機動戦士ガンダム 死のデスティニー   作:ひきがやもとまち

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久々の更新となります。前々から書いてはいたのですけど、なかなか前に進まなくて…。
少しずつ書き進めて今に至った内容のため、前回のラストと少し矛盾するかもしれませんが…今回は妥協してくださいませ。
流石に色々とやらせ過ぎました……(反省)

尚、今話で新たな仲間キャラクターが登場します。ロゴスと連合だけだと戦力的にキツ過ぎました故に……。


PHASE-6

 コズミック・イラ73に行われた連合軍最後の拠点ヘブンズ・ベースを巡る攻防戦は、ロゴス側優位に推移しながらも混沌の度合いを深めつつ未だ終幕には至っていなかった。

 

 未来のコズミック・イラにおいて歴史家たちが戦いの記録を振り返るとき、戦闘中に起きていた出来事を時系列順に並べようとして苦心させられる代名詞となっていくのが、このヘブンズ・ベース攻防戦でもあった。

 あまりにも多くの出来事が、複数の場所で短時間の内に同時多発的に発生したため、それぞれの繋がりを読み解くのに相応以上の労力と根気が求められる戦局だったからである。

 

 その原因の多くは、ザフト軍の実質的総司令官を務めたギルバート・ディランダル議長にあると言わざるを得ないというのが後世の定説でもある。

 彼は『人類共通の敵』と定めたロゴスを世界国家の大同盟軍を以て討つことで、種族間を超えた新たな絆を世界に示そうとしたが、そのために対ロゴス同盟軍の隊列はあまりにも長くなり、実際に敵と戦っていたのはザフト軍MSばかりで連合からの投降艦は後方でお荷物となっていただけになってしまっていた。地上と宇宙との距離がありすぎたことも問題である。

 これら編成の不備を見抜いたロゴス軍司令官代理セレニアが、情報撹乱によって部隊間の通信網を断ったことから各々の部隊は孤立させられてしまい、同盟軍は途中から後方と前線と宇宙という三つの部隊に別れて独自に判断と行動を取らざるを得なくなってしまっていたのである。

 

 そのような事態に至り、遂にザフト軍の総司令デュランダルは自ら陣頭指揮を執ることで崩れそうになる戦線を必死に支え、死戦せざるを得ない状況へと陥らされていくことになる。

 

 

「――退くなッ! 今退けば戦線は一気に崩壊して全軍総崩れとなるだろう!」

 

 ミネルバの艦橋でデュランダルが仁王立ちになり、強い口調で味方を叱咤し、崩れそうになる戦線を言葉によって支える、心理的防衛戦の役割を必死に果たしていた。

 

「あと僅かなのだ! あと少しだけ持ちこたえれば我が軍は勝てる! 既に勝つための準備は完了した! 支えきれば味方が勝つ! もう一息なのです! 今少しだけ諸君らの力を私に貸して頂きたい!!」

 

 この状況にいたって尚、デュランダルの言葉には確固たる自信が感じられ、それを聞かされた将兵たちは萎えかかった心をギリギリのところで持ち堪え、既に脱走艦が出始めている戦場の中で中核となるザフト軍だけは軍としての統制を維持することができていた。

 実際、デュランダルの言葉は負け惜しみでも、その場凌ぎでもなく、確実に戦局を打開できる一手を完成させることに成功した故の大言壮語であったからだ。

 

 ――先頃ようやく通信が回復して、軌道上の艦隊との連絡が可能になり、MS部隊の即時降下開始を指示することがやっと出来たのである。

 妨害電波によって地上の戦況がわからなくなった挙げ句、セレニアによって意図的にもたらされた相互矛盾する誤報も複数確認され、動くに動けなくなっていたジュール隊長率いる軌道艦隊は、降下準備を完了していた部隊を順次発進させている。あと数分で彼らがヘブンズベース直上へと姿を現し戦局を一変させてくれることだろう。

 

 ――むしろ、そうなってくれなければ困るのだ。

 “アレ”の準備が完了してしまってからでは、手遅れになってしまうのだから・・・・・・。

 

(・・・連合の秘匿兵器コードネーム《N》・・・。連合が制宙権を失ったときのために開発したという、新型対空砲。その性能如何で我々の命運も決してしまうという訳か・・・っ)

 

 声には出さず、心の中だけで彼はつぶやき捨てて、胸中にある不安材料の最たるものを無理矢理に喉の奥へと流し込んだ。

 デュランダルの情報網をもってさえ完全には全容を掴みきれなかった、連合地上軍の切り札とも呼ぶべき対空掃射砲。

 コーディネーターの庭とも呼ぶべき宇宙空間で造られず、地上のロゴス勢力が最も強く根を張っていた絶海の孤島の拠点地下深くで建造されたことから“今一つの切り札”よりも入手できた情報が少なすぎたことが懸念材料となっていたソレは、だがしかし。

 想定されるスペックだけでも、完全な照射がおこなわれてしまえば降下部隊すべてを消滅させることが可能だろうという試算結果が出されている代物だ。

 ただ、その膨大な威力故に照射までに必要なエネルギーチャージ時間もまた通常のビーム砲の比ではなく、照射される前に降下させることさえ出来れば不利な戦局を一変させることも可能ではあるはずだった。

 

 その為にも―――ッ

 

「シンのデスティニーは何をやっている!? レイはまだ到着できんのか!?」

「先ほど通信が回復して連絡が届きました! 敵の守りを突破! シンと合流するとのことです!」

「――よしっ!」

 

 デュランダルは不適な笑みを浮かべ、この不利な状況からの逆転劇と、自らの勝利を確信する。

 入手した情報だけでも、秘匿兵器《N》の弱点は明らかだった。それは照射に必要な膨大なエネルギーを集めるため、基地内の各所から電力を掻き集めざるを得ないという点だ。

 

 必然的に、砲へとエネルギーを供給している主要なチューブのひとつ、あるいは変電施設の一つでも破壊すればNは停止は無理でも威力は大きく減衰して、上手くすれば発射までの時間を遅らせることも可能かも知れない。

 

「レイを通してシンに通達! ヘブンズベース内にあるエネルギー供給施設と思しき建物を、どこでもいい。見つけ次第叩くよう伝達してくれ。彼の腕と機体の性能を持ってすれば、必ずや我が軍に勝利をもたらしてくれるだろう」

 

 新任の通信士官である女性兵士を安心させるよう、途中から優しげな笑顔を浮かべて爽やかに指示を出した議長を相手に、僅かながら頬を赤くし「つ、伝えますっ」と復唱しながら通信機器の操作へと戻る部下を見つめる。

 

 そんな時だ。ふと、タリアと目が合った。

 事実上ザフト軍の臨時旗艦となっているミネルバの艦長として、休みなく現場の指揮に専念し続けていた彼女は、喉を休ませるためにもアーサー副官から飲み物を受け取って口にくわえた直後であり、互いに偶然にも口と時間に余裕ができた。その短い数舜での出来事だった。

 

「大丈夫だ、タリア。彼らなら必ず我々の期待に応えてくれる」

「そうでしょうね」

 

 素っ気なく答えて、一時の休憩に戻っていく美人艦長。

 彼女としては前線の現場指揮官として、“お偉方”へのリップサービスをしてやれるほど心の余裕を保てる戦況ではなくなってきており、また現実に相手の言葉にも自分の返答にも絶対の自信を懐くことができなかったという事情もある。

 

 ――ここまで自分たちを翻弄してきた敵司令官だ。あと一つか二つぐらい、隠し球があってもおかしくはない・・・・・・。無論ないなら、それが一番ありがたいのだけれど―――

 

 そんなタリアの声には出せない心境とは無関係に戦況は一進一退を続けながら、混沌の度合いをも増していくことになる。

 

 

 

 そんな各所で分断され、それぞれが自分の担当している戦区で全力を尽くす以上のことは出来なくなりつつある戦場。その一部の担当者にフェイ・ウォンという名の連合軍に雇われた傭兵の姿があった。

 

 

『なん・・・だっ、て・・・・・・?』

 

 ザフト軍のエースに与えられたらしい最新鋭機、デスティニーのパイロットである少年シン・アスカの声がスピーカー越しに聞こえてきて、フェイは嗤う。

 

「お前も俺とおんなじなんだよ。だから言ったろうが、アンタとは気が合いそうだってな」

 

 マイクを通して、敵機のパイロットに届くように言いながらもフェイは心の中で思っていた。

 

 ――コイツは、化け物だ―――

 

 と。

 

「その高性能な新型機を与えてもらうために今まで何人の敵を殺してきた? 敵の死体で山を築いた報酬によって手に入れた新しい機体で、次はどれだけ人を殺したい? 世界を平和にするために!

 自分の好きな奴らを殺した憎ったらしい奴らを敵として殺しまくって、嫌いな奴らのいなくなった世界を作り上げるために! 自分に都合のいい優しい奴しかいない世界を手に入れるために!」

 

 雇い主から教えられていた情報を元にした罵り言葉で罵倒し、相手のパイロットが言葉の刃如きで動きを止められ、自らの機体が持つ超巨大な化け物刀の刃を一向に振り下ろせなくなっていく姿をモニター画面で視認しながら。

 

 ――フェイは先程から、ガチガチと鳴り続けている奥歯の音が敵に聞こえぬようスピーカーを調整しながら、震える身体に渇を入れ、真っ白になるまで握りしめた右手を反対側の左手で軽く握りしめて力を込める。

 

「一体これからアンタはあと何千人殺せば気が済むんだろうなぁ!? えぇ!? シン・アスカさんよゥッ!!」

『違う! 俺は・・・・・・俺はァァァァッッ!!!』

 

 ひたすらに軍人という職業の持つ『人殺し』としての側面を強調して語り続けるフェイの糾弾に、傷つくばかりで動くことのできない精神へと追い詰められていくシン・アスカ。

 

 ――フェイから見て、シンという少年は精神的には、ただのガキでしかない存在だ。

 戦争をする者たちを口汚く非難する反面、妙に戦争への子供じみた憧れを感じさせる要素が見受けられ、ヒーローごっこと言うより子供向け童話に出てくる王子様にでもなりたがってるような、そんな印象を短い接触と少ない情報からでもヒシヒシと感じさせてくる・・・そんな少年。

 

 ある日いきなり、醜悪で好戦的なエイリアンが理由も原因もなく侵略してきたので、平和と正義を愛する人々はやむを得ず抵抗を決意し、その為に強力な兵器や施設が必要だ・・・・・・古今東西無数に存在し続けてきた通俗的なストーリーを本気で信じ込み、童話のレベルで現実の政治を考えようとして、それが軍事ロマンチシズムの軍国主義だとはチリほども考えていないような、身勝手でバカな妄想と現実の区別がつかなくなっている、ただのガキ。

 

 主観的正義で脳味噌を汚染され尽くした中毒患者で、自覚のない戦争賛美論者。・・・それがフェイ・ウォンが下したシン・アスカの人格に対する客観的評価。

 

『オレだって彼女を殺したくなんてなかった! 救ってあげたかった! 助けようと頑張ったんだ! だけど―――』

「じゃ何故、ザフト軍に入った? なんで力を求めて、その機体に乗って彼女を殺す役目を担ってたんだ?

 ・・・・・・ステラ達と違って強制されたんじゃねぇぞ! 自分の意思でサインしたんだろうが! えぇッ!?」

『ぐわ・・・ぁ・・・あ・・・・・・』

 

 スピーカーから聞こえてくる敵パイロットの呻き声を聞かされながら、だが一方でフェイ・ウォンは相手に対して、こうも思っていたのだ。

 

“コイツは化け物だ。人間じゃねェ・・・・・・っ!!”

 

 ―――と。

 今まで戦場で生き延び続けてきたベテラン傭兵の勘が、さっきから五月蠅いほどにサイレンを鳴らしまくっていて、全速力でこの場から逃げ出したくて仕方がないほど本能的に目の前の相手がもたらす「死」に怯えさせてきていたのが、そう思った理由だった。

 

(・・・震えが止まんねぇなァ・・・・・・怖くてよゥ・・・ッ)

 

 ガタガタと震える指先を必死に抑えてコントロールレバーを握りしめ、自分に厄介な仕事を依頼してきやがったお得意さんのチビには臨時報酬を追加要求しないと割が合わないことを心の底から思い知らされている最中だったからでもある。

 

 彼は生まれついての才能と、経験豊富な今までの戦いで稼いできた場数によってナチュラルでありながら大抵のコーディネーターパイロット相手なら楽に屠れる程度の技量に今ではなっているという自負があり、たとえ赤服のエースであっても工夫次第では勝つことも可能だろうと信じてもいる。

 

 だが、どこまで行っても彼はナチュラルであって、コーディネーターではない。

 ましてや、スーパーコーディネーターとやらを倒したと聞かされている相手とやり合って勝てると思えるほど身の程知らずにも成れていない。

 

 彼には今まで戦場で幾度も命を拾ってきた勘働きによって、シンが恐るべき力を秘めたパイロットであることを本能によって感じ取っており、『コイツには自分を必殺できる能力がある』という事実を受け入れられる種族意識の薄さがあった。

 

 だからこそ今、言葉でシンを責めることで時間稼ぎに徹している。

 皮肉なことだが、どうやら依頼主から与えられたコミュニケーション詐術を忠実に守っていいることが命を長らえれる最善の道であることまでもを勘によって解っている彼にとっては他に方法がなかったからだ。

 

 人格と能力はイコールではない。優れた人格を持つ人道家が、敵を一方的に殺戮できる軍事的英雄も兼ねているなら人格と才能の不一致でしかない。

 完璧超人のヒーローを求める民衆には良くとも、本人にとっては不幸でしかないのだ。

 それは人格破綻者の傭兵でしかない自分自身こそが、一番よく心得ている。

 

 黙れば戦いが再開されて殺される。言い過ぎれば暴走して殺されるだろう。

 言葉の先を可能な限り丸めた針で傷つける・・・・・・タイトロープのような内実の弾劾だったものの、どうやらそれも今少しで終われそうであることを、彼は勘ではなくレーダーによって感知していた。

 

「だからこそテメェは―――うおッ!?」

 

 予期していたとは言え、ギリギリのところで回避することが出来た新手の攻撃に心底から冷や汗をかかされるフェイ・ウォン。

 敵の援軍が自分を倒すことより味方と合流することを優先してくれたお陰で、何とか助かったようなものであったが・・・・・・どうやら自分のラッキー運もここまでのようだと覚悟を決めずにはいられないのも確かではありそうだった。

 

 後退した自分を援護するためにか、手柄を横取りしたかったのかは分からないが、味方機のモビルアーマーが今し方まで釘付けにしていたデスティニーを下方から撃ち抜こうと発射されたビーム砲を、新たに乱入してきた敵の援軍が光り輝くシールドで防ぎきるのを見せられては、そう感じざるをえなかったからである。

 

『シン、何をしている! 迂闊だぞ、飛行しているからには下からも撃たれるッ!』

『――っ、レイかっ!?』

 

 スピーカーから流れてくる、至近で交わされた敵同士の会話。その中に出てきた名前、「レイ」というのがおそらく敵の新型機のパイロットであり、ザフト軍の宣伝工作としてミネルバ隊所属のエースとして紹介されていた少年兵でもあるのが彼なのだろう。

 どちらにしろフェイとしては、「詰んだ」としか言いようのない状況に変化させられてしまったようだった。

 

  ・・・・・・見慣れぬ敵の新型機で、新装備であるビームシールド搭載機・・・見た目は違うがデスティニーと同タイプか準ずる機体と見て間違いなかろう。

 無論、最新の高性能機に準ずる機体にナンバー2を乗せるのは、4位以下に与えるよりかは合理的で正しい判断と呼ぶべきだろう。

 5位以下であれば勝ち目が出てくると考えていた、シンより格下のフェイとしては腹をくくるより他にない。

 先の一弾だけで分かるほど、敵の技量は優れており、自分との差がありすぎる。

 

 所詮はモビルスーツ操縦の適性を運良く生まれ持っていただけのナチュラルでしかない自分に勝てる相手ではない。

 残念ながら“自分の出番”は、ここまでのようだった。

 

『シン! 議長からの命令だ、ともかく敵のエネルギー供給施設を潰すんだ! 切り込めるか!?』

『――ああッ!!』

『よし、ならコイツは俺が相手をする。行けッ!!』

 

「・・・・・・」

 

 敵機同士で交わされている会話を、特殊機故に性能のいい集音装置で拾いながらも、フェイは“動かない”

 

『ええいッ! この程度の機体に・・・ッ!!』

「・・・・・・」

 

 敵の援軍が、なにやら苦み走ったものでも感じているかのような叫び声を上げながら、ビームサーベルを抜いて斬りかかってきても、それは変わらない。

 

 ただ、飛んでいるだけで立ったままだ。棒立ちした状態で、敵に向かって切ってくださいと言わんばかりの態勢のまま、呆然と立ち尽くしたままで立ち止まっている。

 

 

「へ・・・ヘヘヘ・・・・・・俺、の・・・・・・ッ!!」

 

 だが無論のこと、フェイ・ウォンは潔く自分の死と敗北を受け入れられるほど優れた人格者では全くない。高潔な魂を持った戦士でもない。

 単なる金目当てで戦う、他人は殺しまくっても自分の命は惜しい傭兵でしかない身の上だ。

 ガタガタ震える身体で、意味のない言葉を喚きながら必死に恐怖を耐え凌ぎ、一番生き残れる“かもしれない可能性”が高くなるよう計算された今の場所で立ち尽くすより他に道がなかっただけなのだ。

 

『はああッ!!』

「・・・・・・~~~~ッ!!!!」

 

 それでも尚、敵機が目の前まで迫ってビームサーベルを自分ごと機体を真っ二つにしようとした瞬間には怖さのあまり逃げ出したい衝動を堪えることが遂に出来なくなりかけたが・・・・・・どうやら“見捨てないでくれた”らしい。

 

 

 自分に向かって灼熱のビームの刃が振り下ろされようとした、その刹那。

 横から一瞬の光が割り込んできてスパークし、粒子の衝突による共食い現象が生じて余波に巻き込まれ、為す術もなく機体を吹っ飛ばされながらモニターの半分が死んでしまったコクピットの中でフェイは嗤って、その光景を眺める。

 

 自分を斬り殺す寸前まできていた敵機が、突如として現れた新たな《カミナシ》によってビームの刃を防がれて、驚愕が機体の動きに現れている姿を嗤いながら見物し続け――不意に聞こえてきた、偶然にも生き残っていたらしいスピーカーから二機のモビルスーツのパイロットたちが交わし合う会話に耳を澄ます。・・・それ以外にやることも出来ることも既になくなっていたから。

 

『なにッ!? 貴様っ』

『ハイ、邪魔させて頂きました』

『――ふざけるなッ!』

『心外ですね~、ワタシはいつでも真剣ですよ?』

 

 

 いつも通りのマイペースな商売敵の言動に苦笑しながら、ただ落下していく機体に乗って無事に骨折ぐらいで済むよう信じてもいない神に祈りながら、フェイの耳に距離が開いて最後に聞こえることが出来た二機の会話、その最後の一筋だけが不吉な尾を引く流星のように鼓膜に残った。

 

 

『貴様は・・・・・・いったい何者だっ!?』

 

『ロゴス側のコーディネーター、キョウヤ・ヒグチです☆』

 

 

 

 ――そして通信は途絶え、彼らの声が届く距離からフェイは脱落し、この戦闘における彼の出番が完全に終わりを告げることとなる。

 

 

 

 

 

 

 そして、その僅かに前の時間帯。

 ヘブンズベースの司令部に近く、基地内で交わされる通信の傍受などが比較的簡単で安全な後方に配置されていた偽装ハンガーの中に鎮座する一機のモビルスーツの中で、一人の男が出撃準備を完了させていた。

 

「――プッ!」

 

 咥えていた煙草を吐き捨て、商売敵が敵に追い詰められて殺されそうになっているところを基地の望遠モニターを使って楽しそうに見物していた彼は、蛇のように陰湿そうな瞳をギョロリと剥いて自分の機体に火を入れる。

 

「では、ワタシもそろそろ動くとしましょうかネ」

 

 その瞬間、周囲の敵味方ほぼ全員のレーダーに自分の居場所が露見することになってしまったが、別に構わない。

 既に見ているだけでいい「楽な仕事」の時間は終わった。次は追加報酬をせしめる為にも敵を一機でも多く食い殺してやらなければならない勤務時間が訪れたのだから。

 

『はああッ!!』

『・・・・・・~~~~ッ!!!!』

 

「ふひッ☆」

 

 スピーカーから流れてくる、静かな中に深い殺意を満たした敵の叫びと、今回は味方になった商売敵が無言で放つ命の雄叫びを聞きながら、さも愉快そうに唇をひん曲げて性格の悪そうなあくどい笑みとともに依頼内容を全うするため全速力で予定ポイントまでの最短距離を加速させていく。

 

 フェイの乗る《カミナシ》に止めを刺す寸前までいっていたレイの前に、新型装備であるビームシールドを展開させながら割り込んでくる。

 

『なっ!?』

「フ・・・ッ」

 

 ザフト軍の最新鋭機であるレジェンドに乗った自分の一撃を完全に防がれて驚愕したらしい敵のパイロット。

 その若さ故の未熟さをせせら笑いながらも、シールドが持つエネルギー量の表示が大幅に削れていくゲージを見下ろし、保ってあと数秒かと思った以上に脆い新装備の出来の方には嫌気がさしてくる。

 

 デストロイの独立可動型腕部ビームシールドを携行可能にした、一二回使える程度の高価な癖して割に合わない性能しか持たせられなかった使い捨て兵器だから仕方ないのかも知れないが・・・・・・もう少し役に立つ兵器を造ってほしいものだと思わずにはいられない。

 

 また、助けてやった味方機が衝撃で吹き飛ばされ、地上へと落ちていく姿も視界には入っていたのだが、まぁいいかと割り切って見捨てて、目の前の敵に集中することとする。

 

 ――あの男も、アレでそれなりに腕の立つ同業者だ。運が良ければ生き残れるはず。

 死んでしまった時には、運が悪かったと思って諦めてもらおう。傭兵家業とはそういうものだと、彼は心底から信じているタイプの人間だったから。

 

『チィッ!!』

 

 動かぬ敵機が囮であったことを悟ったらしいザフト軍機が、いったん距離を置いて仕切り直すと、どうやら得意としているらしい射撃戦で自分を狙い撃つため背中のビーム砲を複数同時に発砲してくるのが見えた。

 

 その射線は正確で、ナチュラルばかりの連合兵士であったならば、改造兵士のエクステンデットか、もしくは前大戦で使われたとか言うブーステッドマン以外では避けきれることは不可能だっただろう。

 

 ――しかし。

 

『なんだとッ!? バカなっ!!』

 

 敵パイロットの驚いたような声がスピーカーから漏れ聞こえてきて、彼は嗤う。

 距離が開いたせいで雑音混じりの感度が悪いものになってしまったが、ギリギリで会話自体は可能な距離。

 

 だからこそレイは問う。

 新型OSの補助によってナチュラルでもMSを動かせるようになったとは言え、補助なしでは動かせない故に連合制のMSはどうしても動きのパターンが限定されてしまう欠点を追っており、それを突いた一斉射撃によって確実に相手を撃ち落とそうとしたのが先のビーム攻撃だったからだ。

 

 ナチュラルである限り、完全には避けきれるはずのない攻撃。

 それを避けきって見せた以上、この敵の正体はエクステンデットかブーステッドマンのどちらかでしかあり得ない。

 どちらだろうと、彼にとってもシンにとっても、そして彼にとっての全てとも呼ぶべき議長の計画から見ても看過できかねる存在だったのだ。

 

 ――こんな奴がいたのでは、議長のプランにとって障害になる・・・!!

 

『貴様・・・いったい何者だッ!?』

 

 そう問われ、彼は生まれつき歪んだ形の唇に歪んだ嗤いを浮かび上がらせ、魔女が腰掛けて笑みを浮かべた三日月のように不吉なカーブを描かせながら――相手の求める正しい答えを愉悦とともに与えてやった。

 

 

「ロゴス側のコーディネーター、キョウヤ・ヒグチです☆」

 

『なっ!? なんだと・・・・・・ッ!?』

『!? どうしたんだ! レイ!』

 

 レイは驚愕したように動きを止め、その様子を訝しんだらしいデスティニーも基地の変電施設に向かっていた機体を一時停止させる。

 

『貴様ッ! コーディネーターでありながらロゴスに・・・ブルー・コスモスに味方したというのか!? 何故だ!』

「それは勿論お金のためですよ。報酬の額という点でロゴス以上の存在は現在の人類社会にはおりませんからねェ。

 幸いなことにワタシの上司となったお嬢様は、そこら辺のことは気にしないタイプでしたので上手く誤魔化してもらいながら結構オイシイ生活をさせてもらってますよ。

 どうです? アナタも一緒にいらっしゃいませんか? 今からでも遅くはないと思われますヨ~?」

『俺たちを倒して利用する価値がなくなったら捨てられるだけだ! それが貴様には分からないのか!?』

「おやおや、これはこれは。本気で言っているとは思えないセリフを仰られる」

 

 クツクツと嗤いながら、わざわざ画像まで開いて自分の顔を見せてくれながら糾弾してくる敵の若いパイロットの“矛盾した言い様”に、若さとは所詮こういうものかと、心の中で冷笑。――実に、身勝手でバカで泥臭い屁理屈だと心の底から侮辱しながら。

 

 

「兵士なんてものは所詮、戦争が終わるまで生きてられる方が少ない生き物でしょうに。

 勝った後のことまで考えて、今の豊かな生活手放して結局途中で死んで、他人たちから自分の豊かな幸せのために死んでくれてありがとうとか言われて、そんなに嬉しいですかァ?」

『―――ッ』

「アナタだってここに来るまで、大勢の人間の人生を途中下車させてきたのでしょうに。

 年取った順に寿命で死ねるなんて、兵士にとっては至上の幸福。一部の選ばれた者だけが享受できる特権中の特権。早死にするのが当たり前、それが今のような時代というものでしょうに。

 その中で兵士になる道を選び、さらにはエースになるまで他人の命を食いまくってきた人殺しでしかないアナタが、今さら途中で死ぬかもしれない選択肢を選ぶことを否定されるのですかァ~? 自分たちの敵組織を選んだだけで? 傲慢ですねェ~」

『ぐ・・・・・・あ、が・・・・・・』

 

『レイ! レイ!? どうしたんだ! しっかりしろォッ!!』

 

 敵同士のなれ合いが続いている。途中まで離れていた最初の機体も戻ってきて援護射撃をおこなってくるが、接近戦を主体としたマシーンらしく射撃武装は大味なものが多く、精密射撃は苦手とするタイプらしい。

 

 普通のコーディネーターならば、いざしらず。自分には、この程度の射撃はまず当てられない。

 “そういう風になれること”を目的として、自分は造られていた存在なのだから――ッ。

 

 ――このままでも目の前の機体の足だけなら止められそうだが、もう一機を同時に相手取るには自分の実力では不足だなと割り切ると、彼は再び『敵の弱い部分』を利用して、敵自身で敵の足を止めさせるために役立ってもらうため、自分たちの雇い主が考えついたアイデアを実行に移すことにする。

 

 戻ってきた機体への対応に意識の大部分を先ながら、通信相手だけを灰色の亀のようなバックパックを背負った敵機に合わせると、彼は用意されていたセリフをパイロットに向かって聞かせてやる。

 

「――しかし、アナタの声はどこかで聞き覚えがある気がしますねェ~。もしかしてアナタ、“ラウ・ル・クルーゼ”さんのご親戚かなにかだったりします?」

『―――!!! 貴様! ラウを知っているのか!?』

『レイ! 落ち着けよ! さっきから一体何を―――』

『黙っていろシン!』

 

 ――かかった。

 敵機たちの会話を盗み聞きしながら、ロゴス側に雇われたコーディネーターの傭兵キョウヤ・ヒグチは心の中で密かに、ほくそ笑む。

 

 

 ・・・・・・それは雇い主が古い記録を調べ直している最中に、偶然見つけた記録の断片。

 よほど嬉しかったのか、本人が直筆で書き残していた勝利と栄光を確信した、人生の最高潮に達した日々の輝かしい記録。

 

 その人物が記した日記の中で、“一番の恩人であり功労者”として描かれていた人物のデータの中で、反射的動作や射撃タイミングなど生まれ持ったスペックを同レベルで必要とする戦闘記録。

 

 名高き敵のエース・オブ・エースだったから膨大に残されていた、それらの個人データーの内97パーセント以上の確率で一致した赤の他人のはずのパイロット“レイ・ザ・バレル”という名の少年兵を、実力や機体性能に関係なく“味方の動きを正中させるのに利用するため”に用意されていたミネルバ隊対策のひとつ。

 

 

「ええ、勿論存じておりますとも。当然でしょう?

 “我らが地球連合軍勝利のためにザフト軍へと侵入しNジャマーキャンセラーを盗み出してきた英雄”の名前を!!

 前大戦時にコーデネーネーターの少年兵たちを核の炎で大勢焼き殺すことに貢献した、偉大なる“連合軍の英雄”の名前を!!

 宇宙の鳥籠に自ら入りたがる囚人共の絶滅こそ全人類と子供たちの未来のためになるのだと考えられたブルーコスモス最大の英雄です!

 青き清浄なる世界のためにねェェェェェェッ!!!!」

 

 

 

『ぐ・・・あ・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁッ!!!!

 き、貴様ァァァァァァァァァッ!!!!』

 

 

『レェェェェェェッイ!?』

 

 

 レイは叫び、シンが叫び、キョウヤが高らかに笑い声を上げて―――そして。

 勝敗は決した。

 彼らの戦いとは関係なしに、この戦場の勝敗を決定づける最後の一撃が、天に向かって撃ち放たれたのは、まさにこの瞬間であった。

 

 

 

 

「フハハハハハハッ!!

 さぁ、時間ですッ!!!」

 

 ヘブンズベース内にある貴賓室の中で、待ちかねていたときの到来を予期したジブリ―ルが、高笑いとともに演技力たっぷりに周囲の自分を見つめるロゴスメンバーや連合軍人たちからの視線を大いに意識しながら宣言する眼下で、基地司令部の機器操作要員たちが今までで一番慌ただしく報告と命令と復唱とを交わし合っている姿が繰り広げられている。

 

 

「直上に、ザフト軍降下ポット現出。ルート26から31に展開」

「《ニーベルング》へのパワー供給が完了」

「ニーベルング発射用意」

「ハッ、現時点を以てニーベルング・システムの安全装置を解除する。退避命令を発令せよ」

「偽装シャッター解放っ!」

 

 

 ・・・・・・古より続く神々の支配する世界に終焉をもたらすため行われるとされる、神々の黄昏《ラグナロック》。

 ザフト軍のデュランダルは、この降下作戦の名前にその名を冠したと諜報部から報告を受けていた彼だったが、聞いた瞬間にはなんとも皮肉なものだと思わずにはいられなかったことを今の自軍有利な戦況を前にして思い出さずにはいられない。

 

 一度はキリスト教による異教弾圧によって滅ぼされたゲルマン神話の最終戦争ラグナロック、それを再び世に蘇らせることに貢献した最大の名作であるワーグナーの戯曲《ニーベルングの指輪》

 

 滅ぼしに来る側が、復活させたものを破滅させるために天から降り立ち、そして裁きの光によって焼き滅ぼされる!!

 その流れに《運命》を感じずにいられないほど、ジブリ―ルは世界に夢を懐かない現実的な人間ではなかったのだから。

 

 

「糾弾も良い、理想も良い。・・・が、全ては勝たねば意味がない。

 この一撃で宇宙からの援軍が消滅させられるのを見れば、ザフトの宇宙人ども以外は命惜しさで逃げ出す者しかいなくなるでしょう。

 古から、全ては勝者のものと決まっているのですからね。小綺麗な理想という泥船にしがみついたまま、共に溺れ死にしたがる者など、正義の味方や神のような人間ですらない。

 ただの世界を読み切れなかった愚か者の群れに過ぎなくなるのですからね・・・ククク・・・」

 

 

 表情にサディスティックな笑みを浮かべながら、ジブリールは嗤う。

 目の前で頼りにしていた援軍を焼き尽くされ、デュランダルの言葉を信じる根拠がどこにもなくなってしまった裏切り者どもの群れに、もはや制止の声も正論も、糾弾や理想さえも届くことはなくなっていることだろう。

 しょせん、時世が変わったからというだけで昨日までの敵に寝返るような連中は、口でどれほど綺麗事を唱えたところで、世界のことより自信の安泰の方が重要だっただけの保身主義者の群れに過ぎないのだから。

 

 ――だが、そうなったとしてもジブリ―ルは彼らを笑う気にはなれなかった。・・・心中で苦笑する程度はするかもしれないと思ってはいたが。

 

 逃げたければ自分で手はずを整えておくのは人として当然のことだからだ。

 ものの分からないノロマな連中が時間を稼いでくれている間に、助かりたい者たちは逃げる。それだけだ。

 

 ――その程度のことも出来なかったから、アズラエルは滅んだのだ・・・。

 

 と、前任者の後継として組織の立て直しに全力を傾けざるを得なくされた落日のブルー・コスモス中興の祖たる彼は思う。

 

 ――だが、私は違う。私は奴とは異なるのだ。

 

(・・・私はただ、“勝ちたいだけ”だ。戦いたい訳ではない。前線にノコノコと出てきて身を危険にさらす野蛮極まるアズラエルやデュランダル如き戦争狂共と私は異なる・・・)

 

 そう思って感慨に浸っていた、彼の耳に。

 破滅を告げる声が響き渡る。

 

 対ロゴス連合軍にとっての破滅の声が。

 古き時代の神を殺して、その死体の上に、死体の肉を食ったウジ虫たちが築き上げようとした新世界が今。

 

 破滅の光と共に、音を立てて崩れ去る《新世界最後の日の終末》を告げる、二つの正義と正しさの矛盾に満ちた音が、世界中の見ている前で全人類の鼓膜に響き渡った。

 

 

『照射角、20から32。ニーベルング、発射準備完了。

 ―――発射ッ!!!』

 

 

 

 天へと光が伸び、一瞬にして全てを終わらせる。

 ザフト軍にとっての《最終戦争》に、最終決着をもたらすための一撃が天から降り注いできた無数の天使たちを焼き滅ぼす様を見せつけられて、デュランダルはただ沈黙し、ただ唇を噛みしめる。

 

 

「議長・・・・・・」

 

 タリアが振り返り、視線だけで問うてくる。

 それは決断を促す視線であった。

 

 デュランダルは太い息を吐いて椅子へと戻り、腰掛けながら求められている唯一の選択肢を彼らの前に提示させた。

 

 

「やむを得ん・・・・・・作戦は失敗した。全軍に撤退命令を」

 

 

 

 

 

 

 

 そして時を同じくして、同じ光景を異なる角度から、相手より下の位置で眺めていた人物の元にも同じ報告がもたらされる。

 

 

「最後まで抵抗を諦めずにいた部隊も撤退を開始したようです」

「そうですか」

「なお、他の艦艇は散り散りに逃げて統制も何もありませんが、敵の本体だけは秩序を乱すことなく整然と撤退をおこなっている模様です。どうされますか? セレニア代理司令閣下」

 

 艦長からの報告を受け取って、セレニアは疲れ切ったように身体を伸ばして肩をほぐし、『ようやく帰ってくれますか・・・』とでも言い足そうな中間管理職めいたお役所仕事のような視線で部下たちからの視線を見返すと、この戦い最後の命令を彼らへと下して残りの色は現場の人間に任せる選択肢を選ぶことにしてしまった。

 

 

「どうするもなにも、逃げる敵さんには追撃が基本でしょう? 降伏しないで逃げてく以上は撃つ他に私たちには選択肢がありませんって。

 ただし、敵の前に立ちはだかって逃げ道塞ぐのだけは禁止します。破った者は即刻銃殺、例外はなし。

 わざわざ尻尾巻いて逃げる敵さんを追い詰めて、死兵にさせる利敵行為を働く裏切り者は死ぬ以外に運命は無くすことになると心得なさい。

 後はテキトーに、逃げる敵の中で楽に沈められる敵だけ確実に落としていきゃいいですよ。当たらない敵に撃っても弾の無駄なので無視してよし。

 あと任せます。私は少し寝てきますので安全第一の追撃指揮よろしく。

 ・・・・・・とにかく疲れました・・・・・・子供には揺り籠で眠る時間が必要なんですよ・・・・・・ふぁ」

 

 

つづく

 

 

 

オマケ【今作オリジナルのキャラ紹介】

 

【キョウヤ・ヒグチ】

ロゴス側に雇われているコーディネーターの傭兵で、提出した記録などはナチュラルのものを使用しており、キョウヤというのも殺して奪ったナチュラルが持っていた身分証を流用したものに過ぎない。本名不明。

実はスーパーコーディネーター計画の中で造られた被験体の一体で、カナード・パルスの一応は兄弟のような関係性の人物ではある。

セレニア直々の指示による(脅迫とも言う)データ改竄と賄賂によってジブリールには正体を悟られていない。

真実を教えてやる義理や理由は、彼にも雇い主のセレニアにも無い。

 

性格は対照的で、狡猾かつ残忍。その一方で反発心や反抗的な態度を取る同年齢たちのプライドを「負け犬の遠吠え」と嗤って見下す、世渡り上手な側面を持つ。

元々はカナードと同じように別の研究所によって確保され、過酷なデータ取りのための実験を強制されていた被害者の少年だったが、カナードと違って反抗的な態度を取らずに煽て上げて誑かして扇動し、蛇のような誘惑で相手たちの内輪揉めを誘発した後、追い詰められた責任者を救ってやる報酬として首輪を外すことを前払いで支払わせる手法を取っている。

この時、複数の主要人物を誘拐して拷問することで聞きだしておいた情報から、相手の言葉の矛盾を見つけやすくし、自分を騙して殺そうとした嘘を見抜いた上でかかってやるフリをするなど演出にも長けている。

その後は結局、ほぼ全員を口封じに殺してしまい、残った僅かなメンバーに車を運転させて移動した後、ソイツらも殺して研究所の追手たちに別方向へ逃げた証拠としてくれてやっていた。

 

狡賢い犯罪者思考の人物で、傭兵であると同時に要人たち御用達の暗殺者も副業でこなしていた経験があり、その時の伝手でロゴスとも繋がりがあったため今回の登場と相成った。

豊かで贅沢な生活が死ぬまで出来ればそれでよく、自分が死んだ後に世界がどうなろうと関係ないからどうでもいいとしか思っていないエゴイストの青年。

 

フェイ・ウォンとは同業者で何度か戦場を共にしており、その内の幾度かは敵同士だった。

そのため相手の悪運と勘の良さだけは高く評価しており、自分が仕留め損ねた数少ない相手として敵になったら今度こそ殺してやろうと目論んでいる。

 

が、金にならない殺しに興味はなく、敵にならない限りはどうでもよいと割り切ってもいる純粋極まる拝金主義者。

モデルとなったのは言うまでもなく、【スクライド】の【無常矜持】

 

寺田アヤセとか、少年少女たちの改造ネタつながりで使ってみたいと前から思っていた、ロゴス側で戦うコーディネーター設定の兵士です。

尚、キャラ名には「キラ・ヤマト」や「シン・アスカ」を基にした近い物を用いることで、【彼らが自分個人のために戦うコーディネーターだったら?】というIF未来の一つを体現して見せた存在ともなっております。

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