生(死神生?)の新たな一歩を踏み出しているのだな。私もいつまでも黒の裁判時代のことに囚われず、アリスを助けに行かなければ。
列車に乗り込む。
まさにその時である。
「私も列車に乗せてくださいハインさん!
そのご主人様の所有物としてなら切符は入りませんよねッ!」
「ばっきゃろうクソビッチてめーどうせ赤の他人だろーが!?
何人乗客候補食ったら気が済みやがる! だれかれ構わず食い散らかしやがって!
出禁だっつってんのに居座るしよォ! 帰れ帰れ!
二度とこの駅から出て行け!」
「私に帰る場所なんてありません!」
五歩と離れていないすぐ後ろで、なにやら騒ぎが始まった。
一人はハイン先輩。
もう一人の声は――――いや、そんなはずはない。彼女は死んだはずだ。それも、ただ死んだだけじゃない。手の施しようがないほどに、どうしようもなく死んだのだ。
「男漁りなら不思議の国にあるっつー魚市場でヤッてろっつってんだろ!
噂じゃマジでスッゲェー大漁らしいぞ!」
「海産物は生理的に無理ですっ!」
「どうせオトコならタマナシヘナチンでも何でもいいクセによぉ!
……チッ! ここは俺に任せてさっさと行けっ!
発進してどーぞーっ!」
そんなハイン先輩の言葉に合わせて汽笛が鳴り、蒸気が噴き出す音とともに車輪が回る衝撃。私は振り向かない。振り向けない。
【――――もし相見える事があれば……。
ほも様、魂を奪われないようお気を付けください】
いつだったか、ノーデが口にした台詞が思い出した。何故いま思い出す? 決まっている。魂を奪われぬためだ。
「お客様は黄色い線の内側までお下がりください!(乗客の他にお客様はいません)
クソビッチは他のお客様のご迷惑にならないようお願い致します!
っとぉ! 甘ェよ!
テメーは客じゃねーっつってんのが聞こえませんかー? ヒヒヒッ!」
「私、新しいご主人様を探さないといけないんですっ!
きっとその人が新しいご主人様に相応しい人なんですっ!
お前なんか……お前なんか頭の中身が吃驚するほどユートピアのクセに!
邪魔をするなっ!」
車両内のどこからか躍動的なピアノとバイオリンのコンチェルトが聞こえてくる。私はこの独特のメロディを知っている……奏者はどこだ?
「ヒヒヒッ! 馬鹿め!
このハイン様を殺そうなどずいぶんと夢見心地だなぁクソ淫魔?
カラッカラだった腹がいっぱいになってるもんなぁ?
そりゃ勘違いのひとつもするか……こちとら只の車掌じゃねぇってのによっ!
ヒッヒヒヒッ……! そのソウル、貰ったァ! チネーイ!」
車輌内にピアニストはいなかった。ヴァイオリニストもいない。
確かに、背後は気にならないといえば嘘になる。
だが振りかえればきっと、思い出に魂を奪われてしまう。
しかし私の心には、もう先客一名限りの予約客がいるのだ。
アリス。待っていてくれ。
すぐに行く。
初速こそゆったりしていた蒸気機関車は即座に恐るべき速さで加速し、二者の様子はすぐに感じ取れなくなった。
◇
クイーンランド行き超特急は、体感時間でそれこそ秒単位で終着駅に辿り着いた。
この先にアリスがいるはずだ。
私はクイーンランド出入り口……魔法陣めいた発着場の目印に立つと、クイーンランドから飛び立ってきた入場アトラクションのガーゴイル二匹が私を捕らえ、そのままバサリと飛び上がり、私の身体をクイーンランドへ運ぶ。
空から周囲を見れば……これが、いまの、不思議の国?
なるほど、こりゃ赤い。
行き先に城は見えても周囲一帯に白は見えない。
鏡の国という世界はチェスを模した要素が多分に含まれていて、土地のあり方もまたそのようになっている、つまりは上空から見れば白と赤(本来のチェスでは白と黒の二色なのだが二時創作され白と赤の二色となっている)がチェーカー柄のように見えるハズなのだが……
その柄が失われ赤く染めあげられているということは、赤の陣営が勝利したことを意味する、そういう想定の鏡の世界か?
大した間も取られずクイーンランドに辿り着く。
そこは大人の遊園地。赤に魂を奪われた者たちが食事や見世物を楽しみ、花火と逢引の花が咲く。
ゲート前にある篝火に手をかざして火をつけ、入場料無料のゲートをくぐれば、タイミングよく花火があがり、どこからか絶叫が聞こえてくる。頭上の方からは絶叫マシンの音。中々スリリングなマシンであるようだが、アリスじゃないならどうでもいい。
それにしても、一国をまるごと遊園地にしたかのような有様は、なんとも形容しがたい違和感を覚えずにはいられない。少なくとも、中央にある城は見世物ではなく本物を改装したものだろう。遊園地内には楽しげな楽曲が奏でられていた。
歩く来客は視界に入らず、ピエロばかりが視界にはいる。ピエロなぞ、どうせ戯言ばかりしか口にしやしないだろう。こうなれば女王に直談判するしかない。色合いからして赤の女王が待ち構えているのだろうが、はて彼女は一体どんなキャラクターだったか……とんと忘れてしまった。
私は[ドードー走り]に城内目指して駆け出す。鍵のかかっていない城門を開ければ、城内にもサーカス小屋が出来ている。謁見の間なり、玉座の間なりにはどこからいけば……アリスの導きはない。
ええいままよ! ヤマ勘で左の階段を昇り、その先の通路を駆けていく。
【この先、悪夢が待っているんだ……】危険を警告するメッセージ。知ったことか!
ルルルーーーー……
耳にしたくない鼻歌が聞こえた。まずい。なにがまずいか思い出したくもないが何かがまずい。この鼻歌は、まずいのだ。あのメッセージは正しかった。評価したい。評価方法とは?
なにはともあれ、ひとまず私は見えざる胡椒を使い、遠目に背中が見えた白黒を決して正面から直視しないよう駆け抜けた。
その先には、玉座の間が……ない?
仕掛け扉らしきものが、その先の道を閉ざしていた。
「馬鹿な。行き止まりとは……」
ここに、玉座の間に繋がる通路があるのでは?
いや、なぜそうだとこれほど確信しているのだ?
そもそも……なぜ私はそれを知っている?
私はここに来たことが、ある?
うう……頭が……また……
頭を抱えながらウロウロと近辺を調べたが、付近に開閉の仕掛けらしきものは見つからない。ドアノブのない扉は、固く口を閉じとてもではないが抉じ開けられそうにない。それを望むなら、きっともっと腕力が必要だ。だが今夜はない。何とかして仕掛けを暴かなければ。
私は少しばかり引き返し、隣の部屋に入る。
この部屋に仕掛けのレバーがあるかもしれない。
中は控え室かなにかのようで、美少女
「あっれれぇー? おかしいぞぉ?
ここは部外者は立ち入り禁止なのにぃ☆
もしかしてプリケットのファンなのかなっ?
っていうか君ってば半裸じゃない! キャーえっちぃ♪」
「アリスはどこだ?」
「不思議の国の端から端まで捜した?
まだ行っていないエリアがあるはずだよん♪
折角用意したテーマパークなんだから楽しんでいってねっ☆
きゃはっ☆」
用意したテーマパーク?
どういう意味だ?
そもそも、お前は誰だ?
赤の女王らしくも白の女王らしくもないし、端役の登場人物にも見えない。プリケットという名前に聞き覚えもない。配色からして赤陣営の誰かだろうが……このどこかおかしくなっている鏡の国の遊園地の城に招かれた芸人、なのかもしれない。よくわからない。
「プリケットはね、元々は宇宙に住んでいたんだけれど訳あってこの星に墜ちてきたんだっ☆」
宇宙……から、堕ちる?
あまりに壮大な話に面食らう。
チェス盤がひっくり返るどころの騒ぎじゃない。
詳しく調べたわけでは決してないが、赤の駒も白の駒もいないこの鏡の国に、一体何があったのだ?
いや、気にするな。
今はアリスを助けることだけを考えろ。
だけど。
ああ。
だけど。
脳髄の奥から、卓上にさいころが転がるような音がして。
クリティカルの判定を出してしまったから。
なんということだろう。
気付いてしまう。
閃いてしまう。
脳髄の電球がピカピカ光る。
大きな星が、点いたり、消えたりしている。
ああ、なぜだ。
なぜなのだ。
なぜ今なのだ。
荒唐無稽なアイディアが、後から後から浮かんでくる。
彗星のように。
流星群のように。
アイディアが浮かんで流れて止まらない。
「お前もしかしてマイン・ヘルか?」
そういうと、どこか道化を演じていたプリケットと名乗った女の表情が固まった。私はアイディアを口に出して垂れ流すことを止められない。
「いや、違うな。おまえはマイン・ヘルとは似ても似つかない。マイン・ヘルの設定を間借りしているか、あるいは上書きしている者と呼ぶべきか?
なぜ鏡の国にいる? ここは現実世界どころか妖精世界でもないというのに……ああ、そうか。シビメットなりタビカットなりがどのようにしてか鏡の国へ侵略にでて、成功したなどという設定にでもしたか? 誰かがそう誘導を?
ならば総督はどこにいる?
奴なら全て知っているはずだ!
全ては総督の手の中!
それが設定!
この壮大にイカれた箱庭世界は、何故か狂ってしまった総督の……いや、必ずしも総督が狂う必要はないのか? そうか! 彼の
ミスター・サーはどこだ!?
シルヴィーとブルーノはどこに行った!?
アグガギはもう、ヤマアラシに姿を変えた後か!?
お前ような輩が他にも……上位者とかいう連中がいるとでもいうのかっ!」
どこか遠くに聞こえていた遊園地の音楽は消えていた。代わりに脳髄の奥から響いてくるのはThe Carol of the Old Ones(((訳注・旧支配者のキャロルの原題)))の音色と歌声。
ああ! まさか! まさかそんな!?
閃き。
呪術的思考、魔術的転換法。
似ているものは、同じようなものであると見做す法則。
閃き。
ことばの梯子。
言葉が意味を無くさぬよう「はじめの言葉」を一文字ずつ変換して「終わりの言葉」に変えていくという言葉遊びのパズル。
閃き。
誇大妄想。
入れ替え、切り替え、差し替え。代用品が。代替品が。他者がほかの配役に嵌り、異種が異なる配役に嵌り、何かが何かに嵌りに嵌り。規格さえ合えば歯車は回る。廻る廻る廻る。病みたる時計塔は廻り続ける。ああ、どれもこれも、何故おもいつく。どうしてこんなことを思いつくんだ私は!? どうしてこんなことを思いついたんだ私は!? 仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定が仮定がラドウィッジ市街のようにデタラメに積みあがってしまう!! 誰か止めてくれ!! こんなこと気付きたくなかった! こんなこと知りたくなかった! なんでこんなことに! 誰がここまでやれと言った!! こんなこと望むヤツなんか誰一人いない!! 違うんだ!! こんなの間違いだ! 何かの間違いだ! いやだ! 助けて! 誰か助けて! 誰か私の誇大妄想を止めてくれ!! アイディアに殺される!! いやだ! あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああこうなったら、殺られる前に殺ってやる!!
「おかしいとは思っていた……それともおかしいと思えないことがおかしいと無意識に感じていたのか……ワンダーランド……ミラーランド……フェアリーランド……アウトランド……それに、強化石売り場にいたやつはスナーク狩りがどうとか……ならばそれぞれの世界を好き勝手に繋げて弄って書き換えて……いや、それどころじゃない!!
グリム童話!!
それにアンデルセン童話もだ!!
それだけではないだろう!?
他にどれだけの世界を巻き込んだ!?
ああ、ああ、信じられん……冒涜だ!!
このようなことは断じて許さぬ!!
■■■侵害で訴えてやるっ!!
黒の裁判にも、問答無用で来てもらうからな!!
いやもはや裁判を待つ必要すらない
わ!!
貴様らは!! 我々が裁く!!
判決は即刻死刑!! 罪状は追って調べさせてもらう!!
ミランダ! こいっ!
数多の世界を巻き添えに、全ての全てを穢しに穢した黒ソウル狩りの時間だ!!
この夜に蔓延る上位者とかいう恥知らずのビーストどもを悉く塵殺するぞっ!!!
……おいミランダ?
何故、こない?」
数多の戦場を共に駆けた、もっとも信頼できる戦友が共鳴召喚に応えない。
何故だ?
何故なのだ?
ああ、そうか。そりゃあそうだよな。
私の身体は、あの結末の時とは、違うもの。
彼女と共鳴召喚の契りを交わし、彼女に膨大なるソウルを捧げていた私だった頃とは、違うのだ。
いまの私は、ちょいとばかし足の速さに自身があるだけの、ソウル貧しく貧弱で、弱くて弱弱しくて弱っちい、フシシャテンセイカリウドモドキの無力な探索者にしかすぎなくて。
浮かびに浮かんだアイディアを、そのまま口から出し尽くし感情が振りきれた私は、呆然としたまま後ろの真後ろに振り返る。
それは
砂嵐ZAP
◇絶対に気付いてはいけない妄想に囚われてしまったほものSENは-300◇
砂嵐砂嵐ZAPZAP
◇そういうの全部どうでもよくなるとくべつな処置を施されることで、ほものSEN+666◇
砂嵐砂嵐砂嵐ZAPZAPZAP
ZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAPZAP先程までは閉じていた、ドアノブのない狂った扉が大口を開けていた。中に入る。玉座の間に繋がる通路の先には濃霧。その手前には怪しげな本がひとりでに浮いていた。
なんだこれは?
良く分からないものは触らないに限る。
「ハァい調子ィ良 ?」
突然、本がパラパラと開き、惑星めいた冒涜的な頭部をした存在がページの合間からぬるりと顔を出し話しかけてきた。なんだこいつ。
……関わりたくない。ボス霧行くわ。
「待テや!」
読んでもいないのに中身が飛び出るなんて、どうせ悪夢霊の親戚のようなトラップだろう?
騙されんぞ。
「うェいぅぇイウェイうェイッ!
ど して僕があシナがお さンだッて気づかな んだィ!?」
たどたどしく、満足に口がきけない異形の本を無視した私は、戦闘態勢で霧を抜け玉座の間へと入り込む。
玉座は空。
それが二つ。
玉座の左右後ろには鉄格子が一つづつ。
ん?
あれ?
私はついさっき、隣の部屋で何かとてつもない衝撃の事実に気付いたのではなかったか?
いや、隣の部屋にいた赤きアイドル、プリケットから「君に逢いたいって子が隣の部屋にいる」というようなことを教えてもらっただけで、他には特に何もなかった。
親切にも万能鍵をひとつくれた以外に、特に何もなかった。
特に、何も、なかった。いいね?
ああ、そんなことはどうでもいい。アリスに逢わなければ。
アリスはどこにいる?
「我が子を奪わんとする無礼な家畜め」
「疑心と欺瞞に身を滅ぼせ」
玉座の間に火が燃え盛り、闇から滲み出るようにして突如現れた二人組がそんなことを言った。
名前は……駄目だ。今夜は思い出せそうにない。思い出せる今夜もあるのだろうが……だが関係ないね。
お前らはここで死ぬのだからっ!
敏捷特化流奥義!
木目絶影!
デイヤーッ! デヤー! ヤーヤーッ!「ヴォー!」
(((奴隷帝シビメットに投げナイフを投げ続けるだけの以下略)))
常時の三倍以上の速度で、片手に六本。両手で十二本。投げる回数は四セット。合計四十八本の投げナイフで滅多刺しの刑に処することで敵の内の一人は倒しきれた。
私のパルクールはまだ終わらんぞ!
ずっと俺のターン!
次は貴様だ!
そらそらそらそらーっ!
(((奴隷后タビカットに投げナイフを以下略)))
常時の三倍以上の速度で、片手に六本。両手で十二本。投げる回数は四セット。合計四十八本の投げナイフを受けてなお、名も分からぬ敵は辛うじて命を繋いだ。駄目押しにもう一本!
「ウボアー!」
残った投げナイフは僅か二本。とても際どい所であったが、これで完全決着だ。
前口上からしてアリスを捕らえて我が子にせんとする悪逆非道な存在といったところか。死ぬが良い。慈悲はない。
私は急ぎ万能鍵で鉄格子を開け、地下を目指す。
地下にはまた鍵。
【この先、贈り物があるぞ。】メッセージ。やったっ! 俺はやった!!
そこの曲がり角の先にアリスが――――っ!?
「あっ!
ほもっ! ほもだよねっ!?
ボクを助けに来てくれたんだねっ!
わーいっ!! さすがはボクの王子様っ♪
ボクはちゃーんとキミのこと、誰よりも導いてたからねっ!
ここまでよく頑張ったねっ! えらいぞー♡ くすくすっ♪
ねぇはやくこっちに来てっ?
お礼もちゃんとしてあげるからっ!
レロレロレロレロっ。あはんっ♪ ホラはやくハメハメしてぇ☆」
地下牢の鉄格子の鍵を開ける。
敏捷特化流奥義、木目絶影。
「ねえねえほもっ!
まずこの鎖を外して?
これのせいで思うように力が出ないんだ……」
私はアクロバット三倍以上加速をつけ、緑色の羽虫の腹を殴った。
お前はアリスではない(無言の木目絶影腹パン)
「ぶぎぇっ!?
ぐ、お、まだ、っそっ……再、そ……」
緑色の羽虫は消えた。
◇
……ふぅ。
これでようやく、今夜が始まる。むしろこうしなければ今夜が始まったという気がしない。目覚めた後にブレックファストを取るのが当たり前のように、奴の腹を殴ることが自然だと感じた。不思議なこともあるものだ。
それにしても、偽りのアリスめ。
あの声色……どのようにしてか私のソウルの片隅にバックドアを開き、あろうことかアリスだと錯覚させ、巧みにここまで誘導するなど……許せない。
だが愚かだ。
変装の欠片もなく、姿をまったく偽らなかったのだからな。
自身の寿命を縮めるだけの、まるで意味がない行為だ。
例え変装したとしても、私がアリスを見間違えるはずがないしね。
キサマの名前は知らないが……知らない?
いや、知っているはずだ。誰よりも。
ヤツの何を忘れている?
今夜は思い出せないが……別の今夜には、思い出せる夜もあるだろう。
少なくとも、我がソウルの深奥の憎悪炉がキサマの血反吐を求めている。
焼け石に水をかけるように、その血潮で憎悪炉を止めて見せるがいい。つまり、無駄だという意味だが。
それとも……試してみるか?
我魂魄百万回生まれ変わっても、恨み晴らすからな。
自分自身との、その誓約だけは忘れない。決して忘れるものか。
黙って見ていろグリーンスムージー
落ち着いて地下牢内を見渡せば、壁の一面には血液で書きなぐったかのような、かすれた血文字が書き込まれていた。
黙って見ていろ、グリーンスムージー、ね……
なぜだろう、さっきの奴の仮名として、ずいぶんとしっくりくる。
今夜はヤツをグリーンスムージーと呼ぶとするか。
呼ぶ機会などそうそうないだろうが。
しかしこの血文字の滲みよう……
なにか、強い遺志のようなものを感じる。
他にもなにか伝えたいことが……むむむ。一目見ただけではまったく思いつかないし、これといって閃くものもない。
遺志を継ぐことは――できないか。
まあいい、メッセージの意味は、じっくり考えれば良いだろう。
今の私を急き立てる声は、もうないのだから。
――――アリスはどこにいる?
○原作シナリオ
寿司勇者トロ
○二次創作作者
メアリィ・スーザン・ふ美子
○チャート構築
グリーンスムージー(仮名)
○二次創作内グラフィック等
なし(絵のない本のどこが面白いんだろう?)
○二次創作内BGM・効果音等
なし(だが聞こえるはずだ。SEN高ければあんな曲やこんな曲が)
○二次創作者が執筆時の燃料として再生していた作業用BGM等
うみねこのなく頃に黄金夢想曲 より[~金色の血に染まる前に~]
うみねこのなく頃に黄金夢想曲X より[~黄金の奇跡を叶えるまで~]
GOD EATER より[Over the clouds]
彼岸花の咲く夜に より[愛しを渡るは黄昏ぞ]
H.P.ラヴクラフト歴史協会のアルバム「A Very Scary Solstice」 より[The Carol of the Old Ones(旧支配者のキャロル)]
ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨン より[Back in Black]
MELTY BLOOD より[MELTY BLOOD]
うみねこのなく頃に黄金夢想曲†CROSS より[Golden Showtime!]
這いよれ!ニャル子さんW より[恋は混沌の隷也]
機動戦士ガンダム逆襲のシャア より[BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~]
Another Century's Episode 3 より[深紅]
○デバック
二次創作にデバックなど必要ないのでは?
○添削・改定等
随時実施しているため割愛
○作品投稿先
WEB小説投稿サイト・ハーメルン
○使用ツール
ハーメルン内、マイページ左側のメニュー各種
多機能フォーム
R END
Thank you for reading!
To be continued
「NEW GAME」から計測を開始し
グリーンスムージー(仮名)を腹パンで撃破後の
「VICTORY ACHIEVED」が表示されるまで
Ver.は非実在パッチを適応した
チートを無くしたグリーンスムージー(仮名)に
限定的チートを与え狂言回しとする
二次創作限定Ver.であることを留意されたし
このモードは二次創作者が色々と都合よく独自設定することにより、
如何に速く自分の
我々と同じような体験を味わわさせることに愉悦発狂を見出す観戦モードです。
本人は制限時間以内に○○するか○○しないと出られない地下牢に
捕らえられていると認識しています。
我々もやったんだからさ(同調圧力)
腹パンRTAの実走者視点はこれにて完走です。 ほもの勇気がアリスを救うと信じて、彼の視点はこれにて打ち切りです。 中時間のご閲覧、ありがとうございました。
二次創作者からのコメント
このメアリィ・スーザン・ふ美子、ことタイムに限り虚偽は一切言わぬ。本当に制限時間以内なら出す……! 出られる、がっ……まだその制限時間の指定まではしていない……ということを知っていただきたい。つまり、私がその気になれば、制限時間は一分以内でも一秒以内でも如何様にも設定可能……ということ……っ!
作者の中の中の人からのコメント
次回から
2019/12/18改訂
鏡の国についての二次創作情報を加筆。
作者の中の中の人からのコメントから執筆状況の描写を削除。